完璧に仕上がった前後サスペンション 野口装美製シートも予想以上の高性能さ
KLX250SRの前後サスペンションを『HIR(Hisashige Issei Racing)』でリフレッシュしてもらってから、数か月。その間、まったくオフロード走行をする機会に恵まれなかったのですが、先日奮起して、ようやくコースに出かけてきました。もちろん、自走です。
そのコースは整備が殆ど行われていない自然のオフロードなので、とにかく路面のギャップが凄いです。大きなうねりが随所にあり、また場所によってはかなりの深さがあります。ジャンプの踏切もかなり荒れていて、走行テストにはうってつけの環境です。
さらに言うと、このコースを前に訪れてからもう10年以上も経過していて1周サラッと走ってみると、やはり当時の記憶と違うところが随所にあります。久しぶりのフルサイズマシン(250cc)走行というのもあり、始めのうちはゆっくり丁寧に走りました。この時にまず驚いたのが、サスペンションの運動性能。HIRによってリフレッシュされたサスペンションは、前後とも非常に良い動きをして低速の走行でもギャップのうねりを上手く吸収してくれます。リアの反動もコントロールしやすい動きで、まったく新しいマシンのように変わりました。とても驚き、また感心です。中本さん(HIR)、ヤルな!
コースまでは荷台のラックに荷物を括りつけて自走。現地でミラーや、転倒で影響が大きいリア周りの保安部品を外して準備はだいたいOK。エアゲージを忘れ、空気圧は大まか。
HIRの中本さんに聞かなかったが、以前からサスペンションオイルをブレンドして使っているようだったので、このKLXもそれを使っている? サスペンションは見違えるように良くなった。
久しぶりのコースの感触を確かめたらパドックに戻り、しばし休憩。エンジンが途中で止まるようなこともなく、『ミサイルファクトリー』で行ったキャブレターの改造も問題ないようです。1本目の本格走行だったので休憩を充分にとってから、再びコースイン。今度は徐々にペースをアップしていきます。すると、低速の時はただのうねりであった深いギャップが、スピードを上げることで尖った激しい突き上げに変わります。以前であれば、この時、お尻に加わる衝撃はかなりのものだったのですが、『野口装美』によってカスタムされた新しいシートの衝撃吸収性たるや! とんでもなく吸収性が良いのです。コースに慣れてきて、さらにペースアップしてもこの印象は変わることなく、オフロードバイクユーザーはみんな野口装美製のシートに変えたほうがいいのではないか? と思うほど素晴らしいシートに生まれ変わってました。こちらもやはり驚きです。野口さん、やりますな!
この野口装美謹製シートがまたとんでもなく良いこと。ショック吸収性はもはや別次元で、すべてのオフロードユーザーにお薦めしたい。コーナリングでのシッティングも良好。
また、KLX250SRはそこそこトルクがあるので、ここのコースの低速コーナーは2速~3速でこなせることが多いです。ただ、当然クラッチを丁寧に当てる必要があるのですが、『マグラの油圧クラッチ(167マスター)』がまた調子の良いこと。引きは軽いし、とても繊細なコントロールが可能。クラッチプレートが過熱してきてもフィーリングが変わることもなく、コーナーワークは劇的に良くなりました。左手のストレスがグッと減ります。167マスターは対応する車種が多いので、安い買い物ではないですが激しいオフロード走行をする人は、ぜひ導入してみてください。凄く走りが変わりますよ。
まだまだ国産オフロード車では一般的でない油圧クラッチを簡単に導入できる、マグラ・167マスターキット。本気のオフロードトラックを走って初めて真価が分かったが、まさかここまでの効果とは予想外。
低速でよく動いてくれたサスペンションは、ペースアップしても動きが破綻することなく、しっかりと衝撃を吸収しながら路面を捉えてくれます。まだ山の新しい『ダンロップ D909』もとても優れたグリップ力を発揮してくれるので、どのセクションでも怖さを感じることがありません。全体的に車高を落としたこのKLX250SRですが、路面にエンジン下部を大きくヒットさせるようなこともありませんでした。むしろシートに跨った状態のキック始動が容易になり、カスタムの方向性は大正解です。
公道走行が可能なまっとうなオフロードレースタイヤのダンロップ・D909。アスファルト路面ではやはり滑るのでそれなりに注意が必要だが、オフロードでのグリップ力は完璧。ライン取りも正確にできる
ZETAのバーライズキットとプリロード調整(リア)で全体的に下げた車高。オフロードではグランドヒットが心配になるが、ぼくにとっては足着き性のほうが重要。今のところ、旋回性も含め問題はない。
このように、多くのカスタマイズを施した我がKLX250SR、現状ではかなり最強と言えます。完全自己満足ですが、とても良いマシンに仕上がってますよ。これは、読者のみなさんにもいずれ見てもらえる機会を作りたいです。次回の走行ではHIRからお借りしているカスタパーツ、『サブエアチャンバー』を試してみたいと思います。あら、とうとう正体を明かしてしまいましたね。単純に言うと、フロントサスペンションの硬さを変えられる効果があります。次回以降をお楽しみに!
こちらも変更している、SKFのフォークシールキット。摺動抵抗が抜群に減るスペシャルアイテム。若干傷みのある右フォークに使用しても、オイル漏れなどのトラブルは今のところない。
HIR中本さんが完全オリジナルで作った、サブエアチャンバー。今回はまだ身体が慣らしだったので使用しなかったが、詳細は次回以降お届けできると思う。トレール車ユーザーには朗報のアイテムの筈。
休日だったのでオフを楽しむマッチョなモトクロスライダーもいて、結構コース走行は油断のならない状態。へっぴり腰を引っぱたかれないよう、一生懸命に走った(と思う)。
本題とはまったく関係ないのだが、KLX250SRのスイングアームは、取付け部が凄く上にあるように感じる。エンジン位置が低いだけではないと思うが、今度最新型をよく見てみようと思う。気になった。
<続く>
モータサイクルのカスタムシートをメインに手がけるスペシャルショップ。特に長距離を走るラリーレイドなどで定評があり、最近では特別にクルマ用のシートもトライしている。海外からも注目される、日本の匠。
住所/〒501-3941 岐阜県関市小屋名921-2
電話/0575-28-2057
営業時間/10時〜17時
定休日/土日・祝日
URL/http://a-seat.jp
E-mail/bike@a-seat.jp
代表の中本 久成氏は、1969年にモトクロスを始め、MFJではNAまで、MCFAJではエキスパートまで上り詰めた人物。元々、エンジンを触るのが好きで、なんでもバラしていたという。2000年からメカニックサポートを開始し、特にキャブレターとサスペンションのチューニングで腕を振るい、次第に評判が広がり副業的に事業を開始する。本職は地質調査。
当サイトに含まれるすべてのコンテンツ(記事・画像・動画・イラストなど)の無断転用は、商用、個人使用を問わず一切禁じます。
© yakan_Dirt & MOTO All rights reserved.