三月は深き紅のダートを Dirt58 老体KLX250SR、少しずつ各部の劣化が始まる。その1
掲載日:2015年11月19日
取材協力/ミサイルファクトリー
フロントブレーキが抜けた!
1986年製、そろそろガタ出ますよね
かなり低身長ユーザー用にモデファイされた、うちのカワサキ・KLX250SR。バッテリーレス&パワー重視の時代個体の為、2015年の現在も可愛がってオフロード走行のお供にしていますが、まあ流石に、寄る年波には勝てないというもので、少しずつアチラコチラの調子を崩しています。
モトクロスコースでバッキバキに走らせているのも要因かもしれません。今回は、なんとフロントブレーキが抜けてしまい、全開までレバーを握り込んでもブレーキパッドは1mmも動かず。コース走行はフロントブレーキが駄目になってもなんとか走れますが、公道の走行は怖い事この上ないので、すぐに今の主治医である『ミサイルファクトリー』小川店長に連絡をして、診てもらう事にしました。
当初はふたりとも、「エア噛みでもしたんでしょ」と考えていました。だいぶん、雨の日が多く湿気が多かったですし。ところが、エア抜きなどを行っても症状が一向に改善しない。小川店長が色々とトライしてみますが、駄目です。結局は結論として、ブレーキのマスターシリンダーがおかしい、という事になり、部品を交換しないと直らない状態である事が分かりました。以前、リアブレーキも同様の症状に見舞われたので、やはりどちらも寿命と考えられます。
さてしかし、神奈川県の溝の口近辺まで自走で来てしまっていて、これからまたこの状態で帰るのは危険です。そこで小川店長の腕が光ります。ラリーレイドの現場で、様々なシチュエーションのトラブルに対処して来ているので、今回のような「部品がないがなんとか修理しないと」、という時は心強いです。具体的な作業内容は省略しますが、取り敢えず、しっかりとフロントブレーキが効く状態にまで、補修部品を使わずに改善しました。もちろん、これがベストな状態ではないですから急ぎ部品を取り寄せて修理は必要ですが、この日、自宅に帰るのには安全に走れました。
早くこのKLX250SR、多くのオフロードライダーにお見せしたいのですが、タイミング合わずどうもその機会を逃しています。今回も突如のトラブル発生ですし、もう少しクリーンな状態で並べるには時間が掛かりそうです。お楽しみに!
<続く>
数々のラリーレイドに参加した経験を多く持ち、元々は九州で活動していたが、ダカールラリーのカミオンクラスで有名な日野チームスガワラにメカニック員として声を掛けられ上京。2年間チームスタッフとして活躍し、その後そのまま関東に留まり現在の場所に専門店を開く。長距離系オフロードの他、エンデューロにも造詣が深く、また自身も頻繁にバイクに乗るため、ライディングテクニックも高いものを持つ。店内ではおいしいコーヒーもいただけます。
住所/〒213-0022 神奈川県川崎市高津区千年670
電話/044-766-7444
営業時間/10時〜20時(金曜日だけ深夜営業を行う事あり/要確認)
定休日/日曜・祝日 他
URL/http://missilefactory.jimdo.com/
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三月は深き紅のダートを Dirt57 リフレッシュしたKLX250SR仕上がり上々!
KLX250SRの前後サスペンションを『HIR(Hisashige Issei Racing)』でリフレッシュしてもらってから、数か月。
掲載日:2014年12月17日 ※本記事は他媒体で連載していたもの(現在は抹消)を復刻したものです。
取材協力/ダートフリーク、ダンロップ、テクニクス、野口装美、ミサイルファクトリー、MCインターナショナル、HIR
完璧に仕上がった前後サスペンション
野口装美製シートも予想以上の高性能さ
KLX250SRの前後サスペンションを『HIR(Hisashige Issei Racing)』でリフレッシュしてもらってから、数か月。その間、まったくオフロード走行をする機会に恵まれなかったのですが、先日奮起して、ようやくコースに出かけてきました。もちろん、自走です。
そのコースは整備が殆ど行われていない自然のオフロードなので、とにかく路面のギャップが凄いです。大きなうねりが随所にあり、また場所によってはかなりの深さがあります。ジャンプの踏切もかなり荒れていて、走行テストにはうってつけの環境です。
さらに言うと、このコースを前に訪れてからもう10年以上も経過していて1周サラッと走ってみると、やはり当時の記憶と違うところが随所にあります。久しぶりのフルサイズマシン(250cc)走行というのもあり、始めのうちはゆっくり丁寧に走りました。この時にまず驚いたのが、サスペンションの運動性能。HIRによってリフレッシュされたサスペンションは、前後とも非常に良い動きをして低速の走行でもギャップのうねりを上手く吸収してくれます。リアの反動もコントロールしやすい動きで、まったく新しいマシンのように変わりました。とても驚き、また感心です。中本さん(HIR)、ヤルな!
久しぶりのコースの感触を確かめたらパドックに戻り、しばし休憩。エンジンが途中で止まるようなこともなく、『ミサイルファクトリー』で行ったキャブレターの改造も問題ないようです。1本目の本格走行だったので休憩を充分にとってから、再びコースイン。今度は徐々にペースをアップしていきます。すると、低速の時はただのうねりであった深いギャップが、スピードを上げることで尖った激しい突き上げに変わります。以前であれば、この時、お尻に加わる衝撃はかなりのものだったのですが、『野口装美』によってカスタムされた新しいシートの衝撃吸収性たるや! とんでもなく吸収性が良いのです。コースに慣れてきて、さらにペースアップしてもこの印象は変わることなく、オフロードバイクユーザーはみんな野口装美製のシートに変えたほうがいいのではないか? と思うほど素晴らしいシートに生まれ変わってました。こちらもやはり驚きです。野口さん、やりますな!
また、KLX250SRはそこそこトルクがあるので、ここのコースの低速コーナーは2速~3速でこなせることが多いです。ただ、当然クラッチを丁寧に当てる必要があるのですが、『マグラの油圧クラッチ(167マスター)』がまた調子の良いこと。引きは軽いし、とても繊細なコントロールが可能。クラッチプレートが過熱してきてもフィーリングが変わることもなく、コーナーワークは劇的に良くなりました。左手のストレスがグッと減ります。167マスターは対応する車種が多いので、安い買い物ではないですが激しいオフロード走行をする人は、ぜひ導入してみてください。凄く走りが変わりますよ。
低速でよく動いてくれたサスペンションは、ペースアップしても動きが破綻することなく、しっかりと衝撃を吸収しながら路面を捉えてくれます。まだ山の新しい『ダンロップ D909』もとても優れたグリップ力を発揮してくれるので、どのセクションでも怖さを感じることがありません。全体的に車高を落としたこのKLX250SRですが、路面にエンジン下部を大きくヒットさせるようなこともありませんでした。むしろシートに跨った状態のキック始動が容易になり、カスタムの方向性は大正解です。
このように、多くのカスタマイズを施した我がKLX250SR、現状ではかなり最強と言えます。完全自己満足ですが、とても良いマシンに仕上がってますよ。これは、読者のみなさんにもいずれ見てもらえる機会を作りたいです。次回の走行ではHIRからお借りしているカスタパーツ、『サブエアチャンバー』を試してみたいと思います。あら、とうとう正体を明かしてしまいましたね。単純に言うと、フロントサスペンションの硬さを変えられる効果があります。次回以降をお楽しみに!
<続く>
モータサイクルのカスタムシートをメインに手がけるスペシャルショップ。特に長距離を走るラリーレイドなどで定評があり、最近では特別にクルマ用のシートもトライしている。海外からも注目される、日本の匠。
住所/〒501-3941 岐阜県関市小屋名921-2
電話/0575-28-2057
営業時間/10時〜17時
定休日/土日・祝日
URL/http://a-seat.jp
E-mail/bike@a-seat.jp
代表の中本 久成氏は、1969年にモトクロスを始め、MFJではNAまで、MCFAJではエキスパートまで上り詰めた人物。元々、エンジンを触るのが好きで、なんでもバラしていたという。2000年からメカニックサポートを開始し、特にキャブレターとサスペンションのチューニングで腕を振るい、次第に評判が広がり副業的に事業を開始する。本職は地質調査。
住所/神奈川県相模原市磯部1123-9
電話/090-7219-2484(17:00〜21:00)
対応可能日/日曜のみ
URL/http://hir-tune.com/top.html
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Dirt13 KX80-II修理プロジェクト その4
絶賛修理中の1998年製、カワサキのモトクロスレーサー・KX80-II。
Dirt13 KX80-II修理プロジェクト その4
掲載日:2013年09月02日 ※本記事は他媒体で連載していたもの(現在は抹消)を復刻したものです。
取材協力/ミサイルファクトリー
修理作業完了
約5年振りに火が入った!
絶賛修理中の1998年製、カワサキのモトクロスレーサー・KX80-II。2000年に規則が変わり、ミニモトクラスは排気量が85ccに変わり、本来はレーサーに愛着を持つべきではないのですが、まあ可愛がりたい一心で手を入れてあげて数工程。エンジンを元の状態に戻し、キャブレターを掃除し、あと少しというところまで来ました。残る大物は、リアハブに埋め込まれたスタッドボルトの補修。4本のボルトがハブに埋め込まれ、それでリアスプロケットを止めています。フルサイズ・クラスになると普通のボルトが貫通していて、反対側をナットで固定しますが、なぜかKX80-IIは変わった固定の仕方になっています。そのスタッドボルトの内1本がスパッと破断されてしまっていて、この状態で走ろうとすると、すぐにチェーンがスプロケットから外れてしまいます。
という事で、修理内容は破断してしまったボルトを粉砕して、そこに同じ径のボルトを通しナットで留めるフルサイズと同じ方法を採る事です。作業は、まずスプロケットを外し、ドリルで破断したボルトのセンターに細い穴を穿っていきます。それが完了したら今度は太い刃を使ってボルトを抜くか粉砕します。はじめの細い穴を通すのは比較的簡単にいったのですが、太い刃を使った作業は刃が負けてしまってなかなか上手くいきませんでしたが、あれやこれやとトライして、すっぽり抜く事に成功しました。
こうして綺麗に通った穴にボルトを通し、1箇所だけ異なる方法でスプロケットの固定が完了です。ただ、他のスタッドボルトも疲労のためか斜めに傾いていたりしたので(今回は応急修正)、近々、新品のボルトに替えた方がよさそうです。部品を注文しませんと。まだあるかな? 後は、細かなチェーンスライダー(ガイド(チエーン))の交換、ラジエーターの取り付けとクーラント液の補充を済ませ、古いガソリンもタンクから抜き、新しいガソリンを少し入れて再始動にトライです。初めはキャブレターにガソリンが行き渡らなかったりでキックをしても無反応だったりボコボコ言うだけでしたが、数回のキック後にバァイン〜! という2ストローク独特のサウンドと共にサイレンサーから白煙を吹き出しながらエンジンが掛かりました。凄い、およそ5年振りの復活です! とっても感動しましたね。また同時に、「日本の製品は良く出来ているなー。大事に保管しておいて良かった」とも思いました。
最後に、あまりにもエンジンを掛ける事に気を奪われていて忘れていた、ミッションオイルの交換を済ませ、ほぼ作業は終わりです。後は、自分で各部の注油を済ませ、曲がったクラッチレバーを交換すれば走行可能な筈。とはいきませんでした……。なんと、ガソリンタンクの底部(ちょうど燃料コック付近)にヒビが2箇所入り、ガソリンが少しずつですが漏れています! 場所的に熱せられたエンジンに落ち、引火の危険性もある事から、何かしらの対策が必要です。うーん、旧車の復活はなかなかすんなりとはいきませんね。でも、とうとうかなりいいところまで来ましたよ! 頑張ります。
<続く>
飛んでいる記事、コラム12はこちら。
コラム14は、こちら。
数々のラリーレイドに参加した経験を多く持ち、元々は九州で活動していたが、ダカールラリーのカミオンクラスで有名な日野チームスガワラにメカニック員として声を掛けられ上京。2年間チームスタッフとして活躍し、その後そのまま関東に留まり現在の場所に専門店を開く。長距離系オフロードの他、エンデューロにも造詣が深く、また自身も頻繁にバイクに乗るため、ライディングテクニックも高いものを持つ。店頭ではおいしいコーヒーもいただけます。
住所/神奈川県川崎市高津区千年670
電話/044-766-7444
営業時間/10時〜20時
定休日/日曜・祝日 他
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