ハスクバーナモーターサイクルズ『スヴァルトピレン 250 & 401』雑感インプレ(2021)

掲載日/2022年1月31日  取材・写真・文/やかん

取材協力/KTM世田谷・リベルタ

 ハスクバーナモーターサイクルズ( Husqvarna Motorcycles )から出ているスヴァルトピレン( Svartpilen )というモデルの 250 cc と 400 cc に少しだけ乗れたので、雑感レベルの報告を残しておこうと思います。

▲スヴァルトピレンシリーズの中では高速道路に乗れ、かつ車検の不要な、日本国内ではもっとも使い勝手の良い排気量250ccクラスになる、スヴァルトピレン250。

▲KTMデュークとベースが一緒とは思えない特徴的な外観を誇る。

 ことの始まりは、KTM デューク( DUKE )の 125 cc が相変わらず気になっていたものの、日本導入当時に比べると方々で見掛けることが増え(そのほとんどは排気量大きいが)、すこし手垢感が強いと感じて、代替として中身は一緒、でも見た目はかなり違う、グループ会社のハスクバーナ スヴァルトピレンの 125 cc にターゲットを変えたことです。

▲灯火類はすべて、現在主流のLED。 (スヴァルトピレン250)

▲ヘッドライトの点灯イメージ。 (スヴァルトピレン401 / 2020)

▲テールライトの点灯イメージ。(スヴァルトピレン401 / 2018)

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン401(Svartpilen 401)イメージ。

 近隣で 125 cc の試乗車を用意している店舗はなかったものの、知り合いがお世話になっている KTM ショップで 250 cc と 400 cc の試乗イベントを行うというので、そこに足を運んでみたまでが流れ。

▲試乗会当日の様子。(KTM世田谷・リベルタ)

▲雑多な写真で申し訳ないが、やはりこのルックスに魅力を感じるひとが多いのはよく解る。

 2 つの排気量差に乗った感想としては、「所有するなら断トツ、400 cc 」という感想に至りました。なぜか、というと、

250 cc(スヴァルトピレン 250 )は

  • アクセル(スロットルとも)の開け始めがか細く、エンストしないようクラッチレバー操作に気を使う。
  • 1 速から 3 速までのエンブレがキツ過ぎて、アクセルの開け閉めで簡単に動作がギクシャクしてしまう。
  • フロント周りが重いというかモッサリというかで、ダルく切れ込みが鈍く感じる。
  • シート幅があり足着き悪い、そして思った以上に車重を感じる。
  • エンジンの振動や鼓動、音がシンプルかつ平易過ぎて信号待ちで萎える。

と、正直、価格を考えるとこの車種を選ばなければならない理由が見い出せませんでした。

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン250(Svartpilen 250)
65万9,000円(10%税込)/2020年モデル。

Svartpilen 250

65万9,000円(10%税込)

シート高/835 mm

車両重量 (燃料なし)/153 kg

エンジン種類/水冷 4 ストロークDOHC 4 バルブ単気筒

排気量/248.8 cc

最高出力/31 PS / 9,000 rpm

最大トルク/2.45 kg・m / 7,250 rpm

変速機形式/常時噛合式 6 段リターン

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン250(Svartpilen 250)
65万9,000円(10%税込)/2020年モデル。

 それが、400 cc モデル(スヴァルトピレン 401 )になると、

  • クラッチ操作でのエンストのおそれはまずなくなるので、右手に意識が集中しやすくなる(線の細さを感じなくなる)。
  • エンブレのキツさが気になるのは 1 速と 2 速だけで、ストレスが減る。
  • フロント周りのモッサリ感はあるが排気量UPによる重量分布が変わるのか、全体のどっしり感が増し、タンク周りを抑え込んでいる膝の力を抜くだけで曲がりたい方向に切れ込みやすくなる。
  • シート高は一緒だそうだが、重量分布変化なのか全体の安定感やしっくり感が増え、足着きの悪さをさほど感じなくなる(順番的に 400 cc の方が試乗あとだったので、慣れてきた、というのもあるが)。
  • エンジンの振動や鼓動に良い意味での雑味が加わって、いかにも「二輪に乗っている」という気にさせてくれる。信号待ちで萎えることはまずない。

というように、 スヴァルトピレン 250 で感じたネガがかなり取り払われた印象です。

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン401(Svartpilen 401)
77万7,000円(10%税込)/2020年モデル。

▲大径ディスクや評判の良いWP(ホワイトパワー)社製サスペンションが目を惹くが、足回りはいくつかスヴァルトピレン250と401では仕様が異なる。(写真は250)

Svartpilen 401

77万7,000円(10%税込)

シート高/835 mm

車両重量 /152 kg

エンジン種類/水冷 4 ストロークDOHC 4 バルブ単気筒

排気量/373 cc

最高出力/44 PS / 9,000 rpm

最大トルク/3.77 kg・m / 7,000 rpm

変速機形式/常時噛合式 6 段リターン

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン401(Svartpilen 401)
77万7,000円(10%税込)/2020年モデル。

▲スヴァルトピレンシリーズのハンドル周りは、オフロードタイプのトップブリッジを持つアップ仕様。それでも乗車姿勢はそこそこ、前屈みになる。

 店舗スタッフに感想を聞かれたので、おおよそ同じことをそれぞれの車種について答えたところ、実際、意図的に 250 cc (スヴァルトピレン 250 )のあとに 400 cc (スヴァルトピレン 401 )に乗ってもらうことがあるそうです。結果、ほぼほぼスヴァルトピレン 401 を買っていくとのこと。

▲比較的プレーンなタイプと言える、フロントディスク。キャリパーは、ブレンボグループのOEMメーカー。タイヤはインド製MRF。(スヴァルトピレン250)

▲試乗時は気が付かなかったが、スヴァルトピレン250はホイールが鋳造キャストに対して、401はスポークタイプ。タイヤも、ピレリ製スコーピオンラリーSTRが標準。

 250と401では、主には車検の有無が排気量差で出てきますが、そこの負担を含めてもこういったモデルが気になるのであれば、せっかくなので 400 cc (スヴァルトピレン 401 )を選んだ方がお得感は大きいと感じました。

※追伸:掲載用の写真を整理していて気が付いたのですが、なぜか 401 はスポークホイール。これがフロントの印象に貢献?

▲スヴァルトピレン250のエンジンは、水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒、排気量が248.8cc。最高出力は、31PS / 9,000rpm、最大トルク、2.45kg・m / 7,250rpm。

▲スヴァルトピレン401は、水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒は共通で、排気量が373cc、最高出力は44PS / 9,000rpm。最大トルクは3.77kg・m / 7,000rpmと、やや扱いやすくなる。

▲水冷4ストロークDOHC4バルブ単気筒エンジン周り、左サイド。(スヴァルトピレン250 )

▲シート高は両排気量共通で、835mm。普段、オフ車にしか乗らない身としては、幅広で足着きには不便を感じた。(筆者は、身長156cm、体重52kg)

▲スヴァルトピレン250と401の違いのひとつに、フロントサスペンションの調整機構がある。401は、同じWP社製を装備するKTMのエンデュランサーのように、トップキャップ上にリバウンドとコンプレッションを調整できるダイヤルが備わる。

▲この調整機構はグローブをした状態でも容易に操作ができる大型ダイヤルを持ち、かつ、外部から簡単に調整でき、エンデュランサー乗りから評判が良い。(スヴァルトピレン401)

▲右側が、リバウンド調整。(スヴァルトピレン401)

▲左側が、コンプレッション調整。(スヴァルトピレン401)

 ちなみに、輸入車あるあるで、シフトのニュートラルポジションに入れるのは相変わらず苦行です。国産車の感覚比ですと。

▲特徴的なスチール製トレリスフレームは基本的にはKTMデュークと同じ筈なのだが、各部意匠がそれをまったく感じさせない。ただ、スヴァルトピレン250ではやや、エンジンが負けている印象。

▲回転計すらない旧型オフロード車にしか乗っていないと隔世の感ある、メーター周り。国内導入初期のKTMデュークの時も驚いたが、とにかく便利。(スヴァルトピレン250)

 どちらの排気量も 1 速からニュートラルに入れるのは困難なので、スヴァルトピレン 250 は 2 速から踵でチョンっと下げて、スヴァルトピレン 401 ならつま先でもなんとかニュートラルに下げることは可能でした。こればかりは、本当に慣れるしかないなと思います。

▲輸入車の性か、シフトポジションをニュートラルに入れるのはそれなりに苦労する。慣れの問題かと思うが、スヴァルトピレン250ではクラッチレバーを握り切っても僅かにクラッチが滑っている感触もあり、そのままでの信号待ちは避けたい印象だった。

▲スヴァルトピレン250はガソリンタンク脇に『401』のよう意匠がないが、理由は不明らしい。125も、同様にないとのこと。

▲世界的にも珍しいという、手元スイッチ類がほんのり点灯するLED仕様。

▲いわゆる「スモールデューク」と呼ばれるKTMモデルも共通で、大排気量にはない機能だという。

▲遊び調整が付く可倒式クラッチレバー。

▲ブレーキレバーも同様で、遊び調整が付き、転倒時に破損を回避しやすい可倒式になっている。

▲ガソリンタンク上の意匠パーツはキャリアで、バッグ類を積載できる。耐荷重は5kgまで。(スヴァルトピレン401 / 2020)

▲会場となったKTM世田谷・リベルタから南下した場所に、系列店でハスクバーナ世田谷がある。
TEL/03-3703-6103

▲モタード仕様にしたガスガス(GASGAS)も用意されたが、公道で足が届かないのは転倒の恐れがあるので、泣く泣く諦め。

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン250(Svartpilen 250)
65万9,000円(10%税込)/2020年モデル。

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン250(Svartpilen 250)
65万9,000円(10%税込)/2020年モデル。

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン401(Svartpilen 401)
77万7,000円(10%税込)/2020年モデル。

▲ハスクバーナ(Husqvarna) スヴァルトピレン401(Svartpilen 401)
77万7,000円(10%税込)/2020年モデル。

■店舗情報

▲KTM世田谷・リベルタ。交差点にあり、セブンイレブンが目印。

KTM世田谷・リベルタ

住所/〒158-0081 東京都世田谷区深沢4-15-6

営業時間/10:00~19:00(水曜日定休)

TEL/03-3703-0125

▲店内。
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【スペシャライズド】マウンテンバイク展示試乗会 Trail Days 2020 クイックレポ。※随時更新

掲載日/2020年11月5日  取材・写真・文/やかん

※お断り:
掲載時期を早める都合、随時、追加していくかたちにしています。

スペシャライズド・ジャパンが、多くのマウンテンバイクを試乗体験できるイベント、Trail Days(トレイル デイズ)2020 を開催。時期的に 2021 年モデルもいくつか用意されるということで、足を運んでみた。ショート形式で、印象を書きたいと思う。

 試乗コースは、Ninja Trail。(神奈川県小田原市)

スペシャライズド ロックホッパー エキスパート 29(2021)

SPECIALIZED Rockhopper Expert 29 / ロックホッパー エキスパート 29(2021)/12万6,500円(税¥11,500込み)

試乗モデルは、S サイズ。価格とパッケージングが、この日、試乗コースにもっともマッチしたモデル。
かつてのスペシャライズドの汎用BIKEといったらスタンプジャンパーという印象であったが、今はこのロックホッパーがその役割を担っているよう。ジオメトリーもハンドリング特性も、とにかく癖がなく、初めて走った湿ったトレイルを不安なく走れた。すべてのバランスが良い。
特に、次に紹介するチゼルが履くタイヤより、ロックホッパーが標準装備する Ground Control 29 x 2.3″ のほうがグリップ力があり、それでいて舗装路で重たい訳でもなかったのが印象的。(ブロックパターンは広めで、ノブも高い)
日本ではつい、『くだり性能』をアピールしがちだが、本来の「路面を選ばずどこでも自由に走れる」万能さがこの値段で手に入れられるのは、大きいと思う。
個人的に、色はこちらの『サテンシルバーダスト/ブラックホログラフ』が好み。

スペシャライズド チゼル コンプ(2021)

SPECIALIZED Chisel Comp / チゼル コンプ(2021)/19万8,000円(税¥18,000込み)

試乗モデルは、XS サイズ。勝てるアルミフレーム XC(クロスカントリー)BIKE を目指したそうで、D’Aluisio Smartweld Technology(ダルージオ・スマートウェルド製法)がその鍵という。
フロントフォークの沈み込みがやけに深く、ポジションに違和感あったのだが、初めの 1 本はエアの抜き過ぎ。圧を高めた 2 本めは、移動区間の舗装路でロックしたのを忘れ丸々走りきり、「サスペンションいらないかも」、という印象。本稿執筆時に、XS モデルは 80 mm トラベルであることが解る(現地では、100 mm と回答された)。個人的には、ここを改善したい。
それと、タイヤは、完全なレースターゲットなら標準の Fast Trak 29 x 2.3″ でもありかもしれないが、汎用性を取るなら Ground Control 29 x 2.3″ が良い。もしくは、Fast Trak をチューブレス仕様にして、低圧で攻めるか。Fast Trak 29 x 2.3″ はいわゆる、『ヤスリ目テイスト』のトレッドなので、湿った急斜面での登りは技量が要求される。
なお、グレード違いで下位モデルのチゼルが安いのだが(16万5,000円)、昔流行ったキャンディーレッド テイストに似た『グロスレッドティントブラッシュド/ホワイト』が魅力なので、色で選ぶとこちらになる。
それと、カーボンほどの軽さは感じなかった。

スペシャライズド ロックホッパー スポーツ 27.5(2021)

SPECIALIZED Rockhopper Sport 27.5 / ロックホッパー スポーツ 27.5(2021)/6万8,200円(税¥6,200込み)

試乗モデルは、XS サイズ。イベント当日の試乗車受け取りの広場からトレイルまでのアプローチには、出てまもなく舗装はされているが急な登り坂があり、そこでいきなりリアの変速が不調。値段相応なのか、当日の整備が不良なのか。(後日の仕様確認で、スプロケット/カセットはやや気になる。)
トレイルに入ると、今度はブレーキの効きが前後とも弱い。これは、レース系車両に乗り続けての違和感なので、一般的には問題ないだろうが、オフロードに慣れてきたら槍玉に上がる。
タイヤは良い。細かな調整ができないフロントフォークも、本機で挑める速度域なら不満は感じない。
なにより、フレームが小さい、価格が安い。色も、個人的には可愛くて好き。
THE マウンテンバイクを「買ってみたい」、「乗ってみたい」、という入り口としては好適。
この値段から本格 BIKE がないと、やはり一般的にはキツイ。家族で揃えようとしたら、最低でも 2 台は必要になるのだから。(大まか 7 万円 × 2 で、14 万円が発生。)
老舗の良心が詰まった 1 台だと思う。

スペシャライズド デモ レース(2021)

SPECIALIZED Demo Race / デモ レース(2021)/72万6,000円(税¥66,000込み)

試乗サイズは、S2 サイズ(スペシャライズド独自表記)。生粋のダウンヒルレーサーで、当たり前だがトレイルまでのアプローチはほぼ地獄。リフトなどを使ったゲレンデダウンヒルが、完全なターゲット。
そのため、この日の試乗コースとの相性は微妙。特に、フロントタイヤが外側に流れる(滑る)感触が酷く、この日乗ったどの BIKE よりも恐怖を感じるし、スピードが出せない。
(補足として、フロント:Butcher BLCK DMND, 29 x 2.3″ 、リア:Butcher BLCK DMND, 27.5 x 2.3″ という、前後異径仕様。)
現地で出せるセッティングは大まか、スタッフのほうで行っているが、スピード域、ヘッドアングルの寝ぐあい、コースの斜度など、どれもが噛み合わなかった印象。
ただし、ちょうど同日、ポルトガルのロウザンで開催された『 2020 UCIマウンテンバイクワールドカップ』で、ファクトリーライダーのロイック・ブルーニ選手が優勝しているので、性能が良いことは確か(足回りのパッケージ違いはあるが、過去にも幾度も勝っている BIKE )。

ロウザンで開催されたUCIマウンテンバイクワールドカップで勝利を収めた、ロイック・ブルーニ。ただし、サスペンションを中心に、足回りが大きく異なる。
©Red Bull Content Pool

完全なコンペマシンなので、しかるべき場所でしかるべきセッティングの上、練習も含め、走り込めば真価は発揮できる筈。
ちなみに、とんでもない値段に感じられるだろうが、ひとときの高騰期に比べると、これでも入手しやすくなった価格。

スペシャライズド スタンプジャンパー エキスパート(2021)

SPECIALIZED Stumpjumper Expert / スタンプジャンパー エキスパート(2021)/58万3,000円(税¥53,500込み)

試乗モデルは、S2 サイズ(スペシャライズド独自表記)。本機は、煩雑化が進んだマウンテンバイクのカテゴリーに於いて、スペシャライズドでは『トレイル』の括りになる。
量産化初期のマウンテンバイクの多くは “ クロスカントリー ” カテゴリーに位置し、“ トレイル ” は現代ではそれに代わり、もっとも汎用性を持った BIKE と言える。
同社でも、「最高のトレイルバイクとは、軽く、タフで、登坂性能に優れていながら、激しい下りのセクションをしっかり操作して走れるバイク。」「トレイルで出くわすあらゆるセクションに挑めるバイクをお探しなら、ここで見つかります。」と語っている。

その中で、この『スタンプジャンパー』はスペシャライズドが古くから持つモデル名で、1981 年に登場した世界初の量産マウンテンバイクに冠されたモデル名でもある。今回の試乗イベントの中で、これと Stumpjumper EVO のみ “ 当日試乗受付 ” だけという特例で、試乗も一枠 30 分と他車の半分となっていて、「より多くのひとに乗ってもらいたい」という代理店の意気込みが覗えた。

ところが、午前と午後、都合 1 時間のライドでの印象は、極めて不良。特段不満は感じないのだが、際立っての特徴や惹かれるポイントが残らない。価格も考えると、『この BIKE でしか得られない何か』は、どこにも見付けられなかった。値段は倍するが、2019 年に乗った S-Works Enduro のほうが、圧倒的な魅力と所有欲を満たせて、「これは是非とも買いたい」、という頭一つ飛び抜けた性能を持っていた。

S-Works Enduro carbon 29 / Sワークス エンデューロ カーボン(2020)/106万4,800円(税込)

とんでもない値段であることは事実だが、それだって、『スタンプジャンパー』も “ S-Works ” になるとほぼ同じ値段がする。(S-Works Stumpjumper は、115万5,000円 / 税込)
当時との落差が、値段だけとは思えない。それと、実際に現地でもそういうシチュエーションに遭遇したが、この形状のフレーム( Stumpjumper )は『担ぎ』には圧倒的に不向きで、ここへの不満も大きい。
スタンプジャンパーとエンデューロ、それに各モデルに用意されるエヴォについて、追加の考察があるので、後日、お知らせしたい。

複雑なシリーズ構成をすこし整理したい

スタンプジャンパー エキスパートまで書き連ねてきて、ふと、各モデルの住み分けが解らなくなってきたのだ。実際に乗ると、新生スタンプジャンパーの立ち位置が不明だし、個人的にはエンデューロに軍配が上がってしまう。
さらに、それぞれには、エヴォという派生モデルも存在する。しかし、メーカーとしては特に今シーズン(2021年)は、『スタンプジャンパー』をプッシュしたい筈なのに、そこが読み解けない。
販売店や、もっと多くの乗車経験を持つユーザーなら解るのかもしれないが、ここは整理の意味で、一度、国内代理店に尋ねてみることにした(電話で)。その結果が、以下である。

大まかは、これを見てもらえれば解ると思う。一部、「?」になっているのは、この整理を済ませてから画像を添付してメールで認識の再確認をしたのだが、無反応。よって、この説明は、あくまで
『電話口でのやりとりに於いて聞けた、筆者が受け取った理解の範囲』
と捉えてもらいたい。メーカー 100% お墨付き情報ではない。(確実性を担保したかったのだが、延々、回答が返ってこないので)

もちろん、ここまでに書いた試乗の印象は、一個人のモノである。当然、これが万人に当て嵌まることはない。
仮に素性の感じ方は一緒であっても、介在する部品点数が多いので、各部の調整や変更で印象を変化させることはできる。
「メーカーの意図をこう感じたひともいるのか」、と捉えてもらえれば幸いである。

スペシャライズド エピック エヴォ エキスパート(2021)

SPECIALIZED Epic EVO Expert / エピック エヴォ エキスパート(2021)/72万6,000円(税¥66,000込み)

※後日

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato

東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から航空機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、プラモデルが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。マウンテンバイクは、オーバーサイズコラムの 26 インチばかりを 6 台所有( + BMX 1 台)。

【マウンテンバイク】ビッグ トレイル 400の魅力を解析、試乗インプレッション。メリダ/MERIDA BIG.TRAIL 400(2021) 38cm

掲載日/2020年8月29日  取材・写真・文/やかん
取材協力/メリダジャパン

 

※お断り:
掲載時期を早める都合、パイロット版になっています。
随時、加筆していきます。

メリダジャパンが 2021 年モデルとして特段プッシュするマウンテンバイクになる、『 BIG.TRAIL 400 』。触りはショート記事(走り書き 01. )で書いたが、本稿ではもうすこし掘り下げみたいと思う。

 

どのような BIKE なのか、把握しよう

 まず、この BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 )は、その立ち位置を正確に把握することが必要かと、取材現場で感じました。それを理解せずに、勝手な期待だけであれやこれやと論じてしまうと、まったく想定とは異なる結果となってしまいます。

 どう使って欲しいのか、誰にヒットさせたいのか? このあたりをしっかりと捉える必要があります。

 ということで、短めですが届いているリリース文章を解いてみます。

MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) インターナルケーブル

 

  • トレイルをよりシンプルに楽しめるバイク 新型『 BIG.TRAIL 』
  •  →新型、みたいです

  • 29er ホイールを装備した新世代トレイルバイク。
  •  →どこを取って、「新世代」か確認が必要ですね

  • ハードテイルバイクのシンプルさやスペックは、いまだにマウンテンバイク界で根強い人気を誇っています。
  •  →どこのハナシ? すくなくとも日本では “ ホビー ” として捉えた場合、少数派かと

  • 過酷なトレイルを走る場合でも同じこと。とはいえ、こういった挑戦しがいのあるトレイルを走るには、その走りに最適なバイクが必要になります。
  •  →そうですね。スキルもかなり要求はされますが

     

     上記に対するメリダの解が、今回の BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 )のようです。リリース文章を続けます。

     

    • その最適なバイクとは、MERIDA の新しい BIG.TRAIL 。トレイル向けハードテイルバイクです。
    •  →まあ、マウンテンバイク自体がそもそも『トレイル』向けですが(いじわる?)

    • ハードテイルバイクのシンプルさとメンテナンス性の良さに加え、ロングトラベルバイクの走破性や楽しさを融合させました。
    •  →前半はある程度解りますが、後半で突如「ロングトラベルバイクの〜」が登場するの、解りません。フルサスペンション BIKE のことでしょうか?

       

       また、詳細を現在確認中ですが、BIG.TRAIL (ビッグ トレイル)の開発にはドイツの R & D チームだけでなく、イギリスのショップがかなり噛んでいるようです。彼の地は、以前からハードテイル BIKE でダウンヒルコースのような場所を豪快にライドする文化があり、そういったモデルを得意とする小さなブランドも多いです。

       

      “ マッチョ ”なトレンドを追及する、次の世代の BIKE

       つまり、ここで指している「トレイル」というのは、マウンテンバイクが元来フィールドとする荒れ地やフラットダートとはすこし離れ、ハイクして山頂を目指し、そこからふもとまで駆け下りてくるような使い方、遊び方を想定しているようなのです。細かいスペックは後述しますが、しかし、マウンテンバイクビギナーや脚力の自信がないライダーは、なかなか山の頂まで登っていくのは現実的ではありません。日本では、ゴンドラやリフトを使って上がれる、ゲレンデダウンヒルのような使い方が、ひとつではないでしょうか。

       もちろん、クルマで途中まで上がり、残りのアプローチを自走でハイクするのもありでしょう。というのが、本機はシートの上げ下げが容易な『ドロッパーポスト』を標準装備しているからです。スポーツサイクルのサドル位置というのは、登りが多い時は『高い』ほうがペダリング効率が良く登坂に向いていて、下りが多い時は『低い』のが好まれる傾向にあります。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) ドロッパーポスト

       従来仕様の BIKE だと、サドル位置を決めているシートポスト(ピラー)はバンド部品で固定されていて、クイックレバーを緩めて上げ下げするか、レバーレスのボルトタイプだと、都度、工具を使って緩める必要がありました。ドロッパーポストは、ハンドルバーに固定を解除するレバーが付き、乗車したまま手元でサドルの位置を自由に上げ下げできます。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) リモートレバー

       

      ドロッパーポスト装備による恩恵

       このドロッパーポストの登場により、マウンテンバイクの使い方はさらに幅が拡がり、特に登りも下りもランダムに現れるトレイル(というよりかは、トレッキング)での順応性が、飛躍的に向上しました。ですから、脚力に自信があれば、BIG.TRAIL (ビッグ トレイル)は山頂まで自走で上がることは可能です。

       ただし、基本的には下りを重視、さらにはハードなセクションを “ 過激に攻める ” ことも想定しているので、タイヤボリュウムがかなりのモノです。サイズは前述の通り、現在の主流規格のひとつ、29 インチですが、現車を前にするとかなりワイドな 29 インチ + (プラス)と言って差し支えない幅になっています。スペックシートの数値上は、2.4 ” (インチ)と格段に広い訳ではないですが、タイヤ全体が大柄になる 29 インチの「 2.4 ” 」なので、接地面積などからも「軽快さ」はやや犠牲になります。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) タイヤボリュウム

       

      チューブレスレディに標準対応

       さらに、本機の内幅 29 mm のリムは『チューブレスレディ』仕様なので、必然的に対応タイヤを選択した場合は、下りでのクッション性向上を企図して、空気圧は相当下げる使い方になると思います。そうすると、タイヤの抵抗力は増しますので、ひたすらな登りが続いた場合は、しんどいです。山頂までのアプローチは登りがほぼメインなので、往路は空気圧を高くして軽快さを出し、山頂からの復路ではめいいっぱい空気圧を下げてハードに攻める、ならありと思いますが。

       ちなみに、このチューブレスレディというのは、自転車用タイヤの中には一般的に入っているチューブが、不要な仕組みのことです。ホイール(正確にはリム)とタイヤのビード部がぴっちり貼り付くことで、タイヤ内の空気を保持します。(クルマやモーターサイクルではこちらが普通ですよね)

       マウンテンバイクに於けるメリットとして、チューブありで低圧にすると発生しやすくなる “ スネークバイト ” というパンクが物理的に起きず(チューブがないので)、かなりの低圧でも走れる。チューブ分、軽量になるので、タイヤの転がりが軽くなる(慣性も弱くなる)。また、チューブという干渉物がなくなることから、タイヤ本来の特性が邪魔されず発揮できる、といった特徴があります。

       欠点(というか特性)は、空気が抜け切ってしまうと、一般的な空気入れでは密閉ができません(ビードが上がらない、と表現する)。ですので、山中でもしパンク(という表現も微妙なのですが)したら、チューブを入れて降りてくることになります。ですから、もし BIG.TRAIL (ビッグ トレイル)をチューブレス仕様で乗るのであれば、◆対応のチューブ(バルブ形状間違えないように)◆空気入れ(ハンディタイプで OK )◆タイヤレバー(樹脂製が理想)、の携行は必須になります

       

      前後180mmの高速仕様

      「そんなに低圧にして乗らなければいいじゃん?」と思われるかもしれませんが、先の『走り書き』にもありますが、この BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 )のアルミフレームは、お世辞にも柔らかい、とは言い難いです。どちらかというと、元来のアルミフレーム特有の硬さがあります。これは、ハードな走行にも耐えられるように、逆に柔らかさを優先して必要な時にフレームが腰砕けにならないように、といった意図があるのだと思います。「必要な時」、というのは、『速度域がかなり高くなった時』、と解釈して間違いないと思います。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) フレーム硬度

       それを裏付けるように、本機の油圧式ディスクブレーキは、ローター径が前後ともに 180 mm です。ハードテイル BIKE は、一般的にフロントよりもリアのほうがローター径は小さくなり、また、フロントは 160 mm までが主流です。どちらも 180 mm を装備するというのは、それだけ高速域での BIKE コントロールが必要になる、とメーカーでは想定して作っている訳です。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) リアローター

       そうなると、やはりどうしてもフレームの全体的な強度は必要になってきます。従来は、フレームをやや柔らかくすることでしか、路面からの突き上げ感やリア周りの硬さを軽減する手段はありませんでした。しかし、それは反せばフレームの脆弱性に繋がり、転倒で岩にヒットなどさせることで大きな破損を招くことにもなりました。チューブレスの登場は、タイヤ本来の特性を発揮しやすくなるだけでなく、低圧にできることで、タイヤを『第 2 のサスペンション』として利用することが可能になったのです。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) フロントローター

       

      贅沢新装備で魅せる、新世界

       BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 )が、エアボリュウムを確保しやすい 29 + のようなタイヤを標準装備しているのは、ワイド化することでグリップ力が上がる単純な力学効果だけでなく、回避できないフレームの硬さはタイヤ空気圧の調整でコントロールして、という新しい使い方を企図してのことと思います。そういった意味では、「新世代」というウリ文句は、頷けます。タイヤクリアランスは 2.5 インチまで確保されているので、今以上に幅広のタイヤを選択することも可能で、よりハードな使い方もできます。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) クリアランス

       ということなので、正直、取材会場として用意された、河川敷に新設されたフラットな周回コースでは、本機の特性や利点、狙い所の “ おいしさ “ を感じ取ることはできませんでした。幅が広いハンドルバー( 740 mm )、クイックには回れないホイール径、そして強固なフレーム。昔のクロスカントリーコースのようなテストコースでは、真価は発揮できないです。

       中速以上の下りメインのコースやフィールドであれば、印象は大きく変わるでしょう。この周回コースで感じ取れたメリットは、幅の広いタイヤによる接地面の圧倒的な安定性とグリップ力、サドルから前に飛び降りた時でもトップチューブに急所を打たない大きくスローピングさせたフレームデサイン。それとやや関連して、ドロッパーポストの装備により乗込時はサドルをかなり低い位置に降ろせるので、小柄なライダーでも扱いが容易な点です。
      (※編注:跨がりの地面からの距離は、 “ スタンドオーバーハイト ” という値で表すこともあります)

       

      値段から見た魅力は、さてどうか?!

       ここまで読まれて、多くの方はゲンナリしたと思います。なにせ『インプレッション記事』と銘打っておきながら、本来の能力を発揮できるフィールドでの十全な試乗記ではないのですから。すみません。

       後半は、各種数値や価格の面から、本機が魅力的な BIKE かどうかを見ていきたいと思います。正直、自分も国内に入ってきているすべてのモデルを把握している訳ではないので。

       まず、この BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 )の価格は、15万3,890円(10%税込)。一般的なひとの感覚からすると、安くはないです。サイズ展開は、S( 38 cm )と M( 41 cm )の 2 種類。重さは、M サイズで 14.3 kg なので、今となってはハードテイル BIKE のカテゴリーでは、軽くはないです。ドロッパーポストとチューブレスレディ対応リムを標準採用しながらこの価格で抑えるには、どうしてもコンポーネンツ群のグレードをやや落とさざるを得ず、結果、重量増に繋がっているのでしょう。

       ただし、このあたりは他社も同じだと思いますので、見てみましょう。(※編注:敢えてぼやかしています)

      ・G 約15万込 13.1kg 120mm 15mm Axle 180mm / 160mm 27.5 x 2.6 Tubeless Ready 12s(11-50T) 31.8 780mm 30.9 x 345/T100mm 395/T125mm 15 x 110mm / 141mm  Tubeless Ready
      ・T 約15万込 14.84kg Boost110 15mm 20mm 180mm / 160mm 27.5 x 2.80″(29 x 2.40″コンパチ) 12s(11-50T) 31.8mm 750mm 100mm 31.6mm 361mm 130mm 31.6mm 425mm Boost110 15mm thru axle Boost141 5mm QR Tubeless Ready 40mm
      ・J 約16万込 14.5kg 15 x 110mm axle 130mm 180mm / 160mm 27.5 x 2.8” TCS Tubeless 10s(11-42T) 31.8 x 740mm Dropper TCS Tubeless 15 x 110mm & 12 x 148mm
      ・K 約18万込 約14kg 130mm 110mm 180mm / 160mm 27.5 x 2.8″(29″コンパチ) 12s(11-50T) 35 31.6mm 約100mm / 125mm 110 x 15mm 148 x 12mm チューブレスレディ
      ・G 約17万込 確認中kg 130mm 15 × 110mm 180mm / 160mm 29 × 2.3” 12s(11-50T) 31.8mm 780mm 31.6mm 15 × 110 12 × 148 チューブレスレディ
      ・S 約19万込 約14.25kg Boost™ 120mm 180mm / 160mm 27.5 x 3.0″ tubeless ready 11s(11-42T) 750mm 31.8mm 30.9mm S 120mm M/XXL 150mm 15 x 110mm thru-axle 12 x 148mm thru-axle 38mm tubeless ready
      ・M 約26万込 13.9kg 110 x 15mm Boost 130mm 180mm / 180mm 27.5 × 2.6” Tubeless Compatible 11s(11-46T) 780mm S 125mm All Other Sizes 150mm 30.9mm 29mm Tubeless Compatible 110 x 15mm 12 x 148mm
      ・C 該当類似 BIKE なし
      ・S 該当類似 BIKE なし

       このように見較べてみると、まず前述の重量は、この『新カテゴリー』では標準的な重さである、と言えます。高剛性フレームやボリュウムあるタイヤを備えるので、純レーサーのようなクロスカントリー BIKE とはやはり趣が違うようです。どの専門店に行っても並んでいるメジャーどころをピックアップしたつもりなのですが、用意がないブランドもありました。新世代らしい、というよりか、これは単純に国内に入って来ていないだけですね。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) 15万3,890円(10%税込) SILK DARK PURPLE(SILVER-PURPLE):EM03

       公表されていなかったり表記のない数値類もあり、スタンドオーバーハイトについては一律で確認できなかったですが、写真で見較べても、BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 )は、確かにかなり低めにデザイン(設計)されているのは事実です。

      メリダ BIG.TRAIL 400 (ビッグ トレイル 400 ) 716 mm と 723 mm
      他社参考 731,754,751,748,763 757,781,806 723,729,736 732,763,794 740,790 664,677

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) 15万3,890円(10%税込) GLOSSY BLACK(MATT COOL GREY):EK93

       

      突出した性能に固執せず、総合的な安心感勝負の 1 台

       総じて見ると、量産性による品質の均一化、安定性、販売網や代理店による購入後のサービス体制なども勘案すると、このカテゴリー(と考えられる)内で、十分に購入対象となる BIKE であると言えます。トレンドをよく研究して、装備や作りも熟考されている印象です。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) サスペンションフォーク

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) テーパードコラム

       新車整備後、すぐに載せ替えたり破損するような部品も見受けられず、余計な出費も必要なさそうです。BIKE の目指すフィールドを間違えなければ、この 1 台でアグレッシブなライドが楽しめるでしょうから、あとは安全装備だけ十全を期せば、新しい世界が体験できることは間違いありません。

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル)
      フロントシングル

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) リア10s

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) ダボ

       

       さあ、地球に飛び出してみよう!

       

      < スペック >
      フレーム/BIG.TRAIL TFS
      フレームサイズ/S(38cm)、M(41cm)
      フォーク/Suntour XCR34 LOR Air 140 STR
      ヘッドセット/MERIDA M2345
      リアサスペンション/N.A.
      ギヤクランク/Shimano Deore M5100 32 ATC Length:170mm
      BB セット/attached
      F. ディレーラー/N.A.
      R. ディレーラー/Shimano Deore M5120 Shadow+
      シフター/Shimano Deore M4100
      F ブレーキセット/Hydraulic Brake
      R ブレーキセット/Hydraulic Brake
      ブレーキレバー/Shimano SL -MT500
      リム/MERIDA COMP TR 29 IWR
      チューブレス対応/Tubeless ready
      スポーク/Black stainless
      F. ハブ/Shimano MT400-B 110 x15
      R. ハブ/Shimano MT400-B 148 x12
      F. タイヤ/Kenda Regolith 29×2.4″ wire
      R. タイヤ/Kenda Regolith 29×2.4″ wire
      ギヤ/Shimano Deore M4100 11-46 ATC 10S
      チェーン/KMC X10
      ハンドルバー/MERIDA EXPERT CC MAT aluminium 740 10°
      ハンドルステム/MERIDA COMP CC MAT aluminium φ 31.8 6° Length:50mm
      サドル/MERIDA COMP CC
      シートピラー/MERIDA COMP TRaluminium φ 30.9 0° S:125SPT – M:150SPT
      シートクランプ/MERIDA COMP QR
      ペダル/VP VPE-891
      チューブ・バルブ/仏式バルブ
      付属品/ベル、ロック、リフレクター
      重量/14.3kg(Mサイズ)

       

      < ジオメトリー >

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) 65.5度と75.5度のアングル

      フレームサイズ/38 (41)
      シートチューブ/380 (410)
      トップチューブ/579 (600)
      チェーンステー/435 (435)
      ヘッドチューブアングル/65.5 (65.5)
      シートチューブアングル/75.5 (75.5)
      ボトムブラケットドロップ/66.5 (66.5)
      ヘッドチューブレングス/95 (100)
      フォークレングス/550 (550)
      リーチ/415 (435)
      スタック/636 (641)
      スタンドオーバーハイト/716 (723)
      適正身長/38 cm – 160 cm ~ 175 cm、41 cm – 165 cm ~ 180 cm

      MERIDA BIG.TRAIL 400(2021年モデル) ジオメトリー

       

       

      ダート&モト編集部
      サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
      東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から航空機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、プラモデルが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。マウンテンバイクは、オーバーサイズコラムの 26 インチばかりを 6 台所有( + BMX 1 台)。

       

       

       

■スコット/SCOTT GAMBLER 710(2017) 89万4,240円 Sサイズ MTB試乗インプレッション

スコットのギャンブラーは、以前から同社が揃える生粋のダウンヒルBIKEであり、ワールドカップでの活躍もあるスペシャルな1台です。

■スコット/SCOTT GAMBLER 710(2017) 89万4,240円 Sサイズ MTB試乗インプレッション
 

■スコット/SCOTT GAMBLER 710(2017) 89万4,240円

 

掲載日:2017年08月02日  取材・写真・文/やかん

取材協力/富士見パノラマリゾート
 

難コースとハイスピードで真価を発揮するスーパーモンスター

 
スコットのギャンブラー(GAMBLER)は、以前から同社が揃える生粋のダウンヒルBIKEであり、ワールドカップでの活躍もあるスペシャルな1台です。試乗車として用意されたのは、その中でも国内だと最高峰に位置する『710』で、特にコンポーネントに安定のシマノ製を採用しているのがポイントです。また、重要なサスペンションは前後ともフォックス製で、ギャンブラー専用のチューニングが施されています。フレームは、前三角だけカーボン製のメーカーが目立つ中、710は実績の長いアルミ製をチョイス。リアもアルミ製で、ホイールトラベル量で210mmのストロークを持ちます。

見た目からしても雰囲気が只者でない、この無双とも言えるバリバリのダウンヒルBIKEを、今回はしかし、インプレをイコールコンディションとするため、富士見パノラマリゾートのCコースを走りました。本来はAコースを攻めるべきなのですが、基準値がないため、このような内容としています。

そのような中で一番に出てきた感想としては、とにかくスピードがどんどんと出てしまい、自分の中でのコントロールを外れて怖いことです。マシンの能力が相当に高いため、知らぬうちに速度域が上がり、それに眼も体力もついて行けなくなり、自分のコントロールできる範囲を軽く超えてしまうのです。Cコースの一部でも、イージーレーンを外すと木の根が多く斜度もキツイ区間があり、意図的にそこを攻めてみると、BIKEが「まだまだ行けるよ」というシグナルを発っします。筆者としては、結構頑張って攻めているつもりなのですが、ギャンブラー 710の限界は、もっと高い位置にあるようで、よりアグレッシブさをライダーに求めてきます。当たり前とは思うのですが、やはり別次元の、まったく別の乗り物、という印象を受けました。生粋のダウンヒルBIKEです。

そういった顔を持つギャンブラー 710ですが、面白いことにコースがテクニカルでハイスピードになる程、このBIKEは“怖さ”が“楽しさ”に変わってきます。富士見パノラマで言えば、Aコースを完全装備でガンガンに攻めると、ダウンヒル本来のスリルと爽快感が味わえると確信した性能を持っています。初級コースを軽装備で走るスタイルも否定はしませんが、完全なコンペティションマシンと捉えたほうが、お互いに幸せだと思います。そのための備えも本機は万全で、前後サスペンションの調整機構だけでなく、ホイールベースやBBハイト、ヘッドアングルの変更が可能になっています。ノーマルでもバリバリのコンペティションBIKEですが、より細かくライダーやコースの特性に合わせたセッティングが行えます。ホビーライドにはややオーバースペックであるので、レースに真剣に取り組むようなライダーにぜひお薦めしたいです。ホビーで乗るには少しもったいないかな?!
 
 
※価格は税込み。掲載時点でのものです。
※本取材は、富士見パノラマリゾートさまの協力を得て実施しました。
 
 

フロントサスペンションは、FOX 40 RC2 Factory 27.5を装備。203mmのトラベル量を持ち、このBIKE専用のセッティングが施される。

独特の形状を持つリアショック周りは、リンクがフローティング構造になっていて、スピードが出た時の快適性を考慮して、FOX RC4で使用するのに最適化されている。

FOX 40 RC2 Factory 27.5は、Reboundコントロールが右フォーク下端で調整できる。

内部構造はAir Springで、トップキャップ部でHi-Lo Compの調整が可能。

最近の下りBIKEとしては珍しく、シマノ製を装備。グレードはSaint でスプロケット丁数は36T。

基本、ギャンブラー 710のコンポーネントはシマノで統一され、リアディレーラーはセイントに。カセットは、ダウンヒル用の11-25T、シフターはZee Rapidfire Plusになる。

ホイールは、シンクロス製を採用。標準では27.5インチを履くが、26インチも使用可能になっている。

ブレーキは、前後共通でSaintの4 Pistonキャリパー。ローター径は、Φ203mmとなる。

ステムはダイレクトマウント仕様で、アルミ製。リーチが僅かに変えられる。バークランプは、Φ35mm。

リアショックは、FOX Float X2 Airでhigh/low compとreboundの調整が可能。RVS custom tunedでもある。

クランク長は、165mmとなる。これは、本機が比較的ペダリングも重視しているからだ。

FOXのサスペンションは、前後ともKashima Coatが施され作動性の向上に繋げている。フロントは、ヘッドーパーツの調整でアングルが僅かに変えられる。

ギャンブラーのBBハイトは、好みとホイールサイズに合わせて10mmの変更が可能になっている。27.5”のホイールで低い設定の場合は、343mm。高い設定の場合は、353mmとなる。

チェーンステー長も二通りの調整が可能。低いBBセッティングの場合、440mmの長いチェーンステーセッティングと短い425mmに。高いBBセッティングの場合、チェーンステー長は421mmと435mmになる。

 
 


富士見パノラマリゾートは、日本で有数のマウンテンバイクコースを持つ施設で、春から秋にかけてはこのほか、山頂へのゴンドラを使ったハイキングなども楽しめる。特に今はハイカーに人気で、家族で出掛けても1日楽しめるようになっている。
今回使用したダウンヒルCコースは、初級者向けによく考えられ整備も行き届いていた。
http://www.fujimipanorama.com/summer/
 
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■スコット/SCOTT GENIUS LT 710 PLUS(2017) 67万8,240円 Sサイズ MTB試乗インプレッション

ジーニアス LT 710 PLUSは、従来からラインナップされているモデルに、ある機能を“プラス”したBIKEになります。

■スコット/SCOTT GENIUS LT 710 PLUS(2017) 67万8,240円 Sサイズ MTB試乗インプレッション
 

スコット/SCOTT GENIUS LT 710 PLUS(2017) 67万8,240円

 

掲載日:2017年07月25日  取材・写真・文/やかん

取材協力/富士見パノラマリゾート
 

下り系が最高に気持ち良いベストモンスターBIKE

 

ジーニアス LT 710 PLUSは、従来からラインナップされているモデルに、ある機能を“プラス”したBIKEになります。それは、ファットBIKEほどワイドでなく、それでも従来のモデルに比べればトレッド幅の広がった太目のタイアを履いたモデル、ということになります。その効果は明瞭で、グリップ力の向上、滑り出し限界のアップによりマシンを更に意のままに操れる、というものです。一昔前ですと、トレッド幅が広くなったことでの抵抗力のアップが気になるところですが、現在はタイアがよく研究されていて、メリットの方が多くなっています。


ジーニアス LT 710 PLUSもこのテクノロジーが投入されており、今回のテスト地である富士見パノラマのダウンヒルCコースを爽快に駆け下りてくることができました。特筆すべきがその安定性で、従来の幅であるタイアを装着したBIKEに比べるとまったく次元の違う世界が楽しめました。26インチに比べ、トレッド面積、エアボリュウムともに増え、エア圧をやや少な目にするとタイアが第二のクッションにもなり、どんな路面でもコーナーでも、ライダーの狙ったラインを確実にトレースできます。前後のサスペンションもカーボンフレームも実にシルキーで、不用意に沈むのではなくしなやかさがあり、すべてが高い次元で結びついているとも感じます。


こう書くと、全体的に柔らか目でペダリングロスが多いのではないか? と考えるかもしれませんが、ジーニアス LT 710 PLUSの凄いところは、この相反する条件を両立していることでもあるのです。それというのが、このBIKEも他のスコットのモデルと同じくTwinloc Lever Systemを使うと、サスペンションは前後とも(ほぼ)フルロックされ、まったくペダリングロスがなくなるので上りもガンガン行けてしまうのです。


現に、富士見パノラマリゾートのCコースは、一部ペダリングが必要な箇所があり、余りにも下りに特化したBIKEだとそのセクションの漕ぎが物凄く辛いのですが、ジーニアス LT 710 PLUSはいとも簡単に前に進んでくれました。これは、いくらサスペンションをロックしても、フレームやホイールがペダリングの力を逃がしては実現しません。カーボン製のフレームを含め、全体が高い位置にいることを象徴しています。正直、富士見パノラマのようなコースでは、ベストバイモンスターと感じました。


ただ1点、これは下りコースでの話しなのですが、ジーニアス LT 710 PLUSに乗ると、その安定性のあまり、アベレージスピードが上がる傾向にあります。これは、それ相応の体力がいる、とも置き換えられ、積極的に下りコースを攻める場合は、体力アップが欠かせません。現に、筆者はCコースとはいえそれなりにコースの途中で疲れました。路面から来る衝撃などに身体が悲鳴を上げたのではなく、速く走れてしまうことでの対応力の遅れが響いたかたちになります。恐ろしいBIKEです。


なお、まだ確定情報ではないですがジーニアス LT 710 PLUSの使っているこのサスペンション構造は、この2017年モデルで一旦終了する予定である、ということです。`18年モデルはスパーク系のサスペンションシステムを採用することが決まっているので、このスペシャルな下りも上りも強いプラットフォームを手に入れられるのは、2017年で最後になります。「どちらも最高に楽しみたい!」と欲張りなそこのあなた。急いでショップに足を運びましょう。プライス以上の極楽が、簡単に手に入ります。

 
 
※価格は税込み。掲載時点でのものです。
※本取材は、富士見パノラマリゾートさまの協力を得て実施しました。
 
 

フロントサスペンションは、FOX 36 Float Performance Elite Air FIT4 3-Modes。低速時の調整が可能。

“PLUS”という名称は、一般的なホイールよりも幅広のリム幅を持つBIKEことを指す(ことがほとんど)。このBIKEの場合、Syncrosの40mmリムを使う。

FOXフォークは、オープン、ミディアム、ファームの3つのモードとオープンモードのワイドレンジアジャスターを持ち、TwinLocレバーでコントロールが可能。

スコット独自の機能になる、Twinloc Lever System。1つのレバーで前後サスペンションの調整が可能で、3つのモードが選択できる優れもの。

フロントハブは、Boost規格になり15x110mm QR axle を持つ。油圧ディスクブレーキはシマノSLXで、ローター径はΦ203mmとやや大きい。

スコットは、サスペンションメーカーのFOXと共同開発を行っていて、リアショックのNUDEもオリジナル仕様となる。取り付け部の調整で、ジオメトリーの変更も可能(ボトムブラケットの位置が変わる)。

フロントドライブはシングルになり、スコット製のチェーンガードが装備される。クランクセットは、Sram Custom GX1 GXP Boost PF 30T。

リアディレーラー周りは、Sram のGX1 / 11 Speed。カセットは、XG1150 / 10-42 Tで上りも考慮されたギア比。

“PLUS”の名の通り、27.5×2.80と広めのトレッド幅を持ち、Schwalbeの実験データによると、2.8”タイアの接地面積が2.35”タイアに比べ21%向上したという。気になる転がり抵抗は、わずか1%向上に留まるデータがある。

幅の広いリムを採用することで、タイアの空気量が増えた結果、より快適な乗り心地が得られるようにもなった。現代に於いては、PLUS化のメリットは大きい。

後ろ三角は、アルミ材で構成され、シートステーブリッジはクリアランスと剛性の増加が図られている。

長いトップチューブに短いステム、というスタイルがここ最近は多く、ジーニアス LT 710 PLUSも35mmとショートになる。角度は、0°。

148x12mのBoost規格をリアエンドに取り入れ、ジーニアス LT 710 PLUSはチェーンステーにブレーキキャリパーがマウントされる。ローター径は、Φ180mm。

本機が、ただ下りのキャラクターのみに振った性格のBIKEでないことは、ダウンチューブ上に設けられたボトルケージダボで解る。あらゆるトレールが、対象になるのだ。

 
 


富士見パノラマリゾートは、日本で有数のマウンテンバイクコースを持つ施設で、春から秋にかけてはこのほか、山頂へのゴンドラを使ったハイキングなども楽しめる。特に今はハイカーに人気で、家族で出掛けても1日楽しめるようになっている。
今回使用したダウンヒルCコースは、初級者向けによく考えられ整備も行き届いていた。
http://www.fujimipanorama.com/summer/
 
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■スコット/SCOTT SPARK 720(2017) 54万8,640円 Sサイズ MTB試乗インプレッション

このBIKEで筆者が1番に勘違いしていたのは、本機がクロスカントリー用のフルサスペンションマシンであったことです。

■スコット/SCOTT SPARK 720(2017) 54万8,640円 Sサイズ MTB試乗インプレッション
 

スコット/SCOTT SPARK 720(2017) 54万8,640円

 

掲載日:2017年07月24日  取材・写真・文/やかん

取材協力/富士見パノラマリゾート
 

驚異的な軽さと荒れ地での安定性は武器となる

 

このBIKEで筆者が1番に勘違いしていたのは、本機がクロスカントリー用のフルサスペンションマシンであったことです。富士見パノラマの駐車場で軽く乗るとそれなりに動くサスペンションに気を良くして、いきなりCコースに入ってしまったのは失敗でした。いくら、「ワールドカップではニノ・シューター選手が2016世界戦を制した SPARK」と言っても、それはプロライダーでの話しであって、自分には縁遠いことで。


ということで、このBIKEは初級者向けダウンヒルコースである、Cコースを走りました。スペックの特徴としましては、スコットが誇る各種カーボン技術に加え、FOXと組んで開発した前後のサスペンション。それに、レース 仕様のジオメトリーと言えます。個人的見どころは、よく動くリアサスペンションと、前後同時にロックできる『Twinloc Lever System』だと思います。


特に、後者は完璧なまでにサスペンションがロックされ、完全なソリッドBIKEになったかのように感じます。FOXのNude リアサスペンションテクノロジー、というのも特徴のひとつということですが、数あるロック機構の中でも、この性能は群を抜いているように感じました。Twinloc Lever Systemは、サスペンションの旧来見られたON/OFFだけでなく、『トラクションモード』という中間のモードも持ち、サスペンションの働きにより、上り坂では失いがちのグリップ力をアシストしながら、下りセクションでは適度な沈み込みもあると、とても微妙な動作をしてくれます。年々、ハードなセクションが増えながらも高速化が進むリアルクロスカントリーレースの世界では、コンマ1を争う状況で、そこで僅かなミスも起こさない走りに結実する能力と感じました。


また別に、本機は筆者がその用途を誤ってしまったこともありますが、逆に富士見パノラマのCコースをガンガンに下って、『ディセンドモード』の驚くべく性能も目の当たりにしました。それというのも、スパーク720は、案外とサドルにどっかりと座ってもいられるのです。昔、クロスカントリー用のフルサスBIKEというと、それはそれはやはりどうしても動きが硬めで、とてもシートに腰掛けたまま降りてこられる、などというものはありませんでした(低速なら別ですが)。スコットのクロスカントリー用フルサスBIKEは、サスペンションメーカーとタッグを組んだこともあり、次元がひとつ異なる世界の1台となっています。シルキーとまではいかずとも、相当なサスペンションが前後に備わることでのメリットを出しながらも、限られた人力を無駄にせず、そして驚く゛軽さ”も得たという、昔、誰もが夢見たクロカン用フルサスBIKEに仕上がっています。


恐らく、ひとによってはマラソンレースでの使い道もあると思います。なにせ、とにかくTwinloc Lever Systemが良い仕事をしてくれます。この機能はスコットでないと実現しないものになるので、バリュはとても高いと思います。リジッドのクロスカントリーBIKEは少し身体に辛い、というひとは、ぜひこのスパークを選んでみてはどうでしょうか。

 
 
※価格は税込み。掲載時点でのものです。
※本取材は、富士見パノラマリゾートさまの協力を得て実施しました。
 
 

フロントサスペンションは、FOXの34 Float Performance Air Grip 3を装備。トラベル量は、120mmとすこし長め。

スコット独自の『Twinloc Lever System』を採用。1つのレバーで前後のサスペンションを3つのセッティングに変更可能なシステムで、たいへん使い勝手が良い。

スパークも、Boost規格を取り入れたBIKEとなり、フロントアクスルは15x110mm QRタイプになる。ブレーキは、シマノ SLXになり、ローター径はΦ180mm。

リアショックは、FOXとの共同開発のNUDE Trunnion SCOTT customを逆さまに装備。3つのモードを持ち、トラベル量だけで見れば 120mm – 85 – Lockout と選べる。ユニット単体のスペックは、165×45mm。

前三角のフレームは、スコットのテクノロジーであるSpark 3 Carbon / IMP / HMFが惜しみなく使われる。スイングアーム側は、 Alloy SL 6011。

スコットでは、わざわざカーボンの地を塗装で消すことはしないでいる。レイアップの様子が伺えるのに加え、所有欲を満たす演出と言える。

スパークもフロントドライブは2枚構成となる。ディレーラーとクランクセットは、 SLX side swingとSLXの36×26 T。

シフターとブレーキレバーも、SLX 。Rapidfire Plusは2wayのリリースが可能で、乗り手を選ばない良いポイント。リーチアジャストも可能。

個人的にはあまり使用する機会はなかったが、FOXのドロッパーポストであるTransferを装備する。ストロークは、フレームサイズがSでは100mm、M, L & XLで125mmの仕様。

リアディーラー周りは、シマノのXT DM / Shadow Plus。スプロケットはSLXで、22スピードの11-42T(ワイドレシオ)。

スパークはリアサスペンションが付くので効果は限定的だが、スケールと同じ、ブレーキキャリパーが一部フロートした構造になる。ローター径は、Φ180mm。

ホイールをはじめ変速関係以外は、シンクロスの部品を多く使う。タイアサイズは、27.5インチ。

ヘッド周りは変わったデザインの規格を採用している。スペックシートによると、2014 integratedという物。ハンドルバーは、径が31.8mm。

 
 

富士見パノラマリゾートは、日本で有数のマウンテンバイクコースを持つ施設で、春から秋にかけてはこのほか、山頂へのゴンドラを使ったハイキングなども楽しめる。特に今はハイカーに人気で、家族で出掛けても1日楽しめるようになっている。
http://www.fujimipanorama.com/summer/
 
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■スコット/SCOTT SCALE 710(2017) 48万3,840円 Sサイズ MTB試乗インプレッション

スコット(SCOTT)は欧州を中心に古くからスポーツサイクルを作っている会社で、日本にも黎明期から輸入されていたので名前を知っている人は多いでしょう。

■スコット/SCOTT SCALE 710(2017) 48万3,840円 Sサイズ MTB試乗インプレッション
 

スコット/SCOTT SCALE 710(2017) 48万3,840円

 

掲載日:2017年07月20日  取材・写真・文/やかん

取材協力/富士見パノラマリゾート
 

このプライスでこの性能と装備は豪奢と言わざるを得ない

 

スコット(SCOTT)は欧州を中心に古くからスポーツサイクルを作っている会社で、日本にも黎明期から輸入されていたので名前を知っている人は多いでしょう。もちろん、スコットと言えばウィンタースポーツが圧倒的に有名で、それらの技術とサイクルの技術がまったくオーバーラップしてないか、というとそんなことはないと思います。


今回、一般向け試乗会にお邪魔して初めに乗らせていただいたのが、純クロスカントリー車となる、こちら、スケール(SCALE)710です。モデルとしては以前からラインナップされているBIKEで、国内のリアルレーサーだけでなく、海外でも選択肢としてよく上がる1台になります。特徴は、同社が誇るカーボンレイアップ技術で、まるでロードバイクのような驚異的な加速性能と、進化を続けるショックダンピングシステム、それに関連して高いトラクション性能を持つBIKE、と謳われています。


実際に乗ってみると、筆者の体重(53kg)も関係するのでしょうが、まだ身体が慣れず低速でのライドが続いていると『カタサ』がやや気になります。その代り、登坂力と瞬発力はすさまじいものがあります。メーカーの売り文句は間違いない、といった塩梅です。


また、その感じる硬さと相俟ってか、下りではテクニックがそれなりに要求され、それ以外にも、正しくセンターに乗っていないとライディングが乱れがちになります。27.5インチのBIKEなので多少ここは融通が利くかと思いがちですが、意外とそうでもなく、初心者がいきなりこのBIKEに乗ると、正直、危ないと感じました。


しかし、2周目、眼も身体もコースに慣れてくると、おのずとアベレージスピードは上がり、すると1本目に感じた硬さはかなり軽減されるようになりました。得意なスピード域が高いようで、適切にボトムブラケットに荷重を掛けていれば、優れた振動吸収能力を感じます。マス(重心)のシビアさは相変わらずですが、この、路面からの尖った振動を吸収し、それでいながら抜群の瞬発力を見せる特性は、確かにリアルレーサーには喉から手が出る程欲しいものではないか、という印象です。


それ以外にも本機を細かく見ていきますと、そのフレーム性能に劣らない各パーツ、コンポーネントが目立ち、全体で見渡すととてつもないベストバリュであることに気付かされます。個々の性能も全体のバランスから来る高次元な性能も、たいへん優れたものがあり、量産車でないとおそらくこの価格は成立しないのではないかな、と思う内容です。


ガンガンに漕いで、積極的にペースを上げていき、かつ、どんなコンディションでも音を上げないコンポーネントを欲するのであれば、これほどうってつけのBIKEはない、というのが偽らざる感想です。あとは、乗りこなせるかどうかは、ライダーの体力とスキル次第です。お財布の心配は、オフシーズンにでもしましょう。

 
 
※価格は税込み。掲載時点でのものです。
※本取材は、富士見パノラマリゾートさまの協力を得て実施しました。
 
 

フロントサスペンションは、FOX 32 SC Float Performance Elite Air FIT4 3- Modes with low speed adj。100mmのトラベル量を持ち、リバウンド調整が可能。エア式。

FOXフロントサスペンションは、右レッグ頭頂部にリモートロックの機構が備わる。

RIDELOC TECHNOLOGYと名付けられたリモート機構は、1つのレバーで3つのモード(登坂・トレイル・下り)を瞬時に切り替えられる。スケール710は、ハンドル左に装着。

現在のマウンテンバイクのトレンドになるBoost規格のBIKEで、フロントは15x110mm QR Thru Axleでの固定になる。

15mmのアクスルは、クイックレバーを採用し脱着が容易になっている。ブレーキは、油圧シマノXTディスクで、ローター径はΦ180mm。コントロール性の高さは、流石。

Scale 3 Carbon / IMP technology / HMFのカーボン技術で構成されるフレームは、BBにプレスフィットBB92規格を採用。クランクスペーサーが不要で、レース仕様の補強も施されている。

スコットのクロスカントリーBIKEの答えはフロントギア2枚のようで、シマノXTのサイドスイングを採用している。ケーブル処理は、よく考えられた ICCR Cable routing を使い、たいへん美しい仕上がり。

複数のカーボン技術がフレームに投入されていて、リア三角はSDS2 advanced Shock & Standing Damping Systemが投入されている。シートステーが外側にしなり、衝撃を吸収する。

基本的なコンポーネントは、シマノのディオーレXTで構成される。リアルレースを考えると必要なラインで、操作性、動作の確実性と、どれをとっても破綻がない。また、レバーが2wayリリースなので、乗り手を選ばないのも美点。

ホイールは、リムにSyncros XR2.0 / 28H / Tubeless readyを、ハブはSyncros XR2.0 CLを採用し、前後ともBOOST規格になる(幅/フロント110mm、リア148mm)。

解り難いが、リアブレーキはキャリパーを固定する部品が別体になる独自の構造を採用する。この機構により、ブレーキの応力がアクスルとチェーンステーにのみ掛かる。

リアのブレーキも油圧で、シマノのXTを採用。ローター径はΦ160mmで、コントロール性は高い。このカットで、マウントがフローティングされていることが解る。

リアディレーラーは、シマノXT Shadow Plusで11s。スプロケットもXTグレードで、丁数は11-42T。最後の1枚がワイド化されている。

ハンドル周りなどアッセンブルされる部品は、主にシンクロスの物を採用している。シートレールはチタン製で、軽量化を追求してもいる。

 
 

富士見パノラマリゾートは、日本で有数のマウンテンバイクコースを持つ施設で、春から秋にかけてはこのほか、山頂へのゴンドラを使ったハイキングなども楽しめる。特に今はハイカーに人気で、家族で出掛けても1日楽しめるようになっている。
http://www.fujimipanorama.com/summer/
 
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■メリダ/MERIDA BIG.TRAIL 800(2017) 26万8,920円 38cm MTB試乗インプレッション

BIG.TRAIL 800は、現在のマウンテンバイクの主力となったタイア径27.5″(650b)に追加的要素が加わった、『650b+』とさらに新しい規格(ジャンル)のBIKEになります。

■メリダ/MERIDA BIG.TRAIL 800(2017) 26万8,920円 38cm MTB試乗インプレッション

 

MERIDA BIG.TRAIL 800(2017) 26万8,920円

 

掲載日:2017年04月27日  取材・写真・文/やかん

 

下りBIKEの新機軸。流行りのエンデューロにも好適かと

 


BIG.TRAIL 800は、現在のマウンテンバイクの主力となったタイア径27.5″(650b)に追加的要素が加わった、『650b+』とさらに新しい規格(ジャンル)のBIKEになります。その特徴は、タイア径が従来の26”から大径化しただけでなく、横方向にも拡張がされ、ファットバイクとまでは行かなくとも、トレッド幅のかなり広いタイアを装備するのが特徴になります。


当然、これはより高速スピードでもグリップを失わず、また難セクションでの踏破を目的としたものになります。BIG.TRAIL 800は、この新規格のホイールセットに合わせて、67.5”のヘッドアングル、427.5mmというショートチェーンステー。代わりに、トップチューブはロングとなりMサイズで616mmと、独特のジオメトリーとなります。ステムは、これも今はやりの、35mmというショートタイプを装備します。


本機の狙うところは、ハードテイルでありながら道を選ばず、そして相当にアグレッシブな走行が楽しめる下りにかなり特化したシチュエーションに思えます。フロントフォークは、ラインの選択肢が広がるという名目で130mmサスペンションを組み合わせ、若干の登りも考慮してのドロッパーシートポストも装備します。


ハードテイルBIKEでオールラウンダーを目指した1台と見てよさそうなのですが、さて実際はどうなのでしょう。


毎年、メディアミーティングで提供されるゆるい傾斜が付く丘陵地帯のTrailで走った感想は、値段はかなり高いBIKEですが想像した以上に良かった、ということです。独特のフレームジオメトリーは、やはり下りでのアグレッシブな走行を容易なものとし、ドロッパーシートポストもストローク値が身体に合っていれば、下りで股下周りにまったく障害がなくなり、それがもの凄く楽に感じ、気分良くライントレースに集中できます。


27.5″+(650b+)のタイアは、エアボリュウムもあるので、かなりエア圧を下げても走ることができ、空気のサスペンションといった感じは、ハードテイルである難しさを軽減してもくれます。


ただし、登りが長く続くセクションは、正直ムリです。BIKE全体やタイアの抵抗感が強く、重すぎます。また、フロントセンターとリアステーの特異なジオメトリーから、登りでしっかり前荷重ができないと(サドルに腰掛けたまま)、簡単にフロントが捲れ上がります。


他、サスペンションは名門のロックショックスですが、低速だと動きに渋さがあり固く感じます。下りでスピードが乗ってくるとbestな動きを示すので、ある程度のスピードで走り抜けられるスキルは養っておいたほうがよさそうです。ロックアウト機構が備わっていれば、さらによかったのですが。


ギヤ周りは、信頼のシマノ製を1×11の流行り組み合わせとしているので、左手が煩わしさから開放され、結果、ライントレースなどにかなり集中できます。近年盛り上がりを見せている『エンデューロレース』での使用も“あり”な1台と感じました。


1度、富士見パノラマリゾート(長野)のような、長い下りセクションが続くコースで走ってみたいものです。そこで、この価格に納得する見合った性能を感じられるのかもしれません。人によっては、Aコース踏破も余裕かとも思います。グリーンシーズンが楽しみになる1台ではありました。

 

※価格は税込み。掲載時点でのものです。

 

 

タイアに、27.5でありつつ“2.80”とかなりWIDEなものを履くのが『+』の特徴。当然、グリップ力の向上は目覚しい。

ワイドトレッドとなるが、フロントフォークは専用品となるので、排土性などで問題になることはない。

チューブ・バルブと比較すると解るが、リム幅も相当なもの。メーカーはメリダ製となる。

フロントフォークは、130mmのトラベル量を持つロックショックスのYARI。27.5”+仕様のもので、流行りのBOOST規格品にもなる。

ハブ軸が要で、15mm×100mm BOOST Torqueを採用。ロックショックス独自のクイック構造なので、特殊な工具などは不要。

サスペンションの右ロワーには、リバウンド調整機構を装備。ロックショックスのこのタイプは、毎度思うが解りやすくて良い。

右アッパーにはコンプレッション調整が備わる。乗り手やコース、シチュエーションに応じての細かな調整が可能。

YARIはエアタイプとなるので、左アッパーにポジティプエアの注入口が備わる。

BIG.TRAIL 800は、完全専用設計のフレームとなり、シートチューブは独特の湾曲構造となる。標準ではドロッパーシートポストが装備されるが、注意は必要だ。

トップチューブは極端なベント加工がされ、低いスタンドオーバーハイトを実現している。幾度も足を着くようなシーンも想定しているということだ。

ショートなチェーンステーに対し、トップチューブは長めの設計となる。押しの入った、異型のデザインも取り入れている。

大きめに寝かせたヘッドアングルは、下りでの操縦安定性を生み出すようになっている。ヘッドチューブはテーパードタイプ。

完成車でこれほど短いステムを装備するのは、かなり珍しいだろう。クランプ部も大径化され、確かなハンドリングを実現する。

個人的には、BIKEのキャラクターを考えるとケージダボが1箇所だけなのは残念。リカバリーのための装備品は、かなり身体に背負う必要がある。

コンポーネンツに安心のシマノ製を奢っているのが、BIG.TRAIL 800のひとつのポイントであろう。流行りの1×11であるが、フロントにデバイスは装備する。

基本ユニットはSLXとなり、リアの11sギヤは最大歯だけ46Tという極端にワイドレシオな設定となる。ただし、BIKE自体としては、登りはそれなりにキツイ。

リア周りは、12×148mmのBOOST規格と現段階では最新のテクノロジーを採用。本機の位置付けが理解できる。

シマノ製コンポーネントの採用は、小さなラピッドファイアーのシフター形状ひとつ取っても、実に良く考えられていて、ストレスをまったく感じない。

ブレーキはDISCとなり、キャリパーはM447というシステムになる。ローター径は前後とも、Φ180mmと下りBIKEとしては標準なもの。

ブレーキレバー側もM447システムを使うが、シフターにDEORE XTを使っている点は注目の点。ストレスフリーであるとともに、不具合を回避する。

フロントにギヤを持たないのでハンドル左側はシンプルなものになる。代わりに、メリダ製ドロッパーシートポストのレバーが備わる。

 

 

※本記事の撮影はオリンパスの協力を得て、スタイラス1sで行っています。

 

 


ダート&モト編集部
サトウハルミチ Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長156cmのminiライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012年4月から初めてWEBマガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、MTB/MXはレース経験あり。モーターサイクル以外にフィルムカメラ、オーディオ、自転車、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンダムが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は引き落としの滞納。本コラムのタイトルは、敬愛する恩田先生の作品からいただきました(三月は深き紅の淵を)。

 

 

■カワサキ/Kawasaki Z125 PRO(2016) 34万5,600円 試乗インプレッション

カワサキの『Z』シリーズといえば40年の歴史を持つストリートモーターサイクルで、同社の代名詞のひとつとも言えるモデルです。

■カワサキ/Kawasaki Z125 PRO(2016) 34万5,600円 試乗インプレッション

 

Kawasaki Z125 PRO(2016) 34万5,600円

 

掲載日:2017年03月29日  取材・写真・文/やかん  撮影機材協力/オリンパス

 

キング『Z』の系譜は確かに受け継がれている、軽快・機敏なスーパースポーツモデル

 


カワサキの『Z』シリーズといえば40年の歴史を持つストリートモーターサイクルで、同社の代名詞のひとつとも言えるモデルです。現在もそのバリエーションは豊富で、海外モデルも含めますと多くの排気量が存在します。また、ここ数年で大きく意匠が変わったエクステリアが、同じストリートモデルのNinjaと明確な差別化が図られていて、ますますZの存在感を際立たせている、と個人的に感じています。


Z125 PROは、その由緒あるスーパースポーツマシンの末弟として登場したモデルで、排気量を125ccと大きく落としながらも先述のエクステリアなど多くの点において兄貴分に迫るモノを持った1台となっています。メーカーでも「最も機敏なスーパーネイキッド」とうたっており、日本では“原付二種”と区分けされそうな本機に、決してそうではない期待を寄せていることが解ります。


その心臓部には、空冷4ストローク単気筒のSOHC2バルブを与え、デジタルフューエルインジェクションにより制御がされるようになっています。ミッションはマニュアルクラッチの4速を備え、102kgの車体をアーバンストリートに駆け出させます。支えるフレームには、コンパクトなシルエットにも寄与する新設計の高張力鋼製バックボーンフレームを奢り、足まわりもバネ下重量を低減したインナーチューブ径ø30mmの倒立フォークとレイダウンさせたシングルショックユニットを車体中心から右にオフセットして装着し、軽快で機敏な走りを企図します。


制動系は、ABSこそ備えていませんが前後とも油圧式ディスクブレーキを装備し、ローターは同社の大排気量スポーツモデルにも採用されるペタル形状を採用しています。ホイール径は前後12インチのアルミニウム製キャストホイールとなり、バネ下重量の軽減に寄与しながら組み合わされるタイアとの相乗効果で、確実なグリップ力とシャープなハンドリングを狙っています。


このように、小排気量で一見、通勤用途のマシンと受け取られそうなところを見事に裏切り、そして「走り」に期待を寄せざるを得ない装備を誇っているのが、このZ125 PROなのです。


ただし一点、現車を目にする以前に危惧されたのが、この排気量でありながら100kgを超す車重はパワーウェイトレシオの点ではかなり不利なのでは、ということです。装備は豪華でルックスも王者であるZシリーズの最高峰モデルの雰囲気を感じさせますが、その実、モッサリとしたマシンになってしまっていたら、という懸念です。


しかし、この点はいざ実車と触れることで杞憂であることが解りました。まず、なによりもその全体の小ささが際立ち、また、重心も非常に低く中心に来るようデザインされており、「サイズの割には重さがある」とは感じますがそれがネガティブにはたらくことはないような印象です。


始動はセルフスターターとなり、ボタンのひと押しで軽快に空冷4ストローク単気筒に火が入ります。これについては、KACR(カワサキオートマチックコンプレッションリリース)という機能が備わっており、始動時にシリンダー内の圧力を排気バルブから抜き、容易なエンジン始動を可能にしている、ということです。何度も試してみましたが、確かにエンジンは一度も咳き込むことなく回り始めます。


跨ってみると、シート幅はあるものの高さは780mmとたいへん低く設計されているため足着きは容易で、乗り手を選ぶ雰囲気はありません。『Z』のマスクは、今の意匠になってからはさらに鋭さが増して乗り手を選ぶ印象ですが、Z125 PROに関してはビギナーもまったく困らない優しさも兼ね備えているマシンのようです。先述の重さも、股下のかなり低い位置に集約されていて、バランスを崩すようなことはありません。


それでは、いざ公道に走り出してみることにしました。


乗り始めてすぐに感じたのが、ピックアップの良いアクセルタッチです。電子制御されたインジェクションとレスポンスに優れたエンジンはじつに軽妙で、あっという間にパワーバンドはレッドゾーンに突入します。かといって、スポーティー過ぎてトルク不足という訳でもなく、クラッチミートに確実に追従する力強さを持ちます。エアクリーナボックスを2.6ℓの大容量とすることでパワーフィールを向上させている、とのことなので狙い通りといったところでしょうか。


走り慣れてくるとさらに解ってきたのが、適度な衝撃吸収能力を持ちながらも軽快なスポーツ走行を成立させている足まわりの良好さです。フロントサスペンションは100mmのトラベル量を持ち、アルミニウム製の軽量トップブリッジも加わり、細かな振動はよく吸収するのに決して動きすぎる、ということがありません。リアサスペンションも駆動輪を確実に路面に押し付ける高性能さで、フレームも合わせ骨格が実にしっかりとしたマシンに仕上がっています。


トランスミッションが、Z125 PROオリジナルのエンジンではないため4速までしかないのが残念ですが、高回転域までスムーズに吹け上がるエンジン特性なので「回して」乗れば、相当にシャープなスポーツ走行が楽しめます。そもそもが、車体がとてもコンパクトで、燃料タンクは大容量の7.4ℓですが上方におかしな重さを感じることもなく、「さすが125cc!」という取り回しの良さは多くのライダーを魅了するのではないでしょうか。


ホイール周りやペタルディスクブレーキ、組み合わされるタイアの性能もすこぶる良好で、“スーパースポーツ”の間口を広げるとても良くできたモーターサイクルに仕上がっており、あえてこの排気量で出したカワサキの真意と本気を感じさせられました。


現実問題としても、125ccの排気量は高速道路に乗れないだけでさまざまなメリットもあり、またメーカー希望小売価格は35万円弱(税込)という入りやすい設定で、「王者Zには憧れているがさすがにあの大排気量は……」と二の足を踏むユーザーにドンピシャな1台です。維持費、保管場所、燃費を考えると(レギュラーガソリン仕様)お財布にたいへん優しく、しかしその身分に甘んじないこのZ125 PROは、日本国内でも活況の125ccクラスに強烈なイメージを叩きつけるモデルと言えます。


筆者は正直、このZ125 PROが欲しいです。広報車を返却するその日がとにかく名残惜しく、何かと理由を付けてはほうぼうを乗り回していました。コンパクトさとエンジン始動性の良さが、ライダーのフットワークをたいへん軽くし、まさにストリートに積極的に駆け出す魅力を備えていました。国内メーカーは補修部品の供給やメンテナンスの点でも安心できるところも多く、本機はもっとこの良さを知られてよいモーターサイクルだと感じました。


気になるかたはぜひ店頭で一度跨ってみることをお薦めします。もちろん、試乗も可能でありましたらヘルメット片手にTRYしてほしいです。一発でその機敏で軽快な魅力の虜になること、間違いなしです。

 


※価格は税込み。掲載時点でのものです。

 

 

心臓部は、横置きレイアウトの125cc空冷4ストローク単気筒のSOHC2バルブ。下部には、スポーティーなアンダーカウルを備える。

エキゾーストパイプとサイレンサーはコンパクトにエンジン下にレイアウトされ、マスの集中化に貢献。ハニカム式のキャタライザーとO2センサーにより排出ガスのクリーン化を実現してもいる。

インナーチューブ径ø30mmの倒立フォークには、スポーツ走行に適した剛性感あるセッティングが施される。ストロークは100mm。アルミニウム製の軽量トップブリッジも加わる。

リアは、レイダウンさせたシングルショックユニットを車体中心から右にオフセット装着し、コンパクトな車体パッケージに貢献。レバー比は機敏なハンドリングと快適性を両立する設定としている。

カワサキの大排気量スポーツモデルにも採用されるペタルディスクブレーキを採用。シングルポッドで、ローター径はΦ200mm。

リアも、ペタルディスクブレーキを採用。スーパーネイキッドらしいルックスに。径はΦ184mm。

12インチのアルミ製キャストホイールにはIRCのロードタイアが装備される。豪雨下での走行でも、グリップ性は確保されていて良質。

シフトペダルには、大排気量モデル同様のリンク式を採用し、これにより軽い力でのギヤチェンジが可能。ギア抜けや入りにくいことは、一切なかった。

125ccなのでタンデムステップを備える。ただし、タンデムシートの座面はかなり小さく、やや心配にはなる。

この価格と排気量なのにスポーティなアナログタコメーターと、ギヤポジションインジケーターや燃料計を表示する多機能デジタルLCD液晶ディスプレイを装備する。スピードメーター、時計、オドメーターに、トリップメーターも表示する。

フューエルタンクは、アグレッシブなスーパーネイキッドのイメージを持つ大容量7.4ℓ。上面は前傾しつつ幅広く、シート付近はスリムでダイナミックなデザインは、フラッグシップモデルを彷彿とさせる。

燃料キャップは安全装置を持つ固定式で、キーカバーも備えルックスを損なわないよう工夫されている。ガソリンは、一応レギュラー指定。

ハンドルロックがタンクとステアリングの間に備わり、盗難防止に寄与。もちろんサイズや車重を考えると、別のロックは必要ではあろうが。

シートに跨った状態のコクピット周り。大型ではないのでそれほど前傾姿勢はとらなくてよく、またメーターの視認性も高い。

張り出したシュラウドからタンク後端にかけてはシェイプが掛かり、ポジションの自由度を高めている。本格的に乗り込むと、体重移動は欠かせないがそれを阻害することないデザイン。

ハンドルはかなり切れ込む設計で、最小回転半径は2.1m。狭い場所での取り回しと街中の走行でもストレスなく楽しめる。

鋭い眼光を連想させるコンパクトなヘッドライトカウルは、今の『Z』の特徴。末弟と言いながらそのイメージは踏襲されている。ポジションランプを備える。

スポーティなマルチリフレクタータイプのシングルヘッドライトは、イメージへの貢献だけでなく、夜間の視認性を大きく向上させている。

フロントからの眺めは、まさに『Z』。ハンドルのレイアウトだけが唯一、本機のコンパクトさを物語る。

燈火周りで一点だけ残念なのは、ハザードランプ機能を持たないこと。ロードモデルであるし視認性の高いウィンカーなので、これは欲しかった。

テール周りも実にアグレッシブでシャープな仕上がりとなり、LEDテールライトは “Z”の文字をモチーフにしたデザインとなる。ウインカーもクリアレンズとなり、スタイリッシュなイメージを与える。

真後ろから見ると“Z”をモチーフにしたランプのレイアウトがよく解る。125ccのポジションに甘んじることのない、難い演出だ。

価格を考えると豪奢と言えるエンボス状のロゴマークを持つ。大胆なエア抜きなどのデザインと相俟って、所有欲はおおいに満たされる。

シュラウド類は先鋭的な形状となり、Zシリーズ共通のアグレッシブなイメージが演出される。一部にはカーボン地を感じさせるパーツの使用もある。

その佇まいは明らかにZシリーズのそれであり、サイズ感を把握していなければ125ccのマシンとは誰も思わないだろう。

シート下にヘルメットホルダーを装備するが、やや使いにくい。シートを都度外す必要もあり、ルックスとの兼ね合いに苦労したのだろう。(ヘルメット協力:ショウエイ)

たまたま豪雨の中を走ることがあったのだが、外車にありがちなウィンカーレンズ内への水の侵入は認められなかった。さすが国内メーカー、と言ったところ。

マルチリフレクター仕様のヘッドライトは、かなりの明るさを誇る。ハイビームも強烈で、夜間の安全性は高い。

ライダー側から見るとこれほど明るさが担保される。正直、普段オフロード車しか乗らない筆者としては、驚く光量であった。

テールライトのZ文字も夜間で効果的なアピールをしてくれる。ストップランプはさらに明るいので、安心だろう。

 

 

 

※本記事の撮影はオリンパスの協力を得て、スタイラス1sで行っています。

 

 


ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長156cmのminiライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012年4月から初めてWEBマガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、MTB/MXはレース経験あり。モーターサイクル以外にフィルムカメラ、オーディオ、自転車、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は引き落としの滞納。

 

■メリダ/MERIDA BIG.SEVEN 100(2017) 8万9,532円 47cm MTB試乗インプレッション

BIG.SEVEN 100は、これからのマウンテンバイクはもはや標準と言ってよい“ホイール径27.5インチ”を履くMERIDA(メリダ)バイクスのほぼ末弟となるモデルです。

■メリダ/MERIDA BIG.SEVEN 100(2017) 8万9,532円 47cm MTB試乗インプレッション

 

MERIDA BIG.SEVEN 100(2017) 8万9,532円
MERIDA BIG.SEVEN 100(2017) 8万9,532円

 

掲載日:2017年02月23日  取材・写真・文/やかん

 

2017年モデルは爆発的に良くなっている。MTBの入り口に相応しい1台

 


BIG.SEVEN 100は、これからのマウンテンバイクではもはや標準と言ってよい“ホイール径27.5インチ”を履くMERIDA(メリダ)バイクスのほぼ末弟となるモデルです。

国内版2017年度カタログ上は、この下に『20-MD』というモデルも用意されていますが、その内容を見比べると実質的にはBIG.SEVEN 100が「本格的なTrailを走るに当たってはもっとも入門用BIKEとなる」、と認識して間違いないです。

では、その中身は、というと標準的なジオメトリーを持つハードテールBIKEで、荒れ地をそれなりに走るのに必要なフロントサスペンションを備え、この価格でありながら油圧式のDISCブレーキも装備します。メリダが得意とする、機械圧縮による“TFS3次元成型”ダブルバテッドアルミフレームを採用し、そのフレームはケーブル類がフレーム内を通る“インターナルケーブルルーティング”も備えます。

このようにメインであるフレームは、上位モデルから受け継ぐスペックを持ち、必要十分に感じます。価格帯的に目を瞑りたいのは、コンポーネント(ギア類)がリヤ9速であったり、ラピッドファイアプラスでない点ですが、このあたりは“リアルレース”を考えなければ、さほど問題にする内容ではありません。

むしろ、実際に起伏のある周回Trailとなっている試乗コースを走り出すと、前年(2016)と較べ格段に良くなっていることに驚きを隠せません。取材で使ったコースは、基本的にはBIG.SEVEN 100のようなスタイルのBIKEに好適なフォーマットをしており、能力を判別するにはうってつけとなっています。コンディションはドライでありましたので、やや意地悪なヘビーマディ下での変速性能などは確認していませんが、なによりも消費税を含めても10万円を切るBIKEをとはとても思えない試乗結果でした。

100mmのトラベル量を持つフロントサスペンションも、正直あまり期待はしていなかったのですが、まったく。とても良い動きをしてくれます。ハンドル幅が広くフロントアングルも立っている印象なので、フロント周りがとても軽く感じ、ハンドリングが機敏でもあります。ただし、その一方でウェイトバランスを誤ると下りセクションで危険な目に遭うので、入門の価格帯とはいえ、かなり、BB(ボトムブラケット)の上にバランスよく乗る必要があります。

もっともこの点は、マウンテンバイクで荒れ地を走るに当たっては基礎的な技術のひとつですので、本機で「怖い」「危ない」と感じなくなれば、BIKEの上でしっかりと荷重・抜重や重心移動ができるようになった、と言えます。教材としても優れた1台になっているようです。

その他、ハードテールBIKEではどうしてもネガティブになりがちなテールの跳ね上がり(路面からの突き上げ)は、まったく不快感を感じることのないショック吸収性を誇り、頗る良好です。かと言って、ソフト過ぎるという訳でもなく、登りセクションでは後輪が確実に路面を捉えてくれます。この点は、本来は筆者には合わない47cmサイズでの試乗においてもこのように感じたので、適正サイズのフレームに乗れば、さらにこのフレームの素晴らしさは際立ってくる筈です(本モデルは38cmから用意がある)。

今回試乗した47cmサイズで完成車重量は14.0kgと、昨今のハードテールBIKEとしては重たい部類に入るとは思いますが、そこは価格で相殺できる範囲です。むしろ、実勢価格を考えれば、店頭ではBIKE本体にプラスしてヘルメットとグローブぐらいを揃えても10万円で収まる訳で、「真面目なマウンテンバイクもここまで安くなったかー」と、感嘆せざるを得ないのが正直な感想です。

BIG.SEVEN 100の2017年モデルは、ベストバリュープライスのBIKEとなっており、とにかく本格的なマウンテンバイクでTrailデビューを果たしたい、という想いを持つユーザーに、実に好適で、見事期待に応えてくれる1台になっていると言えます。国内カタログ上は、ひとつ上のモデルになるとだいぶ値段が上がってしまうので、フレームの素性の良さを考えれば、本機でdirtにまずは飛び出してみてはいかかがでしょうか?

買って後悔はありません。

 

※価格は税込み。掲載時点でのものです。

 

 

フロントサスペンションは、SRサンツアーのSR 27 XCM HLO 100を装備。数字が示す通り、100mmのトラベル量を持つ。
フロントサスペンションは、SRサンツアーのSR 27 XCM HLO 100を装備。数字が示す通り、100mmのトラベル量を持つ。

右レッグには、ロックアウト機構を装備。
右レッグには、ロックアウト機構を装備。

左レッグには、プリロードアジャスターを備える。動きは極めて良好。
左レッグには、プリロードアジャスターを備える。動きは極めて良好。

ブレーキには、前後共にシマノの油圧式DISCブレーキを奢る。一昔前では、この価格帯では考えられなかった装備。
ブレーキには、前後共にシマノの油圧式DISCブレーキを奢る。一昔前では、この価格帯では考えられなかった装備。

フロントのDISCブレーキは、シマノ製M315のキャリパーにΦ180mmのローターを装備する。
フロントのDISCブレーキは、シマノ製M315のキャリパーにΦ180mmのローターを装備する。

リアのDISCブレーキは、同じくM315のキャリパーでローター径がΦ160mmに。また、合理的なマウント方法である、チェーンステーマウント方式を採る。
リアのDISCブレーキは、同じくM315のキャリパーでローター径がΦ160mmに。また、合理的なマウント方法である、チェーンステーマウント方式を採る。

ギヤクランクは、SR XCMとなり丁数は40-30-22T。クランク長は、38/43cmモデルで170mm、47/51cmは175mmになる。ディレーラーは、シマノのM3000。
ギヤクランクは、SR XCMとなり丁数は40-30-22T。クランク長は、38/43cmモデルで170mm、47/51cmは175mmになる。ディレーラーは、シマノのM3000。

リアディレーラーは、Alivioでスプロケットは9速。丁数は、11-34T。ドライコンディションでは、特別不具合や不満を抱くことはなかった。
リアディレーラーは、Alivioでスプロケットは9速。丁数は、11-34T。ドライコンディションでは、特別不具合や不満を抱くことはなかった。

BIG.SEVENの特徴が、今や標準サイズとなった27.5インチのホイール径。リムは、MERIDA Big 7 comp CC、タイアはMaxxis Ikon 27.5 2.2 foldを装備。良好なグリップと踏破性を得られた。
BIG.SEVENの特徴が、今や標準サイズとなった27.5インチのホイール径。リムは、MERIDA Big 7 comp CC、タイアはMaxxis Ikon 27.5 2.2 foldを装備。良好なグリップと踏破性を得られた。

肝心要のフレームは、メリダ独自のTFS技術を使い成型。6061番のアルミを採用する。リアバックの性能が、本機は頗る良い。
肝心要のフレームは、メリダ独自のTFS技術を使い成型。6061番のアルミを採用する。リアバックの性能が、本機は頗る良い。

フロントトライアングルは、上位グレード譲りのインターナルケーブルルーティングを採用し、無駄のないシルエットを実現すると共に、トラブルも回避する。
フロントトライアングルは、上位グレード譲りのインターナルケーブルルーティングを採用し、無駄のないシルエットを実現すると共に、トラブルも回避する。

2017年からエンド側に金属がないロックオンタイプのグリップに変更。他者との絡みで怪我を負わす可能性があるので、このスタイルは歓迎だ。
2017年からエンド側に金属がないロックオンタイプのグリップに変更。他者との絡みで怪我を負わす可能性があるので、このスタイルは歓迎だ。

 

 

※本記事の撮影はオリンパスの協力を得て、スタイラス1sで行っています。