※写真の試乗車は、リアショックユニットの取付け向きが誤りです
掲載日:2014年03月11日 取材・写真・文/やかん
長時間のマラソンステージで本領発揮の1台
ONE-SIXTY 1は、メリダが持つエンデューロシリーズ『ONE-SIXTY』の上級モデルです。日本での展開にはひとつ下に『5』があります。それとの違いは、細かなところで部品が変わり、そしてフロントギアが1枚になっている点です。ONE-SIXTY 5の2014年モデルもインプレッションしましたが、2013年の感触から期待して乗った割には、リア周りにやや重さ(引きずり)を感じ、キビキビ動きレスポンスのよいバイクを好む筆者とのマッチングはいまひとつでした。どうしても、ダウンヒルバイク以外は、フルサスペンションモデルでも軽快に走る特性を求めてしまうからかもしれませんが、人1人のパワーの小ささを考えると、ペダリングに対してクイックに反応するキャラクターが欲しくなります。
その、やや先入観と実際の乗り味に差がある5に比べ、ONE-SIXTY 1は、まず手で持って軽く(43cm/14.1kg)、乗ってみても軽いという、5とは異なる印象を始めに受けました。構成部品で見ていくと、フレームはONE-SIXTY 5と同じで、リアショックユニットも同じになります。車重もそれ程違うという訳でもないので、軽快感の秘密はサスペンションのセッティングに依るのでしょうか。調整機構が増えれば最適なセッティングを出すのは難しくなりますので、5と1の違いはそこにあったのだと思います。煮詰めていけばポテンシャルを発揮するBIKEと言えるでしょう。
この事に加え、ONE-SIXTY 1は採用されるコンポーネンツであるSRAMの得意技になる、11×1がこの軽快さに拍車を掛けています。SRAMのリアディレイラー(X.O)はメカの精度が抜群で、フロントギアは1枚(32T)でもリアが11速となるので、ワイドレンジで想像以上の能力を持っています。少し趣は変わりますが、筆者は予てからSS(シングルスピード)にひとつのメリットを感じていて、SRAMのギア比(リアスプロケット)の適正さと併せ、左手だけでも変速の煩わしさから解放される事による、走りに集中出来る恩恵はとても大きく感じます。ONE-SIXTY 5のフロントダブルも、スペック的には魅力的に映ったのですが、実際に乗ってみると、上りセクションもあるエンデューロという使い方でも、SRAMの11×1に軍配が上がる感じです。長い時間を走るエンデューロでは、集中力を奪われにくいフロントシングルがかなり効果を発揮する印象です。
唯一気になったのは、フロントブレーキの効き加減です(Deore XT-Fin 203 ice disc)。シマノにしては珍しい、立ち上がりからガツんと効くキャラクターで、もう少し握り込んでから効くとコントロール性が高く、また時間とともに加わる手の疲労度が減ると思います。初期で効きやすいブレーキは、一瞬よいと思われますが、長距離のライドでは、じわっと効くコントロール性の方がアドバンテージがあると個人的には考えています。
最後にサスペンションにあらためて目を向けると、前後ともに160mmのストロークを持つため、一見腰高で下りオンリーの印象を受けますが、乗ってみるとサスペンション設計(VPK)と組み合わされる各パーツのバランスが良く、メーカーが意図した通りの、万能に使える優良なエンデューロマシンに仕上がっている事が分かります。決して安くないBIKEですが、本格エンデューロで、カタログスペックそのままで走るのならお薦めの1台です。即実戦に使えます。
ブレーキは、シマノのDeore XTオイルディスクを前後に装備。ハンドル左には、高さ調整が出来るシートピラー用プッシュボタンも備わる。 | フロントディスクローター径はΦ203mm、リアはΦ180mmで、どちらもアイステクノロジーモデル。センターロックではない。 | ケーブル類はフレーム内を通せるようになっている。BIKEを美しく見せると共に、転倒時のトラブル軽減にも繋がる。 |
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