■メリダ/MERIDA ONE SIXTY 1000(2013) 299,000円 38cm MTB試乗インプレ

ONE SIXTY は、前後160mmトラベル量を持つ、FREDDYと同じVPK(Virtual Pivot Kinematics)を採用したエンデューロ系BIKEです。

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※写真の試乗車は、リアショックユニットの取付け向きが誤りです

掲載日:2013年05月10日  取材・写真・文/やかん

マウンテンバイクの本質を堪能出来る逸品BIKE

  ONE SIXTY は、前後160mmトラベル量を持つ、FREDDYと同じVPK(Virtual Pivot Kinematics)を採用したエンデューロ系BIKEです。開発は2年前から始まっており(2010年)、2012年の段階ではゴーサインが出ず、2013年モデルでようやく顔見せとなった意外や熟成度の高いモデルになっています。事実、メリダのR&Dチームは、「納得するのにそれだけの歳月は必要であったし、結果、非常に満足するBIKEが出来上がった」と言っています。

 『1000』は、その自信を持って開発陣が送るシリーズ中でエントリーモデルになりますが、期待で胸が膨らみます。ところがプレスキャンプ当日、試乗が時間切れで、ブーステント前の広場をチョロッと乗っただけになってしまいました。時間がなく焦っていた事もあり、リアショックユニットが逆さまだった事は後で気が付いたほどです(写真を撮っていて)。その時点ではもう片付け作業が進んでいて、ここは目を瞑ってください。

 しかしです。そのほんの数十秒の、平地でのライドのみでしたが、本機はとても期待が持てるBIKEであるという印象を一瞬で受けました。ビリビリっと来ましたね。ひとえにVPKを中心としたリア周りが凄いのです。ペダリングでリアサスペンションがまったく無駄に動きません。一昔前では想像が出来なかった、驚異的な機構です。熟成度の高さに驚きます。前後のサスペンションをエア式で揃えている事もあり、BIKE全体も軽量な印象でまとまっていて(44cmで15.0kg)、総じてオールラウンドに使えそうな特質を持っています。フロントギアにチェーンデバイスを装備していますがギア板は2枚構成になっていて、これも使用フィールドを格段に広げてくれます。アジャスタブルシートポストの採用からも、本機の位置付けがイメージ出来ます。エンデューロやオールマウンテン、そんなワードがアタマに浮かんできます。

 数十秒しか乗れなかった事が本当にとても悔やまれますが、近年急速にマーケットが広がっているこのカテゴリーの数あるBIKE群の中で、必ず筆頭に躍り出る、そういう予感を抱かざる得ない1台でした。長期的に拝借してぜひ乗りたい!

フロントサスペンションは、SR Durolux RC2 160 20mm Taper。エア式で160mmのトラベル量を持つ。エンデューロレーシング、トレールランニング、オールマウンテンツアーに対応、とメーカーでは謳う、ややハード系の汎用性を持つフォーク。 変わった外観を持つ20mmアクスルはQLOC axleというSRサンツアーのオリジナルで、スルータイプながらクイック式になっていて、付け外しが簡単に出来る。フォーク内部はDual chamber air travel adjustという機構を持ち、Low & high speed compression & reboundtの調整機能を持つ。 VPKを搭載したリアサスペンションは、ユニットにFOX Float-A P-S CTD BV LVを装備。試乗車はノーマルのインナーチューブになるが、製品版はカシマコート版になるようだ。スイングアーム剛性をサポートするX BRIDGEも採用。(写真の試乗車は、ユニットの取付け向きが誤りです)
ブレーキは前後ともシマノ製油圧式ディスク。M596というモデル名のないグレードになるが、制動力はまったく不満ない。ローター径は、フロントがφ203mm、リアがφ180mm。アクスルは、QLOCシステムで20mmながらクイック式になる。 フロントギアはチェーンデバイスというかテンショナーを装備する事で、チェーントラブルを軽減しながらダブルの仕様になる。シマノのSLXを使い、丁数は38-24。クランク長がフレームサイズで変わる設定(170mm-38/44cm、175mm-48cm)。 リアディレーラーにはシマノ Deore XTのShadow+タイプを採用し、精確な変速とグラウンドヒットなどの無用なトラブルを回避する。ハブも前後ともにDeore XTとなり、軽量化などに寄与する。スプロケットは、11-36Tの10速仕様。