■メリダ/MERIDA O.NINE SUPERLITE TEAM(2013) 699,000円 46cm MTB試乗インプレ

メリダ26インチMTBハードテールシリーズ、『O.NINE』のフラッグシップモデル。

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掲載日:2013年04月30日  取材・写真・文/やかん

比類なきカーボンテクノロジーで武装した純レースBIKE

 メリダ26インチMTBハードテールシリーズ、『O.NINE』のフラッグシップモデル。試乗BIKEはぼくの体格には明らかに大き過ぎるのですが、当日は小さなサイズの用意がなくそれでもどうしてもその最高峰に跨ってみたく、合わないのを承知でお借りしました。

 スペックは、メリダワールドチームライダーのホセ・ヘルミダ選手が優勝した時に駆っていたBIKEと同等で、ひとつ下のランクになるPRO TEAM ISSUEとはフレーム構造がやや異なります。41cmモデルでの完成車重量はなんと8.3kg(!)となり、ギアも2×10の仕様になります。

 このBIKEの乗車の印象も、「とにかく軽い」。そして、フレームの質量配分に偏りがなく、身体の動きにBIKEが素直に応えてくれます。あまりにも、自分の意思に精確に素速く追従してくるので、まるでBIKEという質量物が身体の下に存在しないような感覚になります。微細なコントロールが要求されるテクニカルセクションでも、ライダーの意思そのままに動いてくれます。BIKEが何か不要な動きをしたり、ライダーの意思を阻害するような事を一切しないのです。フロントギア板が2枚だけのコンポーネンツは、コースシチュエーション、ライダーのパワー、慣れによって気にならなくなりそうなレベルで、特別な違和感は感じません。PRO TEAM ISSUE同様に、軽さだけでないフレームのとても伸びやかな反応も好印象で、やはり他のメリダBIKEに較べ、2つぐらい重いギア(リア)が使えました。それに加えて、本機はペダリングする歓び、爽快感までもを感じました。非常に伸び伸びとした特性を持っているのです。

 サイズの合わないフレームでこの印象ですから、これがジャストサイズだったらどのような事になっているのか、想像しただけで身震いします。このBIKEと同じ技術を使って作られた29インチモデルが同社にはあり(BIG.NINE CARBONモデル)、しかし当日ぼくが乗れるサイズがやはりなく、余計に「このポテンシャルで29インチにも乗ってみたい!」と強く感じました。メリダは古くからあるメーカーなのでアルミフレームの技術やノウハウの蓄積に一日の長があるのは分かっていましたが、カーボンの技術もとても高いのだ(才能がある)、と確認できた1台でもありました。

フロントサスペンションは、DT Swiss XRC100 Race Remote。特徴的なアーチは『HOLLOW ARCH』と呼称され、ロワーまで含めカーボン製となる。軽量さが売りで単体、1,250g。トラベル量は100mm。 サスペンションは右側手元でのロックアウトが可能。O.NINE PRO TEAM ISSUE同様、SRAMのシフター(XX)はインジケーターがないタイプで、プロ選手には不要の物なのだろうか? ギアレシオは2×10なので、特にフロントギアには必要ないのかもしれない。 性能や仕様の違いの表記はないが、SUPERLITE TEAMは“ウルトラ”ハイモジュラスカーボンファーイバーをフレームに使い、やはりこの2013年モデルからシートステーにバイオファイバーが加えられた。メリダのこのカーボンバックは本当に秀逸。
曲げや捻れ剛性を向上しつつ、衝撃への耐久性を上げ軽量化にも寄与するというDouble Chamber Technologyも使われる。ボトムブラケット規格はBB30を採用し、ダイレクトでロスの少ないペダリングを実現する。 ブレーキは油圧式SRAM XX。ローターにはセンターロックの、同じくSRAM XXを使い、前がφ180mm、後がφ160mmの異径組み合わせ。フローティングにも見える、ややスーパースポーツな外観。 コンポーネンツ系はすべてSRAM XXで統一し、フロントチェーンリングはグループ会社のトゥルバティブの2枚タイプになる。42-28Tと歯数が極端に離れ、またクランク長は175mmと標準の日本人には長過ぎるかも。