■メリダ/MERIDA ONE-TWENTY 7.500(2016) 19万9,900円 41cm MTB試乗インプレ

今回紹介するONE-TWENTY(ワントゥエンティー) 7.500は、前後ストローク120mmで上り50%、下り50%を想定したBIKEという事です。

MERIDA ONE-TWENTY 7.500(2016) 19万9,900円 41cm
MERIDA ONE-TWENTY 7.500(2016) 19万9,900円 41cm

掲載日:2015年08月19日  取材・写真・文/やかん

1台ですべてを幸せに楽しめる夢のBIKE

ダウンヒルとクロスカントリー用のフルサスペンションBIKEを除いた選択肢を浮かべた場合、ビッグカンパニーになる程その数・種類は莫大になり、たった1社であってもシリーズが分からなくなります。メリダもその類にもれず、混乱する程の数を揃えています。カタログを見ながら一度整理をしてみますと、まずサスペンションのストローク量でひとつの区分けがされています。

短い方から、
・120mm
・140mm
・160mm
となります(前後共通)。

用途ごとだと、上から、
・マラソン、ツアー想定 ONE-TWENTY
・オールマウンテン想定 ONE-FORTY
・エンデューロ想定 ONE-SIXTY
です。

マラソンやエンデューロと言われると増々混乱するので、それは隅に置いておくとして、今回紹介するONE-TWENTY(ワントゥエンティー) 7.500は、前後ストローク120mmで上り50%、下り50%を想定したBIKEという事です。クロスカントリーBIKEも比率は似たようなものと思うのですが、あちらはスプリントでよりレーシーなものになり、こちらはそれよりもややのんびりとした使い方になるでしょうか。ホイールサイズは、もはや標準となった27.5インチになります。

さて、このONE-TWENTYシリーズ。実は2015年も存在していたそうなのです。ただ、筆者の記憶には薄くmemoを見返しても試乗もしていません。それを、2016年モデルで乗ろうと思ったのは、メリダの得意とするVPKを使わず、またリアサスペンションユニットをフローティングしていたから。それと、2016年モデルはオールニューになったからです。価格は税抜きで19万9,900円なので、一般の人の感覚からすると高価です。まして家庭がある人は、まず理解してもらえない値段だと思います。それでも7.500はONE-TWENTYシリーズの中では一番安く、それだけに製品の魅力は気になります。そこで今回、試乗をしました。

まず、跨った時点ではフロントに対してリアサスペンションが硬く感じたので調整をしてもらいました。その調整結果からすると、かなり積極的に動かす方向のBIKEのようです。特に、リアはユニットをフローティングさせる事で後半の踏ん張り感や数値以上のストローク感を出せる、という事なのでその点も気にしてみました。重さは41cmで14.1kgなのでフルサスMTBとしては標準でしょうか。持った印象もそれほど重たいとは感じず、また前後バランスが良いです。

昨年も走っているトレイルに出ると、キツイ上り坂ではリアサスペンションは動いてしまう印象です。相当ペダルの入力が持っていかれる、という印象はありませんが、ボトムブラケットの位置が安定しないのは少し落ち着きません。ただ、ベッコベコに沈んでしまいまったく前進しない、というレトロ感はありません。下りでも動かそうとすると、この辺りがギリギリのラインなのかもしれません。

素性の良さを感じるようになったのは、緩やかな下りやタイトなコーナーが続くセクションです。手で持ち上げた時よりもフレームの前後バランスが良く、サスペンションも上手くはらたいてくれます。ハンドリングもたいへんカチッとしていてコーナリングが決まりやすく、だからといって不要な硬さが出るといったネガもありません。また、急坂では少し気になったリアの動きも緩い上り坂でなら、逆にグリップ力の向上に役立ってくれます。ダウンヒル未経験者などは下りでスピードが出るとかなり怖いと感じるそうなので、その際このBIKEの懐の深さは役立つのではないでしょうか。

コースを1周走り終わってのトータルな印象は、何か1台のMTBですべてをフォローしたい、と考えるユーザーにとって強い味方になるモデルだと感じました。税金を含めますと20万円を超えてしまうBIKEを買うというのはとんでもない大冒険です。ましてや、誰かの許しを得なくてはならない状況下ではかなり戦況不利です。しかし、ONE-TWENTY 7.500なら、「これを買えばMTBはこれ1台でやっていけるし、長く乗り続けられるから高い買い物ではないよ」、と諭せます。コンポーネントやサスペンションも充分な物が付いているので、後々どこか部品を換えなければいけないという心配事も皆無です。整備を怠らなければ、そのまま乗り続けられます。

性能が素晴らしいだけでなく、パッケージング、プライス、使える幅、どれを取っても「超真面目なMTBを、後生だから1台買わせてくれ!」というお父さんお母さんにはお勧めのBIKEです。もちろん、学生さんがアルバイトで返していくから買ってくれ、という時にも最適な1台です。ONE-TWENTY 7.500は、サスペンションが前後に付いていて何にでも使えるMTBが欲しい、という世の多くの声に応えてくれる最高のパートナーになっています。迷ったら、ONE-TWENTY 7.500で!

フロントサスペンションは、SRサンツアーのSR Aion RL-R 27 130 15QR remote。オールマウンテンなどを想定したフォークで、ロワーはマグネシウム製。ストローク量は120mmに抑えられている。
フロントサスペンションは、SRサンツアーのSR Aion RL-R 27 130 15QR remote。オールマウンテンなどを想定したフォークで、ロワーはマグネシウム製。ストローク量は120mmに抑えられている。
27.5インチに正規対応しているサスペンションで、右フォーク下部でリバウンド調整が出来る。Q-LOCは進化系のVer.2を使用。確実な固定とハンドリングを約束する。
27.5インチに正規対応しているサスペンションで、右フォーク下部でリバウンド調整が出来る。Q-LOCは進化系のVer.2を使用。確実な固定とハンドリングを約束する。
クラウン右レッグにはロック機構が備わり、リモート対応なのでこのパッケージングはその仕様になっている。
クラウン右レッグにはロック機構が備わり、リモート対応なのでこのパッケージングはその仕様になっている。
左レッグはエア圧調整の弁がダイヤルを外すと見える。エアばねはレート調整が容易で、また軽量に仕上がる事から上り坂ではメリットが大きい。
左レッグはエア圧調整の弁がダイヤルを外すと見える。エアばねはレート調整が容易で、また軽量に仕上がる事から上り坂ではメリットが大きい。
フロントサスペンションのロックアウトは、ハンドル左に付けたリモートレバーで制御。操作はクイックなので、この仕様なら積極的な使い分けが出来るだろう。
フロントサスペンションのロックアウトは、ハンドル左に付けたリモートレバーで制御。操作はクイックなので、この仕様なら積極的な使い分けが出来るだろう。
リアサスペンションユニットもSRサンツアー製。Epixon Lorpというモデルで、マラソン系では定評あるモデル。ストロークは120mmで設定。ばねはエア式。青いレバーでロックアウトが可能。
リアサスペンションユニットもSRサンツアー製。Epixon Lorpというモデルで、マラソン系では定評あるモデル。ストロークは120mmで設定。ばねはエア式。青いレバーでロックアウトが可能。
フロントドライブはFSA Gamma drive 38-24T CGを使用し、バッシュガードのようなものが付く。ディレイラーはシマノ・ディオーレのW仕様。マウント方法に注目したい。また、ワイヤーケーブルは一部、インターナルとなる。ボトムブラケットはシマノのオクタリンク。
フロントドライブはFSA Gamma drive 38-24T CGを使用し、バッシュガードのようなものが付く。ディレイラーはシマノ・ディオーレのW仕様。マウント方法に注目したい。また、ワイヤーケーブルは一部、インターナルとなる。ボトムブラケットはシマノのオクタリンク。
リアのギヤは10速になり、ディレイラーはやはりシマノ・ディオーレでSGS付きのシャドウ+となる。ダイナシスに対応。変速性能に不満を感じる事は皆無だった。
リアのギヤは10速になり、ディレイラーはやはりシマノ・ディオーレでSGS付きのシャドウ+となる。ダイナシスに対応。変速性能に不満を感じる事は皆無だった。
油圧ディスクブレーキは、テクトロのAurigaでローター径はφ180mmを装備。フォークの設計上は、φ203mmまで取付可能になっている。コントロール性に問題はなく、良く出来たブレーキ。
油圧ディスクブレーキは、テクトロのAurigaでローター径はφ180mmを装備。フォークの設計上は、φ203mmまで取付可能になっている。コントロール性に問題はなく、良く出来たブレーキ。
リアのブレーキも、テクトロのAurigaでローター径はφ180mm。リアも180mmを選択しているところに、本機のキャラクターを窺い知る事が出来る。リアサスペンション構造はこのようになり、ユニットはフローティングされる。VPKとはだいぶ異なる。
リアのブレーキも、テクトロのAurigaでローター径はφ180mm。リアも180mmを選択しているところに、本機のキャラクターを窺い知る事が出来る。リアサスペンション構造はこのようになり、ユニットはフローティングされる。VPKとはだいぶ異なる。
ステムがMERIDA pro OS 5となっているが、あのコントロールテック製を使っている。妥協はない。本機もヘッドチューブはテーパードになり、カチッとしたハンドリングが得られる。
ステムがMERIDA pro OS 5となっているが、あのコントロールテック製を使っている。妥協はない。本機もヘッドチューブはテーパードになり、カチッとしたハンドリングが得られる。

 

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