【トレック】甘美なオールラウンダーマウンテンバイク、新型 Fuel EX が登場。

掲載日/2019年08月19日  取材・写真/やかん
取材協力/トレック・ジャパン
 
トレック・ジャパンは、どのようなトレイルも十全に楽しめるBIKE『Fuel EX』をフルモデルチェンジし、国内では3モデルで展開する。
 
 

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

 
< リリースより >
新型Fuel EX

この度、トレック・ジャパンは、トレイルバイクの一番人気、Fuel EXをフルモデルチェンジして発表いたします。

今回、トレックの中で最も売れているフルサスバイクに、新たな特徴と大幅なアップグレードを加えました。新しいFuel EXは、マウンテンバイクのあらゆる最新テクノロジーを採用し、1台のバイクであらゆる走りを楽しみたいお客様に最適のパッケージとなっています。

フロントサスペンションは140mmとなり、130mmのリアトラベルと組み合わせ、効率的な登坂性能を損なわずに、よりテクニカルなトレイルにも対応できるようにしました。この新しいトラベル量に合わせてジオメトリーも一新し、よりオールラウンドな走りに対応します。新モデルは旧モデルと比べてヘッドアングルが寝かされ、下りでの安定性が高まっています。シートアングルは立たせ、より効率的な姿勢でペダリングできます。

トレック フューエル EX 5 2020年モデル/25万5,000円(税抜)/カラー:Slate/Trek Black

他のトレックのフルサストレイルバイクと同じく、固定式のロワーショックマウントを採用し、より高強度のチェーンステーと効率的なペダリングを実現しました。

ジオメトリーを可変させる機構、 『Mino Link』(ミノー リンク) は、 EVOリンク側に取り付けられる。ナットを回すことでの調整幅は、ヘッド角を 0.5度 ずつ。ボトムブラケットの高さは、 10mm ずつ調整できる。局部でみれば小さな数値だが、全体で見ると大きくジオメトリーは変化するという。

新型Fuel EXは、女性用モデルを展開する代わりに、全てのモデルでXS サイズを用意しました。これにより、お客様の性別、身長、走り方にかかわらず、フィットに優れたFuel EXが見つかります。

トレック フューエル EX 8 2020年モデル/38万円(税抜)/カラー:Matte Dnister/Gloss Trek Black

MとL サイズは、速くて走破性の高い29インチホイールを搭載します。XS サイズは27.5インチホイールを搭載し、小柄な方でも操作しやすく、より適したスタンドオーバー高となるようにしました。S サイズには27.5と29の両モデルを用意。これは、このサイズのホイールサイズの好みが分かれることが、調査からわかったためです。

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

どのモデルも、ドロッパーポスト、ワイドレンジの1x ドライブトレイン、グリップ力に優れた2.6インチタイヤを搭載します。

フューエル EXはフレームサイズによってホイールサイズを変えている関係で、ドロッパーポスト(ボントレガー Line Elite / フューエル EX 9.8)もストロークが分けられている。サイズ: XS , S で 100mm トラベル。 M , ML は、 150mm 。 L , XL は、 170mm となる。ケーブルは、完全内蔵式。

カーボンモデルのダウンチューブには新型Domane(編注:ロードバイク)と同様、ストレージが設けられ、パックの重さや煩わしさを気にすることなく、ツールなどを収納できます。

フューエル EX 9.8(カーボンモデル) は、今回からフレーム内側にストレージを設置。容量は意外と大きい。
内蔵ストレージ搭載 BIKE に対応した、BITS BAG 。バンク修理用キットが収まる。マウンテンバイクの場合、これに加え、チェーン切れの対策品ぐらいは入れておいたほうがよいだろう。ただ、パンク修理がこのタイプだと、チューブレスレディのホイールが宝の持ち腐れになってしまう。山中に繰り出すライダーには悩ましい点。
価格/2,400円(税抜)
サイズ/ワンサイズ
カラー/ブラック
飛び石やグラウンドヒットなどを考慮して、カーボンアーマーをダウンチューブに装備。

さらなるカスタムを楽しみたいお客様のために、Fuel EXはProject Oneでもお選びいただけます。
 
 
 


※編集部より:

 この、新生Fuel EXは、『TREK WORLD 2020』に於いて、フューエル EX 9.8 のみが関係者に先行公開された。

『TREK WORLD 2020』にて先行展示された、フューエル EX 9.8。

 そこでまず感じたのが、「相変わらずトレックの OCLV フレームは美しい」だった。

 筆者は昔、トレック本社のウォータールー(アイオワ州)に取材に行かせてもらったことがある。ヘッドオフィスだけでなく、実際に自転車(主にフレーム)の製作工場も見せてもらえたのだが、その当時から OCLV フレームは秘匿事項が多く、製造工程の撮影などは NG であった。

 しかし、カーボンレイアップの手法やポイント、塗装工程などは見ることができ、その当時からストレートに「美麗」であるとしか出てこなかった。

スポーツサイクルに於けるカーボンフレームの造詣について、トレック & OCLV が一級であり最先端であることは、論を俟たないところであろう。そもそも、率直に言って、流麗すぎる。

 今回、会場で展示されたフューエル EX 9.8 は、その技術とセンスを最新のマウンテンバイクに落とし込んだ機種と言えるだろう。

 国内展開は、このカーボンモデルの他に、アルミモデルが2つあるが、ここはぜひ奮発してフューエル EX 9.8 を狙って欲しいところだ。それだけの価値が詰まった1台になっている。

トレック フューエル EX を気に入る理由とは?
会場では一部のスペックしか公開されなかったが、現在は同社 HP でフルスペックを確認可能。

 フューエル EX シリーズは、オールラウンドなトレイルバイクを企図しているが、それはリアサスペンション機構のテクノロジーに拠るところが大きい。まず、ベースとなる『RE:aktiv』(リアクティブ)であり、進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)だ。

トレック独自の、『RE:aktiv』(リアクティブ)ダンパーを搭載。進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)も採用することで、様々な路面変化に素早く追従することが可能ということだ。
解り難いが、このユニットの下部が『Thru Shaft』(スルー シャフト)。逆転の発想で、構造は至ってシンプルということだ。

 実は、この RE:aktiv & Thru Shaft の組み合わせは、今のところフューエル EX 9.8 のみになっている。フューエル EX 8 は、 RE:aktiv のみ。フューエル EX 5 は、いずれも非搭載となってしまう。動画を見る限り、F1(モータースポーツ)のテクノロジーが投入されていて、マウンテンバイクで主要なサスペンションメーカー2社のユニットを相当にカスタマイズしているようなので、コスト高なのだろう。

 代わりに、トレックのフルサスペンション マウンテンバイク共通の、『Mino Link』(ミノー リンク)と『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)はグレードに関わらず搭載している。

リンクとアッパーアームの接続部に備わる『Mino Link』(ミノー リンク)は、回すだけでヘッドアングルとボトムブラケットハイトが変化し、クイックかナローか BIKE の特性を瞬時に変えられる。必要なのは、 5mm 六角レンチのみ。後述の内蔵ストレージにぜひ入れておこう。
『Mino Link』(ミノー リンク)は、 HIGH と LOW の2モードで用意される。
永らく、リアブレーキがサスペンションの動作に悪影響を与えるのは、マウンテンバイクでは珍しくなかった。この両者を切り離すことで、それぞれが自由に動けるのが、『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)。キャリパーをフローティング部に設置するのが肝のようで、特許技術でもあるそうだ。

 先に触れた、カーボンモデル限定の、内蔵ストレージは待望の機能であろう。

カーボン素材を使ったマウンテンバイクフレームで他社が先行していた、ダウンチューブのストレージ機能を、フューエル EX OCLV カーボンモデルで採用。
ボトルケージとアクセスドアは一体で、つまり素早くアクセスできる場所にある。ドアはしっかり閉まり、それでも泥だらけのグローブをはめたままで開閉が容易。

 現状は、同社の上級モデルに於いても採用しているのはこのフューエル EX 9.8 のみで、もちろんデメリットがなければ今後も採用車種は増えるだろうが、もしもコスト面が高いハードルになっているのだとしたら、しばらくは本機のみかもしれない。筆者は、とにかく背中に荷物を背負うのが嫌いなので、常日頃からサイクルジャージのポケットのみか、欲張ってもサドルバッグで対応している。

 公道も含め、身体の動きを阻害する要素は排除したい傾向にあり、このストレージ機能は甚く魅力的に映る。

足回りは、かつてのダウンヒルモデルに匹敵するワイド設計。ドロップアウトのブースト規格は、フロントが 110mm 、リアが 148mm となる。サイズ: XS , S では 27.5 を。 S , M , ML , L , XL では、29インチの用意となる。
トップエンドモデルになるフューエル EX 9.8 は、ホイールまでもがカーボン。驚くのが、『カーボンケア・ホイールプログラム』というものが用意され、
「ボントレガーのカーボンホイールを最初の購入から 2 年以内に不測にも壊してしまった場合、私たちが無料で修理または交換する」
という内容。お解りの通り、ハードな走行や大きな転倒で破損した場合に効力を発揮するという、通常とは逆のサービス。トレックは「安全性」にとかく敏感なメーカーで、その「らしさ」が表れている。
このような、トレールを主に駆け回る BIKE では、チェーンリングはもはやシングルのみ。しかも、デバイスレスという進歩。サスペンション機構やチェーンと歯の進化により、チェーンが猛烈に暴れなくなったり外れにくくなった所以であろう。丁数は、 32T 。クランク長は、フレームサイズ: XS , S で 170mm 。 M , ML , L , XL は、 175mm 。
リア周りは最近のトレンドである、クイックタイプだがスルーアクスル、且つブースト規格、という仕様。数値はブーストが 148mm、アクスルは 12mm 。カセットは 12 速で、 10-50T 。

 もうひとつ触れておきたいのが、『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)。筆者は、しばらくトレックBIKEは触れていなかったので未見の機構であったのだが、これに拠るストレートなダウンチューブが、とにかく美しい。

独自の『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)を開発したことで、真っ直ぐなダウンチューブ設計が可能になった。これは、特殊なステム、ヘッドセットトップキャップ、スペーサー、それにフレーム側に内蔵されるチップで構成され、ハンドルを目一杯切り込んでも、フォークのクラウン部分がダウンチューブに接触する前にロックされ、双方がノーダメージで済むようになっている。

『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)の詳細。黄色の箇所がシステムで、写真は、目一杯ハンドルを右に切り込んだ状態。赤色の箇所は見事にダウンチューブと接触していない。能力的には、ストレートなダウンチューブは高剛性を維持しながら過度に重くならないフレームを設計できるということだが、個人的にはあの曲がったダウンチューブが嫌いなので、これは大歓迎。なお、あまりに大きな衝撃が加わった時は、ノックブロックは自己崩壊しライダーへのダメージを軽減する。そのため、ダウンチューブには衝撃吸収バンパーは備わる。

 
 

 
 なお、以前の Top Fuel の紹介記事でも書いたが、特に小柄で手足が短い日本人にとって、サイズ選びはことさらに重要。

 幸いに、フューエル EX シリーズは、 XS からの用意があり、この適応身長は 137.0〜155.0cm 、股下は 64.0〜73.0cm 。ひとつ上の S は、 153.0〜162.0cm , 72.0〜76.0cm 。 S サイズになると 29 インチホイールが選択でき、こちらに優位性を感じている筆者(身長 156cm )などは選択をしてしまいそうだが、注意したいのがハンドルまでの遠さ。案外、ここは見逃されがちかもしれなく、通説では 29 インチはどうしてもこの“実効トップチューブ長”が伸びる傾向にある。

 KNOCK BLOCK の手前、ステムが専用品になってしまうので、この辺りは注意して、実車を前によく確認したほうがよいだろう。

 ちなみに、ステム長は、サイズ: XS , S で 40mm 。 M , ML , L , XL は、 50mm が初期設定。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【シマノ】マウンテンバイク用コンポーネンツ『DEORE XT』『SLX』がリア12速となりモデルチェンジ。

シマノセールスは、 マウンテンバイク用コンポーネンツの新製品として、『DEORE XT』M8100シリーズと『SLX』M7100シリーズを発表した。
 
 
< リリースより >
マウンテンバイクコンポーネンツの最高峰「XTR」のコンセプトとテクノロジーを受け継ぎ、リア12段変速を採用した高性能なグループセットとして生まれ変わる
 
シマノのマウンテンバイクコンポーネンツの最上位シリーズである「XTR」のコンセプトとテクノロジーを受け継ぎ、「DEORE XT」と「SLX」がモデルチェンジいたします。

今回のモデルチェンジにより、「DEORE XT」「SLX」共に、1×12スピード、2×12スピードに対応。変速時の衝撃を抑え、変速時間を大幅に短縮する新ドライブトレイン「HYPERGRIDE+(ハイパーグライドプラス)」や、チェーンリングの専用形状によりチェーン保持力がアップする「DYNAMIC CHAIN ENGAGEMENT+(ダイナミックチェーンエンゲージメントプラス)」など、最新のテクノロジーを採用しています。
 
 
■DEORE XTについて
1982年に発売されたマウンテンバイクコンポーネンツ「DEORE XT」は、ライダーのニーズや冒険への探求心を満たすために、性能と耐久性を向上させながら、進化を続けてきた歴史のあるシリーズです。その「DEORE XT」へ、マウンテンバイクコンポーネンツの最高峰「XTR」M9100シリーズの最新技術を投入。更なる進化を遂げ、多様化するマウンテンバイクシーンを強力にサポートします。
 

シマノ 【DEORE XT】M8100シリーズ 

 
■SLXについて
「SLX」は、より多くのライダー、より幅広いマウンテンバイクのライディングスタイルに対応するグループセットとして展開しています。
 
シマノ 【SLX】M7100シリーズ

 
 
「DEORE XT」M8100シリーズ、「SLX」M7100シリーズ共通の特長
1.チェーンリングの専用形状によりチェーン保持力がアップした「DYNAMIC CHAIN ENGAGEMENT+(ダイナミックチェーンエンゲージメントプラス)」
フロントシングルにおいても、様々なライディングスタイルに対応するために開発された特殊な歯先のチェーンリング。荒れた地形でも、チェーンが外れ難くスムーズなペダリングが可能となり、どのギアであってもチェーンがしっかり噛み合うことによって、摩耗を低減し耐久性を高めています。
 
シマノ DEORE XT「FC-M8100-1」フロントチェーンホイール/1万5,285円(税抜)

 
シマノ SLX「FC-M7100-1」フロントチェーンホイール/1万367円(税抜)

 
 
2.変速時の衝撃を抑え、変速時間を短縮するドライブトレイン「HYPERGRIDE+(ハイパーグライドプラス)」
どのようなフィールドにおいてもスピード、シフト効率、滑らかさを追及してドライブトレインをデザイン。カセットスプロケットとチェーンに施されたその最新のテクノロジーは、変速にかかる時間をこれまでの約1/3に短縮し、変速時の衝撃も抑制。あらゆる地形でもスムーズなライディングが可能です。
 
シマノ DEORE XT「CS-M8100-12」カセットスプロケット/1万5,590円(税抜)

 
シマノ SLX「CS-M7100-12」カセットスプロケット/9,934円(税抜)

 
 
3.レバーの取付位置をあらゆるライダーに合わせて最適化できる「I-spec EV(アイスペック イーブイ)」
幅広いサイクリストにフィットすると共に、高い操作性を提供するためにシフトレバーとブレーキの形状を徹底的に見直し。取付位置の調整範囲が広く、一体感のあるスッキリとしたハンドル周りを実現します。
 
シマノ DEORE XT「SL-M8100-IR」シフトレバー/5,969円(税抜 – 右レバーのみ)

 
シマノ DEORE XT「BL-M8100」ブレーキレバー/1万3,700円(税抜 – 左右セット)

 
シマノ SLX「BL-M7100」ブレーキレバー/1万1,649円(税抜 – 左右セット)

 
 
4.フロントシングル用のリアディレイラーは最大51Tまで対応
フロントシングル用のSGSタイプはリア10-51Tのカセットスプロケットに対応。フロントダブル用としてリア10-45Tに対応するリアディレイラーもご用意。ギアレンジがより広くなることによって、路面状況に合わせて最適なギアが選択できます。
 
シマノ DEORE XT「RD-M8100-SGS」リアディレイラー/1万1,140円(税抜)

 
シマノ SLX「RD-M7100-SGS」リアディレイラー/7,405円(税抜)

 
 
5.フリーハブボディには軽くコンパクトな新規格MICRO SPLINE(マイクロスプライン)を採用
重量を軽減するために軽量なアルミ製のフリーハブボディを採用、小型化にも成功し10Tのトップギアに対応いたしました。より小型でよりきめ細かいスプラインは、カセットスプロケットによるアルミ製フリーハブボディへの影響を軽減しています。
DEORE XTシリーズではトータルで自転車のデザインをして頂けるようフリーハブだけでなく、チューブレスホイール(WH-M8100-TL/WH-M8120-TL)もご用意しております。
 
シマノ DEORE XT「FH-M8110-B」フリーハブ/9,286円〜1万633円(税抜)

 
シマノ SLX「FH-M7110-B」フリーハブ/7,646円(税抜)

 
 
「DEORE XT」シリーズからは3種類のペダルが登場
 
XCレース用に最適化されたSPDペダル「PD-M8100」
シマノ DEORE XT「PD-M8100」/1万64円(税抜)

 
シューズの接触面がワイドでトレイル走行やエンデューロに最適なSPDペダル「PD-M8120」
シマノ DEORE XT「PD-M8120」/1万645円(税抜)

 
グリップ力とロングライド時の快適性、効率性を高めた凹型プラットフォームを採用したフラットペダル「PD-M8140」
シマノ DEORE XT「PD-M8140」/1万237円(税抜)

 
 
 


※編集部より:
 とうとう、SLXグレードまで12速が降りてきた。筆者が初めてマウンテンバイクに触れた時代はまだ7速であり、もはや隔世の感がある。しかし、シングルスピードでトレールを駆けてみればすぐに解るが、荒れ地や激しい起伏でのシフト操作は、思った以上に指先に神経を持っていかれていることを実感する。あのシフト操作が片指だけでも開放されるということは、想像以上にライン取りやペダリングに集中できる。貢献度は高い筈だ。

 また、今回からSLXにも165mmのクランク長が用意されることになった。古くから自分は165mm派で、その為に、常にディオーレXTが一番安いクランクの選択肢だった。これは大いに嬉しい。日本人は、短いクランクの方がアドバンテージがある、と個人的には思っている。

 そのクランクに用意されるチェーンリングは、30,32,34Tで専用品。ディオーレXTのクランクについては、従来どおり165mmから設定。リングは、28,30,32,34,36Tとやや幅広い設定で、やはり専用品。シマノのフロントシングル仕様はデバイスなしでも外れにくいことで有名なので、なるべく純正での組み合わせが良いだろう。
 12速に対応した新しいカセットスプロケットは、ディオーレXT、SLXともに10-45Tと10-51Tの用意。材質については、今のところ未公開。シルバー部とブラック部で異なると予想されるが。

 ディスクブレーキは、ディオーレXT、SLXともに対向2ピストンと4ピストンがあり。ここも昔は、4ピストンは一部のダウンヒル用にしか設定がなく、昨今の激化するクロスカントリーコースの状況を感じ取れる。マラソン系の活況も、理由のひとつであろう。
 ハブ周りは、すべてセンターロックのみ。個人的には、やや不安。ディオーレXT、SLXともに、28Hと32Hの用意がある。ディスクブレーキローターは、ディオーレXTに140〜203mmの設定。もちろん、アイステクノロジーフリーザー仕様だ。M7100シリーズのSLXについては、資料が見当たらなかった。

 変速性能に於いては圧倒的に他社を引き離す高性能を誇る同社製品だけに、12速対応の新シリーズはミドル以上のライダーには福音であろう。対応するフレームを持つユーザーが素直に羨ましい。
 なお、今回の一連の新製品群については、すべて重量が未公開。(やかん)


 
 
発売時期/DEORE XT M8100シリーズ 2019年6月14日
 SLX M7100シリーズ 2019年7月予定
 
 
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TEL/0570-031961