【トレック】甘美なオールラウンダーマウンテンバイク、新型 Fuel EX が登場。

掲載日/2019年08月19日  取材・写真/やかん
取材協力/トレック・ジャパン
 
トレック・ジャパンは、どのようなトレイルも十全に楽しめるBIKE『Fuel EX』をフルモデルチェンジし、国内では3モデルで展開する。
 
 

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

 
< リリースより >
新型Fuel EX

この度、トレック・ジャパンは、トレイルバイクの一番人気、Fuel EXをフルモデルチェンジして発表いたします。

今回、トレックの中で最も売れているフルサスバイクに、新たな特徴と大幅なアップグレードを加えました。新しいFuel EXは、マウンテンバイクのあらゆる最新テクノロジーを採用し、1台のバイクであらゆる走りを楽しみたいお客様に最適のパッケージとなっています。

フロントサスペンションは140mmとなり、130mmのリアトラベルと組み合わせ、効率的な登坂性能を損なわずに、よりテクニカルなトレイルにも対応できるようにしました。この新しいトラベル量に合わせてジオメトリーも一新し、よりオールラウンドな走りに対応します。新モデルは旧モデルと比べてヘッドアングルが寝かされ、下りでの安定性が高まっています。シートアングルは立たせ、より効率的な姿勢でペダリングできます。

トレック フューエル EX 5 2020年モデル/25万5,000円(税抜)/カラー:Slate/Trek Black

他のトレックのフルサストレイルバイクと同じく、固定式のロワーショックマウントを採用し、より高強度のチェーンステーと効率的なペダリングを実現しました。

ジオメトリーを可変させる機構、 『Mino Link』(ミノー リンク) は、 EVOリンク側に取り付けられる。ナットを回すことでの調整幅は、ヘッド角を 0.5度 ずつ。ボトムブラケットの高さは、 10mm ずつ調整できる。局部でみれば小さな数値だが、全体で見ると大きくジオメトリーは変化するという。

新型Fuel EXは、女性用モデルを展開する代わりに、全てのモデルでXS サイズを用意しました。これにより、お客様の性別、身長、走り方にかかわらず、フィットに優れたFuel EXが見つかります。

トレック フューエル EX 8 2020年モデル/38万円(税抜)/カラー:Matte Dnister/Gloss Trek Black

MとL サイズは、速くて走破性の高い29インチホイールを搭載します。XS サイズは27.5インチホイールを搭載し、小柄な方でも操作しやすく、より適したスタンドオーバー高となるようにしました。S サイズには27.5と29の両モデルを用意。これは、このサイズのホイールサイズの好みが分かれることが、調査からわかったためです。

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

どのモデルも、ドロッパーポスト、ワイドレンジの1x ドライブトレイン、グリップ力に優れた2.6インチタイヤを搭載します。

フューエル EXはフレームサイズによってホイールサイズを変えている関係で、ドロッパーポスト(ボントレガー Line Elite / フューエル EX 9.8)もストロークが分けられている。サイズ: XS , S で 100mm トラベル。 M , ML は、 150mm 。 L , XL は、 170mm となる。ケーブルは、完全内蔵式。

カーボンモデルのダウンチューブには新型Domane(編注:ロードバイク)と同様、ストレージが設けられ、パックの重さや煩わしさを気にすることなく、ツールなどを収納できます。

フューエル EX 9.8(カーボンモデル) は、今回からフレーム内側にストレージを設置。容量は意外と大きい。
内蔵ストレージ搭載 BIKE に対応した、BITS BAG 。バンク修理用キットが収まる。マウンテンバイクの場合、これに加え、チェーン切れの対策品ぐらいは入れておいたほうがよいだろう。ただ、パンク修理がこのタイプだと、チューブレスレディのホイールが宝の持ち腐れになってしまう。山中に繰り出すライダーには悩ましい点。
価格/2,400円(税抜)
サイズ/ワンサイズ
カラー/ブラック
飛び石やグラウンドヒットなどを考慮して、カーボンアーマーをダウンチューブに装備。

さらなるカスタムを楽しみたいお客様のために、Fuel EXはProject Oneでもお選びいただけます。
 
 
 


※編集部より:

 この、新生Fuel EXは、『TREK WORLD 2020』に於いて、フューエル EX 9.8 のみが関係者に先行公開された。

『TREK WORLD 2020』にて先行展示された、フューエル EX 9.8。

 そこでまず感じたのが、「相変わらずトレックの OCLV フレームは美しい」だった。

 筆者は昔、トレック本社のウォータールー(アイオワ州)に取材に行かせてもらったことがある。ヘッドオフィスだけでなく、実際に自転車(主にフレーム)の製作工場も見せてもらえたのだが、その当時から OCLV フレームは秘匿事項が多く、製造工程の撮影などは NG であった。

 しかし、カーボンレイアップの手法やポイント、塗装工程などは見ることができ、その当時からストレートに「美麗」であるとしか出てこなかった。

スポーツサイクルに於けるカーボンフレームの造詣について、トレック & OCLV が一級であり最先端であることは、論を俟たないところであろう。そもそも、率直に言って、流麗すぎる。

 今回、会場で展示されたフューエル EX 9.8 は、その技術とセンスを最新のマウンテンバイクに落とし込んだ機種と言えるだろう。

 国内展開は、このカーボンモデルの他に、アルミモデルが2つあるが、ここはぜひ奮発してフューエル EX 9.8 を狙って欲しいところだ。それだけの価値が詰まった1台になっている。

トレック フューエル EX を気に入る理由とは?
会場では一部のスペックしか公開されなかったが、現在は同社 HP でフルスペックを確認可能。

 フューエル EX シリーズは、オールラウンドなトレイルバイクを企図しているが、それはリアサスペンション機構のテクノロジーに拠るところが大きい。まず、ベースとなる『RE:aktiv』(リアクティブ)であり、進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)だ。

トレック独自の、『RE:aktiv』(リアクティブ)ダンパーを搭載。進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)も採用することで、様々な路面変化に素早く追従することが可能ということだ。
解り難いが、このユニットの下部が『Thru Shaft』(スルー シャフト)。逆転の発想で、構造は至ってシンプルということだ。

 実は、この RE:aktiv & Thru Shaft の組み合わせは、今のところフューエル EX 9.8 のみになっている。フューエル EX 8 は、 RE:aktiv のみ。フューエル EX 5 は、いずれも非搭載となってしまう。動画を見る限り、F1(モータースポーツ)のテクノロジーが投入されていて、マウンテンバイクで主要なサスペンションメーカー2社のユニットを相当にカスタマイズしているようなので、コスト高なのだろう。

 代わりに、トレックのフルサスペンション マウンテンバイク共通の、『Mino Link』(ミノー リンク)と『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)はグレードに関わらず搭載している。

リンクとアッパーアームの接続部に備わる『Mino Link』(ミノー リンク)は、回すだけでヘッドアングルとボトムブラケットハイトが変化し、クイックかナローか BIKE の特性を瞬時に変えられる。必要なのは、 5mm 六角レンチのみ。後述の内蔵ストレージにぜひ入れておこう。
『Mino Link』(ミノー リンク)は、 HIGH と LOW の2モードで用意される。
永らく、リアブレーキがサスペンションの動作に悪影響を与えるのは、マウンテンバイクでは珍しくなかった。この両者を切り離すことで、それぞれが自由に動けるのが、『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)。キャリパーをフローティング部に設置するのが肝のようで、特許技術でもあるそうだ。

 先に触れた、カーボンモデル限定の、内蔵ストレージは待望の機能であろう。

カーボン素材を使ったマウンテンバイクフレームで他社が先行していた、ダウンチューブのストレージ機能を、フューエル EX OCLV カーボンモデルで採用。
ボトルケージとアクセスドアは一体で、つまり素早くアクセスできる場所にある。ドアはしっかり閉まり、それでも泥だらけのグローブをはめたままで開閉が容易。

 現状は、同社の上級モデルに於いても採用しているのはこのフューエル EX 9.8 のみで、もちろんデメリットがなければ今後も採用車種は増えるだろうが、もしもコスト面が高いハードルになっているのだとしたら、しばらくは本機のみかもしれない。筆者は、とにかく背中に荷物を背負うのが嫌いなので、常日頃からサイクルジャージのポケットのみか、欲張ってもサドルバッグで対応している。

 公道も含め、身体の動きを阻害する要素は排除したい傾向にあり、このストレージ機能は甚く魅力的に映る。

足回りは、かつてのダウンヒルモデルに匹敵するワイド設計。ドロップアウトのブースト規格は、フロントが 110mm 、リアが 148mm となる。サイズ: XS , S では 27.5 を。 S , M , ML , L , XL では、29インチの用意となる。
トップエンドモデルになるフューエル EX 9.8 は、ホイールまでもがカーボン。驚くのが、『カーボンケア・ホイールプログラム』というものが用意され、
「ボントレガーのカーボンホイールを最初の購入から 2 年以内に不測にも壊してしまった場合、私たちが無料で修理または交換する」
という内容。お解りの通り、ハードな走行や大きな転倒で破損した場合に効力を発揮するという、通常とは逆のサービス。トレックは「安全性」にとかく敏感なメーカーで、その「らしさ」が表れている。
このような、トレールを主に駆け回る BIKE では、チェーンリングはもはやシングルのみ。しかも、デバイスレスという進歩。サスペンション機構やチェーンと歯の進化により、チェーンが猛烈に暴れなくなったり外れにくくなった所以であろう。丁数は、 32T 。クランク長は、フレームサイズ: XS , S で 170mm 。 M , ML , L , XL は、 175mm 。
リア周りは最近のトレンドである、クイックタイプだがスルーアクスル、且つブースト規格、という仕様。数値はブーストが 148mm、アクスルは 12mm 。カセットは 12 速で、 10-50T 。

 もうひとつ触れておきたいのが、『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)。筆者は、しばらくトレックBIKEは触れていなかったので未見の機構であったのだが、これに拠るストレートなダウンチューブが、とにかく美しい。

独自の『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)を開発したことで、真っ直ぐなダウンチューブ設計が可能になった。これは、特殊なステム、ヘッドセットトップキャップ、スペーサー、それにフレーム側に内蔵されるチップで構成され、ハンドルを目一杯切り込んでも、フォークのクラウン部分がダウンチューブに接触する前にロックされ、双方がノーダメージで済むようになっている。

『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)の詳細。黄色の箇所がシステムで、写真は、目一杯ハンドルを右に切り込んだ状態。赤色の箇所は見事にダウンチューブと接触していない。能力的には、ストレートなダウンチューブは高剛性を維持しながら過度に重くならないフレームを設計できるということだが、個人的にはあの曲がったダウンチューブが嫌いなので、これは大歓迎。なお、あまりに大きな衝撃が加わった時は、ノックブロックは自己崩壊しライダーへのダメージを軽減する。そのため、ダウンチューブには衝撃吸収バンパーは備わる。

 
 

 
 なお、以前の Top Fuel の紹介記事でも書いたが、特に小柄で手足が短い日本人にとって、サイズ選びはことさらに重要。

 幸いに、フューエル EX シリーズは、 XS からの用意があり、この適応身長は 137.0〜155.0cm 、股下は 64.0〜73.0cm 。ひとつ上の S は、 153.0〜162.0cm , 72.0〜76.0cm 。 S サイズになると 29 インチホイールが選択でき、こちらに優位性を感じている筆者(身長 156cm )などは選択をしてしまいそうだが、注意したいのがハンドルまでの遠さ。案外、ここは見逃されがちかもしれなく、通説では 29 インチはどうしてもこの“実効トップチューブ長”が伸びる傾向にある。

 KNOCK BLOCK の手前、ステムが専用品になってしまうので、この辺りは注意して、実車を前によく確認したほうがよいだろう。

 ちなみに、ステム長は、サイズ: XS , S で 40mm 。 M , ML , L , XL は、 50mm が初期設定。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

■Enduro Shock Needle Bearing KitをFOXユニットに取り付ける

ひとつ前の投稿でキット(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)の説明はしましたので、今回は実際の取付け方法を細かく紹介していきます。

掲載日:2013年03月18日 ※本記事は転載に加筆修正したものです。

取材協力/グルーヴィーインターナショナル

精密で繊細な部品なので
作業は専門店に頼むのがベター

ひとつ前の投稿でキット(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)の説明はしましたので、今回は実際の取付け方法を細かく紹介していきます。

写真を中心に進めて行きますので、お付き合い下さい。

 


わざわざ速達で送って頂いた紙封筒を開けますと、中には小さなEnduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)がポツンと1個。


ぼくが使うFOX(フォックス)のユニット、バニラRは特殊な構造で、下側しかエンドアイ(アイレット)が存在しないので、キットは1つで充分です。普通はもう1つ必要になります。ちなみに、マウンテンバイクフレームは、SCHWINN(シュゥィン)・4 BANGER(バンガー)です。


まずはFOX(フォックス)純正のレデューサーとDUを見ていきましょう(右部品の傷は無視して下さい)。


この様な部品が左右均等に嵌め込まれています。ガッチリ嵌っていて、これは回転などまったくしません。これがレデューサーと言うようです。


Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)と並べてみると、幅など同じに見えます。正確には、FOX純正は幅22mmですが、キットにジャストサイズの用意はなく、21.90mmの商品になります。後述しますが、結果的にこれで問題ありませんでした。


FOX(フォックス)の標準仕様は、このボルトというかピンというのかな部品がエンドアイの部分を貫通します。お互いにベアリングのような物は存在せず、単に金属同士が擦れ合うだけの構造です。


Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)を横から見ると、中にスリーブのような物があります。


それぞれのマウンテンバイクで使うボルト(ピン)によるのでしょうが、今回の場合はマウンテンバイクに付属するボルト(ピン)の径がちょうどこのスリーブと同じだったので、Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)に付いているスリーブは使いません(右の取り外した部品)。


FOX(フォックス)純正の部品同士の組合せ。ご覧のように、本当にダイレクトに通すだけです。グリスアップが必須かと思います。


ボルト(ピン)はこのように、左右で連結されます。ボルトとユニットの隙間が、フレームの台座分になります。


Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)をバラして中身を見ると、ニードルローラーが見えます。モトクロッサーで見慣れている身としては、そそる光景です。シールするブッシュは、左右で2個ずつになります。


今回題材としたFOX(フォックス)のユニットは、上部の部品位置を変える事でマウンテンバイクの車高が変わり特性に違いが出るようなのですが、車両(シュゥィン・4バンガー)の入手経緯が特殊で説明書などがなく、適当に乗っていたのですが、これを機に、必死で当時の説明書を探しました。

結果的に、オール画像のものだけweb上で見つかり、仕方なく英字を必死で手入力し、つたない翻訳をしました。要約すると、trunnionという部品を上に上げると車高が上がり路面からのヒットは少なくなり、ヘッドアングルも立つのでハンドリングがクイックになる。下げると逆で、車高が下がり重心も落ちるので安定性が高まり、ハンドリングはアングルが寝るので鈍くなる、という事でした。今回は、基準値より少し下げ目の設置にする事にしました。

さて、次は標準の部品を取り外さなければいけません。レデューサーなるものは、再使用しないのであれば、スパナなどでガッチリ挟み込んでグリグリ回しながら外せます。ぼくは一応、当て布をして取りましたが、それでも傷は付きました(上から4番目の写真、右側のレデューサー)。そして、当初、これだけ取ればEnduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)が嵌るんだろう、と思っていたら違いました。中に更に何かスリーブのような物が嵌っていて、これの径がキットと同寸です。さては、これがDUという部品ですね。

更に、これもぴったりとユニット本体に埋め込まれていて、しかも出っ張りなどがないので、外すのは素人にはお手上げっぽいです。色々やってみましたが、やはり無理なので、専門店にレスキュー。近所のマウンテンバイクプロショップに電話をして、可否を尋ねました。すると、「ああ、取れるよ。あの、赤い色が付いている部品でしょ?」と即答。すぐに作業してもらう事にしました。


マウンテンバイクプロショップにて。これが専用の工具。先日の投稿でそういえば、■専用工具 Enduro Shock eye bushing replacement tool with needle driver という物も紹介しました。どうやら、これが必要だったようです。ただ、この先も落とし穴がもう1個あったので、基本的に交換作業は専門店に頼むのがベターです。


専用工具をあてがい、万力に挟みます。


万力でそぅと押していくと、


無事に(DUと言うのでしょうか)取れました。しっかり嵌っていて、専用工具なしでは絶対に取れません。要注意。


そして、次の落とし穴。DUなるものがしっかり嵌っていた、という事は、Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)自体も手では入れられないのです。やはり、専用工具で圧入する必要があります。


もし個人でやる場合、注意点がひとつ。このタイプの部品はかならずどちらかの淵が僅かに丸くなっていて、入りやすくなっています。そちらから圧入して下さい。反対側(面の立っている方)は、何かしらの文字が入っている事が多いそうです。


こちらもそっうと圧入して行って、


さあ、入りました。嗚呼、ニードルローラーの格好いい事! 個人的には惚れ惚れの光景です。


これが面の立っている側です。ENDUROと、小さく文字が入っています。なお、この状態になると当然、外側から力が掛かっていなかった時よりも径は僅かですが縮まっているので、シャフトを通すと動きがやや渋いです。

ぼくは、オリジナルで標準のグリスに加え、スリックハニーを溢れるぐらい塗って、更にトリフローVを適宜差して、相当クルクル回るようにしました。季節にもよりますが、グリスだけだと動きが渋いかもしれません。初めは固くても、乗っているうちに抵抗で温度が上がり、スムーズに動くようになる可能性もありますが。


念のため、重さの比較。Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)は、15.9g(一番内側のスリーブは抜いています)。


FOX(フォクス)純正のDUとレデューサーの組み合わせで、10.4g。やはり、僅かに重くはなります。その分の効果はあると思いますが。


蛇足で、取り付けるマウンテンバイク、シュゥィン・4バンガー。これは極端ですが、ユニット長を縮めるとBB(ボトムブラケット)部を中心に車高が下がります。


おもいっきり伸ばすと車高はかなり上がります。ヘッドアングルも当然変わってきます。


今回は説明書に書かれている中庸よりやや下げぐらい(といってもmm単位)でセットする事にします。


上側のtrunnion固定箇所を綺麗にします。ベアリングなどは一切、入っていません。


下側も綺麗にします。特に今回は新品のEnduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)が入りますので、入念です。


上側は、このような樹脂ブッシュがスイングアームとユニットの間に挟まります。自己潤滑性の樹脂だと思うのですが、ある意味、今のFOXのリアショック用新型マウンティングキットに近いのかもしれません。


このように嵌めて、trunnionに接します。前はグリスを塗っていましたが、新型マウンティングキット同様にノングリスで今回はいってみます。この手の部品にグリスを付けると、逆効果な事が多いみたいなので、そのためです。


Enduro Shock Needle Bearing Kit(エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット)側も取付け出来ました。外側に2つラバーブッシュがあるので、多少の公差は問題ないようです。規定の幅よりやや短くてもOK。ガタもまったくありません。

 

という事で、取付け工程の紹介は終わりです。

さて、乗り味の変化はあるのでしょうか。それは、また後日で。その前にちょっとした動画をお届け出来ればと思います。お楽しみに。

やかん

 

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■サスペンションの動きを向上させるスペシャルアイテム Enduro Shock Needle Bearing Kit

今回紹介するアイテムは、マウンテンバイクで使用するリアショックのマウント部に入れる、ベアリングキットです。とても小さな部品なのですが、作動性を良くする働きをします。

掲載日:2013年03月15日 ※本記事は転載に加筆修正したものです。

取材協力/グルーヴィーインターナショナル

リアサスペンションの
最良チューニング

今回紹介するアイテムは、マウンテンバイクで使用するリアショックのマウント部に入れる、ベアリングキットです。とても小さな部品なのですが、作動性を良くする働きをします。

ユニットを使うリアサスペンション機構は(テレスコピックでない)、必ず支持部が存在し、そこはある程度の回転をします。通常は、ユニットの両端部がそれにあたります(エンドアイと言うメーカーもあります)。この部分の動きは細かく見ればサスペンションの動きに影響を与え、動きが悪ければストロークを妨げる抵抗を発生していると言えます。モトクロッサー(オフロード用モーターサイクル)ではこの部分は常にグリスアップが必要な箇所で、グリス切れをおこすとリアサスペンションの動きはほぼ止まります(沈んだまま戻らなくなる)。

今まで、マウンテンバイクではあまりその点については話題に上がらなかったと思います。

ところが、ここ最近、日本ではマウンテンバイク用サスペンションの始祖とも言えるロックショックスと人気を二分するフォックスレーシングショックス(ともにUSA)が、この部分の抵抗を限りなく小さくする『リアショック用新型マウンティングキット』という物をリリースしました。

これはフォックス社のリアショック用新型マウンティングキット。

日本代理店では以下のように説明しています。
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従来のレデューサーとDUの組み合わせよりも、約50%ほど摩擦抵抗が少なくなりました。
素早くサスペンションユニットの位相を変えることによって理想に近い角度で衝撃を受けることができるため、小さな衝撃に対しても反応することが可能です。
リンケージ(リンク)が小型化・複雑化しているトレンドに合わせた改良とお考えください。

ツールいらずでシャフトを抜くことができます。
また土や水などの侵入を防ぐための設計がされており、従来のレデューサーとDUの組み合わせよりも10倍近い寿命を持っています。
★―――――――――――――――――――――――――――――――★
素晴らしいアイテムに思えます。

ただ、懐疑的なユーザー(SHOP含む)も多いようです。そんな小さな部分の僅か50%の低減など、何に影響するのだと。

しかし、個人的にはモトクロッサーで、リンク周りのグリスアップをするのとしないのとでは、まったくリアサスペンションの動きは違い、抵抗はより少ない方が良い、という考えを持っていました。

ぼくは、フォックスのリアショックを使っているマウンテンバイクを1台持っているので、そこで、この新型キットを導入しようか検討していました。すると、他所のメーカーからも「似たような商品が出ます」という案内を頂戴しました。

それが、今回紹介する『エンデューロ ショック ニードル ベアリング キット』です。モデル名はエンデューロ用を指すのではなく、エンデューロ・ベアリング社というメーカー(USA)が出している商品だからのネーミングです。

まずは、写真を見てもらうのが手っ取り早い思います。

フォックス社純正のキットが、樹脂系の素材で構成され低抵抗を実現しているのに対して、エンデューロ社の物は、リンク周りのベアリングとしてはオーソドックスなニードルローラーを使用しています。先述のモトクロッサーやオフロードトレールバイクの多くもニードルローラーを採用しています。

フォックス社の純正キット。

エンデューロ社のキット。

この、モーターサイクルでの導入事例を知っていたからこそ、ぼくはエンデューロ社のキットに興味をより強く持ちました。マウンテンバイクより遥かに重く、それだけ加わる力も大きい衝撃を支えながらリアサスペンション周りをスムーズに動かすのに、長年ニードルローラーを採用しているわけですから、構造的にアドバンテージがそれだけある、という事の表れとも思うのです。

ニードルローラーベアリングは、ユーザークリーニングは必要ですがメンテナンスが容易であるという利点もあります。マウンテンバイクのリンク(ピボット)で多く採用されるシールドベアリングは、耐久性や性能で優る点が多いのでしょうが、文字の通りシールドされているので、メンテナンスは相当困難です。新品と打ち替えるのが一般的かと思います。その点、ニードルローラーは簡単にベアリングにアクセス出来るので、手間さえ惜しまなければ積極的にグリスアップして、いつでも最良の状態にしておけます。もっとも、フォックス純正はそれすらも不要なのですが(そもそもグリス禁止)。

そういう事で、長くなりましたが、このエンデューロ社の紹介文も日本代理店からもので紹介します。
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● Enduro Shock Needle Bearing Kit 取扱い開始!

ちっちゃいけれど、大きな仕事します!
Enduro社より、リアサスペンションの動きを滑らかにするショックニードルベアリングキットが発売されました。
本国ではもうちょっと前から販売されていたのですが、テストしてまして、ちょっと遅れて販売開始です!
従来のDUブッシュの代わりにローラーニードルベアリングを使うことにより、動きが格段に向上します。
フレームによっては、エアボリュームの調整をやり直さなければならないくらい動きが向上します。
一般的な外形15mm x 幅12.7mm規格のショックユニットに適合します。
価格も1,260円〜(記事掲載時点)とお求め易くなっており、対費用効果抜群の製品です!

デメリットは、ニードルローラーベアリングは、構造上泥の進入を許しやすい点です。
キットにはラバーシールドスペーサーが付属し、泥および埃の進入を防ぐ対策が施されています。
製品は5/100mm単位で正確に作られておりますが、フレーム側の精度によっては軸とシールドスペーサーの間に隙間ができる場合がございます。
このような場合、ニードルローラーベアリングに泥等が進入しやすくなりますが、このキットが不良ではございません。
したがって、このような場合、日本の気候風土では、頻繁に定期的なメンテナンスを必要とします。
上記理由により、泥の進入などによる回転不良や錆およびボトムアウト等による想定外の衝撃による破損などにつきましては、補償対象外となります。
構造と相手側精度をご理解の上、オススメください。
お求め易い価格ですので、消耗品として割り切ってご使用いただければ幸いです。

※備考
上記内容ですと、すぐに駄目なるかのごとく書いておりますが、私のクロカンバイクに3か月装着しておりますが、今のところトラブルはございません。
11月雨の日に一度40kmほど未舗装路を走り、今までノーメンテですが不具合はありません。
数件の販売店様にも試験運用頂きましたが、今のところトラブルは出ておりません。

■専用工具

Enduro Shock eye bushing replacement tool with needle driver
希望小売価格:10,290円/税込(記事掲載時点)

■対応リアユニット
FOX SHOCKS(ALL)
ROCKSHOX MONARCH AND VIVID SERIES
ROCKSHOX ARIO SHOCKS 2010以降
MARZOCCHI ROCO
MANITOU SHOCKS 2011以降
ELKA SHOCKS(ALL)
X-FUSION SHOCKS 2011以降

■Enduro Shock Needle Kit 小売価格表(記事掲載時点)
※注意:キットは1アイレット分です。1つのサスペンションに2セット必要となります。

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以上です。フォックスレーシングショックス以外の製品にも対応しているのもGoodですね。

なお、この案内をいただいたのは2013年1月22日。オイオイ、放置し過ぎじゃねぇか、なのですが、それはぼくのマウンテンバイクに取り付けるキットが手元に届いていなかったからなのです。

この度、無事自分用のキットが届いたのでレビュー前の予告として商品の案内をさせていただきました。早速取り付けや検証をしてみて、後日レポートします。お楽しみに!

やかん

 

 

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