【カワサキ】オフロードレーサーKXシリーズに新型KX112とリファインKX85 Lが登場

掲載日/2021年6月17日  文/やかん

アメリカなどでは発表のあったオフロードレーサー(要はモトクロッサー)の KX シリーズに、排気量を 100 cc から 112 cc に拡大した KX112 と、それに合わせて一部がリファインされた KX85 L が登場した。簡単ではあるが、それらについて見ていきたい。

KX112 のあらまし


 KX112 とは、どんなマシンなのだろうか? 有り体に言ってしまえば、モトクロッサー小排気量クラスのパワーアップ版だ。メーカーでも、フワッとした概要を発表しているので、以下に記したい。

【 KX112 】
新しい KX112 は、111 cm³ に排気量をアップした 2 ストローク単気筒エンジンを搭載し、小排気量クラスでの戦闘力を向上。大幅に向上したエンジン性能に加え、モトクロスを始めた若年層のみならず、より幅広いライダーの体格にフィットするようシュラウド形状を変更しています。 また、エンジンやトランスミッションの耐久性を向上させたほか、ダンロップ製の MX33 タイヤを採用。さらにカワサキの KX ファクトリーレースマシンをイメージした印象的なスタイリングも実現しています。

■従来モデル( KX100 )からの主な変更点

  • 排気量を拡大し、低回転域でのトルクが強化された 111 cm³ 2 ストローク単気筒エンジン
  • エンジンのパワーアップに合わせて、強化されたトランスミッション
  • 車体とのフィット感を高めつつ、導風による冷却効果を向上した新設計シュラウド
  • エルゴノミクスパッケージと、精悍で機能的なルックスを両立させたアグレッシブ KX ルックス
  • 標準装備されたダンロップ MX33 タイヤ

※従来からの『主な特長』は省略。

▲カワサキ KX112 45万1,000円 (税4万1,000円込) 2021年9月17日(金)発売予定

 ほぼ、想像通りの中身だと思う。写真を見ると、元から KX85 のエンジン上部にはかなり余裕があったので、エンジンを縦に少し伸ばすのは無理はなかっただろうが、結果、KX112 は、ストロークを 5.8 mm 延長することで排気量を拡大している。これによる効果は、全体的なパワーアップだけでなく、特に低回転域のトルクが高く(太く)なっている。

▲全回転域でパワーとトルクが向上。ピークパワーは約5%アップしている。低回転域のトルクが高くなったことは、扱いやすさにプラスにはたらく。なお、低回転域のトルク増強は排気量アップが要因なだけでなく、吸排気ポートのタイミング見直しも図られた結果。

 2 ストロークエンジンの小排気量モデルは、特性上、どうしてもキャラクターがピーキーになりがちで、また、低回転域ではトルクが細めになる傾向がある。かといって、アクセルを開けると急激なパワーカーブによりオフロードでは虚しく路面を掻くだけが専ら。繊細なアクセルワークやリヤタイヤへの荷重コントロールがスリッピーな路面になればなるほど要求されるが、それとは別に、絶対的なパワー不足といった一面もライダーによってはある。

▲エンジンのパワーアップに合わせて、新設計の6速トランスミッションを採用。新エンジンに合わせ、キャブレターセッティングも変更&最適化。
▲コネクティングロッドも延長(92mm⇒99mm)し、ピストンにかかる横方向の力を減衰。より効率的なパワー発生に寄与する。ほか、ロングストローク化によるクランクピンのオフセット増大に合わせ、クランクシャフトのウェブ径を4mm拡大。剛性と信頼性を向上させている。

 KX112 は体格の大きなライダーの使用もかなり意識しているようで、物理的に乗車体重が増した時のトルクアップでのコントロール性の向上や戦闘力アップを狙ってもいるのかもしれない。

日本国内での活躍の場はどこか

 ただしこれは、KX100 が日本国内で発売された時も思ったが、このマシンの使いみち、活躍の場はどこか? という点である。モトクロスに限ってしまえば、MFJ の地方戦でも関東ローカルの MCFAJ でも 112 cc は『フルサイズ』扱いになってしまう。パワーだけでなく、フロント 19 インチ、リア 16 インチのタイヤサイズも、これでは分が悪い。

▲様々な体格のライダーに対応できるよう新設計されたシュラウド。背の高いライダーでもマシンにフィットしやすくなったという。

 筆者の予想では、モトクロスが盛んな欧米はそもそもの体格が日本人より大きく、しかしフルサイズモトクロッサーではまださすがに、という世代も当然いて、今回、改名となった KX85 L (旧名、KX85 – II )とそれの中間、移行用の練習車という位置付けなのだと思う。
 しかし、それをそのまま日本に持ち込んで、商機があるのか。モトクロッサーは、公道車のような販売計画台数は公表されないので、腹の中は解らないが。

▲排気量アップに伴い、ピストンプロファイルを変更し焼付きを低減。ピストンリングの接触面も再設計され、初期馴染み期間における摩耗低減性能を向上。エンジン自体の耐久性にも手を入れたかたちだ。
▲フルサイズモトクロッサーと同様のペタルディスクブレーキを前後に継続採用。
▲ダンロップ製MX33タイヤを標準装備。MX33は、ややソフト路面用。筆者は長年、ダンロップタイヤを愛用していて、ミディアム特性のMX53の前モデル、MX52を履いているが常に良好。
▲ハンドルバー位置を6ポジションから選択可能な構造は、従来から継続。市場の評判が良いのだろう。

名称と共にリファインされた KX85 L

 翻って、まだ販売台数が見込める KX85 L(旧 KX85 – II)に、この KX112 に盛り込まれた改修部が採用されることになった。その殆どは機関周りで、パワーアップに応じて改良された箇所を、生産ラインの共通化によるコスト吸収を狙って取り入れたのだろう。

▲カワサキ KX85 L 40万1,500円 (税3万6,500円込) 2021年9月17日(金)発売予定

 そうはいっても、どれも重要な部分であるので歓迎したい流れだ。

 メーカー発表の概要は、次のとおり。

【 KX85・KX85 L 】
KX85・KX85 L は高い剛性を誇るペリメターフレームに 84 cm³ のパワフルな 2 ストロークエンジンを搭載。インナーチューブ径 36 mm の倒立フロントフォーク、ユニトラックリヤサスペンションなど充実した装備との組み合わせは優れたパフォーマンスを発揮します。2022 年モデルでは、新たにエンジンやトランスミッションの耐久性向上、ダンロップ製タイヤ MX33 の装着のほか、新シュラウド採用よる優れたフィット感と冷却効率、シャープなスタイリングを実現。未来のチャンピオンを表彰台の頂点へと導くためのマシンとして、より進化を遂げています。フロント 17 インチ、リヤ 14 インチの KX85 に加え、フロント 19 インチ、リヤ 16 インチの大径ホイールを採用した KX85 L も同時にラインナップしています。

■主な変更点

  • KX112 での改良点を採用したエンジン・トランスミッション
  • 車体とのフィット感を高めつつ、導風による冷却効果を向上した新設計シュラウド
  • エルゴノミクスパッケージと、精悍で機能的なイメージを両立させたアグレッシブな KX ルックス
  • 車名の変更「 KX85 – II 」→「 KX85 L 」

※こちらも、従来からの『主な特長』は省略。

 これだと詳細が解らないので、別資料より引っ張る。KX112 と共有される改良点は、次のとおり。

▲KX112のエンジンパワーアップに合わせて新設計された6速トランスミッションを、KX85 Lでも採用。
  • スモールエンドニードルベアリングのリテーナーを強化。さらにビッグエンドニードルベアリングの負荷容量を高めることで、KX112 エンジンの高出力化に対応する信頼性を獲得している。
  • 走行風をより効率的にラジエータへ送る新シュラウドデザインが、冷却性能向上に寄与。
  • KX112 エンジンのパワーアップに合わせて、新設計の 6 速トランスミッションを採用。KX85 および KX85 L にも同様の変更を適用する。
▲KX85 Lも、KX112で採用された新型シュラウドを装備する。

 つまり、基本的には排気量アップによるカロリー増に応えたものになる。KX85 L で足を引っ張ることは考えられないので、例えば「そろそろ買い替えかな」と考えているユーザーには好材料となる。

時代を捉える必要性

 2022 年度用として新登場した KX112 に対しては、かなり辛口の紹介にはなってしまったが、出せば売れる、良い物を作れば売れる、という時代はとうに過ぎ、ましてやこういった分野への風当たりがなおも強くなる世相では、単に手放しで「新製品です」「期待が持てます」といった紋切り型の記事では、それこそ通用しない。

▲カワサキ KX85 L 40万1,500円 (税3万6,500円込) 2021年9月17日(金)発売予定

 話題として取り上げる訳だから筆者はオフロードもモトクロスも好きだが、世間からの様々な締め付けは厳しくなる一方で、そういった中で惰性的にイヤーモデルを出すのか、そうでないのかも含め、自分の好きな趣味が今後も共存と発展をし続けるには道筋を考え続けなければならない。

 そういった意味では、今回の 2 台に取材用車輌が用意されないのは残念。実際に乗って、立ち位置を見定めることができないからである。

 裏を返せば、日本国内の台所事情として、メーカーの採算ベースには載らない、ということだ。個人的には、まだ 1998 年製の KX80 – IIに乗っているので、今回のリファインを期に、さすがにそろそろ KX85 L を買いたいところではあるが。

  

  

【 KX112 主要諸元 】

▲カワサキ KX112 45万1,000円 (税4万1,000円込) 2021年9月17日(金)発売予定


車名/KX112
全長x全幅x全高/1,920 mm × 765 mm × 1,150 mm
軸間距離/1,310 mm
最低地上高/330 mm
シート高/870 mm
キャスター/トレール/29.0° / 108 mm
エンジン種類/弁方式/水冷 2 ストローク単気筒/ピストンリードバルブ
総排気量/111 cm³
内径x行程/圧縮比/52.5 mm × 51.6 mm / 9.9:1 (低回転) ・ 8.6:1 (高回転)
始動方式/プライマリキック
点火方式/デジタル CDI
潤滑方式/混合( 32:1 )
ギヤオイル容量/0.7 L
燃料供給方式/キャブレター KEIHIN PWK28
トランスミッション形式/常噛 6 段リターン
クラッチ形式/湿式多板
ギヤ・レシオ/1 速/2.538( 33 / 13 )
2速/1.875( 30 / 16 )
3速/1.500( 27 / 18 )
4速/1.250( 25 / 20 )
5速/1.090( 24 / 22 )
6速/0.956( 22 / 23 )
一次減速比 / 二次減速比/3.400( 68 / 20 ) / 3.923( 51 / 13 )
フレーム形式/ペリメター(高張力鋼)
懸架方式/前 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 36 mm )、後 スイングアーム(ユニトラック)
ホイールトラベル/前 275 mm、後 275 mm
タイヤサイズ/前 70 / 100 – 19 42M、後 90 / 100 – 16 51M
ホイールサイズ/前 19 × 1.40、後 16 × 1.85
ブレーキ形式/前 シングルディスク 220 mm(外径)、後 シングルディスク 184 mm(外径)
ステアリングアングル(左/右)/45° / 45°
車両重量/77.0 kg
燃料タンク容量/5.0 L
カラー/ライムグリーン(GN1 )
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。

  

  

【 KX85 L主要諸元 】

▲カワサキ KX85 L 40万1,500円 (税3万6,500円込) 2021年9月17日(金)発売予定


車名/KX85 L
全長x全幅x全高/1,920mm×765mm×1,150mm
軸間距離/1,310mm
最低地上高/330mm
シート高/870mm
キャスター/トレール/29.0°/ 108mm
エンジン種類/弁方式/水冷2ストローク単気筒/ピストンリードバルブ
総排気量/84cm³
内径x行程/圧縮比/48.5mm×45.8mm/10.9:1(低回転)・9.0:1(高回転)
始動方式/プライマリキック
点火方式/デジタル CDI
潤滑方式/混合(32:1)
ギヤオイル容量/0.7L
燃料供給方式/キャブレター KEIHIN PWK28
トランスミッション形式/常噛6段リターン
クラッチ形式/湿式多板
ギヤ・レシオ/1速/2.538 (33/13)
2速/1.875 (30/16)
3速/1.500 (27/18)
4速/1.250 (25/20)
5速/1.090 (24/22)
6速/0.956 (22/23)
一次減速比 / 二次減速比/3.400(68/20)/3.923(51/13)
フレーム形式/ペリメター(高張力鋼)
懸架方式/前/テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 36mm)
後/スイングアーム(ユニトラック)
ホイールトラベル/前/275mm
後/275mm
タイヤサイズ/前/70/100-19 42M
後/90/100-16 51M
ホイールサイズ/前/19×1.40
後/16×1.85
ブレーキ形式/前/シングルディスク 220mm (外径)
後/シングルディスク 184mm (外径)
ステアリングアングル (左/右)/45°/ 45°
車両重量/77.0kg
燃料タンク容量/5.0L
カラー/ライムグリーン(GN1)
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。

  

  

  

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156 cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)と、住まいはモノで溢れている。モーターサイクルは、KLX250SR(’95)と KX80 – II(’98)を所有。

  • 当サイトに含まれるすべてのコンテンツ(記事・画像・動画・イラストなど)の無断転用は、商用、個人使用を問わず一切禁じます。
    © yakan_Dirt & MOTO All rights reserved.

【マウンテンバイク】2020年でも買える折り紙付き26インチタイヤ(MTBタイヤカタログ その2)

新たに取材ができましたので、追加のマウンテンバイク用 26 インチタイヤを紹介します。(MTBタイヤカタログ&ガイド)

掲載日/2020年3月15日  取材・写真・文/やかん
取材協力/サイクルパーツ合同展示会、井上ゴム工業、パナレーサー、マルイ

 

 予想外に好評でした 1 回目の実力派 26 インチタイヤ特集。あれから新たに取材ができましたので、追加のマウンテンバイク用 26 インチタイヤを紹介したいと思います。

 今回は、ほとんどが日本ブランド & 国内生産なので、ある意味、国内の土質に合っているのではないでしょうか?

 

アイアールシー( IRC )

 あとに上げるパナレーサーと合わせて、古くから日本のスポーツサイクル用タイヤの、特にレースタイヤの能力向上を牽引してきた片翼。最大の違いは、IRC はモーターサイクルのタイヤも多く手掛けていること。特にオフロード分野には強く、その意味でもマウンテンバイク用タイヤに寄せる期待と信頼は大きい。開発陣での、自転車とモーターサイクルの情報共有はあるようだ。


◇ミトス XC(MYTHOS XC)

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)サイズ比較

 まず、この時世に幅違いで 3 種類ラインナップしていることを称賛したい。古くからある、クロスカントリーレースに於ける定番タイヤで、サイズ展開はその名残とも言える。メーカー曰く、「XC レースで勝つ!」ことを至上タスクとして開発されたレース直系のモデル。
 センターからショルダーのブロックを 2 段形状にして、剛性と耐摩耗性をキープしたままに小型・軽量化。それでいて、グリップ性能と耐パンク性能を疎かにはしていない。
 昨今の高速系コースでは太めをチョイスしたくなるが、後輪のみ軽さを狙って細めを履く、というのもひとつ。ブロックパターンが各サイズごとの専用設計になっていて、それぞれのパフォーマンスを最大限に引き出せるよう配置を最適化しているとのことなので、レース用途では事前のテストをお勧めしたい。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/53 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/525g

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)

サイズ/26 × 2.10
ETRTO/57 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/595g

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)

サイズ/26 × 2.25
ETRTO/60 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/610g
価格/5,060円 / 共通(10%税込み)
すべて、折り畳み可能

 


◇ミブロ – X(MIBRO – X)

アイアールシー(IRC) ミブロ-X(MIBRO-X)

 オールラウンド特性のマウンテンバイク用タイヤである『ミブロ』をベースに、さらにエキストリームな使い方(IRC では“アソビ”と表現)に対応させた、アドバンスドグレード。従来品であるミブロのパターンを徹底的にチューンナップし、ハードパックな路面でも音を上げない剛性を得た。グリップ性能にも優れる。
 なお、2.40 サイズより 2.25 の方が重いのは、タイヤ内部の構造が違うため。2.25 サイズには、ビード部にゴムを入れてこの付近の強度を持たせたブレーカーが使われている。

サイズ/26 × 2.25
ETRTO/60 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/875g

サイズ/26 × 2.40
ETRTO/100 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/770g
価格/5,060円 / 共通(10%税込み)
どちらも、折り畳み可能

 


◇ブリロ(BRILLO)

アイアールシー(IRC) ブリロ(BRILLO)

 マウンテンバイクのルックスやイメージを損なわない、ということで同社ではアーバン向けにカテゴライズされる街乗り用ブロックタイヤ。だが、筆者は 10 年以上使い続けていてダートでの性能になんら問題のないことを確認している。
 ポイントは耐久性と価格だが、その分、重量はどうしても犠牲になっている。センターリッジのパターンになっていて、転がり抵抗を軽減。耐久性に優れたゴムでサイドをカバー & 強化してもいる。スチールビードなので、折り畳みはできない。

アイアールシー(IRC) ブリロ(BRILLO)

サイズ/26 × 1.75
ETRTO/47 – 559
コンパウンド/−
重量/790g
価格/オープン(実勢価格 3,000円 前後)

サイズ/26 × 2.00
ETRTO/54 – 559
コンパウンド/−
重量/900g
価格/オープン(実勢価格 3,000円 前後)

 

 なお、ミブロ for マラソン チューブレスレディ(MIBRO for MARATHON TUBELESS READY) サイズ/26 ×2.25(19635E)は、廃番とのこと。残念!

 

 

パナレーサー( Panaracer )

 先に紹介したアイアールシーと共に、国内レースシーン用タイヤの両翼を担う存在。26 インチタイヤの数は 1 モデルのみとなってしまったが、以前から決戦用チューブやコストパフォーマンスに優れたタイヤレバーなど、周辺アイテムの充実が目立つ。近年は、新タイプの空気入れを開発し(ワンタッチポンプ)、ラインナップを増やしてもいる。


◇マッハ SS(Mach SS)

パナレーサー(Panaracer) マッハ SS(Mach SS)

 高速系マウンテンバイク用タイヤの走りともなった、マッハシリーズ。『SS』は、その中でも最も低抵抗のセミスリックトレッドモデルとなる。見た目はグリップ力に劣るように感じるが、当時からよく考えられたパターンで問題はない。基本的にはハード & ドライコンディション用のタイヤなので、マディでの挙動は事前にテストしておくのが望ましい。
 全体的に耐久性にも優れているため、ロングライフという面でも魅力が強い。コンパウンドは、特に名称はないが耐摩耗に優れた物を採用。ケーシングは、太いナイロンコードを使用した『800D Strong Cord(800D 強化コード)』。ビード部に、厚みのあるチェーファを採用し(ASB Chafer / アンチスネークバイト チェーファ)、耐リム打ちパンクに優れる。
 ビード自体はスチールなので、折り畳みはできない。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/53 – 559
コンパウンド/−
重量/650g
価格/3,279円(10%税込み)

 

 

タイオガ(TIOGA)

 かつては、国産で良質なタイヤを多く出していた三ツ星に委託したレース用マウンテンバイクモデルをラインナップ。現在は、三ツ星のタイヤ事業廃業により、かなり後退。その中でも、今回紹介する 1 モデルだけは台湾で他社のレースタイヤと同じ製造ラインで作られる。


◇サイコ II(Psycho – II)

タイオガ(TIOGA) サイコ II(Psycho-II)

 過去に存在したタイオガの名作『サイコ』の、普及モデル。路面コンディションを選ばないオールラウンド仕様で、価格を含め入門用にも最適なタイヤ。折り畳み不可。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/52 – 559
コンパウンド/AP ラバー コンパウンド
重量/710g
価格/3,080円(10%税込み)

 

 


 今回紹介するマウンテンバイク用タイヤは、これで以上になります。ほとんど過去からの継続モデルなので“チューブレスレディ”には非対応ですが、新品ゴムで 26 インチタイヤが入手できるのは助かるところであります。

 ちなみに、ある問屋の話しでは 26 インチのマウンテンバイク用タイヤは、アメリカに於いては日本比で 5 倍くらいの需要があると言います。車体自体の買い替え意欲がないのか、物を大事に使う文化なのか、判断は難しいところですが「持続可能」という言葉ばかりが踊る昨今、ひとつ、見つめ直すべき点ではないでしょうか?

 

関連:1 回目の特集

【マウンテンバイク】2020年にまだ26インチのマウンテンバイクは闘えるのか?(MTBタイヤカタログ) ※情報追記

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato

東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から爆撃機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク / モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル / スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。スポーツサイクルは、マウンテンバイク 6 台と BMX 1 台を所有。

 

 

【カワサキ】KLX230 / Rの全貌と魅力を紐解く、特濃試乗インプレッション&開発者インタビュー。(KLX230R編)

より突っ込んだ『インプレッション記事』。開発の経緯、目的、意図を尊重して『 KLX230R 』(コース専用車)を先に取り上げる。

掲載日/2020年2月17日  取材・写真・文/やかん
取材協力/カワサキモータースジャパン

 

━導入編からの続き

 さて、ではより突っ込んだ『インプレッション記事』である。

 順番的には、国内でのメインターゲットとなり得る『 KLX230 』(公道車)を紹介したくなるのだが、開発の経緯、目的、意図を尊重して『 KLX230R 』(コース専用車)を先に取り上げる。


カワサキ KLX230R(2020年モデル)
完全オールニューの、クローズドコース専用オフロードモデル。基本仕様は、同時期発売のKLX230とほぼ一緒。
価格:51万7,000円(税10%込み)、カラー:ライムグリーン、2019年10月1日発売済

都内での事前説明会に続き、試乗コースでもお話を聞かせてもらった、KLX230兄弟の開発陣。中央が、開発責任者である川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニーの和田 浩行氏。右が、エンジン設計の城崎 孝浩氏。左が、デザイナーの小林 稔氏。和田氏がかつのてオフロードブームを体験していて、その時の気持などが大きく投影されている印象を受けた。

 

何故ニュートラルポジションランプないのか甚だ疑問

 基本的な仕様は事前にアナウンスしているように、新型フレームに、同じく新型の空冷 4 ストローク 232cc SOHC 単気筒エンジンを搭載。250cc ではなく中途半端な(約)230cc になったのは、
「初中級ライダーが楽しめる走りを追求していった結果、車重を軽くする目的もあり空冷で、使い易いパワーと特性を狙いこの排気量になった」
とのこと。従来の『 KLX250 』の代わりを目指した訳ではないし、ホビーオフロードライドを企図しているので、納得かと。

KLX230兄弟の注目すべきポイントは、フレームもエンジンもオールニューであることだろう。この空冷エンジンは、《カワサキ 技術本部 第一設計部 第四課 基幹職》の城崎 孝浩氏が設計を担当。
「ハイパワーは求めないで、中低速での扱いやすいトルクと快適で自然なフィーリングを目指し、しっかり作り込みました」との談。R用は振動軽減のバランサーシャフトが入っていない、ある意味「本来の」キャラクターも持つ。

 

 そのエンジンは、キャブレターではなくフューエルインジェクションで制御され、バッテリー搭載なので始動はスイッチ 1 つで可能。

 変わっているのは、ハンドルクランプ部(センター)にメインスイッチがあること。まずここを ON にしないと、右側のスタートスイッチを押しても始動はしない(ボタン色はグレー)。キルスイッチは、一般的な左ハンドルに(ボタン色はレッド)。

KLX230Rは言ってみれば「レーサー」なので、鍵(キー)はない。ハンドルクランプ近傍にあるのが、メインスイッチになる。左は給油、右はインジェクションエラーランプ。

始動関連は、このようになる。ハンドルクランプ部のメインスイッチを押さないと、インジェクションシステムも起動しない。

 

 このキルスイッチというのは、パドック(※)に戻ってきた時にエンジンを停止させる使い方のほか( R はキーレスなので)、コース上で転倒して後輪の回転が止まらず危険を感じた時などに強制停止させる役割もある。
※ここでは駐車場を指す。

『 無印( KLX230 のこと) 』もそうなのだが、KLX230 兄弟は、何故かギヤのニュートラルポジションランプがなく、いまギヤが何速に入っているかまったく解らない欠点がある。
(モトクロッサーでは当たり前であるが、入門車としてはこれは非常に不親切に感じる。)

 よって、転倒した時にギヤをニュートラルに戻してバイクを起こす、というのは非常に難しい。これは、オフロードバイクは倒れてもかなりの確率でリアタイヤが空転した状態になるからで、かとってそのまま起こすのは危ない。初心者はクラッチレバーを握りながらマシンを起こすのも大変だと思うので、ここは落ち着いて 1 度キルスイッチで停止させ、起こすのがベター。

 KLX230R はサイドスタンドがあるので、コース脇にマシンを寄せてスタンドを立てて一呼吸するのをお薦めする。ここがやはり、KX シリーズとは違うところだろう。「安全に」「楽しむ」が 1 番で、競ったり無理なペースで走る必要はまるでないのだ。

 

クラッチの操作フィーリングは標準レベル

 これに関係するクラッチ周りだが、レバーはワイヤー引き(ハイモデルやオンロードモデルは油圧式もあるが、オフロードではワイヤーが一般的)。引きは特段重くはなく、また低速重視で割りかし粘るエンジン特性なので、クラッチミートに神経質になる必要はない。

 ただし、KLX230R はエンスト防止のため、アイドリング回転数がかなり高く、「どかんっ」とクラッチを繋ぐと少々、扱いづらい。路面状況によっては、クラッチレバーを積極的に活用し、丁寧に繋いだほうがよい。マニアックな説明だと、KLX250 シリーズに FCR キャブレターを装着した時のようなアイドリングの高さになっている。よって、路面抵抗の低い箇所で乱暴に繋ぐと、後輪が空転してしまう傾向がある。

 ほかに細かなところでは、シフトペダルが気になる。標準では取り付け角度が下を向き過ぎていて、マシンの上でボディアクションを繰り返す乗り方では、体勢が不自然になってしまう。標準よりやや上向きでセットし直したほうが、圧倒的によい。

 オフロード走行は、いくらビギナーでも『ブーツ』の着用が望ましく、そのほとんどは足首の自由度がかなり制限されるので、つま先を大きく下げるような動作はできないからだ。

KLX230Rの無印(KLX230)との違いのひとつが、先端が可倒式になっているシフトペダル。ここが動かないと、転倒時にペダルを大きく曲げてシフトチェンジできなくなったりするので、必須の機構。
ちなみに他の部品でも言えるが、この2台は基本設計が一緒なので色々なところで共用ができ……。

参考:オフロードブーツは必須。初めは、プロテクション性能よりも足首の動かし易さを選定の目安にしたい。ソールは乗り方によるが、通常はフラットタイプ。降りて土の上でマシンを押す時間が長い場合は、エンデューロタイプがよい。

 

日本人は苦しむ、拷問に近いシート高

 オフロードブーツを履いた時の足首の不自由さに関連して、今回の KLX230 兄弟の最大の懸案は、そのシート高。筆者はプレ記事でも強く指摘してきたが、実車を前にしても『 無印 』も『 R 』もかなり高い。

<参考記事リンク>
【カワサキ】公道オフローダーとして『KLX230』が新たに登場! 心臓部は空冷4ストローク SOHC 2バルブ。

 これは、そもそもの開発初期において、モトクロッサーの KX シリーズのイメージを本機にも積極的に投影しよう、という強い方向性があったからだ。KX シリーズに羨望を抱くアジア圏ユーザーの心をキャッチする目的で、KX テイストがかなり取り入れられている。そのひとつが、タンク上端からリヤフェンダーまで流麗さを感じられるスタイリングで、結果、シートの落ち込みがほぼ皆無になっている。

イメージ:カワサキ KLX230R

 

 このようなスタイリングは、そもそもはモトクロッサーでは「当たり前」であり、マシンの上で自由かつ積極的なボディアクションが阻害されないことから、基本的には「良い」とされている。その代償が「足着きの悪さ」に結実する訳で、モトクロッサーは KX シリーズに限らず、背が低く股下が短い日本人のほとんどは、足が届かない。

参考:モトクロッサーはこのようなフラットデザインが当たり前。

参考2:スタートしたら最後、ゴールまで足を着かないレーススタイルもあり、落ち込んだシートはボディアクションの妨げにしかならない、という考えが主流。

参考3:レース中は、ほぼスタンディングで、シートに座るのは短い加速でジャンプを飛ぶ時などに、意図的にリアに強い荷重を掛けるシーンなどだけ、と独特でもある。

日本人だとこのパターンは多い。後述するが、足台必須。

 

『 R 』のメインターゲットが北米マーケットであるので止むなしではあるし、タンクから極端に落ち込んだシートのオフロード車は確かに格好悪いのは事実なので、そこを市場がどう捉えるか……。

カワサキの多くのモデルを担当した経験を持つ、《カワサキ 技術本部 デザイン部 スタイリング課》のデザイナー、小林 稔氏がスタイリングを担当。見ると解るが、北米向けの実績が多く、ここからもKLX230兄弟の立ち位置が読み取れる。

 

KLX230兄弟の開発&販売目的のひとつである、「KXシリーズに羨望を抱くアジア圏ユーザにミートさせる」。そのために意図的に取り入れられたのが、『KX譲りのシート下まで伸びたロングシュラウド』。2016年に大きく変わり同社オフモデルのアイコン的存在になったが、これも小林氏によるものであった。

 

『シート下まで伸びたロングシュラウド』は、見た目の印象だけでなく、そのシームレスさから、「ライダーが移動する範囲に部品の継ぎ目がなくなったことで、引っかかりのない機能面でのメリットも出た」。

 

特徴的なライムグリーンの大型パーツがホビーオフロードマシンにも採用されている点は、効果が非常に大きいと思う。筆者個人も、この一体型のシュラウドラインは、モデルチェンジしてからずっと憧れていたルックスである。

 

小林氏によるスケッチを見れば、明確にモトクロッサーKXシリーズを意識しているのが解る。だからといって、KX85ではないところも重要なポイント。

カワサキ KLX230R

 

足着きの悪さでトレッキングは微妙?

 このような点から、発売前にイメージしたエンデューロレースでの使い方は、個人的にはやや懐疑的。やはり、モトクロッサーのように『足台』を用意して、パドックではそこからスタート。戻ってくる時用にも、事前に広い台を置いておくか手前に石などの足場を確認してから出発したほうがいい。ツワモノになると、スタートする時は片足をステップに掛けた状態で走り出し飛び乗ったり、帰ってきた時はその逆の動作で降りるが、正直スマートではないし『 R 』のターゲット層とは外れるスキル。

参考:いわゆる足台。

参考2:いわゆる足台。

 

 ファンライドやホビーレーサー向けモデルなので、コース上で転倒することは大いに考えられるし、慣れないコースを走る時、一旦止まりラインを見定めたりしたいことは多々あるので、日本人にとって、このシート高は地獄でしかない。

 筆者は身長が 156cm しかなく、取材当日の装備品含めた体重は 60kg で、ややハード目に設定されたサスペンションでは 1G’ (※)でも沈み込みはあまり期待できず、砂利からスタートした時、荷重が垂直に掛かっていない性でリアタイヤが流れ、いきなり転倒もした……。
※ワンジーダッシュ/車体全体の重みで沈んだ 1G に、ライダーがさらに跨ってその荷重が掛かった状態のこと。

 以下の動画は KLX230 のモノだが、あちらでも足着きの悪さは似たもので、終始動き回っているのは、未見のコースでは足着き場所が解らず停止できなかったため。

 湿った下り坂でいきなり派手に転倒しているのは標準のタイヤと空気圧に依るモノだが、尤も、このような局面では『 R 』ならではの特性が大きく有利にはたらく。

 

専用コースでのイージーモトクロスに好適な予感

 というのも、シート高に関してネガティブな印象を連々書いたが、ストローク豊かで硬めの足回り、クローズドコース専用(公道禁止)タイヤならではのグリップ力、保安部品がないことによる軽量な車体は、やはり戦闘力が高め。

カワサキ KLX230Rの走破力を上げている大きな要因のひとつが、標準装着のタイヤ。エンデューロにも対応するダンロップのD952を、前後に履く。

リアは、100/100-18 59Mとトレール系ではスタンダードな18インチ径。タイヤの選択肢は多いが、このD952で困ることはまったくない筈。

フロントは、80/100-21 51M。試乗車の空気圧もあるのだろうが、無印とRではこのタイヤ性能による差は大きく、KLX230Rでグリップ力に不安を抱くことは一切なかった。無印(KLX230)で走り込むひとは、ひとつ参考になるだろう。

 

 普段は KX80-II と、カスタムした KLX250SR でモトクロスをしている自分としては、確かに『 R 』はそれらの間に位置しそうな性能を持っている。ややモタっとした吹け上がりと、1 つのギヤでのパワーバンドの狭さは気になるが、逆に開け口での特性はマイルドで、かといってエンストしてしまうような線の細さは一切なく、オフロードに不慣れでアクセルワークが雑になってしまっても、急にマシンが暴れるおそれは少ない。

 

 慣れてきてアクセルを開けられるようになると、シフトアップは忙しくなるが半クラッチを覚えれば 1 速高いギヤでもエンジンは咳き込むことなく付いて来てくれるし、上がった速度に対してサスペンションもタイヤもまったく音を上げないので、安心して高いスピード域を維持できる。

筆者はオンロードにはほとんど乗らないのでピンッと来ないのだが、KLX230Rのフロントサスペンションは、きちんと左右どちらにもスプリングとダンパーが入っている。リアはリザーバータンクのないタイプだが、前後ともセッティングは当然、無印よりも硬め。

KLX230Rは走破力を高めるために無印(KLX230)よりも、サスペンションのストロークが長い。もっとも、KLX230兄弟は『R』ありきで始めたマシンでもあるので、“無印はこれよりもローダウンしたモデル”という認識が正しいのかもしれない。

 

 モトクロスをすると解るのだが、公道で快適な足回りというのはオフロードコースではほぼマイナスにはたらく。恐怖を感じるだけでなく転倒など怪我にも繋がりやすく、『 R 』はさすが、そこで破綻する気配を感じさせない。取材当日のフィールドがスピードを出すにはまったく不向きだったので、中速以上での KLX230R の能力は未知だが、その後に行なわれた販売店向け試乗会の動画を見るに、まったく問題ないようだ。

参考:試乗コースの一部。モトクロスコースのようなレイアウトではなく、ジャンプ性能などは確認できなかった。

 

 開発者はあまりジャンプは考慮していないようであったが、ホビーユース程度のジャンプなら楽しめそうなのも、ポイントは高い。オフロードコース専用車ならば、いずれは飛んでみたくなるのは自然な流れだし、ひとつの楽しみである。そこで、「はい、それは KX シリーズでやって」ではナンセンスであり、KLX230R にその心配はなさそうだ。

カワサキ KLX230Rの特徴のひとつ、リアブレーキはマスターシリンダーとリザーバータンクが一体のレーサータイプになる。フレームは無印(KLX230)とほぼ一緒なので、そちらに移植することも……?

KLX230Rはオフロード走行を重視しているので、リア周りが大きく違う。スイングアームは軽量なアルミ製で、チェーンガードも金属&樹脂のタフな物に。ホイールベースは、無印(KLX230)よりも20mm短い。ただし、サイドスタンドは標準装備なので、あらゆるシーンで便利で助かる。

燃料タンクは、レーサーでは一般的な樹脂製。キャップも、キーロック機構などのないただのねじ込み式なので、保管時は注意したい。容量は、6.5リットル。

 

お勧めはしたいが運搬手段がとにかくネック

 惜しむらくは、この KLX230R を簡単に誰彼構わずに奨めるのは、憚れるということだ。いくら「本格オフロード走行の入口車として作った」し、「これを機会にその世界に足を踏み入れて欲しい」、という開発者(和田氏)の想いはあっても、日本での運用は簡単なことではない。自走不可の障壁は大きい。KLX230 の頁でも触れるが、メンテナンスの(いい意味での)イージーさなどたいへんに工夫と気配りをされてはいるのだが、なにせトランスポーターが必須なのだから。

トランスポーター(クルマ)を使った積載&遊び方のイメージ。このハードルをどう突き崩していくかが、KLX230Rについては課題。

 

 日本はオフロード専用コースも少ないし、レンタル用としてこの車両を購入し新たな来場者に楽しんでもらえるよう整えられる運営母体もない。筆者としては、メーカー先導で、一般ユーザーに乗ってもらえる機会を作って、「本格オフロード走行(バイク)ってこんなに楽しいんだ!」と感じてもらい、その後に繋がる流れを実施してもらいたいのだが、事前説明会の時点( ’19 年 9 月)で「まったくその予定はない」、との回答であった。

 やはり、メインターゲットは北米になってしまうのだろう。非常に残念な話しなのだがそこは現実を見つめるとして、あとの頁で、この KLX230R を楽しむために金銭面を含め越えなければならない中身をシュミレートしてみようと思う。ここで一旦、『 R 』については筆を置き、国内での主要購買対象になる KLX230 に話しを移して行きたいと思う。

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から航空機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。モーターサイクルは、KLX250SR(’95)と KX80 – II(’98)を所有。

 

 

 

【カワサキ】KLX230 / Rの全貌と魅力を紐解く、特濃試乗インプレッション&開発者インタビュー。(導入編)

突如として登場した、カワサキの新型オフロードモデル、KLX230 と KLX230R について、その魅力や実力、開発の意図などについてお届けします。

掲載日/2019年10月10日  取材・写真・文/やかん
取材協力/カワサキモータースジャパン

 

 突如として登場した、カワサキの新型オフロードモデル、KLX230 と KLX230R 。本件は、この 2 車種について、これから何項かに渡ってその魅力や実力。また、開発の意図などについてお届けしたいと思う。かなりの長さになり、一気に公開とはいかないのだが、どうかお付き合い頂きたい。


カワサキ KLX230(2020年モデル)
完全オールニューの、公道走行可能オフロードモデル(主に、デュアルパーパスと呼ばれるカテゴリ)。空冷4ストローク単気筒SOHCエンジンは、排気量232cc。
価格:49万5,000円(税10%込み)、カラー:ライムグリーン、2019年10月15日発売予定

カワサキ KLX230R(2020年モデル)
こちらも完全オールニューの、クローズドコース専用オフロードモデル。基本仕様は、同時期発売のKLX230とほぼ一緒。
価格:51万7,000円(税10%込み)、カラー:ライムグリーン、2019年10月1日発売済

< 関連記事リンク >

【カワサキ】公道オフローダーとして『KLX230』が新たに登場! 心臓部は空冷4ストローク SOHC 2バルブ。

【カワサキ】新生オフローダーKLX230の兄弟モデル『KLX230R』が登場。ミドルコンペを企図した仕様変更に。

 

先に開発が始まったのは、実は KLX230R の方だった

 まず、KLX230 兄弟を語る上で大事なのは、“開発のスタートは、ストリート用のノーマルではなく、ナンバーなしの R が先であった” ということ。

 先行して、クローズドコース用のファンライドモデルを新規開発し、それをより誰もが扱える街乗り用に落とし込んでいるのだ。この順番、立ち位置を取ったのは何故か? そこにこそ、この兄弟車の目的とキャラクターが見えてくる。

 というのが、開発の本分としては、『アジア圏で盛り上がりを見せている KLX150 以上のオフロード走行、しかし、KX シリーズまでのバッキバキのレーサーまでは行かない、間に当て嵌めるべきモデルをリリースしたい』意図があったのだという。
※編注/ KLX150 は、アジア圏で売られている、オフロードスタイルのモデル。KX シリーズというのは、完全なレーサーで保安部品など一切付いてなく、もちろん公道は走れない。

参考:マレーシアで販売されている、2019年仕様のKLX150BFというモデル。日本に並行輸入すると、33万円ぐらいの価格設定のよう。

参考:こちらは、2014年仕様のKLX150Lというモデル。日本でも販売しいてたKLX125と酷似したルックスで、おそらくカワサキモータースジャパンが言う「アジア圏で盛り上がっているKLX150」とは、こちらの方が多いと想像する。


 筆者個人としては、普段から KX モトクロッサーには乗っているので、別段、KX シリーズがそれ程 “ツッパッている” とは思わないのだが、それは順当に、ハスラー 50 (スズキ/公道車)→ KLX250SR (カワサキ/公道車)→ KX80 – II (カワサキ/モトクロッサー)とステップアップして来たからかもしれない。

参考:ハスラー50はスズキがかつて販売していた50cc(2ストローク)のデュアルパーパス車で、モデルチェンジを繰り返しながら最終的にフロント21インチ、リア18インチのフルサイズにまでなった。50ccとはいえ、ピックアップの良いエンジンで、軽い車体と相俟って軽快な操作が可能だった。筆者の手元には、現在ない。

参考:KLX250は、「闘う4スト」として一世を風靡した、当時では本格のオフロード車(カテゴライズは、デュアルパーパス)。2000年代以前は正立フォークのES、写真の倒立フォークのSR、それにナンバーなしのRモデルがあり、今とは内容の異なるエンデューロレースでは人気のモデルであった。筆者のKLX250SRは、現役。

参考:KXシリーズはカワサキのモトクロッサー(レーサー)に冠されるモデル名で、KX80-IIは前後ホイールがフルサイズではない、日本ではビギナーや女性が乗る最初の本格モデル。排気量だけ見ると80ccなので御しやすいと思うのだが、ある回転域から突然吹け上がる非常にピーキーな特性で、スクーターの80ccとはまったく違う。筆者は、これも現役。

 確かに、KX80 – II に跨った初日は、いきなりフロントがまくれ上がってしまい、リアフェンダーを曲げた苦い思い出がある。“ 2 ストロークだった” というのはあるが、レーサー特有の “ある領域からの爆発的な出力カーブ” は、やはり扱いが難しい。このような流れを経験せずに、一般のひとにオフロードライドを気軽に楽しんでもらうには、KX シリーズはまったく不向きである。

 かといって、KLX150 は突き詰めると、『ルック車』と感じなくもないバイクなので、本格オフロードライドを楽しむのは厳しい。かつて国内販売があった KLX125 で筆者も体験しているが、伸び代はまったくないし、その状態で無理にハイペースで走ると付いてこない足回り、エンジンに、むしろ恐怖と危険が高まるばかりであるのだ。

<過去記事リンク>

三月は深き紅のダートを Dirt08 KLX125に教えられたこと

 なんでもそうだが、『怪我』をした時点でその趣味は「ない」、とされてしまう。ファンライドなのだから、その位の気構えで OK 。むしろ、普通である。

 

空冷エンジンを筆頭に、メンテナンスフリーも意識している

 また、後述もするが、メンテナンスサイクルの問題もある。KX シリーズは、それはハイパーマシンだし立派な足回りを持っているが、特にエンジンの整備は頻繁に行なう必要がある。最高のパフォーマンスを提供するのだから、ユーザーもそれに見合ったお世話をしろ、というのは、モトクロッサーの世界では昔から当たり前である。

 しかし、これも『ホビーでオフロードライドを楽しむ』には、まるで不向きだ。KLX230 兄弟は空冷であることも含め、良い意味で整備はダルくていいし壊れにくい。開発者は説明会で、
「乗りたい時にフラッとタイヤの空気圧見て、ガソリン確認したらすぐに問題なく乗り出せる。そういうところも企図しました」
と話していた。これは、なかなか KX シリーズではできないところだ。

 

海外が主要な市場だが、もちろん日本でも販売する理由は明確にある

 では、何故 KLX150 以上、KX 未満の KLX230R モデルを開発しようとしたのか? それは、市場動向と開発者の意図によるところがある。

 まず、このモデルのメインターゲットは、北米とアジア圏。北米は、そもそもオフロードモーターサイクルのホビー & スポーツ文化は昔から活況である。が、それでも近年は不況の煽りで翳りは出ている。楽しみたいけど、ランニングコストは抑えたい。そして、彼らでも KX シリーズまではちょっと、という向きもあるそうだ。

 次に、アジア圏。彼の地では、ここしばらくオフロードブームが続いていているのだと言う。そして、前述の通り KLX150 では、オフロードに慣れてきたユーザーにはスペック不足。ポテンシャルに伸び代がないのも、懸案事項だったという。さりとて、流石に KX シリーズは彼らにとって、おいそれと手が出せる価格帯ではない。

参考: KX250(2020年モデル) / 80万8,500円(日本価格)

 という両圏の思惑があり、さらに、開発者がかつて日本でのオフロードブームを体験した世代( 40 代前半)であって、
「当時、とても楽しかったので日本でもまた多くのひとに乗ってもらいたい(盛り上がって欲しい)」
という想いがあったという。気持ちは良く解る。

 

乗って愉しいのは事実でも、日本では越えるべき難題は少なくない

 ただし、ここで大きな問題として立ち塞がってくるのが、トランポ(トランスポーター = 要は運ぶ手段。一般的に、クルマ)問題。KLX230R はそんなにバカでかい訳ではないが、モトクロッサーのミニサイズ( KX で言うと、85-II )ほど、小さくはない。
参考値:全長/ 2,045mm、全高/ 1,200mm、重量/ 115kg

 車重もかなりあるので、リアバンパー付近に積載するには、かなり注意と工夫がいる。

参考:バンパー直後に積載する方法。

 普通に考えれば、車内積みとなってしまう。簡易トレーラを曳く、という選択肢は日本ではまず考え難い。不便なことこの上ないからだ。すると、車内高と奥行き、それにクルマのシートを上げるなどしてのそれなりの空間が必要となる。車種の制限が著しく出てきてしまう。

参考:トレーラーを牽引して積載する方法。トレーラは軽四輪扱いになり、財政面でも厳しい。

 また、多く聞かれるのが、汚れの問題だ。どうしても、土の上を走る乗り物を車内に入れるので、フロアは汚れる。昨今のクルマは化繊のファブリックが多いので、繊維に入り込んでしまった泥汚れはなかなか取れない。放置しているひともいるが、湿気の多い日本では、カビや細菌のことを考えるとまったくよろしくない。のち後、異臭の原因にもなる。

「 KLX230R は KX シリーズに比べればセルモーターもスタンドも付いているので、ラダー 1 本あれば積み降ろしできてハードルは低い」、と開発陣は言いたいかもしれないが、こう考えると、それ以外の多くの面ではやはり『導入への障壁は多い』、というのが偽らざる現実であろう。
※編注/モトクロッサーというのは、基本、キック始動 & サイドスタンドすらない。

参考:車内に積む場合、このようなラダーレールを使って荷室に上げ下げする。写真のように、中折れタイプがコンパクトになりお勧めだ。


 ただ、これもあとで触れるが、KLX230R で楽しめる世界はそれなりに甘美なモノ。これは、オフロードブーム全盛でも喧伝されていたと思うが、「爽快な刺激」や「積極性」、「達成感」は日常では到底味わえないモノで、ライトスポーツやホビーと捉えれば、猛烈に「愉しい」。カリカリのレーサーではない KLX230R なら、それを家族でも楽しめるのだ。( KX シリーズではまず無理)

 雑誌の新車紹介記事で、「ゴルフバッグがどう積める」、「いくつ積める」はラゲッジスペースの指標としてよく使われるが、ここらで、「バイクがこう積める」、「掃除のしやすさ」、などという紹介方法も織り込んでいき、再びのオフロードブームを掻き立てるのも、我々の役目かもしれない。

 KLX230R は前述のとおり、整備にはそれほど気を使わなくてよいので(開発陣のお墨付き)、運搬手段と掃除、家族と楽しむ(理解を得る)、さえクリアできれば、価格を超えた満足感と非日常が手軽に体験できるようになる。

(イメージ)カワサキ KLX230R 2020年モデル

 おもちゃは用意されたので、それをどう使うか。次の項からは、そういったことも考えながらの試乗インプレッション記事を、開発者の声とともにお届けしたいと思う。

 しばし、お待ちあれ。

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。モーターサイクルは、KLX250SR(’95)と KX80 – II(’98)を所有。

 

 

 

【 特記 】先行して KLX230 のオフロードコース試乗動画が出来上がっているので、貼り付けておきます。

 

 

【AMAスーパークロス】2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第13戦 ヒューストン 結果&データ。

2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第13戦 ヒューストン 結果&データ。

 

Photo/Simon Cudby
現状、最もシリーズタイトルに近いクーパー・ウェブ(Red Bull KTM)が、ここでもその強さを見せ付けた。僚友のM・ムスキャンも総合2位だが、脅かすところまでは迫っていない。

 

2019年3月30日(土)・決勝
開催地:テキサス州ヒューストン
会場:NRGスタジアム

順位 ゼッケンナンバー 氏名 マシン M1-M2-M3順位

450SX
1 2 クーパー・ウェブ KTM 450 SX-F Factory Edit 2-1-3
2 25 マービン・ムスキャン KTM 450 SX-F Factory Edit 5-3-1
3 15 ディーン・ウィルソン ハスクバーナ FC450 3-2-5

※本戦は、2018年に導入された決勝3レース制(トリプルクラウン・フォーマット)が採用された為、タイムの代わりに各レースの順位を表記(2019年は3回目で、今回がラスト)。

 

Photo/Simon Cudby
昨シーズンのタイトルホルダーであるJ・アンダーソンの負傷代役として、シリーズ途中から抜擢されたディーン・ウィルソン(Rockstar Energy Husqvarna Factory Racing)が、ここで奮闘。総合3位を獲得。

今期3回目のトリプルクラウン開催となった、本ラウンド。ケン・ロクスン(Team Honda HRC)は、予選/レース1と好調を見せるが、レース2で他車との接触転倒で負傷、リタイアとなってしまう。それでもシリーズランキングを見据え、レース3は出走。

完全に負の連鎖に嵌ってしまった、Monster Energy Yamaha Factory Racing Team。エース格ながら負傷続きのジャスティン・バーシアは、レース2の最中、フープスで大きなクラッシュを喫し、肩を再び痛めリタイア。

負傷欠場しているA・プレシンジャーの代役であるジョシュ・グラントは、やはりレース2でトリプルのジャンプで転倒&負傷。自身の役割を理解し再走を試みたが、怪我の度合いは酷くリタイア。エース2人がレース3を諦める結果に。

 

 

250SX
1 34 ディラン・フェランディス ヤマハ YZ250F 2-1-2
2 31 RJ・ハンプシャー ホンダ CRF 250 3-2-4
3 39 コルト・ニコルズ ヤマハ YZ250F 5-4-1

 

ヤマハ勢にとっては唯一の好材料である、250SXライダーの大活躍。本ラウンドは、#34 ディラン・フェランディス(Monster Energy Star Yamaha Racing)が優勝し、シリーズ2連勝を飾った。チームメイトの#39 コルト・ニコルズも、総合3位に入る力強さを見せた。

 

 

AMA Pro Racing

 

【AMAスーパークロス】2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第12戦 シアトル 結果&データ。

2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第12戦 シアトル 結果&データ。

 

Photo/Simon Cudby
2連勝を決めた、マービン・ムスキャン(Red Bull KTM)。が、赤旗を無視したとして、7ポイント減点のペナルティが科された。このラウンドは、シリーズランキングを猛追したいE・トマックとK・ロクスンがポディウム圏内だが、ムスキャンのアドバンテージはまだ揺るがない。

 

2019年3月23日(土)・決勝
開催地:ワシントン州シアトル
会場:センチュリーリンク・フィールド

順位 ゼッケンナンバー 氏名 マシン タイム/差

450SX
1 25 マービン・ムスキャン KTM 450 SX-F Factory Edit 20:50.835
2 94 ケン・ロクスン ホンダ CRF450R +02.361
3 3 イーライ・トマック カワサキ KX450 +07.407

 

ここ終盤になって、ケン・ロクスン(Team Honda HRC)の歯車が再び噛み合って来たようだ。ヒート1からの好調のままメインレースもスタートから快走を続け、2位フィニッシュ。シリーズランキングの望みを繋いだ。

苦戦が続く、Monster Energy/Yamaha Factory Racing Teamの450SXクラス。怪我が癒えていないジャスティン・バーシアは、再度のクラッシュ。代役のJ・グラントに至っては、予選落ちの結果。

 

 

250SX(ウエスト)
1 34 ディラン・フェランディス ヤマハ YZ250F 16:22.024
2 92 アダム・シアンサルーロ カワサキ KX 250 +00.571
3 64 ジミー・デコティス スズキ RM-Z250 +23.247

 

再びウエストに切り替わった250SXでは、Monster Energy/Star/Yamaha Racingのディラン・フェランディスが、自身初となる本クラス初勝利をあげた。フェランディスはフレンチライダーだが、ヤマハだとD・ビーラマンを思い出す。

©Suzuki Motor Corporation 2004-2019
250SXクラスで気を吐くスズキ勢。本ラウンドは、ジミー・デコティス(JGRMX Yoshimura)がオープニングラップからリーダーを快走。その後、スローダウンするも3位フィニッシュ。

 

 

AMA Pro Racing

 

【ショウエイ】VFX-WRにレプリカモデル、『ブレイトン』が追加に。

ショウエイのオフロード用ヘルメットの新型であるVFX-WRに、レプリカモデルが追加されることとなった。
 
 
< リリースより >
VFXシリーズのアグレッシブで斬新なスタイリングを継承し、SHOEIの新技術を注ぎ込み革新的進化を遂げたVFX-WRに、Justin Brayton選手のレプリカモデル”BRAYTON”(ブレイトン)を新たにラインナップ。
 
【 VFX-WR BRAYTON 】(ブレイトン)
価格/6万円 (税別)
規格/JIS規格、MFJ公認
カラー/TC-1(RED/BLACK)
サイズ/S(55cm)、M(57cm)、L(59cm)、XL(61cm)、XXL(63cm)
構造/AIM+(AIM+:Advanced Integrated Matrix Plus Multi-Fiber)
強靱なガラス繊維と3次元形状とした有機繊維の複合積層構造を基に、高い弾性性能を持つ高性能有機繊維をプラス、軽量でありながらも剛性弾性に優れる高性能なシェル構造。
付属品:バイザー、バイザースクリュー、布袋、マッドガード、バイザー反射防止シート
2019年5月発売予定
 

SHOEI VFX-WR BRAYTON TC-1

SHOEI VFX-WR BRAYTON TC-1

ジャスティン・ブレイトン選手。

 
 
[ 問い合わせ先 ]
問い合わせフォームより
http://jp.shoei.com/inquiry/ja/form.php
 
 

【AMAスーパークロス】2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第11戦 インディアナポリス 結果&データ。

2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第11戦 インディアナポリス 結果&データ。

 

Photo/Simon Cudby
トラックウォークの時点でパッシングポイントの少なさに声が上がっていたが、マービン・ムスキャン(Red Bull KTM)にとってはホールショットを決めたことで、有利なレース運びになった。

 

2019年3月16日(土)・決勝
開催地:インディアナ州インディアナポリス
会場:ルーカスオイル・スタジアム

順位 ゼッケンナンバー 氏名 マシン タイム/差

450SX
1 25 マービン・ムスキャン KTM 450 SX-F Factory Edit 21:15.596
2 4 ブレイク・バゲット KTM 450 SX-F Factory Edit +02.449
3 2 クーパー・ウェブ KTM 450 SX-F Factory Edit +05.298

 

強いジャスティン・バーシア(Monster Energy/Yamaha Factory Racing)が、戻ってきた。復帰戦を5位で終え、まずまずの仕上がりをアピール。前戦で負傷したA・プレシンジャーは、かかとを負傷し欠場。

完全に精彩を欠いてしまった、ホンダ勢。ケン・ロクスン(Team Honda HRC)は、例年のような怪我によりシーズンを棒に振ることはないが、長引く風邪などで本調子が出ない様子。シリーズランキングを考えると、ここが踏ん張りどころ。

Photo/Simon Cudby
KTM勢で占められた450SXクラスの表彰台。今期、どこかのラウンドでも見た光景だ。どうだろうか?

 

 

250SX
1 24 オースティン・フォークナー カワサキ KX 250F 16:37.170
2 23 チェース・セクストン ホンダ CRF 250 +06.289
3 32 ジャスティン・クーパー ヤマハ YZ250F +09.098

 

250SX参戦中のジャスティン・クーパー(Monster Energy Star Yamaha Racing)が、激闘の末に今期4回目となるポディウムフィニッシュを果たした。僚友のM・オルデンバーグも4位でフィニッシュし、ヤマハ勢にとっては良いニュース。

 

 

AMA Pro Racing

 

【AMAスーパークロス】2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第10戦 デイトナ 結果&データ。

2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第10戦 デイトナ 結果&データ。

 

Photo/Simon Cudby

 

2019年3月9日(土)・決勝
開催地:フロリダ州デイトナビーチ
会場:デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ

順位 ゼッケンナンバー 氏名 マシン タイム/差

450SX
1 3 イーライ・トマック カワサキ KX450 21:28.282
2 2 クーパー・ウェブ KTM 450 SX-F Factory Edit +06.889
3 25 マービン・ムスキャン KTM 450 SX-F Factory Edit +12.291

 

ケン・ロクスン(Team Honda HRC)にとっては3年ぶりとなったデイトナラウンドであるが、やはり2年ぶりになるC・シーリーとなんと2コーナーで接触&転倒。最後尾スタートとなり、8位フィニッシュ。ランキングを4位に後退させてしまった。

僚友のJ・バーシアが再度の負傷欠場の為、ルーキーながらMonster Energy/Yamaha Factory Racing Teamのメインライダーとして今シーズン奮戦して来たアーロン・プレシンジャー。しかしここに来て、彼にもイエローシグナル。メインイベント序盤にクラッシュを喫し、リタイアを余儀なくされてしまった。

Photo/Simon Cudby
Photo/Simon Cudby
本ラウドは珍しいかたちとして、250SXウエストに参戦中のシェイン・マケラス(KTM)が、450SXクラスに250マシンで出場した。チームライダー全員が負傷での不参加による救済措置。結果は、+59.061落ちの12位!

 

 

250SX
1 24 オースティン・フォークナー カワサキ KX 250F 16:53.421
2 23 チェース・セクストン ホンダ CRF 250 +05.906
3 32 ジャスティン・クーパー ヤマハ YZ250F +15.036

 

250SXでは、Monster Energy Star Yamaha Racingのジャスティン・クーパーが、今シーズン3回目となるポディウムフィニッシュ(3位)を決めた。

©Suzuki Motor Corporation 2004-2019
今期のスズキは、250SXでの活躍が目立つ。最終的にはポジションを下げたものの、カイル・ピータース(JGRMX Yoshimura)がオープニングラップのリーダーを飾った。

©Suzuki Motor Corporation 2004-2019
アレックス・マーティン(JGRMX Yoshimura)は、5位でフィニッシュ。

 

 

AMA Pro Racing

 

【AMAスーパークロス】2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第9戦 アトランタ 結果&データ。

2019 MONSTER ENERGY AMA SUPERCROSS/FIM世界選手権 第9戦 アトランタ 結果&データ。

 

Photo/Simon Cudby
コースが大きく荒れたメルセデスベンツ・スタジアムだが、スタートを綺麗に決めたKTMライダーがそのポジションを存分に生かし、表彰台を独占。ヨーロッパの轍の深さは半端なく、マシンポテンシャルも貢献したか?!

 

2019年3月2日(土)・決勝
開催地:ジョージア州アトランタ
会場:メルセデスベンツ・スタジアム

順位 ゼッケンナンバー 氏名 マシン タイム/差

450SX
1 2 クーパー・ウェブ KTM 450 SX-F Factory Edit 21:04.957
2 4 ブレイク・バゲット KTM 450 SX-F Factory Edit +01.167
3 25 マービン・ムスキャン KTM 450 SX-F Factory Edit +02.141

 

450SXクラスはルーキーイヤーとなるプレシンジャーが、自己最高位となる5位を獲得。木曜日のトレーニング中にクラッシュし欠場となった、チームメイトのバーシアの穴を充分に埋めた。

アトランタラウンドはまったくよいところがなかった、450SXクラスのカワサキ勢。チーム内で使用パーツに違いがある、変わった編成。#3トマック車。

#17サバッチー車。

 

 

250SX イースト・ウエスト・ショーダウン(東西交流戦)
1 92 アダム・シアンサルーロ(W) カワサキ KX 250 16:22.692
2 34 ディラン・フェランディス(W) ヤマハ YZ250F +04.821
3 24 オースティン・フォークナー(E) カワサキ KX 250F +11.301

 

イースト・ウエスト・ショーダウン(東西交流戦)で否が応でも盛り上がりが期待された、レッドプレート(トップランカー)同士の戦い。なんといっても、どちらもプロサーキット・カワサキのライダーで、メインイベントでは期待をまったく裏切らない、真っ向勝負が展開された。

専らプロサーキット・カワサキのトップ対決が注目されたが、その2名に割って入るかたちでの快挙を見せた、フェランディス。それを受け、西地区選手権のポイントランキングでも2位に浮上した。

 

全17戦からなるシリーズの、ちょうど折り返しにあたるラウンドを終えたところで、ポイントランキングを見ておこう。

 

450SX (総合ポイント)
1 2 クーパー・ウェブ KTM 199
2 94 ケン・ロクスン ホンダ 186
3 25 マービン・ムスキャン KTM 182

 

風邪から復調しつつあるロクスンは、足回りのセッティングを変えて挑んだが、軟質路面による深い轍を攻略できず。ただ、ポイントランキングと怪我の有無を見れば、後半戦の好材料はある。

 

250SX イースト
1 24 オースティン・フォークナー カワサキ 99
2 32 ジャスティン・クーパー ヤマハ 81
3 23 チェース・セクストン ホンダ 79

250SX ウエスト
1 92 アダム・シアンサルーロ カワサキ 140
2 34 ディラン・フェランディス ヤマハ 125
3 12 シェーン・マケラス KTM 123

 

450ccではKTMに席巻されている日本車だが、代わって250ccではスズキを除き好調。車格やパワーにキャラクターの大きな違いがあるのだろうか?

 

今回のKTM勢総なめの状態も含め、後半戦を注視していきたい。

 

 

AMA Pro Racing