❏編集部の走り書き 06. 本格テスト完了です、TIOGAスパイダー(アウトランド サドル&ダズ ライト ペダル)。

 

━はじめに
この走り書きは、連日連夜の慌ただしさでなかなか記事の更新ができない言い訳や、そのうち掲載する内容のメモ的なものとして置きます。クイックな側面ゆえ、乱暴な文体もありますが、ご容赦ください。

 

グッドルックかつ本気仕様

 ここに取り上げるくらいなので、かなりの貸与期間になっています。今回のお題は、長きに渡ってマウンテンバイク関連のアイテムをリリースし続けてくれているブランド、TIOGA(タイオガ)。

 そのラインナップの中から、一時期から『スパイダーシリーズ』として登場している “ レーススタイル ” アイテムのピックアップ。ほぼ樹脂で構成されているスパイダー アウトランド サドルと、クモの巣に意匠を似せたスパイダー ダズ ライト ペダルの 2 点。

 どちらの商品も過去にチラッとは紹介していて、その時の記事が相変わらず人気のようなので、ここで一度掘り起こした次第で。

 手元にあるスパイダー アウトランド サドルは、かなり初期のモデルで、今はより機能を向上させた『アンダーカバーシリーズ』が主力になっていますが、基本的な概念は共通なので、このモデルを通してその特色は掴めます。

 スパイダー ダズ ライト ペダルは、変わらず現行で、当時と値段が変わったのと 2 色展開になっただけです。踏み面がコンパクトなのが今となっては珍しく、レース仕様だけどミニマルデザインなのが変わらず注目なのかもしれません。

 今シーズンにみっちりとダートとレースコースを走り込んで来たので、そのうちお届けするテストリポートを、ぜひお待ちください。

━やかん

協力/マルイ

 
※過去記事は、コチラ↓から。
<製品テスト>TIOGA スパイダー アウトランド(2015年マルイ製品展示会より.1)
<製品テスト>TIOGA 『Spyder DAZZ LITE(スパイダー ダズ ライト)』(2015年マルイ製品展示会より.2)
【タイオガ】スパイダーサドルの進化系と言える、感嘆するクッション性を誇るアンダーカバーシリーズ。
 
 

【マウンテンバイク】2020年でも買える折り紙付き26インチタイヤ(MTBタイヤカタログ その2)

新たに取材ができましたので、追加のマウンテンバイク用 26 インチタイヤを紹介します。(MTBタイヤカタログ&ガイド)

掲載日/2020年3月15日  取材・写真・文/やかん
取材協力/サイクルパーツ合同展示会、井上ゴム工業、パナレーサー、マルイ

 

 予想外に好評でした 1 回目の実力派 26 インチタイヤ特集。あれから新たに取材ができましたので、追加のマウンテンバイク用 26 インチタイヤを紹介したいと思います。

 今回は、ほとんどが日本ブランド & 国内生産なので、ある意味、国内の土質に合っているのではないでしょうか?

 

アイアールシー( IRC )

 あとに上げるパナレーサーと合わせて、古くから日本のスポーツサイクル用タイヤの、特にレースタイヤの能力向上を牽引してきた片翼。最大の違いは、IRC はモーターサイクルのタイヤも多く手掛けていること。特にオフロード分野には強く、その意味でもマウンテンバイク用タイヤに寄せる期待と信頼は大きい。開発陣での、自転車とモーターサイクルの情報共有はあるようだ。


◇ミトス XC(MYTHOS XC)

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)サイズ比較

 まず、この時世に幅違いで 3 種類ラインナップしていることを称賛したい。古くからある、クロスカントリーレースに於ける定番タイヤで、サイズ展開はその名残とも言える。メーカー曰く、「XC レースで勝つ!」ことを至上タスクとして開発されたレース直系のモデル。
 センターからショルダーのブロックを 2 段形状にして、剛性と耐摩耗性をキープしたままに小型・軽量化。それでいて、グリップ性能と耐パンク性能を疎かにはしていない。
 昨今の高速系コースでは太めをチョイスしたくなるが、後輪のみ軽さを狙って細めを履く、というのもひとつ。ブロックパターンが各サイズごとの専用設計になっていて、それぞれのパフォーマンスを最大限に引き出せるよう配置を最適化しているとのことなので、レース用途では事前のテストをお勧めしたい。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/53 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/525g

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)

サイズ/26 × 2.10
ETRTO/57 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/595g

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)

サイズ/26 × 2.25
ETRTO/60 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/610g
価格/5,060円 / 共通(10%税込み)
すべて、折り畳み可能

 


◇ミブロ – X(MIBRO – X)

アイアールシー(IRC) ミブロ-X(MIBRO-X)

 オールラウンド特性のマウンテンバイク用タイヤである『ミブロ』をベースに、さらにエキストリームな使い方(IRC では“アソビ”と表現)に対応させた、アドバンスドグレード。従来品であるミブロのパターンを徹底的にチューンナップし、ハードパックな路面でも音を上げない剛性を得た。グリップ性能にも優れる。
 なお、2.40 サイズより 2.25 の方が重いのは、タイヤ内部の構造が違うため。2.25 サイズには、ビード部にゴムを入れてこの付近の強度を持たせたブレーカーが使われている。

サイズ/26 × 2.25
ETRTO/60 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/875g

サイズ/26 × 2.40
ETRTO/100 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/770g
価格/5,060円 / 共通(10%税込み)
どちらも、折り畳み可能

 


◇ブリロ(BRILLO)

アイアールシー(IRC) ブリロ(BRILLO)

 マウンテンバイクのルックスやイメージを損なわない、ということで同社ではアーバン向けにカテゴライズされる街乗り用ブロックタイヤ。だが、筆者は 10 年以上使い続けていてダートでの性能になんら問題のないことを確認している。
 ポイントは耐久性と価格だが、その分、重量はどうしても犠牲になっている。センターリッジのパターンになっていて、転がり抵抗を軽減。耐久性に優れたゴムでサイドをカバー & 強化してもいる。スチールビードなので、折り畳みはできない。

アイアールシー(IRC) ブリロ(BRILLO)

サイズ/26 × 1.75
ETRTO/47 – 559
コンパウンド/−
重量/790g
価格/オープン(実勢価格 3,000円 前後)

サイズ/26 × 2.00
ETRTO/54 – 559
コンパウンド/−
重量/900g
価格/オープン(実勢価格 3,000円 前後)

 

 なお、ミブロ for マラソン チューブレスレディ(MIBRO for MARATHON TUBELESS READY) サイズ/26 ×2.25(19635E)は、廃番とのこと。残念!

 

 

パナレーサー( Panaracer )

 先に紹介したアイアールシーと共に、国内レースシーン用タイヤの両翼を担う存在。26 インチタイヤの数は 1 モデルのみとなってしまったが、以前から決戦用チューブやコストパフォーマンスに優れたタイヤレバーなど、周辺アイテムの充実が目立つ。近年は、新タイプの空気入れを開発し(ワンタッチポンプ)、ラインナップを増やしてもいる。


◇マッハ SS(Mach SS)

パナレーサー(Panaracer) マッハ SS(Mach SS)

 高速系マウンテンバイク用タイヤの走りともなった、マッハシリーズ。『SS』は、その中でも最も低抵抗のセミスリックトレッドモデルとなる。見た目はグリップ力に劣るように感じるが、当時からよく考えられたパターンで問題はない。基本的にはハード & ドライコンディション用のタイヤなので、マディでの挙動は事前にテストしておくのが望ましい。
 全体的に耐久性にも優れているため、ロングライフという面でも魅力が強い。コンパウンドは、特に名称はないが耐摩耗に優れた物を採用。ケーシングは、太いナイロンコードを使用した『800D Strong Cord(800D 強化コード)』。ビード部に、厚みのあるチェーファを採用し(ASB Chafer / アンチスネークバイト チェーファ)、耐リム打ちパンクに優れる。
 ビード自体はスチールなので、折り畳みはできない。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/53 – 559
コンパウンド/−
重量/650g
価格/3,279円(10%税込み)

 

 

タイオガ(TIOGA)

 かつては、国産で良質なタイヤを多く出していた三ツ星に委託したレース用マウンテンバイクモデルをラインナップ。現在は、三ツ星のタイヤ事業廃業により、かなり後退。その中でも、今回紹介する 1 モデルだけは台湾で他社のレースタイヤと同じ製造ラインで作られる。


◇サイコ II(Psycho – II)

タイオガ(TIOGA) サイコ II(Psycho-II)

 過去に存在したタイオガの名作『サイコ』の、普及モデル。路面コンディションを選ばないオールラウンド仕様で、価格を含め入門用にも最適なタイヤ。折り畳み不可。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/52 – 559
コンパウンド/AP ラバー コンパウンド
重量/710g
価格/3,080円(10%税込み)

 

 


 今回紹介するマウンテンバイク用タイヤは、これで以上になります。ほとんど過去からの継続モデルなので“チューブレスレディ”には非対応ですが、新品ゴムで 26 インチタイヤが入手できるのは助かるところであります。

 ちなみに、ある問屋の話しでは 26 インチのマウンテンバイク用タイヤは、アメリカに於いては日本比で 5 倍くらいの需要があると言います。車体自体の買い替え意欲がないのか、物を大事に使う文化なのか、判断は難しいところですが「持続可能」という言葉ばかりが踊る昨今、ひとつ、見つめ直すべき点ではないでしょうか?

 

関連:1 回目の特集

【マウンテンバイク】2020年にまだ26インチのマウンテンバイクは闘えるのか?(MTBタイヤカタログ) ※情報追記

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato

東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から爆撃機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク / モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル / スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。スポーツサイクルは、マウンテンバイク 6 台と BMX 1 台を所有。

 

 

【タイオガ】スパイダーサドルの進化系と言える、感嘆するクッション性を誇るアンダーカバーシリーズ。

日本のマウンテンバイクユーザーにとって馴染み深いブランド、タイオガ( TIOGA )から、気になるサドルを見付けたので紹介します。

掲載日/2019年10月18日  取材・写真・文/やかん
取材協力/マルイ

 

 古くから日本のマウンテンバイクユーザーにとって馴染み深いブランド、タイオガ( TIOGA )。先日開催された販売店向け展示会にて、気になる商品を見付けたのでぜひ紹介したい。


永遠の課題である、サドルとお尻の関係

 自転車のサドルというと、実用車、スポーツサイクルに関わらず、とにかく「お尻が痛くなる」、といった声を頻繁に聞く。筆者も、あれやこれや試し続けているが、厄介なことにコースレイアウトによっても変わってくるし、年齢とともに当たりへの印象は変化しているように思う。これはもはや、「 100 人いれば 100 とおり」という様々なお尻や骨盤のかたちがある訳で、「絶対!」などという商品はこの分野に於いては、永遠に存在し得ない。

 では、どうすればよいか? 解析学的なことはさておいて、ひとまずは「柔らかい」は肝だと思っている。普通に地べたに座ればそれは明白で、土だと痛いし砂利だともっと痛い。だが、芝生の上ならマシで、そこに一枚薄くてもクッションを敷けば、悪くはならない。このことから解るように、人間のお尻はかなりヤワ。そして、万人にウケるのは「柔らかさ = クッション性」。

 

クッション性を犠牲にしてきたスポーツサイクル

 しかし、スポーツサイクルに於いて難しくなるのが、実用車のように柔らかさを抜群に重視すると、ペダリング感やポジション移動などに支障が出ること。一発勝負な局面では、かなり薄かったりクッション性は二の次になることが多い。それでも受け入れ難いのが、悪路での突き上げ。当然、マウンテンバイクでの話しになるが、いくらリアサスペンション機能が抜群に優秀になったとはいえ、小さく常に続く振動は、ロングライドで確実にライダーの身体を蝕む。可能な限り、取り除きたい要素だ。

 タイオガのサドルは、センターにホワイトラインが走ったシンプルなモデルが 2000 年より前に流行ったが、近年は見た目のインパクトさが強烈な“スパイダーサドル”が登場し、数々の類似商品が出るきっかけともなった。ところが、このスパイダー構造は決してクッション性を最優先したモノではなく、パッドが追加できるようにはなっていたが、樹脂むき出しから来る当たりの強さは、やはり「レーシー」であった。
(というよりかは、あのパッドはただのスリップ防止用であったし)

昔、流行ったタイオガのサドル。基本的にロングノーズで、荷重移動がし易かった。
初期型のスパイダーサドル。見た目の印象強く、現在は改良された2ndモデルが発売中。スパイダーホールがむき出しの分、グリップ力は良好だがパンツへの攻撃性はやや高い。

 

“ウェブ メッシュ ベース”が、良好なクッション性を生み出す

 そこにメスを入れるようなかたちになったのが、今回紹介する『アンダーカバーサドル』だ。有り体に言うと、スパイダーサドルにカバーを掛けたような見た目。この部分は『バイオ X パッド』と呼ばれるフォーム材パッドで構成され、実はこれにクッション性を持たせた訳でなく、その下に依然と存在するスパイダー構造の『ウェブ メッシュ ベース』が非常に良くしなるようになっているのだ。

タイオガの最新スポーツサイクル用サドル、アンダーカバーシリーズ。発売済み。

 その具合は、実際に会場で収めた下の動画を見てもらえれば一目瞭然である。取り付け車両はフルサスペンションバイクであったが、それでもサドルのベースはこれだけ動く余地がある。

< 動画リンク >


 このしなり具合は当然クッション性の向上に寄与しており、リアサスペンションでは対処しきれない衝撃を和らげる効果がある。さりとて、もちろん実用車のような野暮ったい作りはしていないので、サドルを軸とした BIKE コントロールを阻害することはない。

基本的に3つの層からなる。下から、アーク フレックス レールマウント、ウェブ メッシュ ベース、バイオ X パッド。イラスト展開図ではパッドの上にさらに合皮カバーが掛かるが、製造工程上は写真のように一枚になる。

 筆者は現在、所有する BIKE の 1 台に旧型のスパイダーサドルを取り付けているが、展示会場で押したり展示車に跨った限り、このアンダーカバーサドルに替えたい気持ちが強くなった。

 蛇足であるのだが、サドルのどこにも水分を吸ってしまう素材がないのもいい。半年ほど前、別の BIKE で、あまりにもパンツへの攻撃性が高いハード使用向けサドルから、ややコンフォート系マウンテンバイクサドルに替えたのだが、それには布地の箇所があり、降雨や泥水を吸ってしまい難儀しているのだ。ささいなことなのようだが、このようなシチュエーションも走るマウンテンバイクでは、注意したいポイントかと思う。

 

アンダーカバーサドルは現在、3 モデル & 複数グレード

 既に発売はしているアンダーカバーサドルは、現在、3 つモデルが存在し、それぞれにレール違いで複数グレードが用意されている。下位 / 上位モデル、という位置付けではなく、基本的にはサドルの形状と使い方で 3 つに分けられ、その中で軽量さや若干のレール特性の差異で値段が分かれている。マウンテンバイクは特にそうだが、「高価 = 高性能」ではないので、そこはゆめゆめ注意してもらいたい。

 簡単に、

・アンダーカバー ブースト ダウンヒルやエンデューロなど下り向け クロモリ中空レール/9,350円(以下、すべて税10%込み)、チタン中空レール/1万4,300円

・アンダーカバー ハーズ 女性向け クロモリ中空レール/9,350円、チタン中空レール/1万4,300円、カーボンレール/2万900円

・アンダーカバー ストレイタム オールラウンダー仕様 クロモリ中空レール/1万4,300円、カーボンレール/2万900円 ※そのうち??

従来のスパイダーサドルとの違いは、フォーム材パッドを取り入れたことでより網目状のサドルベースを柔らかく作れるようになったこと。
モデルによってグレード展開や価格にバラつきあるが、今後は……。

 ちなみに、知らなかったのだがクロスカントリーライダーで金メダリストのジュリアン・アブサロン選手も使用しているらしい。

ジュリアン・アブサロン選手。アテネ/北京五輪の金メダリスト。

 荷重移動や腰掛けてのペダリングで重要な役割を果たすサドル。微々たる進化やパーツかもしれないが、今のライディングへの不満や身体の不調があるならば、ぜひ気にして欲しい商品だ。

会場に展示された装着車はメーカースタッフの私物で、ハードに乗り込んでいる痕が好印象。実際に乗っていないひとの話しはまったく当てにならないので。装着品は、ブーストのクロモリレール。

< 参考 >

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。スポーツサイクルは、マウンテンバイク 6 台と BMX 1 台を所有。

 

 

<製品テスト>TIOGA スパイダー アウトランド(2015年マルイ製品展示会より.1)

2015年のマルイ製品展示会で発表はされたものの、発売がまだ先で紹介を見送っていた商品を順次紹介して行きたい。まず、トップバッターはタイオガ(TIOGA)から、スパイダー アウトランド(SPYDER outland)だ。

<製品テスト>TIOGA スパイダー アウトランド(2015年マルイ製品展示会より.1)

掲載日:2015年12月7日  写真・文/やかん

 

2015年のマルイ製品展示会で発表はされたものの、発売がまだ先で紹介を見送っていた商品を順次紹介して行きたい。まず、トップバッターはタイオガ(TIOGA)から、スパイダー アウトランド(SPYDER outland)だ。

 

2015年マルイ製品展示会にて。
2015年マルイ製品展示会にて。

 

[ TIOGA SPYDER outland ]

スパイダー アウトランドは、かなり前に発売されて話題をさらったスパイダー ツインテールの、発展・派生系モデル。その独特の蜘蛛の巣を連想させる大胆な肉抜きのされたデザインはそのままに、トレイルライドやエンデューロレースで求められる高い操作性を追求したモデルとなっている。

まず、再確認しておきたいのが、スパイダーシリーズはただの蜘蛛の巣状の樹脂サドルではない事だ。その構造は、“デュアル デンシティー ウェブ メッシュベース”という基本構造で構成されており、高強度グラスファイバー補強ナイロンとエラストマー添加ナイロンという、硬さの異なる樹脂材料のインサート成型技術でなりたっている。柔軟性と強度を両立させている、とあるがこれについては後述の試乗記に譲りたい。

他、空間の多いウェブ メッシュは、実際に通気性は高く、座面形状と曲率構成を追求して設計。パッドを有しない独特なスタイルのサドルでありながら、圧迫感の少ない乗り心地を提供するよう工夫されてもいる。アウトランドには、着脱可能なアンチスリップパッドが付属し、好みに応じて選択が可能にもなっている。

これに関連するのが、アウトランドはライダーがサドル上でフレキシブルなポジションを取れる事を念頭に置いていて、サイドをカットし腰を引きやすくしている事。パッドは、腰掛けるだけ程度の使い方ならなしでよいだろうし、ある程度シッティングもあり着座位置を固定したい場合やグリップ力を高めたい時は、有りで使う想定になっている。

アンチスリップパッドを取付けた状態。
アンチスリップパッドを取付けた状態。
裏面から見ると本製品の構造がよく解る。
裏面から見ると本製品の構造がよく解る。

 

ガッチリと座るライドには不向きだが
ストレスのないサドル形状は秀逸で、自由なポジショニングが可能

テストは前後が130mm程度のストロークを持つフルサスペンションBIKEで行った。まだエンデューロやマラソンといった概念のない時代のBIKEだが、テスト車として問題はないと思う。サドルの固定スタイルに特に指定はなかったので、従来付けていた物とほぼ同じポジションで取り付けた。走行シーンは、シーズン的に下りに偏った専用オフロードコースなどは使えなかったので、起伏が得られる平地のダート路面と河川敷のロングライドの2つを試した。付属のアンチスリップパッドは取り付けてテストを行った。

テスト車にも元々タイオガのサドルが付いてる。今回はこれを交換。
テスト車にも元々タイオガのサドルが付いてる。今回はこれを交換。
年代は古いが下り寄りのBIKEなので、セッティングは少しの斜度を付けている。
年代は古いが下り寄りのBIKEなので、セッティングは少しの斜度を付けている。

まず、ダート路面までのアスファルトでのアプローチでは、筆者の体重もあるのだろうが(50kg強)、どうしても硬さが気になった。アンチスリップパッドを取付けたといっても、主な役割は滑り止めであってパッティング類には程遠く、BMXのサドルに座っているような感覚だ。しかし、いざダート路面に付き、起伏のある路面を走る場合は、かなりの頻度で腰は浮かせているので問題なく、また練られた形状の為か、不用意にサドルに突き上げられる事もなかった。

次に、想定に含まれるのかは解らなかったが、河川敷のロングライドにトライしてみた。多少の凹凸はあるがほぼフラットな路面なので、100%シッティング。この状態で約1時間、座りっぱなしで走ってみた。こちらは、正直、かなり辛かった。BIKEが完璧には対応していないというのもあるだろうが(リアショックFOXはプロペダル化済み)、やはりどうしても座面の硬さが厳しく、尻骨がそれなりに痛くなる。ただ、ラフテストなのでパッド入りのレースパンツを履いてない事もあったのと、例えばエンデューロなどでは厚手のボトムスを履く事もあるだろうから、今回よりかは緩和されるかもしれない。構造上軽量なので、車重をなるべく抑えたいクロスカントリーBIKEなどで導入したくもなりそうだが、そちらは向いていないと思う。この点は、シーズンインをしたら、真面目なオフロードコースの、例えばリエゾン区間などであらためて試してみたいところだ。

元々付けているサドルとはかなり形状が違うのが解る。
元々付けているサドルとはかなり形状が違うのが解る。

フラットな路面でのシッティングを試した後は、積極的な身体の動きが必要になる厳しい上り下りを何度も走ってみた。そこで解ったのが、下り走行での抜群の腰の引きやすさ。サドル後方の“ひれ”の部分がスパッと進行方向と平行にカットされていて、これによりひれの部分にまったくフトモモが引っ掛からずに、自由な身体の動きが可能になっている。これには正直、舌を巻いた。以前、富士見パノラマリゾート(長野)のダウンヒルAコースを他のBIKEで下った時、この“ひれ”の部分の引っ掛かりが気になり、落差の急なセクションで体の動きが阻害されバランスを崩しかけたりした事があったが、アウトランドに関してはこの心配がまったくない。アンチスリップパッドも、過度にグリップする事なく良い塩梅で“引っ掛かり”が得られるので、「欲しい時に引っ掛かり、不要な時には滑る」バランスの良さが光った。

赤いラインの部分が平行にカットされたようなデザインになっていて、この部分が引っ掛かりをなくす。
赤いラインの部分が平行にカットされたようなデザインになっていて、この部分が引っ掛かりをなくす。

筆者は、まだ本格的なエンデューロレースに出場した事がないのだが、リエゾン区間がかなり長く、またそこが平坦でシッティングしてのパワーペダリングが必要であれば、アウトランドは「不向き」と言わざるを得ないが、実例としては、前述の富士見でCコース程度のシッティング率とサドルへの負荷の掛け方程度なら硬さは気にならず、むしろ動きを阻害しないその形状の恩恵に十全と与れるだろう。

座面は比較的フラットな作り。
座面は比較的フラットな作り。

また、これはテストした訳ではないので断言は出来ないが、ほぼ着座しないダウンヒルで、極度な落差なども頻発する本格コースでも効果を発揮すると思う。路面からのプッシュがあり、その際に硬いサドルにお尻がどれ程突き上げられるかはまだ解らないが、シーズンインしたらテストしてみる価値はあると思う。

今からの時期、降雪のないエリアであればトレイルライドが面白い時期でもある。あなたがもし、BIKEの上で積極的にボディアクションをするスタイルであるならば、このサドルは是非試してほしい出来栄えである。今まで以上に、自由に身体が動かせ、より高次元の走りが出来る筈である。

 

[ 製品情報 ]

メーカー/TIOGA
販売元/株式会社マルイ
製品名/SPYDER outland -新製品-
価格/1万3,000円(税抜)
カラー/ブラック/スモーク、ホワイト/クリア
サイズ/幅126×長さ281×高さ60mm
質量/206g
デュアル デンシティー ウェブ メッシュベース
デュアル アーク フレックス
φ7mmクロモリ中空レール
アンチスリップパッド付属

TIOGA SPYDER outland(ホワイト/クリア) 1万3,000円(税抜)
TIOGA SPYDER outland(ホワイト/クリア) 1万3,000円(税抜)

 

アウトランド以外の展開もあり。
アウトランド以外の展開もあり。

 

 

[ お問い合わせ ]
株式会社マルイ
TEL/078-451-2742