2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート2。

初! 東日本進出のダウンヒルシリーズ。祝! このレースイベントに以前から興味があったダート&モト編集部は、己の力量も考えず無謀にも参戦。日曜日は、いよいよ本戦(決勝みたいなもの)です。さて、結果は?

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート2。

掲載日:2015年09月29日  取材・写真・文/やかん

取材協力/アルパインスターズ、ショウエイダートフリークミヤタサイクル(MERIDA BIKES)

 

初! 東日本進出のダウンヒルシリーズ。祝! このレースイベントに以前から興味があったダート&モト編集部は、己の力量も考えず無謀にも参戦。日曜日は、いよいよ本戦(決勝みたいなもの)です。さて、結果は?

 

念願の最新泥除けをGet
気分を高める

本戦日となった9月27日(日曜日)は、「曇り時々雨」であった天気予報を見事に裏切った良い天気。時々晴れ間が覗く行楽日和となり、懸案であった路面コンディションもおそらく回復傾向に。そんな中、事前情報を得ていた当日追加の出店ブースを行脚する事にしました。

まずは、重力技研(群馬県に居を構えるプロショップ)のブースを訪ね、念願であった最近流行りの泥除け(マッドフェンダー)を購入。昔はモーターサイクル並みの大型フェンダーが流行りましたが、最近の傾向は一部分だけをカバードするタイプになっていて、筆者、実はこれをマイBIKEに付けるのが夢だったのです。

予報を見事裏切る素晴らしい快晴! 高原の澄んだ涼やかな風が心地よいスタートとなった。
予報を見事裏切る素晴らしい快晴! 高原の澄んだ涼やかな風が心地よいスタートとなった。
本戦日は、メーカー出展ブースに物販を行う2つのテントが追加され、会場をさらに賑やかなものにしてくれた。
本戦日は、メーカー出展ブースに物販を行う2つのテントが追加され、会場をさらに賑やかなものにしてくれた。
物販出店の1つ、重力技研のブース。JCF管轄のレースイベントにも精力的に参加している群馬県のプロショップ。
物販出店の1つ、重力技研のブース。JCF管轄のレースイベントにも精力的に参加している群馬県のプロショップ。

Getしたのは、重力技研オリジナルブランド『GL-COMPONENTS』からのフロントフェンダー Ver2。結構肉厚な1.2ミリの樹脂板で、色は黒と白を用意。取付け用のタイラップが付属するので、筆者のように現地で購入してもすぐに取り付けられます。今回は、イメージ的に黒を選択。早速、出走車両のMERIDA BIKES ONE-TWENTY 7.500(2016)に勝手に付けちゃいました。借り物なのですが……。

他にも、重力技研では『サスペンションシールルブリカント』という製品のお試しDEMOも実施していて、ONE-TWENTY 7.500(2016)に処理してもらいました。これは、
シールの潤滑が落ち、動きの悪いフォークのダストリップ周辺インナーチューブへ、少量塗布するだけで、シールを傷めず非常にスムースになります。少量で効果がある為、低コストパフォーマンスで、小さい容器の為工具箱へ常に入れておいても邪魔になりません、シール寿命も延びます。
という売り文句の商品です。「まあ試してみて下さいよ」、という具合に各レースイベントで実施しているトライアルキャンペーンで、これのお試しも今回のダウンヒルシリーズの楽しみの一つでした。

GL-COMPONENTSのフロントフェンダー Ver2。定価は送料・税込み1,380円だが、現地では1,300円で販売していた。
GL-COMPONENTSのフロントフェンダー Ver2。定価は送料・税込み1,380円だが、現地では1,300円で販売していた。
ONE-TWENTY 7.500(2016)に装着の図。タイラップ4本で固定する簡易的なものだが、今のダウンヒルシーンは海外も含めこのスタイルが主流。
ONE-TWENTY 7.500(2016)に装着の図。タイラップ4本で固定する簡易的なものだが、今のダウンヒルシーンは海外も含めこのスタイルが主流。
フェンダーは後ろ方向が長く取られており、泥や小石の巻き上げを防ぐ。特にデメリットはないので、サスペンションを装備しているマウンテンバイクは付けっぱなしで良い。
フェンダーは後ろ方向が長く取られており、泥や小石の巻き上げを防ぐ。特にデメリットはないので、サスペンションを装備しているマウンテンバイクは付けっぱなしで良い。

それで、動きはどうなったでしょうか? SRサンツアーのAionは、初期の沈み込みでやや引っ掛かる傾向があったのですが、この初期の渋さが見事に解消されました。プリロードを強く掛けた時のように、フォークがすっと入って行ってくれます。これは良いですね。お薦めです。

満足したところで、お次はもう一つの物販出店となったA&Fを襲撃しました。こちらでは、トロイリーデザインズの旧品を一緒くた、「どれでも一律◯◯円」で販売していて、筆者、バーゲンセールのおばさんの如く、商品の山をひっくり返して欲しいものだらけの荒波に揉まれました。快感〜。ただ、プライベートなお話で恐縮ですが、近々拙宅は家族が増える予定があったので、購入は一旦控えました。同行してくれた家の人が、とにかく冷たい視線を送ってくるものでして……。

重力技研GL-COMPONENTSの、サスペンションシールルブリカントをトライアルキャンペーン。萩原店長自らが施工してくれた。
重力技研GL-COMPONENTSの、サスペンションシールルブリカントをトライアルキャンペーン。萩原店長自らが施工してくれた。
フロントサスペンションのインナーチューブ下端に、粘土の高いグリスのようなオイルを塗布してストロークを何回かさせれば、処理は完了。もちろんひとりで施工可能。
フロントサスペンションのインナーチューブ下端に、粘土の高いグリスのようなオイルを塗布してストロークを何回かさせれば、処理は完了。もちろんひとりで施工可能。
1日人だかりが絶えなかったA&Fの物販コーナー。トロイリーデザインズの商品がびっくりする価格で販売され、お得感が満載だった。
1日人だかりが絶えなかったA&Fの物販コーナー。トロイリーデザインズの商品がびっくりする価格で販売され、お得感が満載だった。

ところで、本戦日なのに何でこんなにのんびりしているのでしょうか? それは、決勝ランが午後一スタートだったからです。当日組は午前中に入念な試走が必要ですが、筆者は前日に走っていますし、体力の残量を考え午前中のライドを控えました。天候の回復と共にコンディションも時間が経つ程良い方向に行く筈なので、決勝1本のランに集中する事にしました。

2-01

2-11

 

いよいよ始まった決勝ラン
注目のPROクラスを制したのは?!

さて、そろそろ本戦です。このダウンヒルシリーズは、最高峰のクラスとして『PROクラス』というのが設けられていますが、その下の『エリートクラス』でTOPタイムを叩き出したライダーは、記念として、このPROクラスに当日出走する権利が与えられます。PROクラスは上位3名に賞金が用意されてもいるので、ひょっとするとエリートクラスでTOPになったライダーは、その賞金もかっさらえるチャンスが訪れる事になります。そのシステム上、本戦はまずこのエリートクラスからのスタート。その後、筆者も参加したファーストタイマークラスがスタートします。富士見パノラマのAコースフル区間4.2kmを、果たして無事に降りてこられるのか?! まあ、ドベの結果を知りたい人はそういないと思うのでそこは割愛します。

ただ、ここでひとつだけ苦言を。ファーストタイマークラスは、開催要項により次のように規定されています。

・マウンテンバイクレースへの参加が初めての人
・レース初心者
・色々と心配な人

ところが、蓋を開けてみると7分台で降りてくるライダーが少なくありません。このタイムは、総合リザルトを見ると分かりますが(リンク)、エリートクラス、スポーツクラスに余裕で該当します。ファーストタイマークラスそういったライダーが混ざった事から、スタート時とゴールラインでの着順がめちゃくちゃになり、集計に大混乱が起きました。「何人抜かれて、何人抜いた」とかいう話がポンポン出たのです。情けないですが、筆者も都合5人のライダーに抜かれました。

「鯛(たい)の尾より鰯(いわし)の頭」ということわざがありますが、7分台のライダーの姿勢には「う〜ん」ですね。抜かれる側はびくびくしますし、抜く方だってイライラします。仕組みとして前日のタイムドセッションで、ある程度のタイムを出したライダーは、自動的に本戦は昇格する、というシステムにして欲しいです。モトクロスの草レースでは、午前中に実施する予選で(練習走行兼ねる)、申告クラスを超えるタイムであったり主催者が「上」と判断したライダーは、午後の本戦はクラスが上がります。結果的にレース進行の妨げになったり大事故に繋がる事もあるので、この点はダウンヒルシリーズ、見直しが必要と感じました。

ダウンヒルシリーズ 第6戦 富士見パノラマ の本戦がいよいよスタート。ダウンヒルBIKEとライダーはプロ・アマ問わず、やはりカッコイイ。
ダウンヒルシリーズ 第6戦 富士見パノラマ の本戦がいよいよスタート。ダウンヒルBIKEとライダーはプロ・アマ問わず、やはりカッコイイ。
筆者もおっかなびっくり、なんとか本戦を走りきった。十数年ぶりのAコース、結局最後までコースを覚えられずテンポの悪い結果に。ONE-TWENTY 7.500(2016)には大いに助けられた。
筆者もおっかなびっくり、なんとか本戦を走りきった。十数年ぶりのAコース、結局最後までコースを覚えられずテンポの悪い結果に。ONE-TWENTY 7.500(2016)には大いに助けられた。

さてさて、少し水をさしてしまいましたが、十数年ぶりのAコースフル区間レースのPROクラスを制したのは誰か? そこは見事、前日の夜にコース解説をしてくれた井手川 直樹選手が優勝! 年齢的にはそれなりのライダーなので、もちろん彼はフル区間のレース経験もあり、自身も話してくれたように「オールドスクールらしさを出せた」、というレース結果になりました。タイムは6:18.468。これが今後のAコースフル区間の基準タイムになるでしょう。JCFで言うエリートライダーが全員顔を揃えたレースではなかったですが、それでもかなりの人数のTOPライダーが走った今大会での優勝は、その『長距離レースである難しさ』も含め、かなり意義のあるものだったと思います。とにかく一瞬たりとも気の抜けない、厳しいコースですから。

井手川 直樹選手、オールドスクールの意地を見せ、Aコースフル区間レース、PROクラスで見事に優勝。底力を見せ付けたと言っていい。
井手川 直樹選手、オールドスクールの意地を見せ、Aコースフル区間レース、PROクラスで見事に優勝。底力を見せ付けたと言っていい。
名物MCワダポリス氏との優勝インタビューセッション。実は、ワダポリス氏がMCを務めた大会で勝った事がなかったという井手川選手。そこも「嬉しい」と話してくれた。
名物MCワダポリス氏との優勝インタビューセッション。実は、ワダポリス氏がMCを務めた大会で勝った事がなかったという井手川選手。そこも「嬉しい」と話してくれた。

 

そのエントリーフィー
PROライダーの支えに使われます

こうして終了した、ダウンヒルシリーズの富士見パノラマラウンド。結局、ファーストタイマークラスは大混乱が収まらず最後までタイム掲示がされませんでしたが、なんとか30分遅れで表彰式もスタート。ダウンヒルシリーズは訳の分からない取り決めが事が一切ないので、表彰台に登壇したライダーは各スポンサーのアイテムを身に着け、また優勝したライダーは堂々と自身のBIKEを魅せつけてくれました。他ジャンルの本格レースでは当たり前の光景が、ここにはしっかりとありました。これがあるべき姿です。

また、ダウンヒルシリーズには立派な賞金が用意され(PROクラスのみ)、優勝者には10万円、2位のライダーには3万円、3位ライダーには1万円が授与されます。これはレースを主催するSLmediaの想いで、「勝ったライダーには栄誉だけでなく対価も与えよう。使途自由、使って!」という考えからです。「プロ」とは、本来そのカテゴリーのみで生計を立てる人の事を指しますが、日本のダウンヒルレーサーでそれを実践できている人はほとんどいません。ひょっとしたら0(ゼロ)かもしれません。「それではプロとは言えない」という考え、『ダウンヒル』という競技への熱い想い、そういったものがこのダウンヒルシリーズの根幹にはあり、「このシーンをより良くしていきたい」という強い意志をしっかりと確認出来たレース参戦でした。

井手川選手が表彰式インタビューで、「年一回、フルコースのレースあってもいいね」と話していて、これは筆者も同感でした。このハードなレースを制してこそ『ダウンヒル』という感想ですし、走りきった後の達成感も格別です。富士見パノラマでの開催は、主催者のSLmediaにとって、実はかなりのハードルを超えた先にあった大会だったのですが、是非来年も開催してほしいものです。実際は、SLmediaの中川氏、「今年の1回で勘弁してよ」が本音のようですが、当日集まったライダーたちは絶対に許さないと思います。2015年大会に出られなかったライダーは、何としても来年は参加して下さい。Aコースフル区間のレースは、堪らなく最高ですよ!

エリート女子表彰台。優勝、末政 実緒選手。2位、中川 弘佳選手。着替えた綺麗なウェア、サポートされている装備品、優勝BIKEのアピール。これが正しい表彰式。
エリート女子表彰台。優勝、末政 実緒選手。2位、中川 弘佳選手。着替えた綺麗なウェア、サポートされている装備品、優勝BIKEのアピール。これが正しい表彰式。
下克上システムとも呼ばれるPROクラスに挑戦出来るエリート男子TOPは、貫禄の黒沢 大介選手。エリート走行は手堅くまとめたが、PRO走行は挑み過ぎてクラッシュを喫する。
下克上システムとも呼ばれるPROクラスに挑戦出来るエリート男子TOPは、貫禄の黒沢 大介選手。エリート走行は手堅くまとめたが、PRO走行は挑み過ぎてクラッシュを喫する。
本格タイム計測を行ってのAコースフル区間は未経験のライダーもいたかもしれない、PRO表彰台の顔ぶれ。そこはやはり経験のなせる技か? 井手川 直樹選手が優勝。置かれた優勝BIKEが眩しい事この上ない。
本格タイム計測を行ってのAコースフル区間は未経験のライダーもいたかもしれない、PRO表彰台の顔ぶれ。そこはやはり経験のなせる技か? 井手川 直樹選手が優勝。置かれた優勝BIKEが眩しい事この上ない。
SLmedia代表の中川氏からTOPライダーたちへの大入賞金授与。勝って、サポート会社に恩返しして、報奨金も貰える。草レースの域を超えたか?!
SLmedia代表の中川氏からTOPライダーたちへの大入賞金授与。勝って、サポート会社に恩返しして、報奨金も貰える。草レースの域を超えたか?!

さて、本戦レポートはここまでです。明日は蛇足的な事を少々。

 

JCFのお粗末さとCJの誰得? 制度。ブースも存在意義を問われる質の悪さ。

富士見パノラマリゾート(長野)にて開催された全日本マウンテンバイク選手。あれからほぼ一週間が経ち、その間に頭を冷やした。しかし、どうしても書かずにはいられない酷い点が多く目立った大会であり、どのくらいの効果があるかはわからないが警鐘という意味で記しておく。

JCFのお粗末さとCJの誰得? 制度。
ブースも存在意義を問われる質の悪さ。

掲載日:2015年07月27日  取材・写真・文/やかん

 

長文になるが、ぜひ多くの方に読んでいただきたい。

富士見パノラマリゾート(長野)にて開催された全日本マウンテンバイク選手権。あれからほぼ一週間が経ち、その間に頭を冷やした。しかし、どうしても書かずにはいられない酷い点が多く目立った大会であり、どのくらいの効果があるかはわからないが警鐘という意味で記しておく。

長らくJシリーズという名で開催されていた国内唯一の自転車競技連盟(JCF)公式レースは、今シーズン、運営方式や大会規則・制度がガラリと変わりCoupe du Japon(以下、CJ)と名称も変わった。切り替わり当初から登録システムやジャージ規則などでおかしな点が多く、あわや揉め事? となる程のものであった。

筆者はそのCJがどのようなものであるか、関東圏から比較的近い富士見パノラマリゾートで行われたダウンヒルレースを見に行った(2015年5月30日)。元はJシリーズであり期待値もそれほど大きくなく、また久しぶりに足を運んだJCF管轄レースであったため、収穫は少しあった(善悪どちらも含め)。

そして、今回の全日本大会である。国際格式の大会で、海外のレースを走るのに必要なナショナルポイントを獲得出来る唯一のレースである事から、海外遠征組も帰国してのほぼフルメンバー(エリートクラス)開催となった。レース自体はあいにくの雨でパッとしないのは仕方がないとして、JCFの運営体制や規則の酷さ・あいまいさが明確に表面化したのが表彰式の時である。

まず、これは会場である富士見パノラマリゾートに非があるわけではないのを始めに断っておくが、国際格式レースであるのに用意された表彰台がとても酷い。写真を見ていただければ分かるが、非常にチープな物であり、また雨で滲みも散見された。年一の唯一の優勝者を決める、ナショナルポイントも付く、マウンテンバイクという小さなコミュニティーの中であっても大変重要なこの場で、なんと酷い有様であろうか。みっともない事この上ない。

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重ねて言うが、富士見パノラマリゾートが悪いのではない。この日のために、とてもしっかりとした物をJCFが用意すべきなのだ。表彰台など1度作ってしまえば向こう何年と使い続けられる。良い物を作って損はまったくないのだ。それなのに、栄えある選手が高らかに上るお立ち台が小学校の運動会以下。開いた口が塞がらなかった。

次に、これはCJが始まった当初から問題視されていたチームジャージ登録制度。選手は何時如何なる時もどのレースでも、始めに登録したジャージ現物しか着用が許されないという、とんでもなく阿呆らし規則。海外の自転車競技連盟であるUCIがそもそものお手本で同じ規則があるそうなのだが、ある1チームはこれに反発してチーム登録をせずワールドカップを転戦している。今年のUK大会でそのチームのライダーが優勝したのだが、チーム登録をしていないのでライブ配信でもオフィシャルリザルトでも、チーム欄はすべて空白であった。

Greg Minnaar - Portrait

明らかにおかしな規則なのだが、これが全日本でも悪さをした。この日は台風の余波を受け、コースのコンディションはヘヴィマディであった。当然、ゴールしたライダーはヘルメットからシューズのつま先まで泥で真っ黒。さて、表彰台に上れるリザルトを残したライダーはこの後どうするだろうか? ゴールから表彰式までの時間は僅かしかないが、なんとかその間に綺麗なウェアに着替えて皆に誇れる姿で台の上に立とうとするだろう。ライダーによってはジャージにスポンサーロゴがプリントされているので、これが泥で隠れてしまうのも大きな損失である。

ところがである。JCFの運営委員がこれに待ったをかけたのである。「登録したジャージのみが認められるので、泥だらけのその格好で表彰台には上ってくれ」と。???????。もう、ハッ? である。このドロドロのまま表彰式に出ろと。少ないが取材陣も待ち構え、多少なりともどこかに露出するであろうこの重要な局面で。更にここでおかしな事案が発生したのだが、この「待った」は事前通知が厳密にあったわけではなかったようで、着替えているライダー、ジャージ以外は綺麗になったライダー、シューズからジャージに至るまですべて綺麗な新品を着用したライダー。次から次へと台の上に立つ各クラスでの格好が、もうまちまちなのである。筆者が表彰台前で見ている限り、登壇を禁止されたりペナルティが課された、という事はない。もともと首を傾げたくなる規則なのに、輪を掛けてその管理があいまいなのである。ダメ出し連発である。

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この泥だらけのウェア着用は、またある問題を発生させた。今大会の栄冠であるチャンピオンウェアはクラスによりTシャツ、ジャージと分かれたが少なくともジャージはパールイズミからの提供品であり、大切に扱うべき物であった。表彰台にもパールイズミが提供である、とか書かれたプレートが置かれた。それなのに、ライダーに袖を通させる事だけはやけに慣れていたJCFのお偉いさんは、容赦なく泥だらけのウェアの上からチャンピオンジャージ(もしくはTシャツ)を着させるのである。まったく、おいおいな事態。やはり、あっというまに純白のジャージは泥で黒く染まり始める。嗚呼、帰宅してからではいくら高性能な洗濯機と洗剤でも、あれは真っ白には戻らないだろう。ライダーには切ない思いしか残らないのである。

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首を傾げたくなる問題点はまだまだある。現場はやはりこの表彰式。Jシリーズなどではなんとなく慣例となっている優勝者のBIKEだけ表彰台の前に飾るあれ。一番高い真ん中の台に上ったライダーは、鼻高々であると共に、自身を勝利に導いてくれた優秀・有能なBIKEを誇らしげにアピールするのである。BIKEをもし輸入代理店などが提供(スポンサード)してくれているのであれば、絶好のアピールチャンスである。観客がいたとしたら(マウンテンバイク大会はいないのがほぼ当たり前)、「あのBIKEで優勝したんだ。うーん、検討するかー」となるだろう。だが、全日本大会ではこれもNGとなった。やはり事前通知はなかったようで、短い時間で一生懸命大量にこびり付いた泥を洗い流して表彰台へ持って来たメカニックが手前で制止を受け、鳩が豆鉄砲を食ったようになっていた。そうであろう。まったく不可解で理解不能な事態である。そこにBIKEを置く事になんの不都合があるのだろうか?

Gee Atherton, Aaron Gwin, Greg Minaar, Marcelo Gutierrez Villegas, Samuel Blenkinsop - Lifestyle

 

話が戻るが、ジャージの登録システムもそうだ。毎戦同じジャージを着なければいけない理由は何なのだ? 都合の悪い点があるのだろうか。表彰式前の着替えすら許されないとは。そしてその運用も現場ではあいまい。誰が得をするのか、という規則・制度に加え、チープな表彰台で挑んだJCFのお粗末さ。ライダーがよく、「業界を盛り上げたい、大会を活性化させたい、観客を増やしたい」と言うが、所属する母体がこれでは、いくら足掻いてみても無駄である。

残念だが質の悪さが目立った場所は他にもあった。各代理店やメーカーが軒を構えたテントブースも惨憺たるものだったのだ。商材がただ並べてあるだけのところ、担当者がひとりもいないところ、ただの雨避け代わりで身内で寄り集まってお喋りに興じ、ブースを訪れた人に無反応なところ。酷いレベルでは、テントを張っただけでテーブル1つ置いてあるだけの所もあった。かろうじてBIKEが並べてあっても、モデル名/プライスタグも何も付いていない。ただ並べてあるだけのそのさまは、まるで駅前の駐輪場のようであった。ハッキリ言って酷い。当然、出店や屋台といった賑やかしもなく、こちらも小学校の運動会以下レベルである。運動会ですら身内・関係者しか集まらないのに、それ以下の自転車イベントに誰が足を運ぶであろうか?

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JCFも最悪で酷かったが、そこに属する関係各社(者)もとんでもなく最低であった。相変わらずであるのも事実だが、これでは『集客』などは夢のまた夢である。多くの人がマウンテンバイクには大きな大会があり、それは野球や相撲のように見応えがあり楽しい時間が過ごせる、などとは何時まで経っても至らないのである。

最後にまた苦言をひとつ。今回も大会運営には元ダウンヒルエリートライダーが協力していたようである。姿を方方で見かけた。彼は選手時代の気持ちを忘れてしまったのだろうか? 自分が出場する側であったら到底理解できない理不尽な事だらけである。ライダー側に立ち、大会を少しでもよいものに変えていく使命を帯びている筈なのに、そういう点はひとつも見つけられなかった。選手時代はそれなりに名声を得ていたが、今や完全に氏も没落。残念至極である。

 

なお、これに対抗するわけではないと思うのだが、運営母体が異なるダウンヒルシリーズという大会が年間で何回か開催されている。昨年までは西日本がメインであったためまだ足を運んだ事がないのだが、今年はここ富士見パノラマリゾートにもやってくる予定がある。久しぶりになるが筆者もライダーとしてエントリーし、JCF大会とはどのように違うか、果たして楽しい場なのかどうか、観察してみたいと思う。

dhlogo@2x

ただし、未だヘルメットだけが揃っていないのである。嗚呼。