【マウンテンバイク】マキシス(MAXXIS)始め新製品続々登場

都内で開かれた新製品内覧会の中から、マウンテンバイク関連を中心に新製品情報をお届けしたい。

掲載日/2022年10月2日  取材・写真・文/やかん

取材協力/マルイ

 都内で開かれた新製品内覧会の中から、マウンテンバイク関連を中心に新製品情報をお届けしたい。

マキシス(MAXXIS)はサイズ展開が豊富に

アセガイはサイズ展開と新仕様の2パターン。

 国内での使用率も高いであろうマキシス(MAXXIS)は、まずアセガイ(Assegai)に 27.5” と 29” にワイド幅モデルの追加が。その他、微妙な仕様違いの 4 種が加わる形に。

【NEW SIZE】

  • 27.5” x 2.60” WT(66-584) 1,095g 3C マックステラ 40PSI EXO+/チューブレスレディ 1万1,880円(10%税込み)
  • 29” x 2.60” WT(66-622) 1,170g 3C マックステラ 40PSI EXO+/チューブレスレディ 1万1,880円(10%税込み)

【NEW】

  • 27.5” x 2.50” WT(63-584) 1,050g 3C マックスグリップ 50PSI EXO+/チューブレスレディ 1万1,550円(10%税込み)
  • 27.5” x 2.50” WT(63-584) 1,045g 3C マックステラ 50PSI EXO(+がなくなっている)/チューブレスレディ 1万120円(10%税込み)
  • 29” x 2.50” WT(63-622) 1,125g 3C マックスグリップ 50PSI EXO+/チューブレスレディ 1万1,550円(10%税込み)
  • 29” x 2.50” WT(63-622) 1,030g 3C マックステラ 50PSI EXO(+がなくなっている)/チューブレスレディ 1万120円(10%税込み)
アセガイ(Assegai)は、コーナーコントロールに特に秀でているようだ。

 

ディセクター(Dissector)は、すべてのサイズに仕様違いが加わる形に。

 ディセクター(Dissector)は、非常にややこしいが僅かな仕様違いのモデルが全サイズに加わることになった。

【NEW】

  • 27.5” x 2.40”(61-584) 880g 3C マックステラ(グリップがない) 50PSI EXO+(になっている)/チューブレスレディ 1万1,550円(10%税込み)
  • 27.5” x 2.60”(66-584) 1,055g 3C マックステラ(グリップがなくなってる) 40PSI EXO+/チューブレスレディ 1万1,880円(10%税込み)
  • 29” x 2.60”(66-622) 1,120g 3C マックス 50PSI EXO+(になっている)/チューブレスレディ 1万1,550円(10%税込み)
  • 29” x 2.40” WT(61-622) 945g 3C マックス(グリップがなくなってる) 40PSI EXO+/チューブレスレディ 1万1,550円(10%税込み)
転がり抵抗を低減させているので、ドライのハイスピードコンディションでの使用に向いているか。

 

フォーキャスター(Forekaster)は、29”サイズが追加に。

 土がまとわり付くような状態でも安定したグリップを得られるという、フォーキャスター(Forekaster)。従来の 27.5” のみから 29” サイズが 2 種類追加になった。

【NEW SIZE】

  • 29” x 2.40” WT(61-622) 950g デュアル 50PSI EXO/チューブレスレディ 8,580円(10%税込み)
  • 29” x 2.60”(66-622) 1,040g デュアル 40PSI EXO/チューブレスレディ 9,240円(10%税込み)
レース用タイヤとしては位置づけられていない。

トピークからは様々なツールが追加に

ニンジャ+ツールボックスに『ミニ』版が登場。(Ninja+ ToolBox mini)

 対応するボトルケージにアダプターを介することで携行が可能なニンジャ+ツールボックスに、かなりコンパクトになった『ミニ』版が登場。

どのくらい小さいかは指との比較で解ると思う。
この小さなケースの中に最低限の工具が収まっている。

 サイズがこれだけコンパクトだと力を入れる作業は難しいと思うが、逆に入り組んだ箇所には入れやすい。7 機能あるうちの 8 mm六角レンチは、5 mmと(−)ドライバーを組み合わせて使用する。

  • 価格/5,500(10%税込み)
  • アルミ合金ボディ、クロムバナジウムツール
  • W35 x H16 x L(D)58 mm
  • 70 g

7機能ミニツール

  • 六角レンチ/2、3、4、5、8 mm
  • トルクスレンチ/T25
  • (−)ドライバー

 

ボトムブラケットの中空部に収めてしまおう、という発想のツール。BBQハイドツール。(BB Hide’n Tool)

 昨今のBIKEでは空いていることが当たり前のアノ部分に入れてしまおう、という発想のコンパクトツール。個人的に抜けてしまわないか、すこし不安にはなったが場所の有効活用という考え方ではアリなのかもしれない。

  • 価格/7,480円(10%税込み)
  • アルミ合金ボディ、エンジニアリンググレードポリマーボディ、クロムバナジウムツール
  • シマノGRX、デオーレXT、SLX、スラム XX1、X01 イーグルDUB、FSA 中空カーボンクランク対応
  • 直径部 124 mm 以上、内径Φ 18.5 〜 20 mm、Φ 20 〜 25 mmの中空スピンドルに対応
  • ダストキャップ付き
  • W25 x H25 x L(D)130 mm
  • 82 g

チェーンツール

  • シングルスピード〜 13 速、スラム フラットトップチェーン対応
  • チェーンフック

7機能ミニツール(ニンジャ+ツールボックスミニと同じ物)

  • 六角レンチ/2、3、4、5、8 mm
  • トルクスレンチ/T25
  • (−)ドライバー

 

ハンドル部に工具を入れてしまおう、という発想は同社では従来からあったが、その発展形。チューブレスリペアキットがあるのが時代か。プラグツールマウンテンプロ(Plug’n Tool mountain Pro)と、プラグツールマウンテン(Plug’n Tool mountain)。

 ハンドルバーに収納し、必要な時だけ取り出して使える、MTB向けツール。ビットキット、チューブレスタイヤリペアキット、チェーンツール、チェーンフックを搭載。(プラグツールマウンテンプロ)
 価格は、1万1,000円(10%税込み)。

 プラグツールマウンテンは、チェーンツールとチェーンフックが含まれない。7,480円(10%税込み)。

 

アデプト(ADEPT)のヘルメットは注目

参考出品だがハチ張りに見えにくいシルエットが秀逸な、アーバンスポーツヘルメット(URBAN SPORT HELMET)。販売予価、7,150円(10%税込み)。
試しに被ってみたところ。この『キノコ具合のなさ』は特筆すべき点だと思った。

 どんな自転車に乗る時もヘルメットが忌避される最たる原因のひとつが、あのハチが張ってキノコシルエットになることではないだろうか。このアデプト(ADEPT)のアーバンスポーツヘルメット(URBAN SPORT HELMET)はそれが限りになく抑えられていて、日常使い、通勤などシーンを選ばず選択肢のひとつに上げたいと思った。

 最新のテクノロジーは付いていないが、事故時の頭部を損傷する確率は明らかで、それは一般道をクルマなどと一緒に走っている時のリスクはさらに増す。筆者も過去に交通事故で救急隊員から「ヘルメットは被っていなかったんですね?」と問われたことがある程で、これはぜひ製品化をしてもらいたいと思った。

現状、6色のサンプル展示だった。

 

アジャスターを設けたボトルケージ、オールパーパスケージ(All-Purpose Cage)。
しなりの大きなカーボン製だとかなりのサイズに適合するが、ガッチリホールドするまでには至らない。そこを解消する製品。

 アデプトのオールパーパスケージ(All-Purpose Cage)は、締め付け可能なバンドを設けることで様々なサイズの丸系の物をしっかり固定できるようにしたアイディア商品。対応ボトル径は、Φ 51 〜 120 mmとなっている。

  • 価格/2,860円(10%税込み)
  • POM、ナイロンボディ
  • 適応ボトル外径/Φ 51 〜 120 mm
  • W70 〜 115 x H165 x L(D)80 〜 160 mm
  • 60g

 

チューブレスを導入するかどうかの分水嶺

 今回、レース車両のバンシー(banshee)が展示されているのと同時に、塚本 岳選手が会場にいて、現役ライダーに会うのが久しぶりなのでチューブレスタイヤの使い分けについてなど訪ねてみた。

 展示車両は当然、前後ともチューブレスになっていたが、チューブドとの使い分けは未だに個々の考え方や環境にもよるのではないか、という私見であった。というのが、チューブレス化しているとシーラントがタイヤ内にあるのでチューブレスからチューブドへの作業は非常に面倒。かといって、山中では一気に加圧できるような空気入れがないとチューブレスのビードは上がらないので、そこでお手上げ。常設コースの富士見パノラマリゾートのような場所ならば、パンクしたのならば下まで押して降りてくる方法もあるが、トレールでの山中であったらそうはいかない。

 対策品のコアも何社からも出ているが、これの使用も個人でかなり分かれるようで、そうすると一発勝負のレースならばチューブレスはありだけど、1日山中を走るような使い方ではチューブレスの選択が難しい状況も出るのではないか、とのことだった。

 先日もある漫画家のツイートで、パンクをしてずっと押しているROAD乗りに遭遇し声を掛けたのだが、漫画家はチューブレスタイヤ、パンクをしたひとはチューブドで結局、何も出来ずに別れてしまった、という話しがあった。今後はこういうシーンも多く起こってくるかもしれないということだ。

 何となく聞いてみた話しの内容だったのだが、案内、重たい中身になってしまった。

 

 パンクしなければそれでいい、と考えるかもしれないが先日、山口県から急遽会場がパルコール嬬恋リゾートに変更になった全日本選手権では、案外、パンク車が続出。チューブ選択の難しさを突きつけられたような気がした。

 なお、バンシー(banshee)はマルイから購入可能で半年に1回のスパンで台湾生産されているので、タイミングが合えばすぐに手に入るし、そうでなければしばらく待つ体制だという。レジェンド(Legend)、カッコいいんですよね。

 

END

【ジーティー】ハイピボットデザイン化した新生フォースカーボンが登場

ライトウェイプロダクツジャパンは、GT Bicycles の最新モデルをいくつか発表。生産工場の稼働状況にもよるが、ライトウェイ取扱店にて購入可能。

掲載日/2021年10月9日  文/やかん

ライトウェイプロダクツジャパンは、GT Bicycles の最新モデルをいくつか発表。生産工場の稼働状況にもよるが、ライトウェイ取扱店にて購入可能。

A NEW FORCE UNLEASHED「解き放たれる新しいフォース」

 マウンテンバイクの中で大きく変わったのが、エンデューロバイクのハイエンドモデル、フォース・シリーズ。

 キャッチフレーズは、

ハイピボットデザインとキックバックの最小化を実現し、卓越したダウンヒル性能と登坂性能を両立した、エンデューロレーサーの理想形

 以下、リリースより。

GT FORCE CARBON FRAME(フォースカーボンフレーム)
36万800円

 GT が開発を続けてきた LTS サスペンションをさらにハイピボットデザインに変更し、ダウンヒルバイク『 FURY 』のアイドラープーリーを装備したエンデューロレース MTB が『フォースカーボン』です。
 チェーンを引っ張る位置を高い位置に持ってくるアイドラープーリーを装備することで、ハイピボットデザインのフルサスペンションのデメリットである、ペダリング時にサスペンションの動きが悪くなる、ストローク時にペダルが逆回転してしまう現象を最小化。
 GT が開発した LTS サスペンションのポテンシャルを、最大限発揮できるようになりました。
 リアサスペンションを伸縮させるレバー比も新しく設計しなおし、ストローク全域において自然なストローク感を提供します。

GT FORCE CARBON FRAME(フォースカーボンフレーム)
36万800円

【 サスペンションデザイン特徴 】
・ホイール軌道の最適化による衝撃吸収性向上
 旧モデルと比較して、衝撃を後方に受け流すホイール軌道に最適化。連続する障害物でも、減速を最小化して駆け抜けることができます。
 例えば、サスペンションが伸びきった状態から、90 mm ストロークした場合、新型フォースでは 10 mm 後方にホイールが移動して前方からの障害物を受け流すことができます。(旧モデルの場合は約 2 mm )
・ローギア時のアンチスクワット性能を向上
 特に、登りのシーンで大きなリアギアを選択している時のサスペンションの沈み込みを抑制。ロングストロークバイクとは思えない登坂力を発揮します。
 逆に、ハイスピードで下っている時は、よりペダリングしてもサスペンションの動きを最大限発揮できるように、アンチスクワット量をチューニングしています。
・限りなくスムーズなサスペンションレバー比
 リアサスペンションのストローク量を 55 mm から 65 mm に伸ばしたことで、ストローク全域でレバー比を下げて、サスペンションユニットをスムーズに動かし、性能を最大限発揮。
 特に、ストローク初期動作において逆プログレッシブなレバー比にすることで、より自然なスプリングレートになっています。

GT FORCE CARBON FRAME(フォースカーボンフレーム)
36万800円

【 ジオメトリー詳細 】
・ロングリーチ × ショートステムの設計による、高速走行下での正確なハンドリング。( M サイズ前モデル 445 mm 、新モデル 455 mm 、+ 10 mm )
 78 度のシートチューブアングルで、ヒルクライムのペダリング効率を向上。(前モデル 76 度)
・ヘッドアングルをさらに寝かせて、高速走行時の安定性を向上。(前モデル 65.5 度、新モデル 63.5 度)
・スタンドオーバーハイトを小さくして、悪路での足つき性を向上。( M サイズ 前モデル 750 mm 、新モデル 730 mm )
・リアセンターを長くして、ハイスピード時の安定性を向上。( M サイズ 前モデル 434 mm 、新モデル 445 mm / 435 mm )*フリップチップで変更可能。

【 フレーム機能 】
・ラッカス・コントロール
 エンデューロ走行において気になるチェーンのバタつきによる傷やノイズを抑えるために、フレーム各所にプロテクターを装備。
・リアエンド・フリップチップ
 リアエンドにフリップチップを設けることで、リアセンターをライダーの好みに合わせてチューニングが可能。
・TUBE IN TUBE
 フルサスペンションに最適化した内装フレームルーティング、『 TUBE IN TUBE 』方式を開発。ケーブルのトラブルを減少させつつ、メンテナンス性も大幅に向上。
・フレームストレージ
 サスペンション上のフレームスペースにはお好みのバンドを使って、CO2 ボンベやチューブなどを格納することができます。

参考までに、旧モデルのフォース。

FORCE CARBON PRO(フォースカーボンプロ)

GT FORCE CARBON PRO(フォースカーボンプロ)


価格/65万7,800円(税5万9,800込み)
カラー/ダークグリーン
サイズ/S(380)、M(410)
フレーム/Force カーボン 29” 、ハイピボット LTS サスペンション、160 mm トラベル、Tube in Tube ケーブルルーティング、BSA 73 mm 、Boost 12 x 148 mm スルーアクスル、230 × 65 ショック、ISCG05
フォーク/RockShox Zeb Select+、170 mm 、Boost 15 x 110 mm スルーアクスル、44 mm オフセット
リアショック/RockShox Super Deluxe Select+、230 x 65 mm
リム/ホイール/WTB ST i29 TCS、32h、チューブレスレディ
タイヤ/(F)Maxxis Assegai、29 x 2.5″ 、3C MaxxTerra、EXO+、チューブレスレディ、(R)Maxxis Minion DHR II、29 x 2.4″ 、3C Maxx Terra、EXO+、チューブレスレディ
ブレーキ/SRAM Code R、4 ピストン、220 / 200 mm Centerline ローター
シートポスト/GT Dropkick、31.6 mm
重量/n/a

FORCE CARBON ELITE(フォースカーボンエリート)

GT FORCE CARBON ELITE(フォースカーボンエリート)


価格/50万3,800円(税4万5,800込み)
カラー/タン
サイズ/S(380)、M(410)、L(445)
フレーム/Force カーボン 29” 、ハイピボット LTS サスペンション、160 mm トラベル、Tube in Tube ケーブルルーティング、BSA 73 mm 、Boost 12 x 148 mm スルーアクスル、230 × 65 ショック、ISCG05
フォーク/RockShox Yari RC、170 mm 、Boost 15 x 110 mm スルーアクスル、42 mm オフセット
リアショック/RockShox Super Deluxe Select、230 x 65 mm
リム/ホイール/WTB ST i29 TCS、32h、チューブレスレディ
タイヤ/(F)Maxxis Assegai、29 x 2.5″ 、チューブレスレディ、(R)Maxxis Minion DHR II、29 x 2.4″ 、チューブレスレディ
ブレーキ/TRP Slate T4 M806 油圧ディスク、203 mm ローター
シートポスト/GT Dropkick、31.6 mm
重量/n/a

FORCE CARBON FRAME(フォースカーボンフレーム)

組み立て例。


価格/36万800円(税3万2,800込み)
カラー/マットブラック
サイズ/S(380)、M(410)
フレーム/Force カーボン 29” 、ハイピボット LTS サスペンション、160 mm トラベル、Tube in Tube ケーブルルーティング、BSA 73 mm 、Boost 12 x 148 mm スルーアクスル、230 × 65 ショック、ISCG05
リアショック/Fox Factory Float X2 、230 x 65 mm Trunnion、2 Pos-Adj

【 Force カーボン 29 Q&A 】

Q:29 インチのみのラインアップである理由は?
A:実際に乗車して行ったテストの結果、フォースのパフォーマンスを最大化できる組み合わせが前後 29 インチだと判断しました。
Q:ダブルクラウンは装着できますか?
A:シングルクラウン専用に設計されています。フレームを安全に使用できるアクスルからクラウンまでの最長距離は、591 mm です。
Q:どんなリアサスペンションが使えますか?
A:エアー式でもコイル式でも使用できます。
Q:フロントチェーンリングはいくつまで使えますか?
A:最大 34 T まで使用可能です。

■ジオメトリ

※編集部より:

 先日、久しぶりにダウンヒルのレースイベントに参加してきたが( 2021 年 10 月)、なんとこのフォース含め、GT の BIKE を出走者の中でほとんど見掛けなかった。やはり、ダウンヒルバイクを専業にしているメーカーや代理店の BIKE が目立ち、これは昨今の世界的な需要増と、それに反するかのような生産力の大幅な減少により 2 年先の注文も溢れる、という状況も影響しているのだろう。

 つまり、ここ 2 年程は欲しくても店頭に該当の BIKE がなく、また注文も不可、という状態が続いているのだ。その結果、今回の大会のような光景になったのかと思う。もちろん国内プロモーションや販売店のプッシュ方向も関係するだろうが、決して GT のマウンテンバイクが劣っている、という訳ではないことはここで書いておきたい。

 編集部は、性能が落ちれば容赦なく切るので(利害関係がいっさいないので)、ちょうちんでもなんでもない。カーボンは耐久性については相変わらず課題があるようには感じるが、店頭で選択肢として並んでいたらぜひチェックをして欲しい。

【マウンテンバイク】今シーズンはシューズに拘ってみませんか?(クランクブラザーズ&FLR)

掲載日/2021年7月28日  取材・文/やかん
取材協力/ライトウェイプロダクツジャパン

※お断り:
掲載時期を早める都合、随時、追加していくかたちにしています。

 趣味であるマウンテンバイクの世界は、ここ数年での進化がさらに著しく、また『競技』という側面でも多様性がより拡張しているように感じます。
 そんな中ですが、BIKE とライダーの重要な接点である箇所は変わらず、グリップとサドル、そしてペダルになります。それらも個々に進化や新しい拡がりを見せていますが、そのお仲間である専用のシューズについて、気鋭 2 社の日本発売がありました。( クランクブラザーズ & FLR )

 本稿を執筆時、野山の緑は深くなり、マウンテンバイクの楽しさが発揮されるシーズン入り口。その専用シューズたちを紹介しますので、今年はすこしマッチョな足下にして遊んでみませんか?

独自のビンディングシステムが特徴の『クランクブラザーズ』

 独自性を持ち、デザイン性にも富んだマウンテンバイク用のパーツを多くリリースしているブランド、それがクランクブラザーズ( Crankbrothers )です。ペダルとシューズを専用の金具で固定してしまうビンディングシステムについては、古くから、一般流通量の多いシマノ製とは一線を画するペダル(と金具)を発売しています。

 今回、満を持しての登場となった専用のシューズ群は、基本的にはそれらクランクブラザーズ製のビンディングペダル(と金具)にジャストフィットするよう作られた物になります。もっとも、他社ビンディングシステムでも使えるようになっているので、今現在クランクブラザーズのシステムを使っていなくともこれらシューズを組み合わせることは可能です。

 種類が多いので、写真を交えながら紹介していきましょう。

豊富な展開となったクランクブラザーズのライディング用シューズたち。
豊富な展開となったクランクブラザーズのライディング用シューズたち。

【 MALLET シリーズ ビンディングタイプ 4 種 】


『 Match Box 』を採用し、様々な MTB ペダルに適応するビンディングペダル用シューズ。
BOA、ストラップ + シューレース、エンデューロ向けシューレース、ダウンヒル向けシューレースの 4 種類をラインナップ。

1.<マレットE ボア(MALLET E BOA)

マレットE ボア 2万7,280円
マレットE ボア 2万7,280円

価格/2万7,280円(税2,480円込)
サイズ( 4 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm
カラー( 1 色のみ)/ブラック-ゴールド/ブラックアウトソール

マレットE ボア 2万7,280円
マレットE ボア 2万7,280円
マレットE ボア 2万7,280円
  • エンデューロレースをメインターゲットに据えた、クランクブラザーズ一押しの MTB シューズ。トレイルライドにも。
  • 微調整が効き、確実な締め心地を提供する BOA システム採用。
  • 歩行時も快適なように、最適化された角度とパターンのつま先とカカトを持つソール形状を採用。
マレットE ボア 2万7,280円
マレットE ボア 2万7,280円

 編集部評:すこし地味かもしれませんね。

2.<マレットE スピードレース(MALLET E SPEEDLACE)

マレットE スピードレース 2万2,880円
マレットE スピードレース 2万2,880円 ブラック-シルバー/ブラックアウトソール
マレットE スピードレース 2万2,880円 グリーン-ブルー/ガムアウトソール

価格/2万2,880円(税2,080円込)
サイズ( 4 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm
カラー(全 2 色)/ブラック-シルバー/ブラックアウトソール、グリーン-ブルー/ガムアウトソール

マレットE スピードレース 2万2,880円 グリーン-ブルー/ガムアウトソール
マレットE スピードレース 2万2,880円 ブラック-シルバー/ブラックアウトソール
  • エンデューロレースをメインターゲットに、トレイルライドにも使えるクランクブラザーズ一押しのオールラウンド MTB シューズ。
  • 足にフィットするシューレースタイプ。ストラップが素早く確実な締め心地を提供。
  • シューレースの絡みつきを防止するための、収納用メッシュポケット付き。
  • 歩行時も快適なように、最適化された角度とパターンのつま先とカカトを持つソール形状を採用。
マレットE スピードレース 2万2,880円 ブラック-シルバー/ブラックアウトソール
マレットE スピードレース 2万2,880円 グリーン-ブルー/ガムアウトソール
マレットE スピードレース 2万2,880円 グリーン-ブルー/ガムアウトソール

 編集部評:BOA なしバージョン。すこし目立つ色が選べます。

3.<マレットE レース(MALLET E LACE)

マレットE レース 1万9,580円
マレットE レース 1万9,580円


価格/1万9,580円(税1,780円込)
サイズ( 4 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm
カラー( 1 色のみ)/ブラック-ブルー/ブラックアウトソール

マレットE レース 1万9,580円
マレットE レース 1万9,580円
  • エンデューロレースをメインターゲットに、トレイルライドにも使えるクランクブラザーズ一押しのオールラウンド MTB シューズ。
  • 素早く締めつけられる丸紐のシューレースタイプ。絡みつきを防止するための、収納用メッシュポケット付き。
  • 歩行時も快適なように、最適化された角度とパターンのつま先とカカトを持つソール形状を採用。
マレットE レース 1万9,580円
マレットE レース 1万9,580円

 編集部評:これも地味ですが。『 E 』はエンデューロの E のようですね。『丸紐のシューレースタイプ』とは、普通のヒモのことです。

4.<マレット レース(MALLET LACE)

マレット レース 1万9,580円
マレット レース 1万9,580円 ブラック-レッド/ブラックアウトソール
マレット レース 1万9,580円 ネイビー-シルバー/ガムアウトソール


価格/1万9,580円(税1,780円込)
サイズ( 4 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm
カラー(全 2 色)/ブラック-レッド/ブラックアウトソール、ネイビー-シルバー/ガムアウトソール

マレット レース 1万9,580円 ブラック-レッド/ブラックアウトソール
マレット レース 1万9,580円 ネイビー-シルバー ガムアウトソール
  • クランクブラザーズが創りあげた究極のダウンヒル競技用シューズ。
  • ダウンヒル向けの特長として、ソールにはクリート位置を深めに設定した『 RACE ZONE 』を採用。コントロール性を高め、安定性を保ちます。
  • 一般的なシューズよりもクリートボックスを 5 mm 奥へセットできるので、セッティングの幅が広がり、より踏みやすくなります。
  • 素早く締めつけられる丸紐のシューレースタイプ。絡みつきを防止するための、収納用メッシュポケット付き。
マレット レース 1万9,580円 ブラック-レッド/ブラックアウトソール
マレット レース 1万9,580円 ブラック-レッド/ブラックアウトソール
マレット レース 1万9,580円 ネイビー-シルバー/ガムアウトソール

 編集部評:高速でセクションに突っ込むダウンヒルなのに BOA ではなく紐を選択しているのが、興味深いです。『丸紐のシューレースタイプ』→普通のヒモ。

マレット レース 1万9,580円 ブラック-レッド/ブラックアウトソール
マレット レース 1万9,580円 ネイビー-シルバー/ガムアウトソール

■マレットモデル共通

  • ビンディングペダルのために開発された低摩擦・高弾力の MC1 コンパウンド複合ラバーソールを採用。
  • 堅牢なクリップインエリアはフリクションを抑えてビンディングの着脱を容易にし、効率よくパワーを伝えます。
  • クリートボックスに付いた傾斜は、クリートキャッチを簡単にし、同時に泥を排除します。
  • クランクブラザーズペダル用のクリートとシムが付属します。クランクブラザーズのビンディングペダルをお持ちであれば、すぐに使えます。
  • EVA ミッドソールが不要なショックを吸収し快適な履き心地を生み出します。
  • アッパー部のメッシュウィンドウが通気性を保ち、足の蒸れを逃がします。 → 編集部評:雨だと濡れる注意です。
  • パッド付タンが甲を保護します。
  • つま先はポリウレタンで補強されており、摩耗を防ぎます。
  • 隠れたアイレットが耐久性ばかりではなくシンプルなカッコよさを引き立てます。
  • 足が抜けやすい踵部分に付けられたドットで、靴と足のグリップを向上させ優れたホールド性を実現。
踵部分に細かいドットが入っているのがご覧いただけるかと。

 

Match Box(マッチボックス)について

自社ペダルとの組み合わせで設計されている、独自機構である『マッチボックス(Match Box)』。


Match Box は、最適な接点を提供するため、ペダルとシューズを統合されたひとつのシステムとする設計アプローチ。シューズとクリートとペダルをマッチさせ、一体感のあるライディングを可能にします。
新品の状態ではクランクブラザーズ純正のクリート + シム 1 枚。厚みのある他社製クリートでは、クリートのみ取付で最適な状態になります。使用に伴って靴底が減っても、シムを抜くことでクリートの篏合を最適な状態に保ちます。
 編集部評:つまり、この機能はクランクブラザーズでの組み合わせのみ? ▶ 代理店の回答:「ご指摘の通り、クランクのクリートはやや薄いため、シマノクリートはシム無しで取付になるようです。クランクのペダルの設計思想としては『ペダルとシューズの密着度を追求する』というコンセプトなのでソールの減りが生じたら、シムを抜いて密着度を上げる調整になるようです」とのこと。

ダウンヒル用シューズ “ マレット レース ” では、マッチボックス( Match Box )に加えクリート位置を深めに設定した『レースゾーン( RACE ZONE )』を採用。

【 STAMPシリーズ フラペ用 3 種 】

汎用性が高く使いやすい、スタンプシリーズ。


ダウンヒル、トレイル、エンデューロ、BMX、そしてカジュアルなサイクリングまで幅広く対応するフラットペダル用。
STAMP ペダルに最適化するようにソールを開発した、クランクペダルファン待望の MTB / BMX 用シューズ。
BOA、ストラップ + シューレース、シューレースの 3 種類をラインナップ。

フラットペダル用のスタンプは、外観はマレットと差異なく見えるが、カラー展開が多くなる。

1.<スタンプ ボア(STAMP BOA)>

スタンプ ボア 2万5,080円
スタンプ ボア 2万5,080円


価格/2万5,080円(税2,280円込)
サイズ( 4 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm
カラー( 1 色のみ)/ブラック-ゴールド ブラックアウトソール

  • フラットペダルユーザー待望の、BOA フラットペダルシューズ。
  • 微調整が効き、素早く確実な締め心地を提供する BOA システムを採用。

編集部評:やはりやや地味な印象。トップモデルゆえ?

2.<スタンプ スピードレース(STAMP SPEEDLACE)>

スタンプ スピードレース 2万680円 グリーン-オレンジ/ブラックアウトソール
スタンプ スピードレース 2万680円 グレー-レッド/ブラックアウトソール


価格/2万680円(税1,880円込)
サイズ( 4 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm
カラー(全 2 色)/グリーン-オレンジ/ブラックアウトソール、グレー-レッド/ブラックアウトソール

スタンプ スピードレース 2万680円 グリーン-オレンジ/ブラックアウトソール
スタンプ スピードレース 2万680円 グレー-レッド/ブラックアウトソール
  • 足にフィットするシューレースタイプ。ストラップが素早く確実な締め心地を提供。
  • シューレースの絡みつきを防止するための、収納用メッシュポケット付き。
スタンプ スピードレース 2万680円 グリーン-オレンジ/ブラックアウトソール
スタンプ スピードレース 2万680円 グレー-レッド/ブラックアウトソール
スタンプ スピードレース 2万680円 グリーン-オレンジ/ブラックアウトソール
スタンプ スピードレース 2万680円 グレー-レッド/ブラックアウトソール


 編集部評:個人的に良いカラリングと思います。

3.<スタンプ レース(STAMP LACE)>

スタンプ レース 1万6,280円 ブラック-シルバー/ガムアウトソール
スタンプ レース 1万6,280円 ネイビー-シルバー/ガムアウトソール
スタンプ レース 1万6,280円 ブラック-レッド/ブラックソール


価格/1万6,280円(税1,480円込)
サイズ( 5 展開)/25 cm 、26 cm 、27 cm 、28 cm 、29 cm
カラー(全 4 色)/ブラック-シルバー/ガムアウトソール、ネイビー-シルバー/ガムアウトソール、ブラック-レッド/ブラックソール、ホワイト/ホワイト/ガムアウトソール(ファビオ・ヴィブマー シグネチャーエディション)

スタンプ レース 1万6,280円 ブラック-シルバー/ガムアウトソール
スタンプ レース 1万6,280円 ネイビー-シルバー/ガムアウトソール
スタンプ レース 1万6,280円 ブラック-レッド/ブラックソール
スタンプ レース 1万6,280円 ブラック-シルバー/ガムアウトソール
  • カジュアルなサイクリング用シューズとしてもおすすめのシューレースタイプ。丸紐が素早い締付けを可能にします。 → 編集部評:一部、従来の四角タイプだが? ▶ 代理店の回答:ファビオ・ヴィブマー シグネチャーモデル(ホワイト/ホワイト)のみ平紐(黒の替え紐付属)。
  • シューレースの絡みつきを防止するための、収納用メッシュポケット付き。
スタンプ レース 1万6,280円 ネイビー-シルバー/ガムアウトソール
スタンプ レース 1万6,280円 ブラック-レッド/ブラックソール


 編集部評:突然の気合展開。それもその筈、MTB・バイクトライアル界のスーパースター ファビオ・ヴィブマー(Fabio Wibmer)使用モデル。

スタンプ レース 1万6,280円 ホワイト/ホワイト/ガムアウトソール(ファビオ・ヴィブマー シグネチャーエディション)
スタンプ レース 1万6,280円 ホワイト/ホワイト/ガムアウトソール(ファビオ・ヴィブマー シグネチャーエディション)
スタンプ レース 1万6,280円 ホワイト/ホワイト/ガムアウトソール(ファビオ・ヴィブマー シグネチャーエディション)
スタンプ レース 1万6,280円 ホワイト/ホワイト/ガムアウトソール(ファビオ・ヴィブマー シグネチャーエディション)
見事なフリップをメイクする、ファビオ・ヴィブマー(Fabio Wibmer)選手。

■スタンプモデル共通

  • STAMP ペダルの形状に合うよう最適化されたペダルエリア。
  • アウトソール部の MC2 コンパウンドは優れたピンの食い込みとグリップを提供。耐久性も優れています。
  • 歩行時も快適なように、最適化された角度とパターンのつま先とカカト。
  • ペダリングパワーを最大限伝える硬質なソール。 → 編集部評:優れたピンの食い込みとグリップ硬質なソールが相反するように受け取れるが? ▶ 代理店回答:「『ライディングに要求される要素を満たした適度なソール剛性』という感覚でしょうか。ここは非常によくできた部分だと思います」「もちろん材質がゴムですので、カーボンのような硬さのソールではなく、歩行も特に問題ありません。履いて歩行した感想ですが、ソールの柔らかいウォーキングシューズに比べると少し硬さは感じますが、長時間履いても疲労する程ではないように感じました」
  • EVA ミッドソールが不要なショックを吸収し快適な履き心地を生み出します。
  • アッパー部のメッシュウィンドウが通気性を保ち、足の蒸れを逃がします。
  • パッド付タンが甲を保護します。
  • つま先はポリウレタンで補強されており、摩耗を防ぎます。
  • 隠れたアイレットが耐久性ばかりではなくシンプルなカッコよさを引き立てます。
  • 足が抜けやすい踵部分に付けられたドットで、靴と足のグリップを向上させ優れたホールド性を実現。
スタンプも踵部分に細かいドットが入って、踵抜けを防止する。

でも、メジャーなの?

 さて、ここからはクランクブラザーズのビンディングシステム一般について、すこし触れておこうと思います。同社のビンディングは、基本的にオフロードライディングのマウンテンバイクでの需要が主ですが、レースシーンというよりか、山に分け入るトレイルライディングでの支持者が多いです。
 これは他社製に比べ、クリート(シューズに付く金具)周辺に泥が酷くこびりついてもペダル側の金具がしっかりとキャッチしてくれる、という大きな利点があるからです。かつてはTIME(タイム)のビンディングシステムが同じキャラクターを持ち、降車が付き纏うシクロクロス(当時、国内ではマウンテンバイクでの出走者も多かった)では、やはり圧倒的な支持を得ていました。

クランクブラザーズのビンディングペダルの代表モデルと言えば、こちら。特異な形状が目を引く、エッグビーター(EGG BEATER)シリーズ。クリートを捉える金具が剥き出しな点とキャッチが4面にあることから、コンディションを問わず確実な固定を得られる。


 現在の華やかなレースシーンではあまり見掛けないクランクブラザーズのビンディングシステムですが、ワールドクラスのダウンヒルではまず足を強く地面に着くことはそれほどありませんし、クロスカントリーもかなりの高速レイアウトになり、押し担ぎのような様相はなくなりました。つまり、スタートしたら最後、ゴールするまでペダルからシューズを外すことが昨今はないのです。
 また、スポンサードの関係もあると思います。同社は、アメリカのブランドによくある、『賑やかになったらどこかに売却する』や『斜陽になった途端、どこかに買収される』という話しを聞きません。派手なスポンサー活動をするのではなく、堅実にビジネスをおこなっているのかもしれません。
 ですから、「あんまりメジャーなイメージないやー」や「ワールドカップで見掛けないよ」みたいな印象で倦厭するのは、もったいないと思います。自分が知っているトレイルライディングを楽しんでいるマウンテンバイクユーザーのほとんどは、実際、クランクブラザーズのビンディングシステムを愛用しています。雨が多い日本ですので、やはりその理由は「泥が詰まってもしっかり嵌まる」、だそうです。

 他社に比べ、クリートを掴む感覚が「ぐにゃり」らしいですが、いつまでも取れないクリートの泥と格闘することを考えれば、慣れの範疇だと思います。

〜以降、FLR 社シューズの紹介へ続きます。お楽しみに。(やかん)

【カワサキ】オフロードレーサーKXシリーズに新型KX112とリファインKX85 Lが登場

掲載日/2021年6月17日  文/やかん

アメリカなどでは発表のあったオフロードレーサー(要はモトクロッサー)の KX シリーズに、排気量を 100 cc から 112 cc に拡大した KX112 と、それに合わせて一部がリファインされた KX85 L が登場した。簡単ではあるが、それらについて見ていきたい。

KX112 のあらまし


 KX112 とは、どんなマシンなのだろうか? 有り体に言ってしまえば、モトクロッサー小排気量クラスのパワーアップ版だ。メーカーでも、フワッとした概要を発表しているので、以下に記したい。

【 KX112 】
新しい KX112 は、111 cm³ に排気量をアップした 2 ストローク単気筒エンジンを搭載し、小排気量クラスでの戦闘力を向上。大幅に向上したエンジン性能に加え、モトクロスを始めた若年層のみならず、より幅広いライダーの体格にフィットするようシュラウド形状を変更しています。 また、エンジンやトランスミッションの耐久性を向上させたほか、ダンロップ製の MX33 タイヤを採用。さらにカワサキの KX ファクトリーレースマシンをイメージした印象的なスタイリングも実現しています。

■従来モデル( KX100 )からの主な変更点

  • 排気量を拡大し、低回転域でのトルクが強化された 111 cm³ 2 ストローク単気筒エンジン
  • エンジンのパワーアップに合わせて、強化されたトランスミッション
  • 車体とのフィット感を高めつつ、導風による冷却効果を向上した新設計シュラウド
  • エルゴノミクスパッケージと、精悍で機能的なルックスを両立させたアグレッシブ KX ルックス
  • 標準装備されたダンロップ MX33 タイヤ

※従来からの『主な特長』は省略。

▲カワサキ KX112 45万1,000円 (税4万1,000円込) 2021年9月17日(金)発売予定

 ほぼ、想像通りの中身だと思う。写真を見ると、元から KX85 のエンジン上部にはかなり余裕があったので、エンジンを縦に少し伸ばすのは無理はなかっただろうが、結果、KX112 は、ストロークを 5.8 mm 延長することで排気量を拡大している。これによる効果は、全体的なパワーアップだけでなく、特に低回転域のトルクが高く(太く)なっている。

▲全回転域でパワーとトルクが向上。ピークパワーは約5%アップしている。低回転域のトルクが高くなったことは、扱いやすさにプラスにはたらく。なお、低回転域のトルク増強は排気量アップが要因なだけでなく、吸排気ポートのタイミング見直しも図られた結果。

 2 ストロークエンジンの小排気量モデルは、特性上、どうしてもキャラクターがピーキーになりがちで、また、低回転域ではトルクが細めになる傾向がある。かといって、アクセルを開けると急激なパワーカーブによりオフロードでは虚しく路面を掻くだけが専ら。繊細なアクセルワークやリヤタイヤへの荷重コントロールがスリッピーな路面になればなるほど要求されるが、それとは別に、絶対的なパワー不足といった一面もライダーによってはある。

▲エンジンのパワーアップに合わせて、新設計の6速トランスミッションを採用。新エンジンに合わせ、キャブレターセッティングも変更&最適化。
▲コネクティングロッドも延長(92mm⇒99mm)し、ピストンにかかる横方向の力を減衰。より効率的なパワー発生に寄与する。ほか、ロングストローク化によるクランクピンのオフセット増大に合わせ、クランクシャフトのウェブ径を4mm拡大。剛性と信頼性を向上させている。

 KX112 は体格の大きなライダーの使用もかなり意識しているようで、物理的に乗車体重が増した時のトルクアップでのコントロール性の向上や戦闘力アップを狙ってもいるのかもしれない。

日本国内での活躍の場はどこか

 ただしこれは、KX100 が日本国内で発売された時も思ったが、このマシンの使いみち、活躍の場はどこか? という点である。モトクロスに限ってしまえば、MFJ の地方戦でも関東ローカルの MCFAJ でも 112 cc は『フルサイズ』扱いになってしまう。パワーだけでなく、フロント 19 インチ、リア 16 インチのタイヤサイズも、これでは分が悪い。

▲様々な体格のライダーに対応できるよう新設計されたシュラウド。背の高いライダーでもマシンにフィットしやすくなったという。

 筆者の予想では、モトクロスが盛んな欧米はそもそもの体格が日本人より大きく、しかしフルサイズモトクロッサーではまださすがに、という世代も当然いて、今回、改名となった KX85 L (旧名、KX85 – II )とそれの中間、移行用の練習車という位置付けなのだと思う。
 しかし、それをそのまま日本に持ち込んで、商機があるのか。モトクロッサーは、公道車のような販売計画台数は公表されないので、腹の中は解らないが。

▲排気量アップに伴い、ピストンプロファイルを変更し焼付きを低減。ピストンリングの接触面も再設計され、初期馴染み期間における摩耗低減性能を向上。エンジン自体の耐久性にも手を入れたかたちだ。
▲フルサイズモトクロッサーと同様のペタルディスクブレーキを前後に継続採用。
▲ダンロップ製MX33タイヤを標準装備。MX33は、ややソフト路面用。筆者は長年、ダンロップタイヤを愛用していて、ミディアム特性のMX53の前モデル、MX52を履いているが常に良好。
▲ハンドルバー位置を6ポジションから選択可能な構造は、従来から継続。市場の評判が良いのだろう。

名称と共にリファインされた KX85 L

 翻って、まだ販売台数が見込める KX85 L(旧 KX85 – II)に、この KX112 に盛り込まれた改修部が採用されることになった。その殆どは機関周りで、パワーアップに応じて改良された箇所を、生産ラインの共通化によるコスト吸収を狙って取り入れたのだろう。

▲カワサキ KX85 L 40万1,500円 (税3万6,500円込) 2021年9月17日(金)発売予定

 そうはいっても、どれも重要な部分であるので歓迎したい流れだ。

 メーカー発表の概要は、次のとおり。

【 KX85・KX85 L 】
KX85・KX85 L は高い剛性を誇るペリメターフレームに 84 cm³ のパワフルな 2 ストロークエンジンを搭載。インナーチューブ径 36 mm の倒立フロントフォーク、ユニトラックリヤサスペンションなど充実した装備との組み合わせは優れたパフォーマンスを発揮します。2022 年モデルでは、新たにエンジンやトランスミッションの耐久性向上、ダンロップ製タイヤ MX33 の装着のほか、新シュラウド採用よる優れたフィット感と冷却効率、シャープなスタイリングを実現。未来のチャンピオンを表彰台の頂点へと導くためのマシンとして、より進化を遂げています。フロント 17 インチ、リヤ 14 インチの KX85 に加え、フロント 19 インチ、リヤ 16 インチの大径ホイールを採用した KX85 L も同時にラインナップしています。

■主な変更点

  • KX112 での改良点を採用したエンジン・トランスミッション
  • 車体とのフィット感を高めつつ、導風による冷却効果を向上した新設計シュラウド
  • エルゴノミクスパッケージと、精悍で機能的なイメージを両立させたアグレッシブな KX ルックス
  • 車名の変更「 KX85 – II 」→「 KX85 L 」

※こちらも、従来からの『主な特長』は省略。

 これだと詳細が解らないので、別資料より引っ張る。KX112 と共有される改良点は、次のとおり。

▲KX112のエンジンパワーアップに合わせて新設計された6速トランスミッションを、KX85 Lでも採用。
  • スモールエンドニードルベアリングのリテーナーを強化。さらにビッグエンドニードルベアリングの負荷容量を高めることで、KX112 エンジンの高出力化に対応する信頼性を獲得している。
  • 走行風をより効率的にラジエータへ送る新シュラウドデザインが、冷却性能向上に寄与。
  • KX112 エンジンのパワーアップに合わせて、新設計の 6 速トランスミッションを採用。KX85 および KX85 L にも同様の変更を適用する。
▲KX85 Lも、KX112で採用された新型シュラウドを装備する。

 つまり、基本的には排気量アップによるカロリー増に応えたものになる。KX85 L で足を引っ張ることは考えられないので、例えば「そろそろ買い替えかな」と考えているユーザーには好材料となる。

時代を捉える必要性

 2022 年度用として新登場した KX112 に対しては、かなり辛口の紹介にはなってしまったが、出せば売れる、良い物を作れば売れる、という時代はとうに過ぎ、ましてやこういった分野への風当たりがなおも強くなる世相では、単に手放しで「新製品です」「期待が持てます」といった紋切り型の記事では、それこそ通用しない。

▲カワサキ KX85 L 40万1,500円 (税3万6,500円込) 2021年9月17日(金)発売予定

 話題として取り上げる訳だから筆者はオフロードもモトクロスも好きだが、世間からの様々な締め付けは厳しくなる一方で、そういった中で惰性的にイヤーモデルを出すのか、そうでないのかも含め、自分の好きな趣味が今後も共存と発展をし続けるには道筋を考え続けなければならない。

 そういった意味では、今回の 2 台に取材用車輌が用意されないのは残念。実際に乗って、立ち位置を見定めることができないからである。

 裏を返せば、日本国内の台所事情として、メーカーの採算ベースには載らない、ということだ。個人的には、まだ 1998 年製の KX80 – IIに乗っているので、今回のリファインを期に、さすがにそろそろ KX85 L を買いたいところではあるが。

  

  

【 KX112 主要諸元 】

▲カワサキ KX112 45万1,000円 (税4万1,000円込) 2021年9月17日(金)発売予定


車名/KX112
全長x全幅x全高/1,920 mm × 765 mm × 1,150 mm
軸間距離/1,310 mm
最低地上高/330 mm
シート高/870 mm
キャスター/トレール/29.0° / 108 mm
エンジン種類/弁方式/水冷 2 ストローク単気筒/ピストンリードバルブ
総排気量/111 cm³
内径x行程/圧縮比/52.5 mm × 51.6 mm / 9.9:1 (低回転) ・ 8.6:1 (高回転)
始動方式/プライマリキック
点火方式/デジタル CDI
潤滑方式/混合( 32:1 )
ギヤオイル容量/0.7 L
燃料供給方式/キャブレター KEIHIN PWK28
トランスミッション形式/常噛 6 段リターン
クラッチ形式/湿式多板
ギヤ・レシオ/1 速/2.538( 33 / 13 )
2速/1.875( 30 / 16 )
3速/1.500( 27 / 18 )
4速/1.250( 25 / 20 )
5速/1.090( 24 / 22 )
6速/0.956( 22 / 23 )
一次減速比 / 二次減速比/3.400( 68 / 20 ) / 3.923( 51 / 13 )
フレーム形式/ペリメター(高張力鋼)
懸架方式/前 テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 36 mm )、後 スイングアーム(ユニトラック)
ホイールトラベル/前 275 mm、後 275 mm
タイヤサイズ/前 70 / 100 – 19 42M、後 90 / 100 – 16 51M
ホイールサイズ/前 19 × 1.40、後 16 × 1.85
ブレーキ形式/前 シングルディスク 220 mm(外径)、後 シングルディスク 184 mm(外径)
ステアリングアングル(左/右)/45° / 45°
車両重量/77.0 kg
燃料タンク容量/5.0 L
カラー/ライムグリーン(GN1 )
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。

  

  

【 KX85 L主要諸元 】

▲カワサキ KX85 L 40万1,500円 (税3万6,500円込) 2021年9月17日(金)発売予定


車名/KX85 L
全長x全幅x全高/1,920mm×765mm×1,150mm
軸間距離/1,310mm
最低地上高/330mm
シート高/870mm
キャスター/トレール/29.0°/ 108mm
エンジン種類/弁方式/水冷2ストローク単気筒/ピストンリードバルブ
総排気量/84cm³
内径x行程/圧縮比/48.5mm×45.8mm/10.9:1(低回転)・9.0:1(高回転)
始動方式/プライマリキック
点火方式/デジタル CDI
潤滑方式/混合(32:1)
ギヤオイル容量/0.7L
燃料供給方式/キャブレター KEIHIN PWK28
トランスミッション形式/常噛6段リターン
クラッチ形式/湿式多板
ギヤ・レシオ/1速/2.538 (33/13)
2速/1.875 (30/16)
3速/1.500 (27/18)
4速/1.250 (25/20)
5速/1.090 (24/22)
6速/0.956 (22/23)
一次減速比 / 二次減速比/3.400(68/20)/3.923(51/13)
フレーム形式/ペリメター(高張力鋼)
懸架方式/前/テレスコピック(倒立・インナーチューブ径 36mm)
後/スイングアーム(ユニトラック)
ホイールトラベル/前/275mm
後/275mm
タイヤサイズ/前/70/100-19 42M
後/90/100-16 51M
ホイールサイズ/前/19×1.40
後/16×1.85
ブレーキ形式/前/シングルディスク 220mm (外径)
後/シングルディスク 184mm (外径)
ステアリングアングル (左/右)/45°/ 45°
車両重量/77.0kg
燃料タンク容量/5.0L
カラー/ライムグリーン(GN1)
※改良のため、仕様および諸元は予告なく変更することがあります。

  

  

  

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156 cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)と、住まいはモノで溢れている。モーターサイクルは、KLX250SR(’95)と KX80 – II(’98)を所有。

  • 当サイトに含まれるすべてのコンテンツ(記事・画像・動画・イラストなど)の無断転用は、商用、個人使用を問わず一切禁じます。
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【マウンテンバイク】2020年でも買える折り紙付き26インチタイヤ(MTBタイヤカタログ その2)

新たに取材ができましたので、追加のマウンテンバイク用 26 インチタイヤを紹介します。(MTBタイヤカタログ&ガイド)

掲載日/2020年3月15日  取材・写真・文/やかん
取材協力/サイクルパーツ合同展示会、井上ゴム工業、パナレーサー、マルイ

 

 予想外に好評でした 1 回目の実力派 26 インチタイヤ特集。あれから新たに取材ができましたので、追加のマウンテンバイク用 26 インチタイヤを紹介したいと思います。

 今回は、ほとんどが日本ブランド & 国内生産なので、ある意味、国内の土質に合っているのではないでしょうか?

 

アイアールシー( IRC )

 あとに上げるパナレーサーと合わせて、古くから日本のスポーツサイクル用タイヤの、特にレースタイヤの能力向上を牽引してきた片翼。最大の違いは、IRC はモーターサイクルのタイヤも多く手掛けていること。特にオフロード分野には強く、その意味でもマウンテンバイク用タイヤに寄せる期待と信頼は大きい。開発陣での、自転車とモーターサイクルの情報共有はあるようだ。


◇ミトス XC(MYTHOS XC)

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)サイズ比較

 まず、この時世に幅違いで 3 種類ラインナップしていることを称賛したい。古くからある、クロスカントリーレースに於ける定番タイヤで、サイズ展開はその名残とも言える。メーカー曰く、「XC レースで勝つ!」ことを至上タスクとして開発されたレース直系のモデル。
 センターからショルダーのブロックを 2 段形状にして、剛性と耐摩耗性をキープしたままに小型・軽量化。それでいて、グリップ性能と耐パンク性能を疎かにはしていない。
 昨今の高速系コースでは太めをチョイスしたくなるが、後輪のみ軽さを狙って細めを履く、というのもひとつ。ブロックパターンが各サイズごとの専用設計になっていて、それぞれのパフォーマンスを最大限に引き出せるよう配置を最適化しているとのことなので、レース用途では事前のテストをお勧めしたい。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/53 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/525g

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)

サイズ/26 × 2.10
ETRTO/57 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/595g

アイアールシー(IRC) ミトス XC(MYTHOS XC)

サイズ/26 × 2.25
ETRTO/60 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/610g
価格/5,060円 / 共通(10%税込み)
すべて、折り畳み可能

 


◇ミブロ – X(MIBRO – X)

アイアールシー(IRC) ミブロ-X(MIBRO-X)

 オールラウンド特性のマウンテンバイク用タイヤである『ミブロ』をベースに、さらにエキストリームな使い方(IRC では“アソビ”と表現)に対応させた、アドバンスドグレード。従来品であるミブロのパターンを徹底的にチューンナップし、ハードパックな路面でも音を上げない剛性を得た。グリップ性能にも優れる。
 なお、2.40 サイズより 2.25 の方が重いのは、タイヤ内部の構造が違うため。2.25 サイズには、ビード部にゴムを入れてこの付近の強度を持たせたブレーカーが使われている。

サイズ/26 × 2.25
ETRTO/60 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/875g

サイズ/26 × 2.40
ETRTO/100 – 559
コンパウンド/表記はないが、従来から変更なし
重量/770g
価格/5,060円 / 共通(10%税込み)
どちらも、折り畳み可能

 


◇ブリロ(BRILLO)

アイアールシー(IRC) ブリロ(BRILLO)

 マウンテンバイクのルックスやイメージを損なわない、ということで同社ではアーバン向けにカテゴライズされる街乗り用ブロックタイヤ。だが、筆者は 10 年以上使い続けていてダートでの性能になんら問題のないことを確認している。
 ポイントは耐久性と価格だが、その分、重量はどうしても犠牲になっている。センターリッジのパターンになっていて、転がり抵抗を軽減。耐久性に優れたゴムでサイドをカバー & 強化してもいる。スチールビードなので、折り畳みはできない。

アイアールシー(IRC) ブリロ(BRILLO)

サイズ/26 × 1.75
ETRTO/47 – 559
コンパウンド/−
重量/790g
価格/オープン(実勢価格 3,000円 前後)

サイズ/26 × 2.00
ETRTO/54 – 559
コンパウンド/−
重量/900g
価格/オープン(実勢価格 3,000円 前後)

 

 なお、ミブロ for マラソン チューブレスレディ(MIBRO for MARATHON TUBELESS READY) サイズ/26 ×2.25(19635E)は、廃番とのこと。残念!

 

 

パナレーサー( Panaracer )

 先に紹介したアイアールシーと共に、国内レースシーン用タイヤの両翼を担う存在。26 インチタイヤの数は 1 モデルのみとなってしまったが、以前から決戦用チューブやコストパフォーマンスに優れたタイヤレバーなど、周辺アイテムの充実が目立つ。近年は、新タイプの空気入れを開発し(ワンタッチポンプ)、ラインナップを増やしてもいる。


◇マッハ SS(Mach SS)

パナレーサー(Panaracer) マッハ SS(Mach SS)

 高速系マウンテンバイク用タイヤの走りともなった、マッハシリーズ。『SS』は、その中でも最も低抵抗のセミスリックトレッドモデルとなる。見た目はグリップ力に劣るように感じるが、当時からよく考えられたパターンで問題はない。基本的にはハード & ドライコンディション用のタイヤなので、マディでの挙動は事前にテストしておくのが望ましい。
 全体的に耐久性にも優れているため、ロングライフという面でも魅力が強い。コンパウンドは、特に名称はないが耐摩耗に優れた物を採用。ケーシングは、太いナイロンコードを使用した『800D Strong Cord(800D 強化コード)』。ビード部に、厚みのあるチェーファを採用し(ASB Chafer / アンチスネークバイト チェーファ)、耐リム打ちパンクに優れる。
 ビード自体はスチールなので、折り畳みはできない。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/53 – 559
コンパウンド/−
重量/650g
価格/3,279円(10%税込み)

 

 

タイオガ(TIOGA)

 かつては、国産で良質なタイヤを多く出していた三ツ星に委託したレース用マウンテンバイクモデルをラインナップ。現在は、三ツ星のタイヤ事業廃業により、かなり後退。その中でも、今回紹介する 1 モデルだけは台湾で他社のレースタイヤと同じ製造ラインで作られる。


◇サイコ II(Psycho – II)

タイオガ(TIOGA) サイコ II(Psycho-II)

 過去に存在したタイオガの名作『サイコ』の、普及モデル。路面コンディションを選ばないオールラウンド仕様で、価格を含め入門用にも最適なタイヤ。折り畳み不可。

サイズ/26 × 1.95
ETRTO/52 – 559
コンパウンド/AP ラバー コンパウンド
重量/710g
価格/3,080円(10%税込み)

 

 


 今回紹介するマウンテンバイク用タイヤは、これで以上になります。ほとんど過去からの継続モデルなので“チューブレスレディ”には非対応ですが、新品ゴムで 26 インチタイヤが入手できるのは助かるところであります。

 ちなみに、ある問屋の話しでは 26 インチのマウンテンバイク用タイヤは、アメリカに於いては日本比で 5 倍くらいの需要があると言います。車体自体の買い替え意欲がないのか、物を大事に使う文化なのか、判断は難しいところですが「持続可能」という言葉ばかりが踊る昨今、ひとつ、見つめ直すべき点ではないでしょうか?

 

関連:1 回目の特集

【マウンテンバイク】2020年にまだ26インチのマウンテンバイクは闘えるのか?(MTBタイヤカタログ) ※情報追記

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato

東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から爆撃機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク / モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル / スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。スポーツサイクルは、マウンテンバイク 6 台と BMX 1 台を所有。

 

 

【カワサキ】KLX230 / Rの全貌と魅力を紐解く、特濃試乗インプレッション&開発者インタビュー。(KLX230R編)

より突っ込んだ『インプレッション記事』。開発の経緯、目的、意図を尊重して『 KLX230R 』(コース専用車)を先に取り上げる。

掲載日/2020年2月17日  取材・写真・文/やかん
取材協力/カワサキモータースジャパン

 

━導入編からの続き

 さて、ではより突っ込んだ『インプレッション記事』である。

 順番的には、国内でのメインターゲットとなり得る『 KLX230 』(公道車)を紹介したくなるのだが、開発の経緯、目的、意図を尊重して『 KLX230R 』(コース専用車)を先に取り上げる。


カワサキ KLX230R(2020年モデル)
完全オールニューの、クローズドコース専用オフロードモデル。基本仕様は、同時期発売のKLX230とほぼ一緒。
価格:51万7,000円(税10%込み)、カラー:ライムグリーン、2019年10月1日発売済

都内での事前説明会に続き、試乗コースでもお話を聞かせてもらった、KLX230兄弟の開発陣。中央が、開発責任者である川崎重工業モーターサイクル&エンジンカンパニーの和田 浩行氏。右が、エンジン設計の城崎 孝浩氏。左が、デザイナーの小林 稔氏。和田氏がかつのてオフロードブームを体験していて、その時の気持などが大きく投影されている印象を受けた。

 

何故ニュートラルポジションランプないのか甚だ疑問

 基本的な仕様は事前にアナウンスしているように、新型フレームに、同じく新型の空冷 4 ストローク 232cc SOHC 単気筒エンジンを搭載。250cc ではなく中途半端な(約)230cc になったのは、
「初中級ライダーが楽しめる走りを追求していった結果、車重を軽くする目的もあり空冷で、使い易いパワーと特性を狙いこの排気量になった」
とのこと。従来の『 KLX250 』の代わりを目指した訳ではないし、ホビーオフロードライドを企図しているので、納得かと。

KLX230兄弟の注目すべきポイントは、フレームもエンジンもオールニューであることだろう。この空冷エンジンは、《カワサキ 技術本部 第一設計部 第四課 基幹職》の城崎 孝浩氏が設計を担当。
「ハイパワーは求めないで、中低速での扱いやすいトルクと快適で自然なフィーリングを目指し、しっかり作り込みました」との談。R用は振動軽減のバランサーシャフトが入っていない、ある意味「本来の」キャラクターも持つ。

 

 そのエンジンは、キャブレターではなくフューエルインジェクションで制御され、バッテリー搭載なので始動はスイッチ 1 つで可能。

 変わっているのは、ハンドルクランプ部(センター)にメインスイッチがあること。まずここを ON にしないと、右側のスタートスイッチを押しても始動はしない(ボタン色はグレー)。キルスイッチは、一般的な左ハンドルに(ボタン色はレッド)。

KLX230Rは言ってみれば「レーサー」なので、鍵(キー)はない。ハンドルクランプ近傍にあるのが、メインスイッチになる。左は給油、右はインジェクションエラーランプ。

始動関連は、このようになる。ハンドルクランプ部のメインスイッチを押さないと、インジェクションシステムも起動しない。

 

 このキルスイッチというのは、パドック(※)に戻ってきた時にエンジンを停止させる使い方のほか( R はキーレスなので)、コース上で転倒して後輪の回転が止まらず危険を感じた時などに強制停止させる役割もある。
※ここでは駐車場を指す。

『 無印( KLX230 のこと) 』もそうなのだが、KLX230 兄弟は、何故かギヤのニュートラルポジションランプがなく、いまギヤが何速に入っているかまったく解らない欠点がある。
(モトクロッサーでは当たり前であるが、入門車としてはこれは非常に不親切に感じる。)

 よって、転倒した時にギヤをニュートラルに戻してバイクを起こす、というのは非常に難しい。これは、オフロードバイクは倒れてもかなりの確率でリアタイヤが空転した状態になるからで、かとってそのまま起こすのは危ない。初心者はクラッチレバーを握りながらマシンを起こすのも大変だと思うので、ここは落ち着いて 1 度キルスイッチで停止させ、起こすのがベター。

 KLX230R はサイドスタンドがあるので、コース脇にマシンを寄せてスタンドを立てて一呼吸するのをお薦めする。ここがやはり、KX シリーズとは違うところだろう。「安全に」「楽しむ」が 1 番で、競ったり無理なペースで走る必要はまるでないのだ。

 

クラッチの操作フィーリングは標準レベル

 これに関係するクラッチ周りだが、レバーはワイヤー引き(ハイモデルやオンロードモデルは油圧式もあるが、オフロードではワイヤーが一般的)。引きは特段重くはなく、また低速重視で割りかし粘るエンジン特性なので、クラッチミートに神経質になる必要はない。

 ただし、KLX230R はエンスト防止のため、アイドリング回転数がかなり高く、「どかんっ」とクラッチを繋ぐと少々、扱いづらい。路面状況によっては、クラッチレバーを積極的に活用し、丁寧に繋いだほうがよい。マニアックな説明だと、KLX250 シリーズに FCR キャブレターを装着した時のようなアイドリングの高さになっている。よって、路面抵抗の低い箇所で乱暴に繋ぐと、後輪が空転してしまう傾向がある。

 ほかに細かなところでは、シフトペダルが気になる。標準では取り付け角度が下を向き過ぎていて、マシンの上でボディアクションを繰り返す乗り方では、体勢が不自然になってしまう。標準よりやや上向きでセットし直したほうが、圧倒的によい。

 オフロード走行は、いくらビギナーでも『ブーツ』の着用が望ましく、そのほとんどは足首の自由度がかなり制限されるので、つま先を大きく下げるような動作はできないからだ。

KLX230Rの無印(KLX230)との違いのひとつが、先端が可倒式になっているシフトペダル。ここが動かないと、転倒時にペダルを大きく曲げてシフトチェンジできなくなったりするので、必須の機構。
ちなみに他の部品でも言えるが、この2台は基本設計が一緒なので色々なところで共用ができ……。

参考:オフロードブーツは必須。初めは、プロテクション性能よりも足首の動かし易さを選定の目安にしたい。ソールは乗り方によるが、通常はフラットタイプ。降りて土の上でマシンを押す時間が長い場合は、エンデューロタイプがよい。

 

日本人は苦しむ、拷問に近いシート高

 オフロードブーツを履いた時の足首の不自由さに関連して、今回の KLX230 兄弟の最大の懸案は、そのシート高。筆者はプレ記事でも強く指摘してきたが、実車を前にしても『 無印 』も『 R 』もかなり高い。

<参考記事リンク>
【カワサキ】公道オフローダーとして『KLX230』が新たに登場! 心臓部は空冷4ストローク SOHC 2バルブ。

 これは、そもそもの開発初期において、モトクロッサーの KX シリーズのイメージを本機にも積極的に投影しよう、という強い方向性があったからだ。KX シリーズに羨望を抱くアジア圏ユーザーの心をキャッチする目的で、KX テイストがかなり取り入れられている。そのひとつが、タンク上端からリヤフェンダーまで流麗さを感じられるスタイリングで、結果、シートの落ち込みがほぼ皆無になっている。

イメージ:カワサキ KLX230R

 

 このようなスタイリングは、そもそもはモトクロッサーでは「当たり前」であり、マシンの上で自由かつ積極的なボディアクションが阻害されないことから、基本的には「良い」とされている。その代償が「足着きの悪さ」に結実する訳で、モトクロッサーは KX シリーズに限らず、背が低く股下が短い日本人のほとんどは、足が届かない。

参考:モトクロッサーはこのようなフラットデザインが当たり前。

参考2:スタートしたら最後、ゴールまで足を着かないレーススタイルもあり、落ち込んだシートはボディアクションの妨げにしかならない、という考えが主流。

参考3:レース中は、ほぼスタンディングで、シートに座るのは短い加速でジャンプを飛ぶ時などに、意図的にリアに強い荷重を掛けるシーンなどだけ、と独特でもある。

日本人だとこのパターンは多い。後述するが、足台必須。

 

『 R 』のメインターゲットが北米マーケットであるので止むなしではあるし、タンクから極端に落ち込んだシートのオフロード車は確かに格好悪いのは事実なので、そこを市場がどう捉えるか……。

カワサキの多くのモデルを担当した経験を持つ、《カワサキ 技術本部 デザイン部 スタイリング課》のデザイナー、小林 稔氏がスタイリングを担当。見ると解るが、北米向けの実績が多く、ここからもKLX230兄弟の立ち位置が読み取れる。

 

KLX230兄弟の開発&販売目的のひとつである、「KXシリーズに羨望を抱くアジア圏ユーザにミートさせる」。そのために意図的に取り入れられたのが、『KX譲りのシート下まで伸びたロングシュラウド』。2016年に大きく変わり同社オフモデルのアイコン的存在になったが、これも小林氏によるものであった。

 

『シート下まで伸びたロングシュラウド』は、見た目の印象だけでなく、そのシームレスさから、「ライダーが移動する範囲に部品の継ぎ目がなくなったことで、引っかかりのない機能面でのメリットも出た」。

 

特徴的なライムグリーンの大型パーツがホビーオフロードマシンにも採用されている点は、効果が非常に大きいと思う。筆者個人も、この一体型のシュラウドラインは、モデルチェンジしてからずっと憧れていたルックスである。

 

小林氏によるスケッチを見れば、明確にモトクロッサーKXシリーズを意識しているのが解る。だからといって、KX85ではないところも重要なポイント。

カワサキ KLX230R

 

足着きの悪さでトレッキングは微妙?

 このような点から、発売前にイメージしたエンデューロレースでの使い方は、個人的にはやや懐疑的。やはり、モトクロッサーのように『足台』を用意して、パドックではそこからスタート。戻ってくる時用にも、事前に広い台を置いておくか手前に石などの足場を確認してから出発したほうがいい。ツワモノになると、スタートする時は片足をステップに掛けた状態で走り出し飛び乗ったり、帰ってきた時はその逆の動作で降りるが、正直スマートではないし『 R 』のターゲット層とは外れるスキル。

参考:いわゆる足台。

参考2:いわゆる足台。

 

 ファンライドやホビーレーサー向けモデルなので、コース上で転倒することは大いに考えられるし、慣れないコースを走る時、一旦止まりラインを見定めたりしたいことは多々あるので、日本人にとって、このシート高は地獄でしかない。

 筆者は身長が 156cm しかなく、取材当日の装備品含めた体重は 60kg で、ややハード目に設定されたサスペンションでは 1G’ (※)でも沈み込みはあまり期待できず、砂利からスタートした時、荷重が垂直に掛かっていない性でリアタイヤが流れ、いきなり転倒もした……。
※ワンジーダッシュ/車体全体の重みで沈んだ 1G に、ライダーがさらに跨ってその荷重が掛かった状態のこと。

 以下の動画は KLX230 のモノだが、あちらでも足着きの悪さは似たもので、終始動き回っているのは、未見のコースでは足着き場所が解らず停止できなかったため。

 湿った下り坂でいきなり派手に転倒しているのは標準のタイヤと空気圧に依るモノだが、尤も、このような局面では『 R 』ならではの特性が大きく有利にはたらく。

 

専用コースでのイージーモトクロスに好適な予感

 というのも、シート高に関してネガティブな印象を連々書いたが、ストローク豊かで硬めの足回り、クローズドコース専用(公道禁止)タイヤならではのグリップ力、保安部品がないことによる軽量な車体は、やはり戦闘力が高め。

カワサキ KLX230Rの走破力を上げている大きな要因のひとつが、標準装着のタイヤ。エンデューロにも対応するダンロップのD952を、前後に履く。

リアは、100/100-18 59Mとトレール系ではスタンダードな18インチ径。タイヤの選択肢は多いが、このD952で困ることはまったくない筈。

フロントは、80/100-21 51M。試乗車の空気圧もあるのだろうが、無印とRではこのタイヤ性能による差は大きく、KLX230Rでグリップ力に不安を抱くことは一切なかった。無印(KLX230)で走り込むひとは、ひとつ参考になるだろう。

 

 普段は KX80-II と、カスタムした KLX250SR でモトクロスをしている自分としては、確かに『 R 』はそれらの間に位置しそうな性能を持っている。ややモタっとした吹け上がりと、1 つのギヤでのパワーバンドの狭さは気になるが、逆に開け口での特性はマイルドで、かといってエンストしてしまうような線の細さは一切なく、オフロードに不慣れでアクセルワークが雑になってしまっても、急にマシンが暴れるおそれは少ない。

 

 慣れてきてアクセルを開けられるようになると、シフトアップは忙しくなるが半クラッチを覚えれば 1 速高いギヤでもエンジンは咳き込むことなく付いて来てくれるし、上がった速度に対してサスペンションもタイヤもまったく音を上げないので、安心して高いスピード域を維持できる。

筆者はオンロードにはほとんど乗らないのでピンッと来ないのだが、KLX230Rのフロントサスペンションは、きちんと左右どちらにもスプリングとダンパーが入っている。リアはリザーバータンクのないタイプだが、前後ともセッティングは当然、無印よりも硬め。

KLX230Rは走破力を高めるために無印(KLX230)よりも、サスペンションのストロークが長い。もっとも、KLX230兄弟は『R』ありきで始めたマシンでもあるので、“無印はこれよりもローダウンしたモデル”という認識が正しいのかもしれない。

 

 モトクロスをすると解るのだが、公道で快適な足回りというのはオフロードコースではほぼマイナスにはたらく。恐怖を感じるだけでなく転倒など怪我にも繋がりやすく、『 R 』はさすが、そこで破綻する気配を感じさせない。取材当日のフィールドがスピードを出すにはまったく不向きだったので、中速以上での KLX230R の能力は未知だが、その後に行なわれた販売店向け試乗会の動画を見るに、まったく問題ないようだ。

参考:試乗コースの一部。モトクロスコースのようなレイアウトではなく、ジャンプ性能などは確認できなかった。

 

 開発者はあまりジャンプは考慮していないようであったが、ホビーユース程度のジャンプなら楽しめそうなのも、ポイントは高い。オフロードコース専用車ならば、いずれは飛んでみたくなるのは自然な流れだし、ひとつの楽しみである。そこで、「はい、それは KX シリーズでやって」ではナンセンスであり、KLX230R にその心配はなさそうだ。

カワサキ KLX230Rの特徴のひとつ、リアブレーキはマスターシリンダーとリザーバータンクが一体のレーサータイプになる。フレームは無印(KLX230)とほぼ一緒なので、そちらに移植することも……?

KLX230Rはオフロード走行を重視しているので、リア周りが大きく違う。スイングアームは軽量なアルミ製で、チェーンガードも金属&樹脂のタフな物に。ホイールベースは、無印(KLX230)よりも20mm短い。ただし、サイドスタンドは標準装備なので、あらゆるシーンで便利で助かる。

燃料タンクは、レーサーでは一般的な樹脂製。キャップも、キーロック機構などのないただのねじ込み式なので、保管時は注意したい。容量は、6.5リットル。

 

お勧めはしたいが運搬手段がとにかくネック

 惜しむらくは、この KLX230R を簡単に誰彼構わずに奨めるのは、憚れるということだ。いくら「本格オフロード走行の入口車として作った」し、「これを機会にその世界に足を踏み入れて欲しい」、という開発者(和田氏)の想いはあっても、日本での運用は簡単なことではない。自走不可の障壁は大きい。KLX230 の頁でも触れるが、メンテナンスの(いい意味での)イージーさなどたいへんに工夫と気配りをされてはいるのだが、なにせトランスポーターが必須なのだから。

トランスポーター(クルマ)を使った積載&遊び方のイメージ。このハードルをどう突き崩していくかが、KLX230Rについては課題。

 

 日本はオフロード専用コースも少ないし、レンタル用としてこの車両を購入し新たな来場者に楽しんでもらえるよう整えられる運営母体もない。筆者としては、メーカー先導で、一般ユーザーに乗ってもらえる機会を作って、「本格オフロード走行(バイク)ってこんなに楽しいんだ!」と感じてもらい、その後に繋がる流れを実施してもらいたいのだが、事前説明会の時点( ’19 年 9 月)で「まったくその予定はない」、との回答であった。

 やはり、メインターゲットは北米になってしまうのだろう。非常に残念な話しなのだがそこは現実を見つめるとして、あとの頁で、この KLX230R を楽しむために金銭面を含め越えなければならない中身をシュミレートしてみようと思う。ここで一旦、『 R 』については筆を置き、国内での主要購買対象になる KLX230 に話しを移して行きたいと思う。

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から航空機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。モーターサイクルは、KLX250SR(’95)と KX80 – II(’98)を所有。

 

 

 

【マウンテンバイク】※開催延期/メリダ・ミヤタカップ2020が、3月29日(日)に伊豆の国市で開催決定!

年齢など問わずソロから家族・友だちと、誰とでも1日中楽しめるあのイベントが、3年ぶりに帰ってきた。

年齢など問わずソロから家族・友だちと、誰とでも1日中楽しめるあのイベントが、3年ぶりに帰ってきた。
 
 
< リリースより >
※追記

新型コロナウイルス感染拡大に伴う
『メリダ・ミヤタカップ 2020』開催延期について

ミヤタサイクルは、みんなで楽しめるオフロード・イベント『メリダ・ミヤタカップ 2020』を3月29日(日)に静岡県伊豆の国市にて開催する予定でしたが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大リスクが高まっていることから、ご来場の皆さま、および関係者の皆さまの安全・安心を最優先に考慮し、開催を延期することを決定いたしました。

ご来場を楽しみにされていた皆さま、開催に向けてご尽力いただきました関係者の皆さまにおかれましては、ご迷惑をお掛けいたしますこと、深くお詫び申し上げます。

エントリーいただきました参加費の払い戻しにつきましては、原則、全額返金させていただきますが、次回へのエントリーをご希望の方は対応させていただきます。
エントリーいただきました皆さまには、事務局より個別にご案内申し上げます。

なお、延期開催につきましては、状況の改善を見た上で秋頃を目処に考えています。正式に決定しましたら改めてご案内を申し上げます。

2020年2月26日
 
 
みんなで楽しめるオフロード・イベント
メリダ・ミヤタカップ2020
3月29日(日)、静岡県伊豆の国市で開催

メリダ・ミヤタカップの過去の様子。

 31回目となるメリダ・ミヤタカップを静岡県伊豆の国市で開催します。
 会場は、世界最大級のスポーツサイクル展示・レンタル施設『MERIDA X BASE』の近くに位置する、狩野川河川敷特設コース。幼児から大人まで、ご家族、お仲間、ソロでも楽しめるオフロード・イベントです。

 皆様のご来場をお待ちしています。
 
 
【開催概要】
大会名称/メリダ・ミヤタカップ 2020
開催日/2020年3月29日(日)
開催場所/伊豆の国市 狩野川河川敷特設コース
主催/メリダ・ミヤタカップ実行委員会
共済/伊豆の国市狩野川利活用調整協議会(仮称)
後援/伊豆の国市 他
特別協賛/ミヤタサイクル
参加申込/スポーツエントリーにて2020年2月12日開始〜3月23日(月)締切
公式サイト/ http://www.miyatabike.com/enjoy/meridamiyatacup2020.html
 

メリダ・ミヤタカップの過去の様子。

 
新コースで開催
本大会でしか走れない見晴らしの良い河川敷に初心者でも楽しめるコースを設定します。
(3月上旬発表予定)

手ぶらでレース参加可能
『MERIDA X BASE』のレンタルバイクでレースに参加できます!
 レンタルバイクの詳細
 https://www.merida.jp/x-base/use/index.html?id=use_01

最新モデルが試乗可能!
MERIDA 2020モデルの試乗ができます。

初レースで表彰台に!
細かいクラスを設定。デビューレースで表彰台に立てる可能性もアリ!

市内ツーリング開催
伊豆の国市を巡るサイクルツーリングも実施します。

楽しい施設がいっぱい!
会場近くの道の駅『伊豆のへそ』には、イチゴ専門店や地ビールレストラン、地元食材のショップなどがあります。
 
 
【クラス】(定員、参加費 ※参考)
■キッズレース
・決められた周回走り、順位を競います。
 未就学/補助輪あり 30名 ¥500
 未就学/補助輪なし 30名 ¥500
 小学1-2年 30名 ¥1,000
 小学3-6年 30名 ¥1,500

メリダ・ミヤタカップの過去の様子。

■親子レース
・親子ペアで同時スタート、2周目は親のみで走ります。
・親はeMTBでの参加もできます(レンタル可)。
・小学生以上参加可。周回遅れの場合、1周で終了となります。
 親子レース 30チーム ¥3,000

■XCショートサーキット
・決められた周回を走り、順位を競います。
・小学生以上参加可。
 XCショートサーキット 男子(中学生、大人、50歳以上)、女子 計50名 ¥3,000

■2時間耐久レース
・規定時間内に何周走れるかを競います。
・小学生以上参加可。小学生を含む場合、ファミリーを選択してください。
・男子のクラス分け年齢はチーム員合計の年齢です。
・eMTBで参加するメンバーがいる場合、eMTBを選択してください。
 2時間耐久レース 男子(チーム合計100歳未満/100歳以上)/eMTB/女子/キッズ/男女混合/シクロクロス/ファミリー 計100チーム(1-4名) 1-2名:¥8,000、3-4名:¥12,000
 
 
[ 問い合わせ先 ]
メリダ・ミヤタカップ事務局
TEL/046-244-5311 (平日10:00~17:00)
email/ ame@openadrawer.com
 
 
 
※編集部より/
 筆者は、2012年の大会に参加したことがあります(会場はまだ東伊豆)。コース設定はイージーで、どんなひとでも初めてのマウンテンバイクレース(イベント?)としてうってつけで、誰にでも薦められるものでした。

筆者は、まだ会場が別の場所だった時のメリダ・ミヤタカップに参加したことがある。

 また、会場全体がとてもアットホームな雰囲気で、出店などもありレース以外の楽しみもいっぱい。とんでもなく広いエリアでの開催でもなかったので、移動だけで疲れることもなく充実の1日でした。

その時のメリダ・ミヤタカップは、この稲取キンメのみそ汁が最高に美味しかった。今もあるのかな?

 昔はこういうマウンテンバイクレースがたくさんあったのですが、今となっては貴重。BIKEを買ったが走る場所がない、ちょっとレースに出てみたい、といったユーザーニーズに充分に応えてくれるイベントになっています。是非の参加をオススメします。

レースBIKEでなくともよいし、ヘルメットとグローブさえあれば、他はライトな服装でも参加しやすいのが、メリダ・ミヤタカップのいいところ。

 今回はロケーションがさらに優れているようなので、家族やカップルで来ても飽きさせることがないと思いますよ。
 
 
 

【カワサキ】KLX230 / Rの全貌と魅力を紐解く、特濃試乗インプレッション&開発者インタビュー。(導入編)

突如として登場した、カワサキの新型オフロードモデル、KLX230 と KLX230R について、その魅力や実力、開発の意図などについてお届けします。

掲載日/2019年10月10日  取材・写真・文/やかん
取材協力/カワサキモータースジャパン

 

 突如として登場した、カワサキの新型オフロードモデル、KLX230 と KLX230R 。本件は、この 2 車種について、これから何項かに渡ってその魅力や実力。また、開発の意図などについてお届けしたいと思う。かなりの長さになり、一気に公開とはいかないのだが、どうかお付き合い頂きたい。


カワサキ KLX230(2020年モデル)
完全オールニューの、公道走行可能オフロードモデル(主に、デュアルパーパスと呼ばれるカテゴリ)。空冷4ストローク単気筒SOHCエンジンは、排気量232cc。
価格:49万5,000円(税10%込み)、カラー:ライムグリーン、2019年10月15日発売予定

カワサキ KLX230R(2020年モデル)
こちらも完全オールニューの、クローズドコース専用オフロードモデル。基本仕様は、同時期発売のKLX230とほぼ一緒。
価格:51万7,000円(税10%込み)、カラー:ライムグリーン、2019年10月1日発売済

< 関連記事リンク >

【カワサキ】公道オフローダーとして『KLX230』が新たに登場! 心臓部は空冷4ストローク SOHC 2バルブ。

【カワサキ】新生オフローダーKLX230の兄弟モデル『KLX230R』が登場。ミドルコンペを企図した仕様変更に。

 

先に開発が始まったのは、実は KLX230R の方だった

 まず、KLX230 兄弟を語る上で大事なのは、“開発のスタートは、ストリート用のノーマルではなく、ナンバーなしの R が先であった” ということ。

 先行して、クローズドコース用のファンライドモデルを新規開発し、それをより誰もが扱える街乗り用に落とし込んでいるのだ。この順番、立ち位置を取ったのは何故か? そこにこそ、この兄弟車の目的とキャラクターが見えてくる。

 というのが、開発の本分としては、『アジア圏で盛り上がりを見せている KLX150 以上のオフロード走行、しかし、KX シリーズまでのバッキバキのレーサーまでは行かない、間に当て嵌めるべきモデルをリリースしたい』意図があったのだという。
※編注/ KLX150 は、アジア圏で売られている、オフロードスタイルのモデル。KX シリーズというのは、完全なレーサーで保安部品など一切付いてなく、もちろん公道は走れない。

参考:マレーシアで販売されている、2019年仕様のKLX150BFというモデル。日本に並行輸入すると、33万円ぐらいの価格設定のよう。

参考:こちらは、2014年仕様のKLX150Lというモデル。日本でも販売しいてたKLX125と酷似したルックスで、おそらくカワサキモータースジャパンが言う「アジア圏で盛り上がっているKLX150」とは、こちらの方が多いと想像する。


 筆者個人としては、普段から KX モトクロッサーには乗っているので、別段、KX シリーズがそれ程 “ツッパッている” とは思わないのだが、それは順当に、ハスラー 50 (スズキ/公道車)→ KLX250SR (カワサキ/公道車)→ KX80 – II (カワサキ/モトクロッサー)とステップアップして来たからかもしれない。

参考:ハスラー50はスズキがかつて販売していた50cc(2ストローク)のデュアルパーパス車で、モデルチェンジを繰り返しながら最終的にフロント21インチ、リア18インチのフルサイズにまでなった。50ccとはいえ、ピックアップの良いエンジンで、軽い車体と相俟って軽快な操作が可能だった。筆者の手元には、現在ない。

参考:KLX250は、「闘う4スト」として一世を風靡した、当時では本格のオフロード車(カテゴライズは、デュアルパーパス)。2000年代以前は正立フォークのES、写真の倒立フォークのSR、それにナンバーなしのRモデルがあり、今とは内容の異なるエンデューロレースでは人気のモデルであった。筆者のKLX250SRは、現役。

参考:KXシリーズはカワサキのモトクロッサー(レーサー)に冠されるモデル名で、KX80-IIは前後ホイールがフルサイズではない、日本ではビギナーや女性が乗る最初の本格モデル。排気量だけ見ると80ccなので御しやすいと思うのだが、ある回転域から突然吹け上がる非常にピーキーな特性で、スクーターの80ccとはまったく違う。筆者は、これも現役。

 確かに、KX80 – II に跨った初日は、いきなりフロントがまくれ上がってしまい、リアフェンダーを曲げた苦い思い出がある。“ 2 ストロークだった” というのはあるが、レーサー特有の “ある領域からの爆発的な出力カーブ” は、やはり扱いが難しい。このような流れを経験せずに、一般のひとにオフロードライドを気軽に楽しんでもらうには、KX シリーズはまったく不向きである。

 かといって、KLX150 は突き詰めると、『ルック車』と感じなくもないバイクなので、本格オフロードライドを楽しむのは厳しい。かつて国内販売があった KLX125 で筆者も体験しているが、伸び代はまったくないし、その状態で無理にハイペースで走ると付いてこない足回り、エンジンに、むしろ恐怖と危険が高まるばかりであるのだ。

<過去記事リンク>

三月は深き紅のダートを Dirt08 KLX125に教えられたこと

 なんでもそうだが、『怪我』をした時点でその趣味は「ない」、とされてしまう。ファンライドなのだから、その位の気構えで OK 。むしろ、普通である。

 

空冷エンジンを筆頭に、メンテナンスフリーも意識している

 また、後述もするが、メンテナンスサイクルの問題もある。KX シリーズは、それはハイパーマシンだし立派な足回りを持っているが、特にエンジンの整備は頻繁に行なう必要がある。最高のパフォーマンスを提供するのだから、ユーザーもそれに見合ったお世話をしろ、というのは、モトクロッサーの世界では昔から当たり前である。

 しかし、これも『ホビーでオフロードライドを楽しむ』には、まるで不向きだ。KLX230 兄弟は空冷であることも含め、良い意味で整備はダルくていいし壊れにくい。開発者は説明会で、
「乗りたい時にフラッとタイヤの空気圧見て、ガソリン確認したらすぐに問題なく乗り出せる。そういうところも企図しました」
と話していた。これは、なかなか KX シリーズではできないところだ。

 

海外が主要な市場だが、もちろん日本でも販売する理由は明確にある

 では、何故 KLX150 以上、KX 未満の KLX230R モデルを開発しようとしたのか? それは、市場動向と開発者の意図によるところがある。

 まず、このモデルのメインターゲットは、北米とアジア圏。北米は、そもそもオフロードモーターサイクルのホビー & スポーツ文化は昔から活況である。が、それでも近年は不況の煽りで翳りは出ている。楽しみたいけど、ランニングコストは抑えたい。そして、彼らでも KX シリーズまではちょっと、という向きもあるそうだ。

 次に、アジア圏。彼の地では、ここしばらくオフロードブームが続いていているのだと言う。そして、前述の通り KLX150 では、オフロードに慣れてきたユーザーにはスペック不足。ポテンシャルに伸び代がないのも、懸案事項だったという。さりとて、流石に KX シリーズは彼らにとって、おいそれと手が出せる価格帯ではない。

参考: KX250(2020年モデル) / 80万8,500円(日本価格)

 という両圏の思惑があり、さらに、開発者がかつて日本でのオフロードブームを体験した世代( 40 代前半)であって、
「当時、とても楽しかったので日本でもまた多くのひとに乗ってもらいたい(盛り上がって欲しい)」
という想いがあったという。気持ちは良く解る。

 

乗って愉しいのは事実でも、日本では越えるべき難題は少なくない

 ただし、ここで大きな問題として立ち塞がってくるのが、トランポ(トランスポーター = 要は運ぶ手段。一般的に、クルマ)問題。KLX230R はそんなにバカでかい訳ではないが、モトクロッサーのミニサイズ( KX で言うと、85-II )ほど、小さくはない。
参考値:全長/ 2,045mm、全高/ 1,200mm、重量/ 115kg

 車重もかなりあるので、リアバンパー付近に積載するには、かなり注意と工夫がいる。

参考:バンパー直後に積載する方法。

 普通に考えれば、車内積みとなってしまう。簡易トレーラを曳く、という選択肢は日本ではまず考え難い。不便なことこの上ないからだ。すると、車内高と奥行き、それにクルマのシートを上げるなどしてのそれなりの空間が必要となる。車種の制限が著しく出てきてしまう。

参考:トレーラーを牽引して積載する方法。トレーラは軽四輪扱いになり、財政面でも厳しい。

 また、多く聞かれるのが、汚れの問題だ。どうしても、土の上を走る乗り物を車内に入れるので、フロアは汚れる。昨今のクルマは化繊のファブリックが多いので、繊維に入り込んでしまった泥汚れはなかなか取れない。放置しているひともいるが、湿気の多い日本では、カビや細菌のことを考えるとまったくよろしくない。のち後、異臭の原因にもなる。

「 KLX230R は KX シリーズに比べればセルモーターもスタンドも付いているので、ラダー 1 本あれば積み降ろしできてハードルは低い」、と開発陣は言いたいかもしれないが、こう考えると、それ以外の多くの面ではやはり『導入への障壁は多い』、というのが偽らざる現実であろう。
※編注/モトクロッサーというのは、基本、キック始動 & サイドスタンドすらない。

参考:車内に積む場合、このようなラダーレールを使って荷室に上げ下げする。写真のように、中折れタイプがコンパクトになりお勧めだ。


 ただ、これもあとで触れるが、KLX230R で楽しめる世界はそれなりに甘美なモノ。これは、オフロードブーム全盛でも喧伝されていたと思うが、「爽快な刺激」や「積極性」、「達成感」は日常では到底味わえないモノで、ライトスポーツやホビーと捉えれば、猛烈に「愉しい」。カリカリのレーサーではない KLX230R なら、それを家族でも楽しめるのだ。( KX シリーズではまず無理)

 雑誌の新車紹介記事で、「ゴルフバッグがどう積める」、「いくつ積める」はラゲッジスペースの指標としてよく使われるが、ここらで、「バイクがこう積める」、「掃除のしやすさ」、などという紹介方法も織り込んでいき、再びのオフロードブームを掻き立てるのも、我々の役目かもしれない。

 KLX230R は前述のとおり、整備にはそれほど気を使わなくてよいので(開発陣のお墨付き)、運搬手段と掃除、家族と楽しむ(理解を得る)、さえクリアできれば、価格を超えた満足感と非日常が手軽に体験できるようになる。

(イメージ)カワサキ KLX230R 2020年モデル

 おもちゃは用意されたので、それをどう使うか。次の項からは、そういったことも考えながらの試乗インプレッション記事を、開発者の声とともにお届けしたいと思う。

 しばし、お待ちあれ。

 

 

ダート&モト編集部
サトウハルミチ(やかん) Harumichi Sato
東京都生まれ千葉県育ちで、身長 156cm の mini ライダー。紙媒体の編集を長く経験した後、2012 年 4 月から初めて WEB マガジンに携わる。戦車から旅客機まで無類の乗り物好きで、特に土の上を走る四輪・二輪に目がない。競争事も好きで、マウンテンバイク/モトクロスはレース経験あり。モーターサイクル/スポーツサイクル以外にフィルムカメラ、ホームオーディオ、クルマ、紙の読書(恩田 陸先生の大ファン)、ガンプラが大好きで、住まいはモノで溢れている。特技は、引き落としの滞納。モーターサイクルは、KLX250SR(’95)と KX80 – II(’98)を所有。

 

 

 

【 特記 】先行して KLX230 のオフロードコース試乗動画が出来上がっているので、貼り付けておきます。

 

 

【トレック】甘美なオールラウンダーマウンテンバイク、新型 Fuel EX が登場。

掲載日/2019年08月19日  取材・写真/やかん
取材協力/トレック・ジャパン
 
トレック・ジャパンは、どのようなトレイルも十全に楽しめるBIKE『Fuel EX』をフルモデルチェンジし、国内では3モデルで展開する。
 
 

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

 
< リリースより >
新型Fuel EX

この度、トレック・ジャパンは、トレイルバイクの一番人気、Fuel EXをフルモデルチェンジして発表いたします。

今回、トレックの中で最も売れているフルサスバイクに、新たな特徴と大幅なアップグレードを加えました。新しいFuel EXは、マウンテンバイクのあらゆる最新テクノロジーを採用し、1台のバイクであらゆる走りを楽しみたいお客様に最適のパッケージとなっています。

フロントサスペンションは140mmとなり、130mmのリアトラベルと組み合わせ、効率的な登坂性能を損なわずに、よりテクニカルなトレイルにも対応できるようにしました。この新しいトラベル量に合わせてジオメトリーも一新し、よりオールラウンドな走りに対応します。新モデルは旧モデルと比べてヘッドアングルが寝かされ、下りでの安定性が高まっています。シートアングルは立たせ、より効率的な姿勢でペダリングできます。

トレック フューエル EX 5 2020年モデル/25万5,000円(税抜)/カラー:Slate/Trek Black

他のトレックのフルサストレイルバイクと同じく、固定式のロワーショックマウントを採用し、より高強度のチェーンステーと効率的なペダリングを実現しました。

ジオメトリーを可変させる機構、 『Mino Link』(ミノー リンク) は、 EVOリンク側に取り付けられる。ナットを回すことでの調整幅は、ヘッド角を 0.5度 ずつ。ボトムブラケットの高さは、 10mm ずつ調整できる。局部でみれば小さな数値だが、全体で見ると大きくジオメトリーは変化するという。

新型Fuel EXは、女性用モデルを展開する代わりに、全てのモデルでXS サイズを用意しました。これにより、お客様の性別、身長、走り方にかかわらず、フィットに優れたFuel EXが見つかります。

トレック フューエル EX 8 2020年モデル/38万円(税抜)/カラー:Matte Dnister/Gloss Trek Black

MとL サイズは、速くて走破性の高い29インチホイールを搭載します。XS サイズは27.5インチホイールを搭載し、小柄な方でも操作しやすく、より適したスタンドオーバー高となるようにしました。S サイズには27.5と29の両モデルを用意。これは、このサイズのホイールサイズの好みが分かれることが、調査からわかったためです。

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

どのモデルも、ドロッパーポスト、ワイドレンジの1x ドライブトレイン、グリップ力に優れた2.6インチタイヤを搭載します。

フューエル EXはフレームサイズによってホイールサイズを変えている関係で、ドロッパーポスト(ボントレガー Line Elite / フューエル EX 9.8)もストロークが分けられている。サイズ: XS , S で 100mm トラベル。 M , ML は、 150mm 。 L , XL は、 170mm となる。ケーブルは、完全内蔵式。

カーボンモデルのダウンチューブには新型Domane(編注:ロードバイク)と同様、ストレージが設けられ、パックの重さや煩わしさを気にすることなく、ツールなどを収納できます。

フューエル EX 9.8(カーボンモデル) は、今回からフレーム内側にストレージを設置。容量は意外と大きい。

内蔵ストレージ搭載 BIKE に対応した、BITS BAG 。バンク修理用キットが収まる。マウンテンバイクの場合、これに加え、チェーン切れの対策品ぐらいは入れておいたほうがよいだろう。ただ、パンク修理がこのタイプだと、チューブレスレディのホイールが宝の持ち腐れになってしまう。山中に繰り出すライダーには悩ましい点。
価格/2,400円(税抜)
サイズ/ワンサイズ
カラー/ブラック

飛び石やグラウンドヒットなどを考慮して、カーボンアーマーをダウンチューブに装備。

さらなるカスタムを楽しみたいお客様のために、Fuel EXはProject Oneでもお選びいただけます。
 
 
 


※編集部より:

 この、新生Fuel EXは、『TREK WORLD 2020』に於いて、フューエル EX 9.8 のみが関係者に先行公開された。

『TREK WORLD 2020』にて先行展示された、フューエル EX 9.8。

 そこでまず感じたのが、「相変わらずトレックの OCLV フレームは美しい」だった。

 筆者は昔、トレック本社のウォータールー(アイオワ州)に取材に行かせてもらったことがある。ヘッドオフィスだけでなく、実際に自転車(主にフレーム)の製作工場も見せてもらえたのだが、その当時から OCLV フレームは秘匿事項が多く、製造工程の撮影などは NG であった。

 しかし、カーボンレイアップの手法やポイント、塗装工程などは見ることができ、その当時からストレートに「美麗」であるとしか出てこなかった。

スポーツサイクルに於けるカーボンフレームの造詣について、トレック & OCLV が一級であり最先端であることは、論を俟たないところであろう。そもそも、率直に言って、流麗すぎる。

 今回、会場で展示されたフューエル EX 9.8 は、その技術とセンスを最新のマウンテンバイクに落とし込んだ機種と言えるだろう。

 国内展開は、このカーボンモデルの他に、アルミモデルが2つあるが、ここはぜひ奮発してフューエル EX 9.8 を狙って欲しいところだ。それだけの価値が詰まった1台になっている。

トレック フューエル EX を気に入る理由とは?

会場では一部のスペックしか公開されなかったが、現在は同社 HP でフルスペックを確認可能。

 フューエル EX シリーズは、オールラウンドなトレイルバイクを企図しているが、それはリアサスペンション機構のテクノロジーに拠るところが大きい。まず、ベースとなる『RE:aktiv』(リアクティブ)であり、進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)だ。

トレック独自の、『RE:aktiv』(リアクティブ)ダンパーを搭載。進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)も採用することで、様々な路面変化に素早く追従することが可能ということだ。

解り難いが、このユニットの下部が『Thru Shaft』(スルー シャフト)。逆転の発想で、構造は至ってシンプルということだ。

 実は、この RE:aktiv & Thru Shaft の組み合わせは、今のところフューエル EX 9.8 のみになっている。フューエル EX 8 は、 RE:aktiv のみ。フューエル EX 5 は、いずれも非搭載となってしまう。動画を見る限り、F1(モータースポーツ)のテクノロジーが投入されていて、マウンテンバイクで主要なサスペンションメーカー2社のユニットを相当にカスタマイズしているようなので、コスト高なのだろう。

 代わりに、トレックのフルサスペンション マウンテンバイク共通の、『Mino Link』(ミノー リンク)と『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)はグレードに関わらず搭載している。

リンクとアッパーアームの接続部に備わる『Mino Link』(ミノー リンク)は、回すだけでヘッドアングルとボトムブラケットハイトが変化し、クイックかナローか BIKE の特性を瞬時に変えられる。必要なのは、 5mm 六角レンチのみ。後述の内蔵ストレージにぜひ入れておこう。

『Mino Link』(ミノー リンク)は、 HIGH と LOW の2モードで用意される。

永らく、リアブレーキがサスペンションの動作に悪影響を与えるのは、マウンテンバイクでは珍しくなかった。この両者を切り離すことで、それぞれが自由に動けるのが、『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)。キャリパーをフローティング部に設置するのが肝のようで、特許技術でもあるそうだ。

 先に触れた、カーボンモデル限定の、内蔵ストレージは待望の機能であろう。

カーボン素材を使ったマウンテンバイクフレームで他社が先行していた、ダウンチューブのストレージ機能を、フューエル EX OCLV カーボンモデルで採用。

ボトルケージとアクセスドアは一体で、つまり素早くアクセスできる場所にある。ドアはしっかり閉まり、それでも泥だらけのグローブをはめたままで開閉が容易。

 現状は、同社の上級モデルに於いても採用しているのはこのフューエル EX 9.8 のみで、もちろんデメリットがなければ今後も採用車種は増えるだろうが、もしもコスト面が高いハードルになっているのだとしたら、しばらくは本機のみかもしれない。筆者は、とにかく背中に荷物を背負うのが嫌いなので、常日頃からサイクルジャージのポケットのみか、欲張ってもサドルバッグで対応している。

 公道も含め、身体の動きを阻害する要素は排除したい傾向にあり、このストレージ機能は甚く魅力的に映る。

足回りは、かつてのダウンヒルモデルに匹敵するワイド設計。ドロップアウトのブースト規格は、フロントが 110mm 、リアが 148mm となる。サイズ: XS , S では 27.5 を。 S , M , ML , L , XL では、29インチの用意となる。

トップエンドモデルになるフューエル EX 9.8 は、ホイールまでもがカーボン。驚くのが、『カーボンケア・ホイールプログラム』というものが用意され、
「ボントレガーのカーボンホイールを最初の購入から 2 年以内に不測にも壊してしまった場合、私たちが無料で修理または交換する」
という内容。お解りの通り、ハードな走行や大きな転倒で破損した場合に効力を発揮するという、通常とは逆のサービス。トレックは「安全性」にとかく敏感なメーカーで、その「らしさ」が表れている。

このような、トレールを主に駆け回る BIKE では、チェーンリングはもはやシングルのみ。しかも、デバイスレスという進歩。サスペンション機構やチェーンと歯の進化により、チェーンが猛烈に暴れなくなったり外れにくくなった所以であろう。丁数は、 32T 。クランク長は、フレームサイズ: XS , S で 170mm 。 M , ML , L , XL は、 175mm 。

リア周りは最近のトレンドである、クイックタイプだがスルーアクスル、且つブースト規格、という仕様。数値はブーストが 148mm、アクスルは 12mm 。カセットは 12 速で、 10-50T 。

 もうひとつ触れておきたいのが、『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)。筆者は、しばらくトレックBIKEは触れていなかったので未見の機構であったのだが、これに拠るストレートなダウンチューブが、とにかく美しい。

独自の『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)を開発したことで、真っ直ぐなダウンチューブ設計が可能になった。これは、特殊なステム、ヘッドセットトップキャップ、スペーサー、それにフレーム側に内蔵されるチップで構成され、ハンドルを目一杯切り込んでも、フォークのクラウン部分がダウンチューブに接触する前にロックされ、双方がノーダメージで済むようになっている。

『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)の詳細。黄色の箇所がシステムで、写真は、目一杯ハンドルを右に切り込んだ状態。赤色の箇所は見事にダウンチューブと接触していない。能力的には、ストレートなダウンチューブは高剛性を維持しながら過度に重くならないフレームを設計できるということだが、個人的にはあの曲がったダウンチューブが嫌いなので、これは大歓迎。なお、あまりに大きな衝撃が加わった時は、ノックブロックは自己崩壊しライダーへのダメージを軽減する。そのため、ダウンチューブには衝撃吸収バンパーは備わる。

 
 

 
 なお、以前の Top Fuel の紹介記事でも書いたが、特に小柄で手足が短い日本人にとって、サイズ選びはことさらに重要。

 幸いに、フューエル EX シリーズは、 XS からの用意があり、この適応身長は 137.0〜155.0cm 、股下は 64.0〜73.0cm 。ひとつ上の S は、 153.0〜162.0cm , 72.0〜76.0cm 。 S サイズになると 29 インチホイールが選択でき、こちらに優位性を感じている筆者(身長 156cm )などは選択をしてしまいそうだが、注意したいのがハンドルまでの遠さ。案外、ここは見逃されがちかもしれなく、通説では 29 インチはどうしてもこの“実効トップチューブ長”が伸びる傾向にある。

 KNOCK BLOCK の手前、ステムが専用品になってしまうので、この辺りは注意して、実車を前によく確認したほうがよいだろう。

 ちなみに、ステム長は、サイズ: XS , S で 40mm 。 M , ML , L , XL は、 50mm が初期設定。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【マウンテンバイク】GT bicycles の2020年モデル、展示会場より現車チェック! (フルサス編) ※公式試乗会追加

掲載日/2019年08月08日  取材・写真・文/やかん
取材協力/ライトウェイプロクツジャパン

 

インパクト強いとは言い難い年

 マウンテンバイク文化がアメリカで盛んになり始めた頃に開発をスタートし、そこから現在まで良質な BIKE を作り続けている GT bicycles(ジーティー)。リアサスペンションを備える、いわゆる「フルサス」については、今では考えられないほど様々なスタイルを模索しながら進化し続け、同社の代名詞とも言える数々のシステムを生み出した。

< 一例 >
・RTS(Rocker Tuned Suspension)
・LTS(Links Tuned Suspension)
・STS(Stay Tuned Suspension)
・i-DRIVE(Independent Drivetrain® Suspension)
・AOS(Angle Optimized Suspension)
など。

 正直なところ、i-DRIVE で飛躍的な革新を遂げ、AOS に於いて一旦の頂点を極めたと思われた GT のリアサスペンション技術だが、資本の入れ替わりが激しいアメリカ企業の因習に同社も逆らうことはできず、2019年モデルで回帰とも言える LTS システムを採用するかたちとなった。

 LTS は結局のところ、マウンテンバイクでは現在、最も構造やコスト、整備性のバランスが優れているとされる 4バーリンケージ方式のサスペンション システムで、込み入った話であるが、この方式でパテントを取っていたよその技術の期限が切れ、使い易くなったことも一因であると言われている。

 結果的に、これから紹介する GT のフルサスペンションバイクは、性能は別として見た目はあまり他社と代わり映えしない。完全にリアサスペンション システムがフィックスしてしまったモトクロッサー(モーターサイクル)に対して、様々な試行錯誤を窺えるのがマウンテンバイクの楽しみのひとつと考える筆者としては、残念至極としか言いようがない。辛辣ではあるが、ひとつの意見として明記しておく。

 出鼻をくじくかたちとなってしまい申し訳ないが、次から展示会場での写真を交えて、2020年モデルの展開を見ていく。
 
 


LTS & ハイピボットに回帰した『FURY』

マイナーチェンジ

GT フューリーチーム 2020年モデル/108万円(税抜)/カラー:チームブルー

 かつての RTS システムが案外、ダウンヒルレースで実力を認められ、そこから GT とダウンヒルの付き合いは長く、ワールドカップ(UCI)などでの戦歴は多い。ダウンヒル専用レーサーになるフューリー(FURY)は AOS 登場以降も長らく i-DRIVE を採用していたが、残念ながら2019年に LTS にスイッチ。

 ただ、おもしろいのが、このフレームは LTS に逆流しただけでなく、ハイピボット & アイドラープーリーを採用すること。

 このスタイルはかつて一時だけ存在した、どちらかというとマイナーな方式であったが、最近は他社も再び取り入れている。その中では、ユニットを含めた能力向上も寄与してか、ワールドカップで勝利している BIKE もある。

 もっとも、フューリーは会場で展示車がなかったので、GT BIKE のポテンシャルは解らない。2020年からは完成車のみの扱いとなった。

ベーシックスペック:
フレーム/Fury カーボン、190mm トラベル (29”) | 200mm トラベル (27.5”)、BSA 83mm、1.5” ヘッド、Boost 12×148 スルーアクスル、225x75mm トラニオンマウント、ISCG05
フォーク/Fox Float Factory 49、190mm、ハイ/ロースピード コンプレッションアジャスト、リバウンドアジャスト、Grip 2 Damper、20×110 BOOST スルーアクスル
リアショック/Fox Float Factory X2、225×75、Metric Trunnion、Air、ハイ/ロースピード コンプレッションアジャスト、ハイ/ロースピード リバウンドアジャスト
タイヤ/Schwalbe Magic Mary UltraSoft、29 x 2.35″、Downhill、Addix Ultra Soft Compound、チューブレスレディ
クランク/Shimano Saint 36T、e-thirteen LG1+ Guide
ディレーラー/Shimano Saint、10スピード
ブレーキ/Shimano Saint BR-M820 油圧ディスク、203mm SM-RT86 IceTech ローター、メタルパッド、フィン
 
 


オールマウンテンカテゴリーの『FORCE』

マイナーチェンジ

GT フォースエリート 2020年モデル/36万8,000円(税抜)/カラー:レッド

 2020年にサンクション(SANCTION)がカタログ落ちしたことで、ハイスピード系フルサスペンションバイクで TOP モデルとなったシリーズ。フューリー同様、マイナーチェンジで価格も据え置き。

GT フォースコンプ 2020年モデル/29万8,000円(税抜)/カラー:ガンメタル

 後述のセンサー(SENSOR)と見た目はそっくりになるが、フォースはキャラクター的に「下り・エンデューロレース」を念頭に置く。ダウンヒルバイクは基本的にはオーバースペックなので、ゲレンデダウンヒルをシーズン中に多く楽しむひとの最有力候補だろう。

 同じフォースでも、2パターンが用意され、重量はあるが初期動作がスムーズなコイル式、軽量でセッティング変更が容易なエア式に分かれる。

GT フォースエリート 2020年モデル/36万8,000円(税抜)/カラー:レッド

GT フォースエリート 2020年モデル/36万8,000円(税抜)/カラー:レッド

 コイルユニットを搭載するフォース エリートは、より下りを重視したエンデューロレース向けのパーツアッセンブルになっていると理解してよいとのことだ。

GT フォースエリート 2020年モデル/36万8,000円(税抜)/カラー:レッド

GT フォースエリート 2020年モデル/36万8,000円(税抜)/カラー:レッド

GT フォースコンプ 2020年モデル/29万8,000円(税抜)/カラー:ガンメタル

GT フォースコンプ 2020年モデル/29万8,000円(税抜)/カラー:ガンメタル

GT フォースコンプ 2020年モデル/29万8,000円(税抜)/カラー:ガンメタル

 
 


トレイルカテゴリーの『SENSOR』

マイナーチェンジ

GT センサーコンプ 2020年モデル/28万8,000円(税抜)/カラー:ガンメタル

 センサーも継続モデル。個人的に応援していたヴァーブ(VERB)がなくなったことで、フルサスモデルのローグレードを担うことになったが、いわゆる「軽快な里山BIKE」を目指していると思うので、その価格には10万円の開きがある。(ヴァーブ コンプは12万8,000円。販売終了。)

GT センサーコンプ 2020年モデル/28万8,000円(税抜)/カラー:ガンメタル

 経験者には無謀な値段ではないのだが、10万円台前半で真面目なフルサスペンションバイクが買える昨年(’19)を知っていると、センサーの価格はなかなかに厳しい。

GT センサースポーツ 2020年モデル/22万8,000円(税抜)/カラー:ディープティール

GT センサースポーツ 2020年モデル/22万8,000円(税抜)/カラー:ディープティール

 これからマウンテンバイクを買おう、というひとは、性能差よりも価格、もっと言うと“見た目”“格好良さ”が第一優先なのは揺るがぬ事実だ。
 
 
 なお、フォースとセンサーはよく似たフレーム形状だが、ジオメトリが若干異なっていて、味付けは微妙に違うということだ。
 


 ということで、GT に於いては2020年モデルのフルサスペンションバイクのみに目をやると、ラインナップの整理、i-DRIVE からの完全な決別の結果、魅力はかなり薄まってしまった。同社はマウンテンバイクが強いイメージあるので、フルサスペンションバイクは特に気になり、残念な状態。世相を反映しているとも言える。

 後日続けてお届けするハードテイル編で、進化したトリプルトライアングル(Triple Triangle™)を携えたいくつかの BIKE を紹介するので、そちらの実力に2020年は期待して欲しい。

関連:ハードテイル編
https://yakandirtmoto.wordpress.com/2019/09/04/mountain-bike-gt-bicycles-2020-02/

 
 

【 試乗会のお知らせ 】

2019年10月20日(日)
第15回 かかみ野MTBフェスティバル
各務原市 市営公園「各務野自然遺産の森」
〒504-0102 岐阜県各務原市各務車洞6797-1
0583-83-6115
 https://www.sportsentry.ne.jp/event/t/79909

予定試乗車
・ザスカー カーボン コンプ M ロウ/ブラック
・ザスカー アロイ コンプ M アクアブルー
・アバランチェ エリート M モスグリーン
・ストンパー エース24 24″ シルバー


2019年10月27日(日)
長岡MTBフェスティバル2019最終戦
長岡市営スキー場
〒940-0821 新潟県長岡市栖吉町3300
 http://sb-project-nagaoka.com/

予定試乗車
・ザスカー アロイ エリート M ブラッシュド/ブラック
・センサースポーツ M ディープティール
・フォースコンプ M ガンメタル
・アバランチェ スポーツ 27.5 M ブラック
・ストンパー エース24 24″ アクアブルー


2019年11月3日(日)
SAYAMA HILLS DAY
東京都西多摩郡瑞穂町南平2-50-30
042-570-1757
 https://www.sayamaparks.com/app/events/view/1103

予定試乗車
・アバランチェ スポーツ 29 M アクアブルー
・アバランチェ スポーツ 27.5 M ブラック
・アバランチェ エリート M モスグリーン
・アバランチェ エキスパート 27.5 M シルバー
・アバランチェ コンプ M レッド
・アグレッサー スポーツ M サテンブラック
・アグレッサー コンプ M レッド


2019年11月17日(日)
MTBの楽しさを共有したいinフォレストバイク小田原
フォレストバイク小田原
神奈川県小田原市荻窪
 https://www.forestbike.jp/

予定試乗車
・ザスカー アロイ エリート M ブラッシュド/ブラック
・ザスカー アロイ コンプ M アクアブルー
・センサースポーツ M ディープティール
・センサーコンプ M ガンメタル
・フォース29 プロ M グロスバーガンディ
・フォース29 エキスパート M グロスピッチグリーン
・フォース29 エリート M サテンブラック
・アバランチェ エリート M モスグリーン
・フォースエリート M レッド
・フォースコンプ M ガンメタル
・アバランチェ エキスパート 27.5 M ブラック
・アバランチェ エリート M モスグリーン
・アバランチェ コンプ M ディープティール


2019年11月23日(祝)
第14回セオサイクル サイクルフェスティバル
袖ヶ浦フォレスト・レースウェイ
千葉県袖ケ浦市林348-1
04-7189-0100
 http://seocycle.net/seofesweb/index.html

予定試乗車
・グレード カーボン エキスパート M サテンシェイド
・グレード アロイ エキスパート M パープル
・ザスカー アロイ エリート M ブラッシュド/ブラック
・アバランチェ エリート M モスグリーン
・ストンパー エース26 26″ シルバー
・ストンパー エース24 24″ ミント
・ストンパー プライム20 20″ ブルーシルバー
・ランジ16 16″ オレンジ
・ランジ12 12″ オレンジ
 
 
[ 取り扱い ]
ライトウェイプロクツジャパン