【トレック】甘美なオールラウンダーマウンテンバイク、新型 Fuel EX が登場。

掲載日/2019年08月19日  取材・写真/やかん
取材協力/トレック・ジャパン
 
トレック・ジャパンは、どのようなトレイルも十全に楽しめるBIKE『Fuel EX』をフルモデルチェンジし、国内では3モデルで展開する。
 
 

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

 
< リリースより >
新型Fuel EX

この度、トレック・ジャパンは、トレイルバイクの一番人気、Fuel EXをフルモデルチェンジして発表いたします。

今回、トレックの中で最も売れているフルサスバイクに、新たな特徴と大幅なアップグレードを加えました。新しいFuel EXは、マウンテンバイクのあらゆる最新テクノロジーを採用し、1台のバイクであらゆる走りを楽しみたいお客様に最適のパッケージとなっています。

フロントサスペンションは140mmとなり、130mmのリアトラベルと組み合わせ、効率的な登坂性能を損なわずに、よりテクニカルなトレイルにも対応できるようにしました。この新しいトラベル量に合わせてジオメトリーも一新し、よりオールラウンドな走りに対応します。新モデルは旧モデルと比べてヘッドアングルが寝かされ、下りでの安定性が高まっています。シートアングルは立たせ、より効率的な姿勢でペダリングできます。

トレック フューエル EX 5 2020年モデル/25万5,000円(税抜)/カラー:Slate/Trek Black

他のトレックのフルサストレイルバイクと同じく、固定式のロワーショックマウントを採用し、より高強度のチェーンステーと効率的なペダリングを実現しました。

ジオメトリーを可変させる機構、 『Mino Link』(ミノー リンク) は、 EVOリンク側に取り付けられる。ナットを回すことでの調整幅は、ヘッド角を 0.5度 ずつ。ボトムブラケットの高さは、 10mm ずつ調整できる。局部でみれば小さな数値だが、全体で見ると大きくジオメトリーは変化するという。

新型Fuel EXは、女性用モデルを展開する代わりに、全てのモデルでXS サイズを用意しました。これにより、お客様の性別、身長、走り方にかかわらず、フィットに優れたFuel EXが見つかります。

トレック フューエル EX 8 2020年モデル/38万円(税抜)/カラー:Matte Dnister/Gloss Trek Black

MとL サイズは、速くて走破性の高い29インチホイールを搭載します。XS サイズは27.5インチホイールを搭載し、小柄な方でも操作しやすく、より適したスタンドオーバー高となるようにしました。S サイズには27.5と29の両モデルを用意。これは、このサイズのホイールサイズの好みが分かれることが、調査からわかったためです。

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

どのモデルも、ドロッパーポスト、ワイドレンジの1x ドライブトレイン、グリップ力に優れた2.6インチタイヤを搭載します。

フューエル EXはフレームサイズによってホイールサイズを変えている関係で、ドロッパーポスト(ボントレガー Line Elite / フューエル EX 9.8)もストロークが分けられている。サイズ: XS , S で 100mm トラベル。 M , ML は、 150mm 。 L , XL は、 170mm となる。ケーブルは、完全内蔵式。

カーボンモデルのダウンチューブには新型Domane(編注:ロードバイク)と同様、ストレージが設けられ、パックの重さや煩わしさを気にすることなく、ツールなどを収納できます。

フューエル EX 9.8(カーボンモデル) は、今回からフレーム内側にストレージを設置。容量は意外と大きい。
内蔵ストレージ搭載 BIKE に対応した、BITS BAG 。バンク修理用キットが収まる。マウンテンバイクの場合、これに加え、チェーン切れの対策品ぐらいは入れておいたほうがよいだろう。ただ、パンク修理がこのタイプだと、チューブレスレディのホイールが宝の持ち腐れになってしまう。山中に繰り出すライダーには悩ましい点。
価格/2,400円(税抜)
サイズ/ワンサイズ
カラー/ブラック
飛び石やグラウンドヒットなどを考慮して、カーボンアーマーをダウンチューブに装備。

さらなるカスタムを楽しみたいお客様のために、Fuel EXはProject Oneでもお選びいただけます。
 
 
 


※編集部より:

 この、新生Fuel EXは、『TREK WORLD 2020』に於いて、フューエル EX 9.8 のみが関係者に先行公開された。

『TREK WORLD 2020』にて先行展示された、フューエル EX 9.8。

 そこでまず感じたのが、「相変わらずトレックの OCLV フレームは美しい」だった。

 筆者は昔、トレック本社のウォータールー(アイオワ州)に取材に行かせてもらったことがある。ヘッドオフィスだけでなく、実際に自転車(主にフレーム)の製作工場も見せてもらえたのだが、その当時から OCLV フレームは秘匿事項が多く、製造工程の撮影などは NG であった。

 しかし、カーボンレイアップの手法やポイント、塗装工程などは見ることができ、その当時からストレートに「美麗」であるとしか出てこなかった。

スポーツサイクルに於けるカーボンフレームの造詣について、トレック & OCLV が一級であり最先端であることは、論を俟たないところであろう。そもそも、率直に言って、流麗すぎる。

 今回、会場で展示されたフューエル EX 9.8 は、その技術とセンスを最新のマウンテンバイクに落とし込んだ機種と言えるだろう。

 国内展開は、このカーボンモデルの他に、アルミモデルが2つあるが、ここはぜひ奮発してフューエル EX 9.8 を狙って欲しいところだ。それだけの価値が詰まった1台になっている。

トレック フューエル EX を気に入る理由とは?
会場では一部のスペックしか公開されなかったが、現在は同社 HP でフルスペックを確認可能。

 フューエル EX シリーズは、オールラウンドなトレイルバイクを企図しているが、それはリアサスペンション機構のテクノロジーに拠るところが大きい。まず、ベースとなる『RE:aktiv』(リアクティブ)であり、進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)だ。

トレック独自の、『RE:aktiv』(リアクティブ)ダンパーを搭載。進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)も採用することで、様々な路面変化に素早く追従することが可能ということだ。
解り難いが、このユニットの下部が『Thru Shaft』(スルー シャフト)。逆転の発想で、構造は至ってシンプルということだ。

 実は、この RE:aktiv & Thru Shaft の組み合わせは、今のところフューエル EX 9.8 のみになっている。フューエル EX 8 は、 RE:aktiv のみ。フューエル EX 5 は、いずれも非搭載となってしまう。動画を見る限り、F1(モータースポーツ)のテクノロジーが投入されていて、マウンテンバイクで主要なサスペンションメーカー2社のユニットを相当にカスタマイズしているようなので、コスト高なのだろう。

 代わりに、トレックのフルサスペンション マウンテンバイク共通の、『Mino Link』(ミノー リンク)と『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)はグレードに関わらず搭載している。

リンクとアッパーアームの接続部に備わる『Mino Link』(ミノー リンク)は、回すだけでヘッドアングルとボトムブラケットハイトが変化し、クイックかナローか BIKE の特性を瞬時に変えられる。必要なのは、 5mm 六角レンチのみ。後述の内蔵ストレージにぜひ入れておこう。
『Mino Link』(ミノー リンク)は、 HIGH と LOW の2モードで用意される。
永らく、リアブレーキがサスペンションの動作に悪影響を与えるのは、マウンテンバイクでは珍しくなかった。この両者を切り離すことで、それぞれが自由に動けるのが、『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)。キャリパーをフローティング部に設置するのが肝のようで、特許技術でもあるそうだ。

 先に触れた、カーボンモデル限定の、内蔵ストレージは待望の機能であろう。

カーボン素材を使ったマウンテンバイクフレームで他社が先行していた、ダウンチューブのストレージ機能を、フューエル EX OCLV カーボンモデルで採用。
ボトルケージとアクセスドアは一体で、つまり素早くアクセスできる場所にある。ドアはしっかり閉まり、それでも泥だらけのグローブをはめたままで開閉が容易。

 現状は、同社の上級モデルに於いても採用しているのはこのフューエル EX 9.8 のみで、もちろんデメリットがなければ今後も採用車種は増えるだろうが、もしもコスト面が高いハードルになっているのだとしたら、しばらくは本機のみかもしれない。筆者は、とにかく背中に荷物を背負うのが嫌いなので、常日頃からサイクルジャージのポケットのみか、欲張ってもサドルバッグで対応している。

 公道も含め、身体の動きを阻害する要素は排除したい傾向にあり、このストレージ機能は甚く魅力的に映る。

足回りは、かつてのダウンヒルモデルに匹敵するワイド設計。ドロップアウトのブースト規格は、フロントが 110mm 、リアが 148mm となる。サイズ: XS , S では 27.5 を。 S , M , ML , L , XL では、29インチの用意となる。
トップエンドモデルになるフューエル EX 9.8 は、ホイールまでもがカーボン。驚くのが、『カーボンケア・ホイールプログラム』というものが用意され、
「ボントレガーのカーボンホイールを最初の購入から 2 年以内に不測にも壊してしまった場合、私たちが無料で修理または交換する」
という内容。お解りの通り、ハードな走行や大きな転倒で破損した場合に効力を発揮するという、通常とは逆のサービス。トレックは「安全性」にとかく敏感なメーカーで、その「らしさ」が表れている。
このような、トレールを主に駆け回る BIKE では、チェーンリングはもはやシングルのみ。しかも、デバイスレスという進歩。サスペンション機構やチェーンと歯の進化により、チェーンが猛烈に暴れなくなったり外れにくくなった所以であろう。丁数は、 32T 。クランク長は、フレームサイズ: XS , S で 170mm 。 M , ML , L , XL は、 175mm 。
リア周りは最近のトレンドである、クイックタイプだがスルーアクスル、且つブースト規格、という仕様。数値はブーストが 148mm、アクスルは 12mm 。カセットは 12 速で、 10-50T 。

 もうひとつ触れておきたいのが、『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)。筆者は、しばらくトレックBIKEは触れていなかったので未見の機構であったのだが、これに拠るストレートなダウンチューブが、とにかく美しい。

独自の『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)を開発したことで、真っ直ぐなダウンチューブ設計が可能になった。これは、特殊なステム、ヘッドセットトップキャップ、スペーサー、それにフレーム側に内蔵されるチップで構成され、ハンドルを目一杯切り込んでも、フォークのクラウン部分がダウンチューブに接触する前にロックされ、双方がノーダメージで済むようになっている。

『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)の詳細。黄色の箇所がシステムで、写真は、目一杯ハンドルを右に切り込んだ状態。赤色の箇所は見事にダウンチューブと接触していない。能力的には、ストレートなダウンチューブは高剛性を維持しながら過度に重くならないフレームを設計できるということだが、個人的にはあの曲がったダウンチューブが嫌いなので、これは大歓迎。なお、あまりに大きな衝撃が加わった時は、ノックブロックは自己崩壊しライダーへのダメージを軽減する。そのため、ダウンチューブには衝撃吸収バンパーは備わる。

 
 

 
 なお、以前の Top Fuel の紹介記事でも書いたが、特に小柄で手足が短い日本人にとって、サイズ選びはことさらに重要。

 幸いに、フューエル EX シリーズは、 XS からの用意があり、この適応身長は 137.0〜155.0cm 、股下は 64.0〜73.0cm 。ひとつ上の S は、 153.0〜162.0cm , 72.0〜76.0cm 。 S サイズになると 29 インチホイールが選択でき、こちらに優位性を感じている筆者(身長 156cm )などは選択をしてしまいそうだが、注意したいのがハンドルまでの遠さ。案外、ここは見逃されがちかもしれなく、通説では 29 インチはどうしてもこの“実効トップチューブ長”が伸びる傾向にある。

 KNOCK BLOCK の手前、ステムが専用品になってしまうので、この辺りは注意して、実車を前によく確認したほうがよいだろう。

 ちなみに、ステム長は、サイズ: XS , S で 40mm 。 M , ML , L , XL は、 50mm が初期設定。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【トレック】漁網を再利用したボトルケージ、ボントレガーのBat Cageを発売。

トレック・ジャパンは、定番アイテムであるBontragerのBat Cageをリサイクル系素材で再構成し、リリースした。
 
 

シンプルな解決方法
ボントレガーのBat Cageは、投棄された漁網に新たな命を吹き込み、海洋ごみを減らして、役立つ製品に形を変えた物。

 
< リリースより >
漁網を再利用したボトルケージを発売

この度、トレック・ジャパンは、ボントレガーのロングセラー製品、Bat Cageをリニューアルします。新しくなったBat Cageのユニークさは、性能や軽さではありません。新モデルでは漁網からリサイクルされたペレットに素材を変更します。
 

シンプルな解決方法
ボントレガーのBat Cageは、投棄された漁網に新たな命を吹き込み、海洋ごみを減らして、役立つ製品に形を変えた物。

シンプルな解決方法
ボントレガーのBat Cageは、投棄された漁網に新たな命を吹き込み、海洋ごみを減らして、役立つ製品に形を変えた物。

 
トレックは過去22年間で数十万個ものBat Cageを製造してきました。このケージはシンプルで、軽く、丈夫で保持力が高く、プロにも長年愛されていますが、今回から素晴らしい特長が加わります。トレックは環境団体NextWaveとの提携を通じて、投棄された漁網に新たな使い道を求めるBureo社を知ることになりました。Bureo社は、投棄された漁網を集めて細かいペレットにリサイクルし、射出成型プラスチック製品の材料に役立たせています。
 
世界規模の問題
毎年、180億ポンドものプラスチックが海に流れ込み、世界各地の砂浜や運河を汚している。

チリの海で収集された漁網を使ったリサイクル素材。
BureoとNetPlus
Bat Cageは、BureoのNetPlus ナイロンペレットでできている。Bureoは、チリ沿岸で捨てられた漁網を収集してリサイクルし、未精製のナイロンを取り出して、サングラスやスケートボードなどの材料に用いている。

荒れた路面でもボトルをしっかり掴む、軽くて丈夫なデザインで、オンロードでもオフロードでもボトルを確実に固定。

 
現在、8,600万トン以上ものプラスチックが海に存在し、その量は毎年800万トンずつ増えています。漁網は、海に漂うプラスチックごみの約10%を占めています。さらに悪いことに、他のプラスチック汚染より4倍もの悪影響を与えます。リサイクル素材を使ったBat Cageの1年の生産量は、投棄された漁網の約4,000平方メートル分に相当します。
 
網で環境改善
漁網は、海に漂うプラスチックごみの約10%を占めている。さらに悪いことに、海洋環境に他のいかなるプラスチック汚染より4倍もの悪影響を与えるのだ。

より良い明日を目指す仲間たち
トレックは、NextWaveの創立メンバーであり、これは提携企業からなる異業種間の企業連合のこと。プラスチックを海に流出させるのではなく、私たちの生活圏内で使い回すことに取り組んでいる。
1つの製品が及ぼす莫大な効果
リサイクルしたナイロン製Bat Cageの1年分の販売量は、海から取り出した漁網約4,000平方メートルに相当する。

漁網から再利用され製造。

 
トレックは、世界中で愛されるベストセラー製品の素材を見直すことで、地球環境の保全に貢献します。
 
ボントレガー Bat Cage Water Bottle Cage/1,389円(税抜)
仕様
素材/ナイロン
重量/48g

 
 
 


※編集部より:
 今回まず、このリリースを読み、漁師たちが漁網を海に投棄していることに驚いた。昔から、色々なトラブルで海洋投棄せざるをえない網があることは推察できるが、当時はまだ天然由来で作られた物で、環境や生態系に深刻な被害を与えるトラブルはなかったのかもしれない。
 それが、安価で生産性に優れたプラスチック製に置き換わるのももっともなハナシで、だからといってすべての網を漁の最中に回収するのは難しいのかもしれない。語弊を承知で言えば、モラルの低さは想像に難くないが。
 海洋が様々な要因で汚染され続ければ、商売相手である魚がそもそも獲れなくなる訳で、そうしたら商売あがったりの筈なのだが、今そこまで突っ込んでいても仕方がないので、ではどうすればよいか?

 エゴにはなるかもしれないが、こういった、海に漂うプラスチックごみを積極的にリサイクル素材として活用した製品を使うことで、すこしでも何かの手助けにはなるのではないか。このような事業を行う企業を応援する意味でも、価値はあると思う。
 もちろん、今使っているボトルケージに不満がなければ、買い換える必要はないと思う。それでは「レジ袋を削減しましょう!」と言いながらあの手この手でマイ(エコ)バッグを次から次へと販売し、結果的に新たな資源を食い潰し、家に使わないエコバッグが溢れる偽善的行為と同列である。

 長い目で見ながら、極限を言えば「なくてもよい」趣味の分野で後ろ指をさされることのないよう、考えさせられる商品と取り組みである。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【トレック】クロスカントリー用フルサスマウンテンバイクの新型、Top Fuelが登場。

トレック・ジャパンは、新型のクロスカントリーBIKE『Top Fuel』を、国内では2モデルで新展開する。
 
 

トレック Top Fuel

 
< リリースより >
新型Top Fuelを発売

この度、トレック・ジャパンは、クロスカントリーMTB、新型Top Fuelを発売いたします。

トラベル量が増え、ジオメトリーが新しくなり、激しいコース設定のレースからトレイルライドに最適です。Top Fuelは、その速さと効率の良さから、過酷なXC コースやマラソン競技で選ばれるバイクです。新モデルは、レースで培った技術に、ロングトラベルバイクの確かな操作性を組み合わせ、機敏なXC レースバイクのようなハンドリング性とトレイルバイクの走破性の両方を実現しています。また新モデルより、アルミフレームモデルのTop Fuel 8の取り扱いを開始します。

トラベルが増え、操作性が向上
旧モデルが前後100mm トラベルでしたが、新モデルはフロント120mm、リア115mmに増加しました。またヘッドアングルを寝かし、リーチを伸ばした新ジオメトリーを採用、荒れた下りでの安心感と操作性が高まっています。ワイドバーと短いステム、ドロッパーポスト、前後のサスペンションを同時にロックアウトさせてスプリントや登りで有利になるTwistLocデュアルリモートロックアウトを搭載します。
 

トレック Top Fuel

 
トレイルバイクの走破性を、レースバイクの速さで
重量を増やさずに剛性を高めるStraight Shot ダウンチューブ、ハンドルバーとフォーククラウンがフレームと接触するのを防ぐKnock Block フレームプロテクターなど、トレイルバイクの特徴を備えます。
Mino Link 調整式ジオメトリー、Control Freak 内蔵ワイヤリング、ブレーキング中でもサスペンションを積極的に動かすActive Braking Pivotも採用します。これらのテクノロジーが、レースでは速く、それ以外のライドでは楽しい、反応性にとても優れた確かな走りを生むのです。

トレック Top Fuel 8(アルミフレーム) 35万円(税抜)

トレック Top Fuel 9.8(OCLVカーボンフレーム) 58万4,000円(税抜)

 
 
 


※編集部より:
 勘のよいユーザーならお解りと思うが、日本人でこのサドル位置はまず無理。

 しかし、シートチューブ形状から下げることも不可能で、ドロッパーポスト装備なのでその上下で吸収するほかなさそうだ。

 そのボントレガー製 Line Elite Dropper は、仕様では 170mm トラベル。例えば、 Top Fuel 9.8 はサイズ展開が S からで、公称的には推奨身長は 153.0cm〜162.0cm 。ジオメトリー位置が“ロー”設定の場合のスタンドオーバーは、 72.5cm なので、購入の際はそのあたりもよく検討したほうがよいだろう。

 もっとも、クロスカントリーはリアルレーサーになる程、サドル位置は高くなるのは承知の上だが。

 また、トレック・ジャパンに確認したところ Top Fuel 9.8 の OCLV カーボンも生涯保証の対象となる。一般的に、カーボンフレームは 10 年程が耐用年数と言われているが、トレックについては自然発生的な破損であれば保証が適用される。マウンテンバイクなので、それよりも乗車中の破損の方が先とは思うが、念の為に。

 それと、現状は Top Fuel の 2019 年モデルも併売となり、夏終わり頃に 20 年モデルと入れ替わる予定のようだ。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【トレック】まったく新しい衝撃吸収技術『WaveCel』を搭載したヘルメット、2種発売に。

トレック・ジャパンは、2019年3月20日、サイクリングヘルメットの安全性に寄与する衝撃吸収技術『ウェーブセル』を搭載したモデルを、ボントレガーブランドから発売する。
 
 

BONTRAGER WaveCel

 
< リリースより >
まったく新しい衝撃吸収技術「WaveCel」

2019年3月20日、この度トレック・ジャパンは、サイクリングヘルメットの安全性を飛躍的に高める衝撃吸収技術WaveCel(ウェーブセル)を搭載したヘルメット2モデルを、ボントレガーブランドから発売いたします。WaveCelとは、ヘルメットの内側に設置されたまったく新しい衝撃吸収技術のことで、本製品は世界で初めてWaveCelを搭載した製品となります。
 
■サイクリングヘルメットにおけるプロテクション
一般的なEPSフォーム(発泡スチロール)のヘルメットは、主に頭部に垂直にかかる衝撃を吸収し、頭蓋骨骨折を防ぐことを想定して開発されています。しかし現実世界では、サイクリング中に転倒した場合、頭部が斜め方向で地面に衝突し、回転やひねりの力によって脳が揺さぶられることで、脳震とうや後遺症につながる脳障害が発生します。こういった脳へのダメージの多くは、頭蓋骨骨折を伴わず、頭蓋骨の内部で発生することがわかっています。トレックは、このダメージを最小化することこそがサイクリングヘルメットに求められる最も重要な性能であると考え、より安全なヘルメットを提供するため、外部研究機関と綿密に連携しながらヘルメットの開発を進めてきました。

■WaveCelの機能
WaveCelは、頭部にかかる斜めの衝撃を吸収することを目的に開発されました。衝撃を受けると、WaveCelのレイヤーが独立して動き、セル構造が変形し、潰れた後に横方向へ滑り、頭部にかかる衝撃を積極的に吸収します。WaveCelは、一般的なサイクリングでの転倒を想定した実験*において、軽度の脳障害の発生を1.2%に抑えます。なお、従来のEPSフォームヘルメットにおいては、同条件での実験で、軽度の脳障害の発生が58.2%、WaveCelと同じく斜めの衝撃を吸収するために開発されたスリップライナー「MIPS(ミップス)」を搭載したヘルメットにおいても、34.2%に留まり、WaveCelは他製品と比べ、圧倒的なプロテクションパフォーマンスを提供します。
*本実験は、標準的なEPSフォームのヘルメットと、WaveCelを取り付けた同一のヘルメットを、秒速6.2m、斜め45度の衝突で生じるAIS スコア2の怪我(脳震とう~軽度の脳障害)の発生確率を比較

WaveCelは、衝撃を緩和する為に「曲がる」→「潰れる」→「滑る」の3ステップをおこなう。
秒速6.2m、斜め45度で生じる、AISスコア2(中程度)の脳障害の発生確率。※トレック資料より

■WaveCelの今後の展開
トレックは、米APEXバイオメディカルが開始したWaveCelの技術研究に初期段階から協力してまいりました。今回発売されるヘルメットは、世界初のWaveCelが搭載された製品となります。今後、他のスポーツやアクティビティ用のヘルメットにおいて、WaveCelの技術が搭載された製品が発売予定です。

WaveCelは、約50gだけ重くなるという。代わりに、安全性は大幅に向上する、とのこと。
トレックの言い分では、より速く走る人ほどWaveCelの必要性は高まるという。

■トレック・バイシクル アメリカ本社 社長 ジョン・バークのコメント
「より多くの人にバイクに乗ってもらうには、ライドをより安全で身近なものにしなければならない。WaveCelは、今までデザインされた中で最も発達したヘルメットテクノロジー。これを搭載したヘルメットこそが、ライドをより安全にし、誰でも楽しめるものにする」
 
■ボントレガー WaveCel ヘルメット ラインアップ
1.XXX WaveCel Road Helmet(トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット)
・エアロダイナミクスや軽量性を重視したハイエンドモデル。
・価格/3万4,000円(税込)
・サイズ/S/M、M/L
・カラー/Black, White, Red, Visibility Yellow, Azule, Purple Phase
・アジアフィット 2019年4月下旬予定 ※トレックツイッターアカウントによると、ゴールデンウィーク明けの入荷を予定

ボントレガー トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット Black
ボントレガー トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット White
ボントレガー トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット Red
ボントレガー トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット Visibility Yellow
ボントレガー トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット Azule

ボントレガー トリプルエックス ウェーブセル ロード ヘルメット Purple Phase

 
2.Specter WaveCel Road Helmet(スペクター ウェーブセル ロード ヘルメット)
・日常的なサイクリングを目的としたミドルグレードモデル
・価格/2万1,000円(税込)
・サイズ/M、L
・カラー/Black, White, Red, Visibility Yellow
発売中

ボントレガー スペクター ウェーブセル ロード ヘルメット Black
ボントレガー スペクター ウェーブセル ロード ヘルメット White
ボントレガー スペクター ウェーブセル ロード ヘルメット Red

ボントレガー スペクター ウェーブセル ロード ヘルメット Visibility Yellow

 
 
 


※編集部より:
 近年、ヘルメットに於ける新技術の流れは従来の、「衝撃を吸収する」ものに加え、それを「受け流す」方向に変わってきている。これは、今回のトレックのリリースにあるように、二輪に於ける頭部へのインパクトはひとつの方向からのみではなく、そもそも対象が動き続けていることに起因する。
(これを、直線加速度と回転加速度という。)

 その観点から、スポーツサイクルよりもスピードが上がるモーターサイクル用では、例えばアライヘルメットは古くから、ヘルメット外装を極力、張り出しのないたまごのようなカタチにし、路面に接触した際、滑っていくことで衝撃を逃がす、というコンセプトを継続している。

 ショウエイについては、MIPSではなく独自のM.E.D.S.を使うことで、やはり回転加速度の低減を図っている。

ショウエイが新開発した独自の衝撃吸収構造『M.E.D.S.』(Motion Energy Distribution System)。インサートライナーがスイングし、頭部を衝撃吸収ライナーへ沈めることにより回転方向のエネルギーを吸収する。*画像はイメージ。

 乗員の安全性により敏感で先進的なアメリカでは、最近ではAISという新技術を取り入れたヘルメットも登場しており、二輪用ではフライ レーシングがフォーミュラというフルフェイスヘルメットを発売開始する。

二輪用ではフライレーシングが新しく採用する、AIS(ADAPTIVE IMPACT SYSTEM)。スノーボードなど他の分野では、採用済み。

 筆者が過去に雑誌で検証記事を組んだ時の経験としては、人間の頭部はたいへんに脆いものでありながら、二輪に乗車状態では最も高い位置に存在し、転倒時にそこに加わる衝撃は常人の想像を遥かに超えるものである。
(あの高さから地面に打ち付けられる為。)

 また、上記にもあるように、実は損傷よりも衝撃によるダメージによる死亡の方が、圧倒的に多い、という医療機関のデータがある。
(今回のトレックの資料によると、「自転車事故による脳障害の90%は頭蓋骨の破損なしで発生している」。)

 その時の実感として、また当時の技術ではまだEPSフォームしかなかったが、「こんなチープな物でも被らないより格段マシ」、であった。モーターサイクル用ではグラスファイバーなどを主体とした高い弾性と引張強度を持つ有機繊維を使い、それを積層した構造によりガッチガチの高強度シェルを実現しているのに対し、スポーツサイクル用は恐ろしく脆弱であったが(今でもそうだが)、極端なハナシ、帽子1枚でも被っていただけでかなり違う、とも言われる人間の頭部である。例え、発泡スチロールでもあれだけの厚みがあれば、違いは明白である。

 もちろん、スポーツサイクルで重量のある、また空気が抜けて行きにくい構造のヘルメットが倦厭されるのはよく解る。であれば、今回のウェーブセルのような構造は歓迎されるべきであろう。現在、MIPSを筆頭にヘルメットの考え方はひとつの転換期を迎えつつある(理論としては以前からあったが、技術がなかった)。「たかが自転車の転倒」、と思うかもしれないが、状況によってはその惨事はとんでもないことになる。先に述べたように、外傷はなくとも脳は強いダメージを受け、帰らぬ人になることは多々ある。よしんば死ななくとも、一生、植物状態、全身不随になったらどうだろうか。家族は? 身内は? そう考えたら、決して疎かにはできない筈だ。

 諸手を挙げてウェーブセル商品を推すことは勿論ないが、これを機に、自転車(特に、スピードが上がるスポーツサイクル)に於いて、ヘルメットの重要性を今一度、見つめ直してもらいたい。

△古い雑誌ですが、バイシクルナビNo.3 146ページから、はとても参考になります。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【トレック】学生向けキャンペーン 『トレックの学割』を開始。

トレック・ジャパンは、25歳以下の学生を対象にした『トレックの学割』キャンペーンを開催している。
 
 
< リリースより >
この度、トレックジャパン株式会社は2019年3月1日から3月31日まで、通学に最適なクロスバイクであるFXシリーズを対象にしたキャンペーン「トレックの学割」を開催いたします。

本キャンペーンは対象車種のバイクをお買い上げの25歳以下の学生を対象に、同時購入のボントレガー製品から¥5,000を割引します。ライトやポンプ、ロックといった自転車通学の必需品をお得に揃えることができる非常にお得なキャンペーンとなっています。
 
【 キャンペーンサイト 】
https://e.trekbikes.com/t/l?ssid=357&subscriber_id=aniuquvhutbvbrxkxcpjoxutgyjhbek&delivery_id=bgercoafrnnjwidgnosketqwmcvxbpp&td=3HkwHfUsxFF4ZqABHTRsZgSqmldpEMFMXffusrO6a5pFGnF1XrZftNRyl-PoZW4ypr3ZeHo9apteFJNLBnJWeQUsXbACCFr2HtgeayV-eiRkvAd51AQbjiZ3AGuHXN0lLB8iAZMhhzTpomIkLSHZ8Sg7BvmVrWFXzeDo66KlsRf0IwXV9bEhG4p3sbKSvAu-R9__P4hfBunt5Po0Rqu36tyDOUGJcEzigTeIUJ9nFB5InCIKQchFB5ujZQkgeSH8wVOWS40TKXglQ
 
 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

【ハッピーマウンテンバイクライフ】#2 ESIグリップを丸石号に導入する。

掲載日/2019年02月23日  写真・文/やかん
取材協力/グルーヴィインターナショナル

 

1999年創業のメイド・イン・アメリカ

 もう何十年も酷使している丸石号ですが、日常の足として使ってもいるのでグリップが限界に達していました。きちんとしたODIの物なのですが、もういつ交換したのかまったく思い出せない程です。

古いODIのグリップ。傷みも出ていて、ややベトつく。
左はそれほどシフターを動かさないためグリップを握る力が強いのか、変形が酷い。

 そんなこともあり、いよいよグリップを換えようかと考えたのですが、ひとつだけ困ったことがありました。それは、丸石号に限らずなのですがぼくはバーエンド愛用派の為、今の主流であるロックオンタイプのグリップが使えません。あれはエンドに固定具が付きますからね。

 そうすると、昨今、実力がありながらエンドが抜けているグリップ、というのが見当たらないのです。適当な物なら幾らでもあると思いますが。そんな中、見付けたのが親交もある代理店(グルーヴィインターナショナル)が扱っている< ESI grips >というブランドのグリップでした。

 特徴は、ゴム質ではなくシリコン系の素材を使っていることです。このタイプはストイック系BIKEに標準で付いていることが多く、例えばメリダの試乗会では馴染み深い物でした。あれはメーカー公表されていませんが。

 そもそも調べてみると、このESI(イーエスアイ)グリップというブランドのシリコングリップは、なんとクロスカントリーレーサー御用達であることが解りました。それというのも、トレックファクトリーレーシングのレディースライダーであるエミリー・バッティ嬢が愛用をしており、彼女はカナダのオリンピック代表として戦った実績もあります(2012年ロンドン)。

2018年ワールドカップ、ラ・ブレス(フランス)でのエミリー・バッティ選手。銀メダルを獲得したレースで、この時もESIグリップを使っている(FITシリーズ)。
最近のエミリー・バッティ選手のコクピット周り。これはテーパー形状が付いたモデル。

 UCIの2018年ランキングは6位ですが、これまでに幾度もの優勝経験があります。そんな彼女の走りを支えている(であろう)ESIグリップは、実力は間違いなしの筈です。なにせ、昨今のクロスカントリーはコースレイアウトが激化して、サドルに腰掛けている時間の短さを考えるとBIKEとの接点はハンドルとペダルだけ、と言うこともできるからです。

 レース時間が短縮傾向とはいえ、グリップが悪ければ中盤から後半に掛けての身体パフォーマンスは発揮できないと思います。疲労軽減、コントロール含め、そこに必要とされる能力は多いでしょう。シリコン系グリップがいくつかのリアルレース完成車に標準採用されているのも、納得がいくかと。

 面白い動画もあります。トレックバイクのプロモーションなのですが、なんとESIグリップは素手でも良いみたいです。レース中、グローブしてないラウンドもあります。


※歯車マークの字幕設定から日本語を選択できます。

レッドブルのプロモーション画像より。ご覧のように、素手。

 という訳で、丸石号で最近はレースに出ることはないのですが、フラットダートを走るぐらいはよくあるので、このESIグリップをチョイスしてみることにしました。

 

勝手が違うシリコン素材に苦戦する

 現状のESIグリップは、種類が太さと形状で6つから選べるようになっています。ぼくは細身が好みなので、ベーシックなレーサーズ エッジ(50グラム)にしました。色はグリーン。オフロードバイクがカワサキ党というのが一番の理由(?)ですか。

 手元に届いたのがこちら。

Racer’s Edge Grip
素材/100% シリコン
サイズ/Φ30mm
質量/50g(ペア)
カラー/Black, Red, Blue, White, Green, Orange, Yellow, Gray, Aqua(New), Pink(New), Purple(Limited)
価格/Pink以外 2,050円(税抜)、Pink 2,200円(税抜)
取扱/グルーヴィインターナショナル TEL.025-521-5570

 エンドキャップが嬉しいです。

 では、早速作業に入ります。必要な物は特にないと思いがちですが、このようなシリコン系グリップの場合、ジェル状のアルコール液があると挿入が便利ということです。個人レベルだとメジャーなのが溶剤系ですが、これは絶対禁止。シリコン相手だと素材が溶けてしまうそうです。ゴム系とはここが大きく違うので、注意してください。

グリップの挿入で昔からメジャーなのが溶剤を使って滑りをスムーズにするものだが、ESIグリップに代表されるシリコン系は駄目。素材を傷めてしまう。今回は代理店推奨のジェル状アルコール液を用意した。ただのアルコール液だと揮発が速いので、ジェル状がポイント。

 まず、バーエンドを元の位置に戻せるよう、縁にマークを入れておきます。これを忘れてしまうと、長年慣れた角度を失ってしまいますからね。それが済んだらバーエンドを外し、今回はODIグリップは廃棄してしまうのでカッターナイフで切ってさっさと剥がしてしまいました。一度がっちり嵌ってしまったグリップを抜くのは至難の業なので、助かりました。

バーエンドの角度が解らなくならないように、ペンでマーク。

 そして念の為、ハンドルバー側に両面テープをすこし貼りました。これは、梨地加工されたバーだと時々、シリコンとの間に空気層が残ってしまい、グリップが回ってしまうことがあるからです。丸石号に付いていたバーは一般的な物でしたが、まあ一応。

アルコールの他、両面テープを用意した。
バー全面に貼るのはどうかと思ったので、縦に2箇所。

 ちなみに、このことから解るようにESIグリップはスポンジのような感触であり微細な穴はありますが、連泡ではありません。単泡です。水、泥は浸透しません。それだとレースでは役に立ちませんからね。

 さて、ところが今回の作業は、この両面テープがたいへん悪さをしました。というのがESIグリップは一応Φ22.2mmバー用となっていますが、内径がかなり狭いです。ジャストサイズだとクルクル回ってしまうので当然なのですが、エンドから押し込む時にすらなかなかバーの縁に引っ掛かりません。そんなに狭いのにそこにテープの厚みが加わってしまったことで、アルコール液をじゃばじゃば掛けても、グリップは一向に入っていきません。

 そうこうしているうちに、今度はアルコール液が乾いてきて、グリップとテープが貼り付こうとします。あまりにも入っていかなく困ってしまい、ゴム系でもよくやるマイナスドライバーを押し入れ、空気層を作り出しながら入れてみます。ところがこれがイカンかったです。

 後半にいくに従い当然どんどんとキツくなっていくのですが、そこでドライバーをこじっていたら、尖った先端でグリップ内側に傷を入れてしまいました。シリコン素材の特性上、1本線を入れてしまうとそこから連鎖的にピーッと裂けてしまいます。無理強いしすぎてやってしまいました。大失敗です。

やった瞬間、本当に「アー」っとなった大失敗。先の尖った物は絶対にNG。

 ただ、反省でもう一方は両面テープを貼らずにトライしましたが、こちらもどうにもキツイ。アルコール液はふんだんに塗っているのですが、とにかく入っていきません。最終的には、BIKEを横にして上から押し込むようにしたのですが、それでも爪が剥がれそうなほど動きません。

右側はテープを剥がしてトライしたが、どうにも入らずBIKEを倒し上から押し込んだほど。

 古いハンドルバーなので錆でも浮いてそれが抵抗になっているのか、とも考えましたがそんなことはありません。何故なのでしょう? 後日、取材用の協力品を壊してしまった謝罪兼ね、代理店に電話をしました。

古いBIKEだが、別に錆が浮いて抵抗があるとかではない。

 しかし、国内で取り扱い始めてかなり経つがそういった話は聞いたことがない、とのことです。せいぜい先の、『梨地バーには両面テープ対策』ぐらいのようです。一瞬、丸石号に付いているバーが太いのかとも考えましたが、ノギスで測るとむしろ19mmと、20mmにも満たないです。入る筈なのですが……。その電話で本国直伝の入れ方も教わりましたが、文字ではややこしいので参考動画を。

 要は、エンド側に指を入れて栓をして、グリップ内の空気が抜けていかないようにしながら一気に入れるのです。空気層を活用するのはゴム系とは共通のようです。もちろんこれもアルコール液は使っています。現在は交換品が手元にないので切れた側はタイラップで固定していますが、次回こそはミスなくやってみたいものです。

手元に当然、新しいグリップはないので暫定でタイラップ固定。申し訳ない気持ちでいっぱい。

 しばらくはこの状態で毎日乗ってみてはいますので、その感触や印象は別の機会にご報告したいと思います。ということで、相変わらず続きます。

━続く

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート1。

今年はいよいよ東日本にも進出して来てくれた、ダウンヒルシリーズ。会場となったのは、関東のマウンテンバイクライダーなら誰もがその名を上げる富士見パノラマリゾート(長野)。その大会に、宣言通りダート&モト編集部が参戦して来ました。

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート1。

掲載日:2015年09月28日  取材・写真・文/やかん

取材協力/ミヤタサイクル(MERIDA BIKES)

 

今年はいよいよ東日本にも進出して来てくれた、ダウンヒルシリーズ。会場となったのは、関東のマウンテンバイクライダーなら誰もがその名を上げる富士見パノラマリゾート(長野)。その大会に、宣言通りダート&モト編集部が参戦して来ました。

 

コース設定は驚きの
Aコースフル区間4.2km

今回のダウンヒルシリーズの最大の注目は、戦いの地となった富士見パノラマリゾートのコース設定です。この富士見パノラマはダウンヒルコースをいくつか持っていて、その中で最も難易度が高いと言われているAコースが舞台となりました。と、ここまではJCF管轄のレースでも何時も使用されているので代わり映えしないのですが、そこはやはり主催者側も分かっていたようです。なんと10年以上ぶりとなる、Aコースフル区間4.2kmを使用する設定となったのです。

JCFなどのレースでは規則の変更なども関係し、10年以上前からAコース途中からのレースとなっていました。スタート位置は何回か変わったと思いますが、とりあえずライダーたちはAコース途中までを自分のペースで降りてきて、途中に設置されたスタート位置からタイムアタックでした。筆者がダウンヒルを始めた頃やレースが富士見パノラマで開催され始めた頃は、Aコースフル区間使用は当たり前でしたが、とにかくこの4.2kmのレースは体力的に辛い。一時も気が抜けず、強いフィジカルが要求されるレースフォーマットでもありました。

筆者がダウンヒルシリーズにエントリーしてみようと思ったのは、そもそもはこのシリーズ戦の趣旨などに興味を持ち、一度は参加してみたかったからなのですが、まさかその一発目のレースがAコースフル区間になるとは。そもそも、Aコース自体を走るのも何十年ぶりなので、かなり不安でしたが腹をくくるしかありません。富士見パノラマ以外では、ダウンヒルシリーズの開催地は西日本に寄っていて、距離的に遠征が厳しいのです。諦めです。

ちなみに、今回の参戦にあたっては事前の告知通り、株式会社ミヤタサイクルの協力を得て、MERIDA BIKESのONE-TWENTY 7.500(2016)を用意しました。純然たるダンヒルバイクでないし、下り方向に振ったモデルでもないので、色々と不安はありましたが、プライスなどを考慮しての選定となりました。バランスの良いBIKEでどこまで走れるか?!

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受付で配られた物一覧。ゼッケンとシリーズ戦のチラシ、KONAとurgeのカタログ。記念品などはナシ。
受付で配られた物一覧。ゼッケンとシリーズ戦のチラシ、KONAとurgeのカタログ。記念品などはナシ。

会場入りは、試走とタイムドセッションが行われる、土曜日。本戦自体は日曜日単発になっていて、充分な試走や事前のタイム計測による出走順を気にしなければ、1日参加でもOKなレースとなっています。日曜日のみ参加の人も、それなりにいました。会場に着いて、簡単な設営などを済ませたら、早速の試走です。何十年も走っていないAコースをいきなり走れるのか、と不安も多かったですが仕方がありません。BIKEのセッティングについてだけ触れておきます。

 

死ぬかと思った
数十年ぶりのAコース

ONE-TWENTY 7.500(2016)は前後ともエア式のサスペンションを備えるモデルで、使用メーカーはどちらもSRサンツアーになります。エア圧に関してミヤタサイクルから詳細を聞けなかったので、こちらはSRサンツアーの国内代理店に問い合わせをしました。それによると、SRサンツアーの商品は、個々に決まった数値は持っておらず、各BIKEに付いた状態でのサグ測定でエア圧を決めて欲しい、という事でした。その数値は、全体のストローク量の20%をサグとして出すというので、ONE-TWENTY 7.500(2016)は前後とも120mmストロークなので、基準値は24mmです。測定はノギスを使って行いました。ダウンヒルレースなので少し動く方向でもよいのかな? とも思いましたが、エア式なのであまり加圧しない(柔らかくする)と底づき(スタックダウン)してサスペンションを傷めしまうので、それはしないで下さい、という話も代理店からはもらったので、20%のサグ値は正確にセッティングしました。

サグ値の測定にはノギスを使用した。
サグ値の測定にはノギスを使用した。
フロントはセッティングの参考になるOリングが装着されていたので、こちらを使用してサグ値を測った。
フロントはセッティングの参考になるOリングが装着されていたので、こちらを使用してサグ値を測った。
リアはOリングがなかったので、インナーチューブを綺麗に拭いてから、沈み込んだ時に出来るオイル線を参考に数値を出した。
リアはOリングがなかったので、インナーチューブを綺麗に拭いてから、沈み込んだ時に出来るオイル線を参考に数値を出した。

予備運動もロクにせずいきなり飛び込んだAコースは、早朝まで降った雨の為、かなりスリッピー。コースレイアウトもまったく忘れていたので、それに対応するので精一杯でライン取りもペース配分もあったものではありません。走り終わると、BIKEはかなりの泥だらけになっていました。筆者がエントリーしたファーストタイマークラスは、タイムドセッションは午後一で実施されたので、最後の気合でAフルコース1本を走り終えたら、後はゴールエリアに設けられた各ブランドのブースを、無料で提供されたRedBullを飲みながら見て回りました。

マディーでスリッピーな路面であったが、タイアトレッドが泥で埋まってしまうまではいかなかったのは幸い。ONE-TWENTY 7.500(2016)は、前後サスペンションの調整をしただけで、他はメーカー出荷状態。
マディーでスリッピーな路面であったが、タイアトレッドが泥で埋まってしまうまではいかなかったのは幸い。ONE-TWENTY 7.500(2016)は、前後サスペンションの調整をしただけで、他はメーカー出荷状態。
今大会の冠スポンサーにもなったコナブース。展示車両だけでなく、試乗車も多く用意し、本格ダウンヒルバイクはAコース試乗も出来た。
今大会の冠スポンサーにもなったコナブース。展示車両だけでなく、試乗車も多く用意し、本格ダウンヒルバイクはAコース試乗も出来た。
シリーズ戦のスポンサーであるスラムブース。代理店が扱うアトラスブレースやフォックスのガードなど、ダウンヒルで必須のプロテクター類を展示。試し付けもOK。
シリーズ戦のスポンサーであるスラムブース。代理店が扱うアトラスブレースやフォックスのガードなど、ダウンヒルで必須のプロテクター類を展示。試し付けもOK。
JCFレースでも積極的にブース展開する、ベルヘルメットとマキシスタイア。展示と説明だけでなく、ステッカーブレゼントも実施した。
JCFレースでも積極的にブース展開する、ベルヘルメットとマキシスタイア。展示と説明だけでなく、ステッカーブレゼントも実施した。
多くのライダーの足元をサポートするマビックホイールとシューズ展示。ホイールは恒例となった、自身のBIKEに付けての試走が可能なキャンペーンを本大会でも開催。
多くのライダーの足元をサポートするマビックホイールとシューズ展示。ホイールは恒例となった、自身のBIKEに付けての試走が可能なキャンペーンを本大会でも開催。
軽量で独特なベンチレーション機構が特徴のアージュヘルメットの展示・試着ブース。キッズ用からダウンヒル用まで、幅広い展開。
軽量で独特なベンチレーション機構が特徴のアージュヘルメットの展示・試着ブース。キッズ用からダウンヒル用まで、幅広い展開。
今年のトレックはダウンヒルにも積極的。最新BIKEを持ち込んでのアピールを展開した。もちろん跨るのOK。10月には本国ファクトリーライダーが来日する。
今年のトレックはダウンヒルにも積極的。最新BIKEを持ち込んでのアピールを展開した。もちろん跨るのOK。10月には本国ファクトリーライダーが来日する。
主催者によるアイディアでゴールエリアに展開された各メーカーブース。ライダーはゴール後は必ずここを通るルートになっていて、展示する側のコンタクトチャンスを最大限に発揮出来るようになっていた。
主催者によるアイディアでゴールエリアに展開された各メーカーブース。ライダーはゴール後は必ずここを通るルートになっていて、展示する側のコンタクトチャンスを最大限に発揮出来るようになっていた。

 

本大会で一番オトクだった
PROライダーによるコース解説

なお、いくつかの会場では実施していたようですが、タイムドセッションがすべて終了した後の夕方から、受付をした建物内でPROライダーによるコース解説が行われ、これがウルトラお得な時間でした。参加自由・無料で、ヘルメットカメラで撮影した動画を使いながら、ライン取りなどのレクチャーをしてくれるのですが、その場に集まった参加者は当然さきほどAコースフル区間を走り終えていて、その感覚を忘れないうちにレクチャーしてくれるこの催しは最強、素晴らし過ぎました。筆者レベルだと、PROライダーの走りやライン取りはもう別次元で頷く事しか出来なかったのですが、ある程度のレベルのライダーなら教わった内容を翌日の本戦で活かせるのです。コース解説だけでなく質疑応答も自由で、1時間を軽く超す、非常に盛り上がって熱い時間となりました。参加費8,000円と、決して安くはないレースですがこのコース解説を聞けた人は、まったく損した気分にはならなかったと思います。土日開催にしているメリットでもありますね。

メインの講師を努めたのは、井手川 直樹選手。自身が撮影した動画で細かなレクチャーをしてくれた。
メインの講師を努めたのは、井手川 直樹選手。自身が撮影した動画で細かなレクチャーをしてくれた。
講師陣は他にもたくさん。清水 一輝選手と九島 勇気選手は寝ている訳ではない。瞬きのタイミングで撮影しただけ。色々と話してくれた。
講師陣は他にもたくさん。清水 一輝選手と九島 勇気選手は寝ている訳ではない。瞬きのタイミングで撮影しただけ。色々と話してくれた。
井本 はじめ選手は、時折身を乗り出しての積極的なレクチャー。途中から、黒沢 大介選手も加わってのセッションとなった。
井本 はじめ選手は、時折身を乗り出しての積極的なレクチャー。途中から、黒沢 大介選手も加わってのセッションとなった。

さて、初日の様子はここまでです。続きはまた明日。