<製品テスト>TIOGA スパイダー アウトランド(2015年マルイ製品展示会より.1)

2015年のマルイ製品展示会で発表はされたものの、発売がまだ先で紹介を見送っていた商品を順次紹介して行きたい。まず、トップバッターはタイオガ(TIOGA)から、スパイダー アウトランド(SPYDER outland)だ。

<製品テスト>TIOGA スパイダー アウトランド(2015年マルイ製品展示会より.1)

掲載日:2015年12月7日  写真・文/やかん

 

2015年のマルイ製品展示会で発表はされたものの、発売がまだ先で紹介を見送っていた商品を順次紹介して行きたい。まず、トップバッターはタイオガ(TIOGA)から、スパイダー アウトランド(SPYDER outland)だ。

 

2015年マルイ製品展示会にて。
2015年マルイ製品展示会にて。

 

[ TIOGA SPYDER outland ]

スパイダー アウトランドは、かなり前に発売されて話題をさらったスパイダー ツインテールの、発展・派生系モデル。その独特の蜘蛛の巣を連想させる大胆な肉抜きのされたデザインはそのままに、トレイルライドやエンデューロレースで求められる高い操作性を追求したモデルとなっている。

まず、再確認しておきたいのが、スパイダーシリーズはただの蜘蛛の巣状の樹脂サドルではない事だ。その構造は、“デュアル デンシティー ウェブ メッシュベース”という基本構造で構成されており、高強度グラスファイバー補強ナイロンとエラストマー添加ナイロンという、硬さの異なる樹脂材料のインサート成型技術でなりたっている。柔軟性と強度を両立させている、とあるがこれについては後述の試乗記に譲りたい。

他、空間の多いウェブ メッシュは、実際に通気性は高く、座面形状と曲率構成を追求して設計。パッドを有しない独特なスタイルのサドルでありながら、圧迫感の少ない乗り心地を提供するよう工夫されてもいる。アウトランドには、着脱可能なアンチスリップパッドが付属し、好みに応じて選択が可能にもなっている。

これに関連するのが、アウトランドはライダーがサドル上でフレキシブルなポジションを取れる事を念頭に置いていて、サイドをカットし腰を引きやすくしている事。パッドは、腰掛けるだけ程度の使い方ならなしでよいだろうし、ある程度シッティングもあり着座位置を固定したい場合やグリップ力を高めたい時は、有りで使う想定になっている。

アンチスリップパッドを取付けた状態。
アンチスリップパッドを取付けた状態。
裏面から見ると本製品の構造がよく解る。
裏面から見ると本製品の構造がよく解る。

 

ガッチリと座るライドには不向きだが
ストレスのないサドル形状は秀逸で、自由なポジショニングが可能

テストは前後が130mm程度のストロークを持つフルサスペンションBIKEで行った。まだエンデューロやマラソンといった概念のない時代のBIKEだが、テスト車として問題はないと思う。サドルの固定スタイルに特に指定はなかったので、従来付けていた物とほぼ同じポジションで取り付けた。走行シーンは、シーズン的に下りに偏った専用オフロードコースなどは使えなかったので、起伏が得られる平地のダート路面と河川敷のロングライドの2つを試した。付属のアンチスリップパッドは取り付けてテストを行った。

テスト車にも元々タイオガのサドルが付いてる。今回はこれを交換。
テスト車にも元々タイオガのサドルが付いてる。今回はこれを交換。
年代は古いが下り寄りのBIKEなので、セッティングは少しの斜度を付けている。
年代は古いが下り寄りのBIKEなので、セッティングは少しの斜度を付けている。

まず、ダート路面までのアスファルトでのアプローチでは、筆者の体重もあるのだろうが(50kg強)、どうしても硬さが気になった。アンチスリップパッドを取付けたといっても、主な役割は滑り止めであってパッティング類には程遠く、BMXのサドルに座っているような感覚だ。しかし、いざダート路面に付き、起伏のある路面を走る場合は、かなりの頻度で腰は浮かせているので問題なく、また練られた形状の為か、不用意にサドルに突き上げられる事もなかった。

次に、想定に含まれるのかは解らなかったが、河川敷のロングライドにトライしてみた。多少の凹凸はあるがほぼフラットな路面なので、100%シッティング。この状態で約1時間、座りっぱなしで走ってみた。こちらは、正直、かなり辛かった。BIKEが完璧には対応していないというのもあるだろうが(リアショックFOXはプロペダル化済み)、やはりどうしても座面の硬さが厳しく、尻骨がそれなりに痛くなる。ただ、ラフテストなのでパッド入りのレースパンツを履いてない事もあったのと、例えばエンデューロなどでは厚手のボトムスを履く事もあるだろうから、今回よりかは緩和されるかもしれない。構造上軽量なので、車重をなるべく抑えたいクロスカントリーBIKEなどで導入したくもなりそうだが、そちらは向いていないと思う。この点は、シーズンインをしたら、真面目なオフロードコースの、例えばリエゾン区間などであらためて試してみたいところだ。

元々付けているサドルとはかなり形状が違うのが解る。
元々付けているサドルとはかなり形状が違うのが解る。

フラットな路面でのシッティングを試した後は、積極的な身体の動きが必要になる厳しい上り下りを何度も走ってみた。そこで解ったのが、下り走行での抜群の腰の引きやすさ。サドル後方の“ひれ”の部分がスパッと進行方向と平行にカットされていて、これによりひれの部分にまったくフトモモが引っ掛からずに、自由な身体の動きが可能になっている。これには正直、舌を巻いた。以前、富士見パノラマリゾート(長野)のダウンヒルAコースを他のBIKEで下った時、この“ひれ”の部分の引っ掛かりが気になり、落差の急なセクションで体の動きが阻害されバランスを崩しかけたりした事があったが、アウトランドに関してはこの心配がまったくない。アンチスリップパッドも、過度にグリップする事なく良い塩梅で“引っ掛かり”が得られるので、「欲しい時に引っ掛かり、不要な時には滑る」バランスの良さが光った。

赤いラインの部分が平行にカットされたようなデザインになっていて、この部分が引っ掛かりをなくす。
赤いラインの部分が平行にカットされたようなデザインになっていて、この部分が引っ掛かりをなくす。

筆者は、まだ本格的なエンデューロレースに出場した事がないのだが、リエゾン区間がかなり長く、またそこが平坦でシッティングしてのパワーペダリングが必要であれば、アウトランドは「不向き」と言わざるを得ないが、実例としては、前述の富士見でCコース程度のシッティング率とサドルへの負荷の掛け方程度なら硬さは気にならず、むしろ動きを阻害しないその形状の恩恵に十全と与れるだろう。

座面は比較的フラットな作り。
座面は比較的フラットな作り。

また、これはテストした訳ではないので断言は出来ないが、ほぼ着座しないダウンヒルで、極度な落差なども頻発する本格コースでも効果を発揮すると思う。路面からのプッシュがあり、その際に硬いサドルにお尻がどれ程突き上げられるかはまだ解らないが、シーズンインしたらテストしてみる価値はあると思う。

今からの時期、降雪のないエリアであればトレイルライドが面白い時期でもある。あなたがもし、BIKEの上で積極的にボディアクションをするスタイルであるならば、このサドルは是非試してほしい出来栄えである。今まで以上に、自由に身体が動かせ、より高次元の走りが出来る筈である。

 

[ 製品情報 ]

メーカー/TIOGA
販売元/株式会社マルイ
製品名/SPYDER outland -新製品-
価格/1万3,000円(税抜)
カラー/ブラック/スモーク、ホワイト/クリア
サイズ/幅126×長さ281×高さ60mm
質量/206g
デュアル デンシティー ウェブ メッシュベース
デュアル アーク フレックス
φ7mmクロモリ中空レール
アンチスリップパッド付属

TIOGA SPYDER outland(ホワイト/クリア) 1万3,000円(税抜)
TIOGA SPYDER outland(ホワイト/クリア) 1万3,000円(税抜)

 

アウトランド以外の展開もあり。
アウトランド以外の展開もあり。

 

 

[ お問い合わせ ]
株式会社マルイ
TEL/078-451-2742

 

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート3。

東日本に初進出したダウンヒルシリーズの第6戦 富士見パノラマラウンド。続いたレースレポートも、今回でEND。最後はやや蛇足的なお話をしたいと思います。

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート3。

掲載日:2015年10月01日  取材・写真・文/やかん

取材協力/ショウエイミヤタサイクル(MERIDA BIKES)

 

東日本に初進出したダウンヒルシリーズの第6戦 富士見パノラマラウンド。続いたレースレポートも、今回でEND。最後はやや蛇足的なお話をしたいと思います。

 

お手製ゼッケンは
取り扱い要注意

さて筆者、初参加となったダウンヒルシリーズでありましたが、少し拍子抜けしたのが受付で渡されたゼッケンプレート。見るからにお手製感あり、素材も紙に近い感じがします。土曜日のまだ濡れた路面の中を走って、大きく泥跳ねを受け、途中で挟んだ洗車TIMEも受けて分かった事は、やはりほとんど紙です。一応は耐水性を持つようですが、泥水などでみるみるインクは滲み始め、またタイラップで4箇所留めているホールもちぎれ始めています。このゼッケンプレートは毎度同じ仕様のようなので、参加される皆さんはぜひ、現場で処理できる簡易的なパウチセットを持参するのが吉です。

現に他のライダーも振動で千切れたり、酷い泥で数字が判別不可能になったりのトラブルが頻発していました。取り付け方法も工夫して下さい。多くのライダーが、ゼッケンプレートの下端の固定が甘く、計測時にめくれ上がってしまい、やはり数字が判読出来ない、というケースが多々有りました。このレポートをお読みになられて次戦参加される方は、簡単なパウチセットと、受付で多めにタイラップをもらい、しっかりゼッケンプレートが正面を向くように固定して下さい。

個人的には、歴代参加したレースのゼッケンプレートは記念品として部屋の壁面に掲示しているので、ダウンヒルシリーズのそれも樹脂製が嬉しかったですね。当然、これはコストとの兼ね合いです。聞く所によると、昨年は都度回収していたそうなのですが、やはり回収率が悪く、今年のこの紙スタイルに落ち着いたそうです。レース申込時に紙製か樹脂製か選べて、それによってエントリーフィーが変わる方式でも良いと思います。記念品にしたい人は他にもいるでしょうから、そういう人は少し多めにお支払いしてね、と。来年から、どうでしょうか?

ゼッケンプレートはほぼ紙製で濡れたり振動ですぐにダメになるので、ライダー自身での保護など工夫が必要だ。また、計測のトラブルに繋がるので、下端は特にしっかりタイラップで固定、かつ下を向くようにしておきたい。スムーズなレース進行の為にも、どうか協力を。
ゼッケンプレートはほぼ紙製で濡れたり振動ですぐにダメになるので、ライダー自身での保護など工夫が必要だ。また、計測のトラブルに繋がるので、下端は特にしっかりタイラップで固定、かつ下を向くようにしておきたい。スムーズなレース進行の為にも、どうか協力を。

 

プログリップゴーグルの
ダブルレンズは最強過ぎる

今回、自宅を出る時点で雨でしたし、現地の天気予報も降雨であったので、とにかくゴーグルはたくさん持ちました。軽い試走では専ら使っている、ストラップのゴムもフェイス部のスポンジももうダメになっているプログリップ(PROGRIP)のゴーグルも、念の為、練習用ヘルメットに装着したまま出発しました。現地では、さすがにそのボロさはもうNGだろう、と試走には他のゴーグルを使いました。

ところが、それがAコース前半のつづら折りセクションで早くも曇り始め、中間のスピードが出るセクションでもそれほど晴れてくれず、そのまま後半のシングルトラックに突入してしまった為、眼を傷めるのを覚悟でゴーグルを外さざるを得ませんでした。経験上、ダウンヒルはかなりゴーグル内が曇る事は知っていたので、予め曇り止め液を塗布しておいたのにも関わらずです。タイムドセッションが行われた土曜日は、会場の全体的な湿度感も高く、ゴンドラ下でもやや湿気っぽさは感じていましたが、まさかこれほどまでとは、です。

初日の試走1本は、数十年ぶりのAコースという事で余計に汗をかき、スピードがかなり遅かったとはいえ、ストレート区間ではそれなりのフレッシュエアがゴーグル内に入った筈なのですが、この日はとにかくダメでした。筆者はレース時はコンタクトをするので、泥砂やちりは眼球を大きく傷めるたいへん怖いものになり、Nonゴーグルはまず考えられません。そこで、他にも用意していたゴーグルをパドックの駐車場で確認したところ、とにかくことごとく曇ります。都合、4つテストしてすべて駐車場レベルで曇りました。この日の気候も影響していたと思います。

そのような中、とにかくまったく曇らなかったのが、冒頭で登場した「もう耐用年数限界」のプログリップのゴーグルです。駐車場でのテストで、どうやっても曇る事なく、ダブルレンズなのに間違って水洗いを過去にしてしまい、レンズの隙間に水垢が残っているにも関わらず、この日最もクリアな視界を提供してくれそうでした。その後、タイムドセッションを含む3本の走行をすべて、このボロボロのプログリップゴーグルを使用しましたが、終始安定した視界を提供してくれ、結局、天候が回復した翌日も、不安でこのプログリップを再修理して本戦を走りました。

ダブルレンズが曇りに強いのは知っていましたが、この能力差は圧倒的でした。別にスポンサードを受けている訳でもないのでここまでヨイショするのは癪なのですが、プログリップのダブルレンズ仕様のゴーグルは、曇りに悩むダウンヒルライダーにはお薦めかと思います。土曜日、ことごとくダメだったゴーグルたちはモトクロスでは一回もトラブルになった事はないので、ダウンヒルはやはりかなり特性が違うという事ですね。宣伝したくはないのですが、あまりに違いがあったので、仕方がなくご報告しておきます。

タイムドセッション・本戦と都合、2日間使い続けた、もうボロボロのプログリップゴーグル。本来はレンズがライトセンシティブになっているので紫外線を当てると調光するのだが、これはもう使用期限が切れていてクリアのまま変化しない。それでも、曇りは皆無であった。悔しい〜!
タイムドセッション・本戦と都合、2日間使い続けた、もうボロボロのプログリップゴーグル。本来はレンズがライトセンシティブになっているので紫外線を当てると調光するのだが、これはもう使用期限が切れていてクリアのまま変化しない。それでも、曇りは皆無であった。悔しい〜!

 

ケガと弁当は自分持ち
常設コースであっても備えるべし

ダウンヒル競技は、練習にしろレースにしろ、とにかく怪我が付きものです。残念ですが、何本か走れば一回ぐらいどこかを痛めると思います。筆者もかなりの回数、転倒をし、タイムドセッションでは拠りにも寄ってプロテクターの隙間を狙って大きな岩と衝突してしまいました。かなりの激痛で、後半の難しいシングルセクションでブレーキ操作に支障が出るほどで、さらなる怪我を誘発しそうでしたが、何とかゴールラインまで降りてこれました。

パドックに戻り、用意しておいた冷却スプレーでアイシングしますが、経過がどうも思わしくありません。翌日にも確実に引きずる感じであったので、まずは主催関係者がいる受付建物を訪ねました。ところが、うっかりしていたのですがダウンヒルシリーズは草レースなのです。まともな救護キットは用意していなく、OUTでした。それでは、富士見パノラマは常設コースでもあるので、レスキュー隊が控えいてます。そちらの詰め所を次に尋ねたところ、「氷はあるがシップはない」との回答。

筆者、ロキソニン(痛み止め飲み薬)は用意していましたが湿布は準備していませんでした。時間が経つ程に痛みは酷くなってくるので、諏訪の町まで降りて湿布薬を購入しました。これ、完全に筆者の落ち度です。怪我するのは解っていたのに。また、ダウンヒルシリーズに過剰な期待をし過ぎました。形態が大きく見えますが、ひとつの小さな草レースに過ぎません。救護を期待してはいけませんでした。どこのコースでもダウンヒルは怪我をすると思います。レースに限らずですが、現地に最低限の備えは持って行って下さい。

レース参戦にあたり、コールドスプレーとロキソニンは用意していたが、湿布薬は忘れていた。強打した右上腕部は今でもひどい痛みと腫れなので、最低限の救護キットは持参するべきだ。主催者に甘えてはいけない。
レース参戦にあたり、コールドスプレーとロキソニンは用意していたが、湿布薬は忘れていた。強打した右上腕部は今でもひどい痛みと腫れなので、最低限の救護キットは持参するべきだ。主催者に甘えてはいけない。

 

イベントはこれが大好き
赤札特価の物販エリア

レポート2でもお知らせしましたが、今回のレースイベントには2つの物販エリアが並びました。そこでサスペンションフォークチューニングなども行ってもらいましたが、重い買い物はしませんでした。家庭の事情で。しかし結局、表彰式前にちょっとだけお買い物をしました。なにせとんでも価格での販売でしたからね。各レースイベントで、出店する業種のジャンルは様々ですが、筆者の経験から言うと、マウンテンバイクのイベントでもそれなりにお得感ある買い物は出来ます(ロードレースの比ではありませんが)。今回のダウンヒルシリーズも、見事それに応えてくれたので、レース参戦だけでなく、こういった催しも愉しむと良いと思います。

インナーパッド付きレースパンツとプロテクションが付いたレースグローブ、手首の保護をするリストブレース。これら3点を合わせて、今回は2,000円! でお買い物できた。すべて、正規のトロイリーデザインズ製。お得でしょ?
インナーパッド付きレースパンツとプロテクションが付いたレースグローブ、手首の保護をするリストブレース。これら3点を合わせて、今回は2,000円! でお買い物できた。すべて、正規のトロイリーデザインズ製。お得でしょ?

 

後日譚
洗濯ネットを活用しよう

さて、本レポートの本当にラスト。レース後のお話です。今更な人もいると思うのですが、念の為に。今回、自宅に帰って来てウェアやヘルメット類をクリーニングした際、首元ストラップのガードパッドを片方紛失してしまいました。また、ボディプロテクターも初めて洗濯機に入れて洗ったところ、ブランドのエンブレムが剥がれてしまいました。教訓。壊れやすいかもと、細かな物を洗う時は、絶対に洗濯ネットを使いましょう! 不測の事態や紛失を回避してくれます。筆者は家の人に泣きついたところ、「当たり前だ! そういうのはネットに入れて洗うんだよ!」と激怒されました。ちっちゃな事ですが、思い当たる方は洗濯ネットをお薦めしておきます。嗚呼……。

本戦で使ったショウエイヘルメット・VFX-Wの、ストラップガードを洗濯時に紛失してしまった。今回は、泣きついたらサンプル品を補修部品で提供してくれたが、次はないと思う。肝に銘じなければ。
本戦で使ったショウエイヘルメット・VFX-Wの、ストラップガードを洗濯時に紛失してしまった。今回は、泣きついたらサンプル品を補修部品で提供してくれたが、次はないと思う。肝に銘じなければ。

さて、3回に渡ってお届けしてきたダウンヒルシリーズ 第6戦 富士見パノラマラウンドのレポートは以上です。ダウンヒルシリーズ、今後どういった方向に進んで行くのでしょうか?!

3-06

 

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート1。

今年はいよいよ東日本にも進出して来てくれた、ダウンヒルシリーズ。会場となったのは、関東のマウンテンバイクライダーなら誰もがその名を上げる富士見パノラマリゾート(長野)。その大会に、宣言通りダート&モト編集部が参戦して来ました。

2015 DOWNHILL SERIES POWERD BY SRAM #6 富士見パノラマ レポート1。

掲載日:2015年09月28日  取材・写真・文/やかん

取材協力/ミヤタサイクル(MERIDA BIKES)

 

今年はいよいよ東日本にも進出して来てくれた、ダウンヒルシリーズ。会場となったのは、関東のマウンテンバイクライダーなら誰もがその名を上げる富士見パノラマリゾート(長野)。その大会に、宣言通りダート&モト編集部が参戦して来ました。

 

コース設定は驚きの
Aコースフル区間4.2km

今回のダウンヒルシリーズの最大の注目は、戦いの地となった富士見パノラマリゾートのコース設定です。この富士見パノラマはダウンヒルコースをいくつか持っていて、その中で最も難易度が高いと言われているAコースが舞台となりました。と、ここまではJCF管轄のレースでも何時も使用されているので代わり映えしないのですが、そこはやはり主催者側も分かっていたようです。なんと10年以上ぶりとなる、Aコースフル区間4.2kmを使用する設定となったのです。

JCFなどのレースでは規則の変更なども関係し、10年以上前からAコース途中からのレースとなっていました。スタート位置は何回か変わったと思いますが、とりあえずライダーたちはAコース途中までを自分のペースで降りてきて、途中に設置されたスタート位置からタイムアタックでした。筆者がダウンヒルを始めた頃やレースが富士見パノラマで開催され始めた頃は、Aコースフル区間使用は当たり前でしたが、とにかくこの4.2kmのレースは体力的に辛い。一時も気が抜けず、強いフィジカルが要求されるレースフォーマットでもありました。

筆者がダウンヒルシリーズにエントリーしてみようと思ったのは、そもそもはこのシリーズ戦の趣旨などに興味を持ち、一度は参加してみたかったからなのですが、まさかその一発目のレースがAコースフル区間になるとは。そもそも、Aコース自体を走るのも何十年ぶりなので、かなり不安でしたが腹をくくるしかありません。富士見パノラマ以外では、ダウンヒルシリーズの開催地は西日本に寄っていて、距離的に遠征が厳しいのです。諦めです。

ちなみに、今回の参戦にあたっては事前の告知通り、株式会社ミヤタサイクルの協力を得て、MERIDA BIKESのONE-TWENTY 7.500(2016)を用意しました。純然たるダンヒルバイクでないし、下り方向に振ったモデルでもないので、色々と不安はありましたが、プライスなどを考慮しての選定となりました。バランスの良いBIKEでどこまで走れるか?!

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受付で配られた物一覧。ゼッケンとシリーズ戦のチラシ、KONAとurgeのカタログ。記念品などはナシ。
受付で配られた物一覧。ゼッケンとシリーズ戦のチラシ、KONAとurgeのカタログ。記念品などはナシ。

会場入りは、試走とタイムドセッションが行われる、土曜日。本戦自体は日曜日単発になっていて、充分な試走や事前のタイム計測による出走順を気にしなければ、1日参加でもOKなレースとなっています。日曜日のみ参加の人も、それなりにいました。会場に着いて、簡単な設営などを済ませたら、早速の試走です。何十年も走っていないAコースをいきなり走れるのか、と不安も多かったですが仕方がありません。BIKEのセッティングについてだけ触れておきます。

 

死ぬかと思った
数十年ぶりのAコース

ONE-TWENTY 7.500(2016)は前後ともエア式のサスペンションを備えるモデルで、使用メーカーはどちらもSRサンツアーになります。エア圧に関してミヤタサイクルから詳細を聞けなかったので、こちらはSRサンツアーの国内代理店に問い合わせをしました。それによると、SRサンツアーの商品は、個々に決まった数値は持っておらず、各BIKEに付いた状態でのサグ測定でエア圧を決めて欲しい、という事でした。その数値は、全体のストローク量の20%をサグとして出すというので、ONE-TWENTY 7.500(2016)は前後とも120mmストロークなので、基準値は24mmです。測定はノギスを使って行いました。ダウンヒルレースなので少し動く方向でもよいのかな? とも思いましたが、エア式なのであまり加圧しない(柔らかくする)と底づき(スタックダウン)してサスペンションを傷めしまうので、それはしないで下さい、という話も代理店からはもらったので、20%のサグ値は正確にセッティングしました。

サグ値の測定にはノギスを使用した。
サグ値の測定にはノギスを使用した。
フロントはセッティングの参考になるOリングが装着されていたので、こちらを使用してサグ値を測った。
フロントはセッティングの参考になるOリングが装着されていたので、こちらを使用してサグ値を測った。
リアはOリングがなかったので、インナーチューブを綺麗に拭いてから、沈み込んだ時に出来るオイル線を参考に数値を出した。
リアはOリングがなかったので、インナーチューブを綺麗に拭いてから、沈み込んだ時に出来るオイル線を参考に数値を出した。

予備運動もロクにせずいきなり飛び込んだAコースは、早朝まで降った雨の為、かなりスリッピー。コースレイアウトもまったく忘れていたので、それに対応するので精一杯でライン取りもペース配分もあったものではありません。走り終わると、BIKEはかなりの泥だらけになっていました。筆者がエントリーしたファーストタイマークラスは、タイムドセッションは午後一で実施されたので、最後の気合でAフルコース1本を走り終えたら、後はゴールエリアに設けられた各ブランドのブースを、無料で提供されたRedBullを飲みながら見て回りました。

マディーでスリッピーな路面であったが、タイアトレッドが泥で埋まってしまうまではいかなかったのは幸い。ONE-TWENTY 7.500(2016)は、前後サスペンションの調整をしただけで、他はメーカー出荷状態。
マディーでスリッピーな路面であったが、タイアトレッドが泥で埋まってしまうまではいかなかったのは幸い。ONE-TWENTY 7.500(2016)は、前後サスペンションの調整をしただけで、他はメーカー出荷状態。
今大会の冠スポンサーにもなったコナブース。展示車両だけでなく、試乗車も多く用意し、本格ダウンヒルバイクはAコース試乗も出来た。
今大会の冠スポンサーにもなったコナブース。展示車両だけでなく、試乗車も多く用意し、本格ダウンヒルバイクはAコース試乗も出来た。
シリーズ戦のスポンサーであるスラムブース。代理店が扱うアトラスブレースやフォックスのガードなど、ダウンヒルで必須のプロテクター類を展示。試し付けもOK。
シリーズ戦のスポンサーであるスラムブース。代理店が扱うアトラスブレースやフォックスのガードなど、ダウンヒルで必須のプロテクター類を展示。試し付けもOK。
JCFレースでも積極的にブース展開する、ベルヘルメットとマキシスタイア。展示と説明だけでなく、ステッカーブレゼントも実施した。
JCFレースでも積極的にブース展開する、ベルヘルメットとマキシスタイア。展示と説明だけでなく、ステッカーブレゼントも実施した。
多くのライダーの足元をサポートするマビックホイールとシューズ展示。ホイールは恒例となった、自身のBIKEに付けての試走が可能なキャンペーンを本大会でも開催。
多くのライダーの足元をサポートするマビックホイールとシューズ展示。ホイールは恒例となった、自身のBIKEに付けての試走が可能なキャンペーンを本大会でも開催。
軽量で独特なベンチレーション機構が特徴のアージュヘルメットの展示・試着ブース。キッズ用からダウンヒル用まで、幅広い展開。
軽量で独特なベンチレーション機構が特徴のアージュヘルメットの展示・試着ブース。キッズ用からダウンヒル用まで、幅広い展開。
今年のトレックはダウンヒルにも積極的。最新BIKEを持ち込んでのアピールを展開した。もちろん跨るのOK。10月には本国ファクトリーライダーが来日する。
今年のトレックはダウンヒルにも積極的。最新BIKEを持ち込んでのアピールを展開した。もちろん跨るのOK。10月には本国ファクトリーライダーが来日する。
主催者によるアイディアでゴールエリアに展開された各メーカーブース。ライダーはゴール後は必ずここを通るルートになっていて、展示する側のコンタクトチャンスを最大限に発揮出来るようになっていた。
主催者によるアイディアでゴールエリアに展開された各メーカーブース。ライダーはゴール後は必ずここを通るルートになっていて、展示する側のコンタクトチャンスを最大限に発揮出来るようになっていた。

 

本大会で一番オトクだった
PROライダーによるコース解説

なお、いくつかの会場では実施していたようですが、タイムドセッションがすべて終了した後の夕方から、受付をした建物内でPROライダーによるコース解説が行われ、これがウルトラお得な時間でした。参加自由・無料で、ヘルメットカメラで撮影した動画を使いながら、ライン取りなどのレクチャーをしてくれるのですが、その場に集まった参加者は当然さきほどAコースフル区間を走り終えていて、その感覚を忘れないうちにレクチャーしてくれるこの催しは最強、素晴らし過ぎました。筆者レベルだと、PROライダーの走りやライン取りはもう別次元で頷く事しか出来なかったのですが、ある程度のレベルのライダーなら教わった内容を翌日の本戦で活かせるのです。コース解説だけでなく質疑応答も自由で、1時間を軽く超す、非常に盛り上がって熱い時間となりました。参加費8,000円と、決して安くはないレースですがこのコース解説を聞けた人は、まったく損した気分にはならなかったと思います。土日開催にしているメリットでもありますね。

メインの講師を努めたのは、井手川 直樹選手。自身が撮影した動画で細かなレクチャーをしてくれた。
メインの講師を努めたのは、井手川 直樹選手。自身が撮影した動画で細かなレクチャーをしてくれた。
講師陣は他にもたくさん。清水 一輝選手と九島 勇気選手は寝ている訳ではない。瞬きのタイミングで撮影しただけ。色々と話してくれた。
講師陣は他にもたくさん。清水 一輝選手と九島 勇気選手は寝ている訳ではない。瞬きのタイミングで撮影しただけ。色々と話してくれた。
井本 はじめ選手は、時折身を乗り出しての積極的なレクチャー。途中から、黒沢 大介選手も加わってのセッションとなった。
井本 はじめ選手は、時折身を乗り出しての積極的なレクチャー。途中から、黒沢 大介選手も加わってのセッションとなった。

さて、初日の様子はここまでです。続きはまた明日。