【トレック】甘美なオールラウンダーマウンテンバイク、新型 Fuel EX が登場。

掲載日/2019年08月19日  取材・写真/やかん
取材協力/トレック・ジャパン
 
トレック・ジャパンは、どのようなトレイルも十全に楽しめるBIKE『Fuel EX』をフルモデルチェンジし、国内では3モデルで展開する。
 
 

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

 
< リリースより >
新型Fuel EX

この度、トレック・ジャパンは、トレイルバイクの一番人気、Fuel EXをフルモデルチェンジして発表いたします。

今回、トレックの中で最も売れているフルサスバイクに、新たな特徴と大幅なアップグレードを加えました。新しいFuel EXは、マウンテンバイクのあらゆる最新テクノロジーを採用し、1台のバイクであらゆる走りを楽しみたいお客様に最適のパッケージとなっています。

フロントサスペンションは140mmとなり、130mmのリアトラベルと組み合わせ、効率的な登坂性能を損なわずに、よりテクニカルなトレイルにも対応できるようにしました。この新しいトラベル量に合わせてジオメトリーも一新し、よりオールラウンドな走りに対応します。新モデルは旧モデルと比べてヘッドアングルが寝かされ、下りでの安定性が高まっています。シートアングルは立たせ、より効率的な姿勢でペダリングできます。

トレック フューエル EX 5 2020年モデル/25万5,000円(税抜)/カラー:Slate/Trek Black

他のトレックのフルサストレイルバイクと同じく、固定式のロワーショックマウントを採用し、より高強度のチェーンステーと効率的なペダリングを実現しました。

ジオメトリーを可変させる機構、 『Mino Link』(ミノー リンク) は、 EVOリンク側に取り付けられる。ナットを回すことでの調整幅は、ヘッド角を 0.5度 ずつ。ボトムブラケットの高さは、 10mm ずつ調整できる。局部でみれば小さな数値だが、全体で見ると大きくジオメトリーは変化するという。

新型Fuel EXは、女性用モデルを展開する代わりに、全てのモデルでXS サイズを用意しました。これにより、お客様の性別、身長、走り方にかかわらず、フィットに優れたFuel EXが見つかります。

トレック フューエル EX 8 2020年モデル/38万円(税抜)/カラー:Matte Dnister/Gloss Trek Black

MとL サイズは、速くて走破性の高い29インチホイールを搭載します。XS サイズは27.5インチホイールを搭載し、小柄な方でも操作しやすく、より適したスタンドオーバー高となるようにしました。S サイズには27.5と29の両モデルを用意。これは、このサイズのホイールサイズの好みが分かれることが、調査からわかったためです。

トレック フューエル EX 9.8 2020年モデル/63万円(税抜)/カラー:Raw Carbon/Rage Red

どのモデルも、ドロッパーポスト、ワイドレンジの1x ドライブトレイン、グリップ力に優れた2.6インチタイヤを搭載します。

フューエル EXはフレームサイズによってホイールサイズを変えている関係で、ドロッパーポスト(ボントレガー Line Elite / フューエル EX 9.8)もストロークが分けられている。サイズ: XS , S で 100mm トラベル。 M , ML は、 150mm 。 L , XL は、 170mm となる。ケーブルは、完全内蔵式。

カーボンモデルのダウンチューブには新型Domane(編注:ロードバイク)と同様、ストレージが設けられ、パックの重さや煩わしさを気にすることなく、ツールなどを収納できます。

フューエル EX 9.8(カーボンモデル) は、今回からフレーム内側にストレージを設置。容量は意外と大きい。
内蔵ストレージ搭載 BIKE に対応した、BITS BAG 。バンク修理用キットが収まる。マウンテンバイクの場合、これに加え、チェーン切れの対策品ぐらいは入れておいたほうがよいだろう。ただ、パンク修理がこのタイプだと、チューブレスレディのホイールが宝の持ち腐れになってしまう。山中に繰り出すライダーには悩ましい点。
価格/2,400円(税抜)
サイズ/ワンサイズ
カラー/ブラック
飛び石やグラウンドヒットなどを考慮して、カーボンアーマーをダウンチューブに装備。

さらなるカスタムを楽しみたいお客様のために、Fuel EXはProject Oneでもお選びいただけます。
 
 
 


※編集部より:

 この、新生Fuel EXは、『TREK WORLD 2020』に於いて、フューエル EX 9.8 のみが関係者に先行公開された。

『TREK WORLD 2020』にて先行展示された、フューエル EX 9.8。

 そこでまず感じたのが、「相変わらずトレックの OCLV フレームは美しい」だった。

 筆者は昔、トレック本社のウォータールー(アイオワ州)に取材に行かせてもらったことがある。ヘッドオフィスだけでなく、実際に自転車(主にフレーム)の製作工場も見せてもらえたのだが、その当時から OCLV フレームは秘匿事項が多く、製造工程の撮影などは NG であった。

 しかし、カーボンレイアップの手法やポイント、塗装工程などは見ることができ、その当時からストレートに「美麗」であるとしか出てこなかった。

スポーツサイクルに於けるカーボンフレームの造詣について、トレック & OCLV が一級であり最先端であることは、論を俟たないところであろう。そもそも、率直に言って、流麗すぎる。

 今回、会場で展示されたフューエル EX 9.8 は、その技術とセンスを最新のマウンテンバイクに落とし込んだ機種と言えるだろう。

 国内展開は、このカーボンモデルの他に、アルミモデルが2つあるが、ここはぜひ奮発してフューエル EX 9.8 を狙って欲しいところだ。それだけの価値が詰まった1台になっている。

トレック フューエル EX を気に入る理由とは?
会場では一部のスペックしか公開されなかったが、現在は同社 HP でフルスペックを確認可能。

 フューエル EX シリーズは、オールラウンドなトレイルバイクを企図しているが、それはリアサスペンション機構のテクノロジーに拠るところが大きい。まず、ベースとなる『RE:aktiv』(リアクティブ)であり、進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)だ。

トレック独自の、『RE:aktiv』(リアクティブ)ダンパーを搭載。進化系の『Thru Shaft』(スルー シャフト)も採用することで、様々な路面変化に素早く追従することが可能ということだ。
解り難いが、このユニットの下部が『Thru Shaft』(スルー シャフト)。逆転の発想で、構造は至ってシンプルということだ。

 実は、この RE:aktiv & Thru Shaft の組み合わせは、今のところフューエル EX 9.8 のみになっている。フューエル EX 8 は、 RE:aktiv のみ。フューエル EX 5 は、いずれも非搭載となってしまう。動画を見る限り、F1(モータースポーツ)のテクノロジーが投入されていて、マウンテンバイクで主要なサスペンションメーカー2社のユニットを相当にカスタマイズしているようなので、コスト高なのだろう。

 代わりに、トレックのフルサスペンション マウンテンバイク共通の、『Mino Link』(ミノー リンク)と『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)はグレードに関わらず搭載している。

リンクとアッパーアームの接続部に備わる『Mino Link』(ミノー リンク)は、回すだけでヘッドアングルとボトムブラケットハイトが変化し、クイックかナローか BIKE の特性を瞬時に変えられる。必要なのは、 5mm 六角レンチのみ。後述の内蔵ストレージにぜひ入れておこう。
『Mino Link』(ミノー リンク)は、 HIGH と LOW の2モードで用意される。
永らく、リアブレーキがサスペンションの動作に悪影響を与えるのは、マウンテンバイクでは珍しくなかった。この両者を切り離すことで、それぞれが自由に動けるのが、『ABP』(アクティブ ブレーキング ピボット)。キャリパーをフローティング部に設置するのが肝のようで、特許技術でもあるそうだ。

 先に触れた、カーボンモデル限定の、内蔵ストレージは待望の機能であろう。

カーボン素材を使ったマウンテンバイクフレームで他社が先行していた、ダウンチューブのストレージ機能を、フューエル EX OCLV カーボンモデルで採用。
ボトルケージとアクセスドアは一体で、つまり素早くアクセスできる場所にある。ドアはしっかり閉まり、それでも泥だらけのグローブをはめたままで開閉が容易。

 現状は、同社の上級モデルに於いても採用しているのはこのフューエル EX 9.8 のみで、もちろんデメリットがなければ今後も採用車種は増えるだろうが、もしもコスト面が高いハードルになっているのだとしたら、しばらくは本機のみかもしれない。筆者は、とにかく背中に荷物を背負うのが嫌いなので、常日頃からサイクルジャージのポケットのみか、欲張ってもサドルバッグで対応している。

 公道も含め、身体の動きを阻害する要素は排除したい傾向にあり、このストレージ機能は甚く魅力的に映る。

足回りは、かつてのダウンヒルモデルに匹敵するワイド設計。ドロップアウトのブースト規格は、フロントが 110mm 、リアが 148mm となる。サイズ: XS , S では 27.5 を。 S , M , ML , L , XL では、29インチの用意となる。
トップエンドモデルになるフューエル EX 9.8 は、ホイールまでもがカーボン。驚くのが、『カーボンケア・ホイールプログラム』というものが用意され、
「ボントレガーのカーボンホイールを最初の購入から 2 年以内に不測にも壊してしまった場合、私たちが無料で修理または交換する」
という内容。お解りの通り、ハードな走行や大きな転倒で破損した場合に効力を発揮するという、通常とは逆のサービス。トレックは「安全性」にとかく敏感なメーカーで、その「らしさ」が表れている。
このような、トレールを主に駆け回る BIKE では、チェーンリングはもはやシングルのみ。しかも、デバイスレスという進歩。サスペンション機構やチェーンと歯の進化により、チェーンが猛烈に暴れなくなったり外れにくくなった所以であろう。丁数は、 32T 。クランク長は、フレームサイズ: XS , S で 170mm 。 M , ML , L , XL は、 175mm 。
リア周りは最近のトレンドである、クイックタイプだがスルーアクスル、且つブースト規格、という仕様。数値はブーストが 148mm、アクスルは 12mm 。カセットは 12 速で、 10-50T 。

 もうひとつ触れておきたいのが、『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)。筆者は、しばらくトレックBIKEは触れていなかったので未見の機構であったのだが、これに拠るストレートなダウンチューブが、とにかく美しい。

独自の『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)を開発したことで、真っ直ぐなダウンチューブ設計が可能になった。これは、特殊なステム、ヘッドセットトップキャップ、スペーサー、それにフレーム側に内蔵されるチップで構成され、ハンドルを目一杯切り込んでも、フォークのクラウン部分がダウンチューブに接触する前にロックされ、双方がノーダメージで済むようになっている。

『KNOCK BLOCK』(ノックブロック)の詳細。黄色の箇所がシステムで、写真は、目一杯ハンドルを右に切り込んだ状態。赤色の箇所は見事にダウンチューブと接触していない。能力的には、ストレートなダウンチューブは高剛性を維持しながら過度に重くならないフレームを設計できるということだが、個人的にはあの曲がったダウンチューブが嫌いなので、これは大歓迎。なお、あまりに大きな衝撃が加わった時は、ノックブロックは自己崩壊しライダーへのダメージを軽減する。そのため、ダウンチューブには衝撃吸収バンパーは備わる。

 
 

 
 なお、以前の Top Fuel の紹介記事でも書いたが、特に小柄で手足が短い日本人にとって、サイズ選びはことさらに重要。

 幸いに、フューエル EX シリーズは、 XS からの用意があり、この適応身長は 137.0〜155.0cm 、股下は 64.0〜73.0cm 。ひとつ上の S は、 153.0〜162.0cm , 72.0〜76.0cm 。 S サイズになると 29 インチホイールが選択でき、こちらに優位性を感じている筆者(身長 156cm )などは選択をしてしまいそうだが、注意したいのがハンドルまでの遠さ。案外、ここは見逃されがちかもしれなく、通説では 29 インチはどうしてもこの“実効トップチューブ長”が伸びる傾向にある。

 KNOCK BLOCK の手前、ステムが専用品になってしまうので、この辺りは注意して、実車を前によく確認したほうがよいだろう。

 ちなみに、ステム長は、サイズ: XS , S で 40mm 。 M , ML , L , XL は、 50mm が初期設定。(やかん)


 
 
[ ソース ]
トレック・ジャパン
 
 

■メリダ/MERIDA ONE-TWENTY 7.500(2016) 19万9,900円 41cm MTB試乗インプレ

今回紹介するONE-TWENTY(ワントゥエンティー) 7.500は、前後ストローク120mmで上り50%、下り50%を想定したBIKEという事です。

MERIDA ONE-TWENTY 7.500(2016) 19万9,900円 41cm
MERIDA ONE-TWENTY 7.500(2016) 19万9,900円 41cm

掲載日:2015年08月19日  取材・写真・文/やかん

1台ですべてを幸せに楽しめる夢のBIKE

ダウンヒルとクロスカントリー用のフルサスペンションBIKEを除いた選択肢を浮かべた場合、ビッグカンパニーになる程その数・種類は莫大になり、たった1社であってもシリーズが分からなくなります。メリダもその類にもれず、混乱する程の数を揃えています。カタログを見ながら一度整理をしてみますと、まずサスペンションのストローク量でひとつの区分けがされています。

短い方から、
・120mm
・140mm
・160mm
となります(前後共通)。

用途ごとだと、上から、
・マラソン、ツアー想定 ONE-TWENTY
・オールマウンテン想定 ONE-FORTY
・エンデューロ想定 ONE-SIXTY
です。

マラソンやエンデューロと言われると増々混乱するので、それは隅に置いておくとして、今回紹介するONE-TWENTY(ワントゥエンティー) 7.500は、前後ストローク120mmで上り50%、下り50%を想定したBIKEという事です。クロスカントリーBIKEも比率は似たようなものと思うのですが、あちらはスプリントでよりレーシーなものになり、こちらはそれよりもややのんびりとした使い方になるでしょうか。ホイールサイズは、もはや標準となった27.5インチになります。

さて、このONE-TWENTYシリーズ。実は2015年も存在していたそうなのです。ただ、筆者の記憶には薄くmemoを見返しても試乗もしていません。それを、2016年モデルで乗ろうと思ったのは、メリダの得意とするVPKを使わず、またリアサスペンションユニットをフローティングしていたから。それと、2016年モデルはオールニューになったからです。価格は税抜きで19万9,900円なので、一般の人の感覚からすると高価です。まして家庭がある人は、まず理解してもらえない値段だと思います。それでも7.500はONE-TWENTYシリーズの中では一番安く、それだけに製品の魅力は気になります。そこで今回、試乗をしました。

まず、跨った時点ではフロントに対してリアサスペンションが硬く感じたので調整をしてもらいました。その調整結果からすると、かなり積極的に動かす方向のBIKEのようです。特に、リアはユニットをフローティングさせる事で後半の踏ん張り感や数値以上のストローク感を出せる、という事なのでその点も気にしてみました。重さは41cmで14.1kgなのでフルサスMTBとしては標準でしょうか。持った印象もそれほど重たいとは感じず、また前後バランスが良いです。

昨年も走っているトレイルに出ると、キツイ上り坂ではリアサスペンションは動いてしまう印象です。相当ペダルの入力が持っていかれる、という印象はありませんが、ボトムブラケットの位置が安定しないのは少し落ち着きません。ただ、ベッコベコに沈んでしまいまったく前進しない、というレトロ感はありません。下りでも動かそうとすると、この辺りがギリギリのラインなのかもしれません。

素性の良さを感じるようになったのは、緩やかな下りやタイトなコーナーが続くセクションです。手で持ち上げた時よりもフレームの前後バランスが良く、サスペンションも上手くはらたいてくれます。ハンドリングもたいへんカチッとしていてコーナリングが決まりやすく、だからといって不要な硬さが出るといったネガもありません。また、急坂では少し気になったリアの動きも緩い上り坂でなら、逆にグリップ力の向上に役立ってくれます。ダウンヒル未経験者などは下りでスピードが出るとかなり怖いと感じるそうなので、その際このBIKEの懐の深さは役立つのではないでしょうか。

コースを1周走り終わってのトータルな印象は、何か1台のMTBですべてをフォローしたい、と考えるユーザーにとって強い味方になるモデルだと感じました。税金を含めますと20万円を超えてしまうBIKEを買うというのはとんでもない大冒険です。ましてや、誰かの許しを得なくてはならない状況下ではかなり戦況不利です。しかし、ONE-TWENTY 7.500なら、「これを買えばMTBはこれ1台でやっていけるし、長く乗り続けられるから高い買い物ではないよ」、と諭せます。コンポーネントやサスペンションも充分な物が付いているので、後々どこか部品を換えなければいけないという心配事も皆無です。整備を怠らなければ、そのまま乗り続けられます。

性能が素晴らしいだけでなく、パッケージング、プライス、使える幅、どれを取っても「超真面目なMTBを、後生だから1台買わせてくれ!」というお父さんお母さんにはお勧めのBIKEです。もちろん、学生さんがアルバイトで返していくから買ってくれ、という時にも最適な1台です。ONE-TWENTY 7.500は、サスペンションが前後に付いていて何にでも使えるMTBが欲しい、という世の多くの声に応えてくれる最高のパートナーになっています。迷ったら、ONE-TWENTY 7.500で!

フロントサスペンションは、SRサンツアーのSR Aion RL-R 27 130 15QR remote。オールマウンテンなどを想定したフォークで、ロワーはマグネシウム製。ストローク量は120mmに抑えられている。
フロントサスペンションは、SRサンツアーのSR Aion RL-R 27 130 15QR remote。オールマウンテンなどを想定したフォークで、ロワーはマグネシウム製。ストローク量は120mmに抑えられている。
27.5インチに正規対応しているサスペンションで、右フォーク下部でリバウンド調整が出来る。Q-LOCは進化系のVer.2を使用。確実な固定とハンドリングを約束する。
27.5インチに正規対応しているサスペンションで、右フォーク下部でリバウンド調整が出来る。Q-LOCは進化系のVer.2を使用。確実な固定とハンドリングを約束する。
クラウン右レッグにはロック機構が備わり、リモート対応なのでこのパッケージングはその仕様になっている。
クラウン右レッグにはロック機構が備わり、リモート対応なのでこのパッケージングはその仕様になっている。
左レッグはエア圧調整の弁がダイヤルを外すと見える。エアばねはレート調整が容易で、また軽量に仕上がる事から上り坂ではメリットが大きい。
左レッグはエア圧調整の弁がダイヤルを外すと見える。エアばねはレート調整が容易で、また軽量に仕上がる事から上り坂ではメリットが大きい。
フロントサスペンションのロックアウトは、ハンドル左に付けたリモートレバーで制御。操作はクイックなので、この仕様なら積極的な使い分けが出来るだろう。
フロントサスペンションのロックアウトは、ハンドル左に付けたリモートレバーで制御。操作はクイックなので、この仕様なら積極的な使い分けが出来るだろう。
リアサスペンションユニットもSRサンツアー製。Epixon Lorpというモデルで、マラソン系では定評あるモデル。ストロークは120mmで設定。ばねはエア式。青いレバーでロックアウトが可能。
リアサスペンションユニットもSRサンツアー製。Epixon Lorpというモデルで、マラソン系では定評あるモデル。ストロークは120mmで設定。ばねはエア式。青いレバーでロックアウトが可能。
フロントドライブはFSA Gamma drive 38-24T CGを使用し、バッシュガードのようなものが付く。ディレイラーはシマノ・ディオーレのW仕様。マウント方法に注目したい。また、ワイヤーケーブルは一部、インターナルとなる。ボトムブラケットはシマノのオクタリンク。
フロントドライブはFSA Gamma drive 38-24T CGを使用し、バッシュガードのようなものが付く。ディレイラーはシマノ・ディオーレのW仕様。マウント方法に注目したい。また、ワイヤーケーブルは一部、インターナルとなる。ボトムブラケットはシマノのオクタリンク。
リアのギヤは10速になり、ディレイラーはやはりシマノ・ディオーレでSGS付きのシャドウ+となる。ダイナシスに対応。変速性能に不満を感じる事は皆無だった。
リアのギヤは10速になり、ディレイラーはやはりシマノ・ディオーレでSGS付きのシャドウ+となる。ダイナシスに対応。変速性能に不満を感じる事は皆無だった。
油圧ディスクブレーキは、テクトロのAurigaでローター径はφ180mmを装備。フォークの設計上は、φ203mmまで取付可能になっている。コントロール性に問題はなく、良く出来たブレーキ。
油圧ディスクブレーキは、テクトロのAurigaでローター径はφ180mmを装備。フォークの設計上は、φ203mmまで取付可能になっている。コントロール性に問題はなく、良く出来たブレーキ。
リアのブレーキも、テクトロのAurigaでローター径はφ180mm。リアも180mmを選択しているところに、本機のキャラクターを窺い知る事が出来る。リアサスペンション構造はこのようになり、ユニットはフローティングされる。VPKとはだいぶ異なる。
リアのブレーキも、テクトロのAurigaでローター径はφ180mm。リアも180mmを選択しているところに、本機のキャラクターを窺い知る事が出来る。リアサスペンション構造はこのようになり、ユニットはフローティングされる。VPKとはだいぶ異なる。
ステムがMERIDA pro OS 5となっているが、あのコントロールテック製を使っている。妥協はない。本機もヘッドチューブはテーパードになり、カチッとしたハンドリングが得られる。
ステムがMERIDA pro OS 5となっているが、あのコントロールテック製を使っている。妥協はない。本機もヘッドチューブはテーパードになり、カチッとしたハンドリングが得られる。

 

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■メリダ/MERIDA BIG.SEVEN 100(2016) 8万2,900円 43cm MTB試乗インプレ

BIG.SEVEN(ビッグセブン)は、2015年時点のMTBトレンドのひとつ、ホイールサイズが27.5インチになるハードテイルモデル群です。

MERIDA BIG.SEVEN 100(2016) 8万2,900円
MERIDA BIG.SEVEN 100(2016) 8万2,900円

掲載日:2015年08月18日  取材・写真・文/やかん

過去のネガティブな印象をすべて拭い去った超お買い得モデル

BIG.SEVEN(ビッグセブン)は、2015年時点のMTBトレンドのひとつ、ホイールサイズが27.5インチになるハードテイルモデル群です。これまでMTBのホイールサイズは26インチが当たり前に使われていましたが、ある時から大型化の29インチが登場し、そのうち、両者の間を取った27.5インチが広まって来ました。

その効果については割愛しますが、筆者は2014年に初めてこの27.5インチのMTBに乗りました。29インチのような格段のメリットを感じる事はなく、しかし、26インチに対してマイナスの印象を抱く点もなく、ごく普通にライド出来ました。その時点では、「やがてMTBのスタンダードは27.5インチに移るだろう」という印象でした。市場の受け止め方も似たもので、今では26インチは少数派。また、厳密な話をしなければ互換性がないわけでもなく、流れは完全に27.5インチになりました。

ただ、メリダに限った話をすれば、カーボンフレームの27.5インチハードテールは頗る良好なのですがアルミフレームはそこまでではない。むしろ、29インチのモデルに楽しさを感じるところがありました。27.5インチは、26インチ比であまりハンドリングなどに変化がなく、フレーム勝負な面がないとは言い切れず、カーボン技術が優れているメリダとあっては、そちらに軍配を上げるシーンが多かったのです。

そのような状況の中、2016年もアルミフレームの27.5インチハードテールMTBは日本のカタログ上には載りました。まだ日本市場には活路がある、と見たのでしょう。試乗したのは、下から2番目のグレードになる『100』。カタログでの売り文句は「油圧ディスクブレーキとロックアウト機構搭載サスペンションを採用した27.5”トレイルバイク」。歴代、100のモデルからブレーキが油圧になるので、筆者としても毎回注目しているランクです。価格は税抜きで8万2,900円なので、定価で買ったとしても10万円用意すればお釣りでヘルメットは買えます。この価格が高いか安いか?

今時としてはギアが、フロント3速、リヤ9速と古さは否めませんがこれはコンポーネントの価格を抑える為で、その分アルミフレームにはお金が掛かっている筈です。タイアもしっかりとMAXXIS(マキシス)製が奢られています。サスペンションはSRサンツアーのメリダメイドモデルが付き、ストロークは100mm。プリロードの調整のみ可能で、個人的にロックアウトは不要と思います。

試乗のコースは昨年と同じ場所で、違う点といえば砂埃が舞うほどのドライコンディションであった事ぐらい。BIG.SEVEN 100は、初めのキツイ上り坂で既に昨年とは異なる顔を覗かせました。硬さが気になったリア周りに不快な突き上げ感を感じなくなり、また路面にとても良くリアタイアが食い付いてくれます。その後の比較的フラットなダートから続く荒れた下り路面でも、TFS 3次元成型ダブルバテッドアルミフレームの着実な進化を感じます。独特の鋭い跳ねがなくなり、軽快なハンドリングはそのままにバックがとてもしなやかに仕事をしてくれます。テーパードヘッドチューブを採用している事で、ハンドル周りの正確な動作も向上しているように感じます。

スポーツサイクルの入門者にとっては10万円に近い買い物はとても高価に感じますが、程度を知っている人にとっては安価な部類に入ります。そういう人たちは軽視しがちなグレードですが、2016年モデルの『100』はもの凄い進化を遂げています。価格的には街乗りに使われてしまいそうですが、とんでもないです。ダート路面を走りたいユーザーに積極的に乗って欲しい1台に仕上がっています。MERIDAの本気を見せられたのと同時に、大枚を叩くに値するフレームとパッケージに拍手喝采を送りたいと思います。

サスペンションは、SRサンツアーのSR 27 XCM HLO 100。ストローク量は100mm。ブラックは、OEMモデルのみのカラー。とても良い動きをしてくれる。
サスペンションは、SRサンツアーのSR 27 XCM HLO 100。ストローク量は100mm。ブラックは、OEMモデルのみのカラー。とても良い動きをしてくれる。

HLOというグレードもSRサンツアーのカタログには設定がなく、メリダのチューニングが入っている事が分かる。
HLOというグレードもSRサンツアーのカタログには設定がなく、メリダのチューニングが入っている事が分かる。
サスペンションクラウン右レッグにはロックアウト機構。SRサンツアーでは、speed lock outと命名している。舗装路以外では、OPENで良いと思う。ダート路面では、上りでもサスペンションが動くことで横滑りなどを防げるからだ。
サスペンションクラウン右レッグにはロックアウト機構。SRサンツアーでは、speed lock outと命名している。舗装路以外では、OPENで良いと思う。ダート路面では、上りでもサスペンションが動くことで横滑りなどを防げるからだ。
クラウン左レッグにはプリロードの調整。ばねはコイルになり、この他の調整機構は付かないが、とても良く動くサスペンションで不満はない。剛性不足も感じなかった。
クラウン左レッグにはプリロードの調整。ばねはコイルになり、この他の調整機構は付かないが、とても良く動くサスペンションで不満はない。剛性不足も感じなかった。
MERIDAの2016年モデルはその多くにテーパードヘッドチューブを採用している。以前から言われている事だが、ハンドリングへの寄与は想像以上。硬すぎないのも良い。
MERIDAの2016年モデルはその多くにテーパードヘッドチューブを採用している。。以前から言われている事だが、ハンドリングへの寄与は想像以上。硬すぎないのも良い。
タイアはMAXXIS(マキシス)のIKONを装着。トレッド幅は2.20で、とてもしなやかな良いタイアだ。クッション性、グリップ力、ともに優秀。
タイアはMAXXIS(マキシス)のIKONを装着。トレッド幅は2.20で、とてもしなやかな良いタイアだ。クッション性、グリップ力、ともに優秀。
2年前のグラフィックは独特のデザインで好みだったが、’16年モデルは一転しておとなし目。TFSの表示もない。ケージマウントは2つ備わるので、本格レースでの使用も耐えられる。
2年前のグラフィックは独特のデザインで好みだったが、’16年モデルは一転しておとなし目。TFSの表示もない。ケージマウントは2つ備わるので、本格レースでの使用も耐えられる。
ドライブトレインにコストダウンを図ることで、全体の価格を抑えている。クランクはSRサンツアー製。チェーリングにはガードが付く。ディレイラーはシマノ・アセラでダイナシス対応。
ドライブトレインにコストダウンを図ることで、全体の価格を抑えている。クランクはSRサンツアー製。チェーリングにはガードが付く。ディレイラーはシマノ・アセラでダイナシス対応。
リヤのギアは9速になるが、レースの上級クラスで走らなければ気にならないだろう。ディレイラーはシマノ・アリビオになる。ハンガーはトレンドを取り入れている。変速性能に気になる点はなかった。
リヤのギアは9速になるが、レースの上級クラスで走らなければ気にならないだろう。ディレイラーはシマノ・アリビオになる。ハンガーはトレンドを取り入れている。変速性能に気になる点はなかった。
DOWN TUBE EXITという技術でワイヤー類は下部を通すスッキリとした処理法。ボトムブラケットのベアリングはカートリッジ式なので、酷い泥などを走った場合は、メンテナンスを行いたい。
DOWN TUBE EXITという技術でワイヤー類は下部を通すスッキリとした処理法。ボトムブラケットのベアリングはカートリッジ式なので、酷い泥などを走った場合は、メンテナンスを行いたい。
油圧ブレーキはテクトロ製で、環境負荷の少ないミネラルオイルを使用する。シフターはシマノ・アルタスを組ませる。グリップが一般的なゴム製に変わっているのも’16年の特徴。
油圧ブレーキはテクトロ製で、環境負荷の少ないミネラルオイルを使用する。シフターはシマノ・アルタスを組ませる。グリップが一般的なゴム製に変わっているのも’16年の特徴。
フロントブレーキはテクトロ・Auriga。ローター径はφ180mmで、コントロール性は秀逸。最近の油圧ディスクブレーキはハズレがなくなった。車軸固定は、9mmのクイックレリーズ。
フロントブレーキはテクトロ・Auriga。ローター径はφ180mmで、コントロール性は秀逸。最近の油圧ディスクブレーキはハズレがなくなった。車軸固定は、9mmのクイックレリーズ。
リヤの油圧ブレーキもテクトロ・Auriga。フレーム性能や合理性でアドバンテージのある、チェーンステーブレーキマウントを採用。好ましい選択。ローター径はφ160mm。
リヤの油圧ブレーキもテクトロ・Auriga。フレーム性能や合理性でアドバンテージのある、チェーンステーブレーキマウントを採用。好ましい選択。ローター径はφ160mm。
2016年モデルはとにかく、このリアバックの性能が格段に向上した。本格クロスカントリーレースからトレイルライドまで、乗り手を異界に誘ってくれる。
2016年モデルはとにかく、このリアバックの性能が格段に向上した。本格クロスカントリーレースからトレイルライドまで、乗り手を異界に誘ってくれる。

 

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2015 全日本マウンテンバイク選手権ピットレポート1。

2015年7月18日(土)19日(日)、富士見パノラマリゾート(長野)にて、マウンテンバイクライダーの日本一を決める全日本マウンテンバイク選手権が開催された。今回は、そのうち1日目ブースの様子をお届けしよう。

2015 全日本マウンテンバイク選手権ピットレポート1。

掲載日:2015年07月21日  取材・写真・文/やかん

 

2015年7月18日(土)19日(日)、富士見パノラマリゾート(長野)にて、マウンテンバイクライダーの日本一を決める全日本マウンテンバイク選手権が開催された。今回は、そのうち1日目ブースの様子をお届けしよう。

会場は台風の余波が残り、朝から生憎の雨。東京方面からだと甲府市内は晴れていたが、富士見パノラマリゾートに近づくに従って雨足が強くなる天候。コースはかなりのマッドコンディションで、どこのブースも泥対策や洗車に余念がない。まず始めは、群馬県にお店を構える重力技研がオリジナルブランドとして揃えるセブンアロウズから、カーボン製のダウンヒルバイク。写真は三宅選手の本番車で、リアユニットにエアサスペンションを使っている所に個性が光る。

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次は、見所の多かったスペシャライズドブース。アルミとカーボンのハイブリッドフレームを持つダウンヒルバイクで、リアサスペンション周りの造形にかなりのオリジナル性が感じられる1台。リアサスペンションユニットには、マウンテンバイク界ではまだポテンシャルが未知数のオーリンズ製が使われる。

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カーボンとアルミフレームの複合になるスイングアームの造形も特徴的で、メインピボットはボトムブラケット同軸構造となる。たいへん興味深い1台に仕上がっている。

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小物系でもキラリと光るアイテムがあった。専用のボトルケージと組み合わせる工具入れという物を用意し、中からは小型のアーレンキーセットが出てくるシステムとなる。マウンテンバイク用は横を向いているが、ロード用はエアロ効果を考えて縦レイアウトとなる点も細かい。

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他にも、ステムのヘッドキャップにチェーンカッターとミッシングリンクが内蔵出来る凄いアイテムもあった。アーレンキーセットも含め、工具を自転車本体に取り付ける事でライダーの負担が減るようになる。

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この逸品である工具セットが付いていたFUSEというバイクは2016年モデル。タイヤ規格27.5インチのさらに上を行く27.5+というもので、ホイール径が大きいだけでなくタイアトレッドがかなりワイドになる。ファットバイクと27.5バイクの中間のような存在で、特にエンデューロで流行りそうだ。なお、ボトルケージ工具システムとステム工具は別売りされるので、どのマウンテンバイクでも装着可能だ(ステムサイズはオーバーサイズ)。

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チェーンステーは、タイア幅がありチェーンリングが干渉するため、大胆な肉抜きがされている。また、リアディスクブレーキキャリパーのマウントは合理的なレイアウトとなる。かなりの意欲作。

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クロスカントリーバイクも注目品が展示された。ロックショックスのクロスカントリー完全特化型の特殊サスペンション、RS-1を装備するフルサスペンションバイク。

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リアサスペンションユニットは同社独自のブレインシステムが導入され、さらに驚くのがフロントサスペンションのRS-1もブレインチューニングがされている事。このシステムは、完成車またはフォークセットのフレーム売りでしか手に入らない。昨今のハード化しているクロスカントリーコースに十分適用するだろう。

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<続く>